【３】イギリスの日本人留学生のコロナ禍での就職事情
通常であれば、日本人と日本に興味がある外国人が参加する「Japan Society」という組織が各大学にあり、2年生が就職担当者として就職情報を伝えるなど、日本人留学生の就職をサポートします。
例年、新入生が入学するタイミングで歓迎会を行うなどして日本人留学生を集めていましたが、コロナ禍で1年間イベントができなかったり、今年の新入生がイギリスに入るタイミングがバラバラだったりと、Japan Societyの組織が運用されていないケースや、就職担当者の引き継ぎがなされていないケースもあり、日本人留学生が就職情報を得にくくなっています。就職情報は学内やサークル、飲み会などで先輩から話を聞くことがほとんどで、そういった機会がなくなったことで余計に情報が入らなくなっているのが現状です。
ASIAtoJAPANは各キャンパスで説明会を行いましたが、他に説明会をオンキャンパスで行っている日本企業はなく、合計約500名もの日本人留学生が説明会に参加。就職への関心の高さが伺えました。
先述の通り、3年生はイギリスに戻って現地に慣れ、大学の手続きを行い……といった生活の基盤を整えるタイミングと、就職活動を始める時期が重なっている状況。
そのような中で情報もなく、考えもまとまらないまま手当たり次第に企業に応募し、うまくいかずに不通過となる悪循環に陥っている学生が散見されました。名前を知っている有名企業に応募が集中し、ベンチャーやBtoB企業との接点を探っていないことも課題です。
なお、日本人がイギリス国内企業への就職は非常に困難。そもそも新卒を採用する文化がなく、よほど優秀でない限り、未経験の外国人学生を採用することはありません。
【４】イギリスの日本人留学生と日本企業のミスマッチ
日本人留学生の多くは目的意識を明確に持ってイギリスの大学に進学しており、就職後もやりたいことが明確です。
一方でほとんどの日本企業は総合職採用を行っており、環境、国際関係、国際政治を専門とする学生が、学んだ知識を生かした就職がしづらい現状にあります。
『Fast Offer』の説明会では、日本の就職事情や就職活動のやり方など基本的な情報を伝える際に、このようなミスマッチの構造についても説明。驚いた様子の学生が多く、日本の就職活動に関する情報が本当に届いていないことを実感しました。
今後は随時、日本人留学生とのオンライン面談を実施し、改めて日本の就職活動事情や日本企業についての説明を行いながら、マッチングを行ってまいります。
【５】日本企業がイギリスの日本人留学生を採用するポイント＆メリット
大学で勉強したことを生かし、職種を限定して仕事を見つけたい学生は、日本の総合職採用の考え方を理解するのに少し時間がかかる印象です。先述のミスマッチを防ぐために、日本企業はそもそもの総合職採用について丁寧に説明をする必要がありそうです。ジョブ型採用を進めている企業であれば、よりマッチングはしやすいでしょう。
イギリスの日本人留学生が優秀であることは間違いありません。目的意識をもって異文化に飛び込み、予習・復習、課題など、日本の大学以上にハードな勉強を英語で行っており、成長に貪欲。自分の意見を言うことが重視される環境で過ごすため、発言も積極的です。
そして何より、異文化理解と異文化への適応力に長けています。日常生活で想定外の出来事が多発する日々に適応し、英語で対応しています。さまざまな国からの留学生と共同生活をすることも一般的です。
そうした中で異文化を取り込んだ日本人留学生は、「日本語が通じる、半分異文化の人」というイメージに近いかもしれません。これからダイバーシティを推進しようとしている企業にとって、外国人採用をする前の第一歩として、日本人留学生の採用は適しているとASIAtoJAPANは考えます。
日本人留学生向けの就職支援サービス『Fast Offer』では、イギリスで出会った日本人留学生との面談を進めています。現在、学生は自己分析や企業分析など、日本の就職活動の準備中。2021年12月以降も、2022年5月に卒業を控えた3年生と面接を行うことが可能です。
留学生採用に関心がある方はお気軽にお問合せください。
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