7月10日に行われたJAC Recruitment主催の「インドビジネスセミナー」に、弊社代表・三瓶が登壇。講演の中から「外国人学生採用のポイント」について紹介します。
ポイント1:“学生に寄り添う担当者”を用意する
「長年外国人採用に携わってきて思うことですが、キーパーソンとなるのが “学生に寄り添う担当者”です。日本人と外国人のギャップをカバーする、人事でも面接官でも友達でもない、メンターのような役割の人が必要です。留学経験のある人にお願いすれば、喜んで担っていただけると思います。レジュメの書き方の指導や誤字脱字のチェックをして面接前に書類の形式を整える、日本と世界のキャリア観の違いを説明するといったことが事前にできれば、不要なミスマッチが防げるはずです」
ポイント2:面接前の面談を設定する
「会社の説明をする、日本で働きたい理由の深掘りをする、名前の読み方や経歴の確認をするといった、面接の準備のための時間を設けることを推奨しています。特にレジュメの年齢や学歴が間違っていることはよくあって、日本語能力検定を持っていないのに『N3レベル』と書いてあるようなこともあるんです。面接前にオンラインで簡単な面談を行い、こういった確認を事前にしておくと、面接の通過率が上がると思います」
ポイント3:“やり過ぎなくらい丁寧”がちょうどいい
「面談や面接の設定時には、思っている以上に丁寧な対応が必要です。日本時間で連絡しがちですが、現地時間で伝えた方が安心ですし、当日は15分前にはスタンバイをして、wi-fi環境を確認することも重要です。国によっては、雨が降ると突然Wi-Fiが使えなくなるなんてこともあります。ここまでやる必要ある?というくらいの丁寧な対応がちょうどいいんです」
ポイント4:面接官のオリエンテーションを
「外国人の面接をしたことがない人にいきなり面接を設定すると、良し悪しの判断の前に『日本人と比べてなんか違う』という印象を受けてしまいがちです。でも、言葉も文化も違う国の人を採用するのだから、ギャップがあるのは当然。事前のオリエンテーションで説明ができるといいですね」
ポイント5:日本で”働きたい”よりも”住みたい”が強い
日本で働きたい理由
順位 | 項目 | 回答数 | % |
1 | 文化を学びたい、文化に魅力を感じる | 51 | 26.0% |
2 | テクノロジーや研究が進んでいる | 28 | 14.3% |
3 | 自国以外で活躍したい、国外に出るチャンス、いい機会 | 22 | 11.2% |
4 | 日本語を勉強しているから、したいから | 19 | 9.7% |
5 | 環境が良い、安全(空気がきれい、便利) | 14 | 7.1% |
6 | アニメが好き | 12 | 6.1% |
7 | 日本で働くと安定している(終身雇用)、仕事環境が良い | 11 | 5.6% |
8 | 日本に住むことが夢、日本が好き | 9 | 4.6% |
9 | 経済が良い | 5 | 2.6% |
10 | スキルアップのため | 5 | 2.6% |
11 | 働きたい会社がある | 4 | 2.0% |
12 | 日本の友だちが欲しい | 4 | 2.0% |
13 | 日本で働く家族、親戚や友達の影響 | 3 | 1.5% |
14 | 日本食が好き | 2 | 1.0% |
15 | 給料が良い | 2 | 1.0% |
16 | 自国に似た文化がある | 2 | 1.0% |
17 | 先生や親に勧められた | 1 | 0.5% |
18 | 自国との懸け橋になりたいから | 1 | 0.5% |
19 | サッカーが好き | 1 | 0.5% |
回答総数 | 196 | 100.0% |
※ASIAtoJAPANが今年5月にインド、中国、マレーシアの理系TOP大学で日本語を勉強している学生100人にインタビューしてヒアリング
※複数回答可
「『どうして日本で働きたいのか』は面接で必ず聞く質問ですが、ASIAtoJAPANが学生に調査をした結果、一番多いのは『文化を学びたい、文化に魅力を感じる』です。ポイントは “働きたい”ではなく“住みたい”という点。面接でも、『日本の文化やアニメが好き』『電車がちゃんとくる』『清潔で安全』といった、日本に住みたい理由しか出てこないケースが多いです。学生にもきちんと考えてもらう必要があるのですが、一方で企業側にもご理解をいただきたいと思っています。文化で人を呼べる国は世界を見ても少ないですし、日本として大きなアドバンテージ。日本が好きで、仕事がきちっとできるならOKと考えていただけるとスムーズだと思います」
ポイント6:日本人学生のようなしっかりとした志望動機はない
「海外にいる外国人学生にとって、日本に就職できる機会はごくわずか。応募できる日本企業の選択肢が何社もないので、どうしてもその会社で働きたいというよりは、チャンスがある会社に応募をするしかないんです。それゆえに日本人学生と比べて、志望動機がどうしても弱くなってしまう。 結果的に『理念に共感しました』で終わってしまう学生がとても多いので、前述した”寄り添う担当者”が手助けしながら、事前に考える時間を作れると理想的です」
ポイント7:「ずっと日本で働きたいですか?」という質問で合否を判断しない
「『ずっと日本で働きたいですか?』というのも面接で必ず出る質問です。でも、中には学生が『5〜10年で帰りたい』と答えてしまう。本心というよりは、まだ分からないというのが実情です。日本人だって海外で働く時に『一生その国で働きたいですか?』と聞かれても分からないですよね。前向きな返事じゃないからダメだと判断してしまうと候補者がいなくなってしまいますので、この質問で合否を判断するのは避けましょう」
ポイント8:家族や恋人に相談しているかを確認する
「これは我々も痛い目に合ってきました。母親には大抵相談しているんですが、父親にはある程度決まった段階で相談をすることが多いんですね。その結果、突然ダメになるケースが稀にあります。特に英語ができればOKという企業の場合、親が日本で就職することを全く想像していないことも。面接では必ず『両親に相談したか』を確認していただけると安心です。また、彼氏、彼女の関係が日本よりも深いように思います。そこに障害がないかもある程度事前に把握しておけるといいですね」
ポイント9:最終面接に複数人の候補者を残す
「最終面接までにできるだけ複数人の候補者を残してください。最終面接で NG になってしまうと、もう一度最初からやり直さなければいけなくなってしまいます。また、1人の採用に対していい人が2人いた場合、まず採用したい学生に内定を出して、受諾した時点でもう1人にNGの旨を伝えましょう。もし断られてしまったときにもう1人の子に内定が出せるようにできるとベストです」
ポイント10:学生との接点を多く持つ
「何度も現地に行ったり日本に呼んだりするわけにもいかないので、1回の面接で決めてしまう企業もいます。ただ、そうすると学生も不安なんですね。面接は1回だとしても、内定後にオンラインで何度か面談をするなど、複数回コンタクトを取っていただくことが辞退を防ぐことに繋がります」