ASIAtoJAPANは9月、無料日本語プログラム「Study Go Work JAPAN」を提供中のタイのコンケン大学( Khon Kaen University/KKU)を訪問。ワッチャラー先生と高橋先生にコンケン大学とタイ学生の特徴や就職事情について、話を聞いた。
コンケン大学はどんな大学ですか?
タイの東北地域の中心となる国立総合大学です。創立50周年を迎え、この地域では最も歴史があります。東北地域の発展に貢献する、リーダーとなる人材を育成することが大学の使命です。東京ドーム190個分の広大な敷地で、約3万人の学生が勉強しています。
学部の多くは4年制で、教育学部と建築学部は5年制、医療系学部は6年制です。人気の学部は医学部、工学部、農学部。医学部の付属病院は東北地域の高度医療センターとして機能していて、難病の人を受け入れています。また、東北地方の主な産業は農業。農産物を扱うタイの有名企業と農学部の先生は共同で農作物や家畜の研究をしています。
そもそもタイはどのような教育システムなのでしょう?
小学校は6年間、中学校は3年間、高校は3年間、大学は一般的に4年間なので、教育を受ける期間は日本と同じです。中高はほとんどが一貫教育なので、中学校に進学する際に入試を受けて、高校でも同じ学校で勉強するパターンが一般的ですね。
大学進学率は70~80%くらいです。試験は種類が多くて、全国統一試験の成績で行きたい学部に進む人もいれば、特定の地域の人を優先的に採用するための特別な試験を受ける人もいます。大学の入学試験の種類は毎年増えている状態で、今年からはインタビューとポートフォリオだけで選考する、優秀な学生に向けた推薦枠もできました。人気がある学部は時代によって変わりますが、今だと医学部、工学部、教育学部は人気がありますね。
タイの学生と日本の学生はどのような違いがあると思いますか?
よく言えば、タイの学生は素直ですね。私の所感ではありますが、特にコンケン大学は田舎育ちの子が多くて、理不尽に耐える力がある気がします。卒業生に対して「我慢強い」というフィードバックを採用した企業から言われることが多いです。我慢しすぎた時に爆発するのではなく、心を崩しやすい傾向にあるので、ちょっとしたガス抜きをしてあげるといいと思います。
あとは日本はアルバイトをしながら勉強する人が多いですが、タイでは親頼みなところがあって、アルバイトをしている人は少ないんです。そのせいか、日本の大学生は大人な感じがしますね。
就職活動はどのようにするのでしょうか?
リクルート会社にレジュメを送って選考を進める人が多いですね。工学部や農学部の場合は会社が直接大学に来てリクルートすることもありますし、共同研究をしている企業に就職する人もいるようです。先生がつながりのある企業に学生を紹介することもありますね。選考は1年中受けられて、就職活動をする特定の時期はありません。就職を希望している学生はほとんど就職できていますし、就職先に困ることはあまりないと思います。
人気がある会社は?
タイの大企業ですね。石油事業を行うPTP(PTT Public Company Limited)など、財閥のような大きな会社が人気です。
初任給はどのくらいでしょうか?
1万5000バーツ(52,581円)から2万バーツ(70,108円)くらいですね。日本語が話せると給与は上がって、N3で約3万バーツ(105,162円)、N2で4〜5万バーツ(140,216〜175,270円)くらいです。あとは大企業ほどボーナスが良くて、年1回、給料8カ月分が支給される会社もあります。月給は低いかもしれないけれど、年収で見たらまあまあいいのかなと思います。
※カッコ内は10月4日現在のレートで計算
コンケン大学で日本語を学んでいる人はどのくらいいるのでしょうか?
人文社会学部の東アジア言語学科の中に日本語があります。あとは教育学部に日本語教育課程という、中等学校の日本語教師を育成するプログラムがあります。人文社会学部は4年制で各学年約50人、教育学部は5年制で各学年約30人が日本語を学んでいます。その他に選択科目として日本語を選択している人もいて、全部で500〜600人が日本語を勉強しています。
そもそも学長は長岡技術大学で博士号を取得していて、各学部にも日本で学位を取った先生がいるんですよ。合計で100人以上はいると思います。
無料日本語プログラム「Study Go Work JAPAN」の受講生は何人いますか?
約100人から申し込みがあって、実際に勉強をしているのは70人くらいです。合計300時間勉強する計画を立てていて、今の受講生は来年の4月にプログラム終了となる予定です。日本で就職できることに対して、学生も我々教師もとても期待しています。