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日本と母国の面接の違い ~日本企業の選考を受けたアジア各国の学生にインタビュー~

目次

ASIAtoJAPANは日本語ができるIT、機械、電気・電子などの理系の外国人新卒学生が海外から集まる就職イベントを年5回開催している。これまでの参加者への取材とアンケート結果から、アジア各国の学生が感じた「日本と母国の面接の違い」を紹介しよう。

 

アジア各国の理系学生に聞く日本と母国の面接の違い

 

インド

インド人学生の特徴的な傾向として、「日本の面接の難易度をあまり高いと思っていない」ということが挙げられる。インド企業と比べて面接の回数が少ないこと、雰囲気が柔らかいことが理由であるよう。

 

「聞かれる質問は同じだけど、日本人は優しいから、インドで面接受けるよりもやりやすい。インド人は怖い」

 

「日本の面接は2回だけだったけど、インドでは4回あるので、そういう意味では簡単なのかなと思います」

 

韓国

国内の就職先が少なく、給与の高い大手企業は狭き門となる韓国では、応募者が殺到するからこそ能力や資格がシビアに問われる。そんな状況で就職活動をする韓国人学生にとって、日本の面接は「人物面を見ようとする」という点で違いを感じるようだ。

 

「新卒の場合、韓国は能力だけを重視する傾向があるんですけど、日本の場合はポテンシャルやその人の特徴を重視するように思います」

 

「韓国では就業をするためには資格とインターンシップが重要なので、いつも図書館で就職準備をします。しかし、日本企業で就職をするためには、自己分析と企業分析が重要だと思いました。また、韓国の面接は攻撃的です。『英語の点数はどうして低いのか』『成績がなぜよくないのか』などを聞きます。でも日本企業からは、『自分はどんな人なのか』『どんな困難を経験し、どのように克服したのか』『人生で価値観は何か』などの質問を受けました。 会社の部品として評価を受けるのではなく、会社の家族としてふさわしいかを評価されている感じがしました」

 

>>参考:慶南大学・原子力工学専攻の学生に聞く、韓国の教育&就職事情

 

中国

中国も韓国と同じく、面接ではスキル面が重視されるよう。日本の面接では人柄や価値観の他、態度に着目されることを意外に思う学生が複数見られた。面接中の中国人学生の態度が悪い場合、単純に日本での正しいマナーや振る舞いを知らない可能性が高そうだ。

 

「中国企業の採用は人柄よりも技術を重視しています。新卒採用の面接でも、持っている技術についてたくさん質問して、学習能力などを判断します。日本企業はポテンシャルの方を重視し、面接の時点ですごい技術を持っていなくても、仕事や好きなことに対する情熱が伝われば、いい結果になる可能性もあるように思います」

 

「違うのは、やはり内容です、中国の面接内容はほぼ専門知識のこと、でも日本では態度がもっと重要」

 

「日本の面接では性格や価値観を重視します、例えば『大学でどのようなプロジェクトに参加したのか』『どんな仕事をしていて、どんな困難があるのか』を尋ねることがよくあります。中国では能力を非常に重視します。例えば『PYTHONでプログラミングはできますか』『焼きなまし法を簡単に説明しなさい』『遺伝的アルゴリズムのメリットを教えてください』など。日本の面接とはちょっと違います」

 

「中国では面接官は1人だけなのですが、日本の面接官はたくさん。中国の面接官はあまり真面目な感じではないけど、日本の面接官は真面目で、そこも違うなと思いました。面接官は優しくて、面接後に『肘や腕をテーブルに置かない方がいいよ』ってマナーを教えてくれました。膝に手を置いて、姿勢正しく座ることがいいのは知っていたけど、机に腕を置いちゃいけないのは知らなかったです」

 

シンガポール

シンガポール人学生は、日本の面接は堅い雰囲気だと感じている人が散見された。慣れない日本語で、さらに怖そうな面接官とあっては緊張が増すばかり。学生本来の人柄を知りたいのであれば、笑顔を見せたり冗談を言ったりと、場を和ませることが効果的かもしれない。

 

「シンガポールの面接の方がリラックスした感じだと思います。でも、日本の質問は大体決まっているので、準備ができます」

 

「日本は会社の文化とマッチするかを重視しますが、シンガポールではその仕事ができるかどうかが一番大事。面接もシンガポールは面接官が冗談を言って和ませてくれるけど、日本は真面目で冗談はダメな雰囲気で、笑わないし、少し怖かったですね」

 

マレーシア

マレーシアでは、大学の就職イベントで就職先を探すのが主流。面接は1回だけのことが多く、日本の面接は少しプレッシャーに感じることもあるようだ。

 

「大学や企業によってキャリアフェアが開催されています。キャリアフェアの面接に加えて、会社に関する情報を入手して履歴書を出すだけです。ウェブサイト上で仕事を検索し、履歴書を送ります」

 

「面接の質問内容は大体同じだと思います。でも、日本と違って面接は1回しかありません。マレーシア人にとっては、日本の面接は多くて、ちょっとプレッシャーがあると思います」

 

>>参考:マレーシア工科大学・機械専攻の学生に聞く、マレーシアの教育&就職事情

 

ミャンマー

面接は1回、時間も短く、各社の質問もほぼ同じと、ミャンマーの面接は日本よりも簡易とのこと。また、内定後に就業年数の縛りがないことを意外に感じている学生もいた。

 

「面接は一回だけの会社が多いです。面接に出る質問はだいたい同じですが、CADやExcelなど、何をできるかをチェックする場合もあります」

 

「日本の面接の時間はミャンマーより長くて、質問ももっと詳しいです。あと、日本は合格したらみんな自由です。例えば『最低5年は働かないといけない』といった契約がないです」

 

 

面接の形式や重視するポイントに各国と日本で違いがあるのは当然のこと。だが、その違いを逆手にとって、より良い選考を行うことはできるはず。例えば韓国人学生の「会社の部品として評価を受けるのではなく、会社の家族としてふさわしいかを評価されている感じがしました」といった声は、違いをポジティブに転換するヒントとなる。自社に合う優秀な学生を採用するために、学生の母国との違いを踏まえた面接のやり方を検討してみてはいかがだろうか。

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