ASIA to JAPANでは、日本で働いている外国人材200人にアンケートを実施しました。
日本で働く理由や、日本で実際に働いて苦労したこと、など率直な回答が得られました。
海外からの学生採用、外国人の新卒採用など、外国人人材を採用するうえで、ご参考になれば幸いです。
アンケート概要
- アンケート実施期間: 2019年10月
- 回答者: ASIAtoJAPANを通じてオファーを得た人とその友人で、現在日本で働いている外国人材
- 回答者数: 200人
※回答者はアジア各国のトップ大学卒業生が主で、勤め先はメーカー、IT、コンサルティング、外資系企業などさまざま。
【1】来日前後の日本語レベルの変化
来日前の日本語能力試験(JLPT)のレベルについては、35.5%が「持っていない」 と回答。試験を受けていないだけで日本語ができる人もいると考えられるが、日本での就業を希望している日本語学習者は試験を受けるのが一般的であるため、35.5%の「持っていない」のほとんどは「日本語ができない人」であると推測される。また、日常会話が可能なレベルであるN3に達していないN4、N5は合計18.5%。資格を持っていない人と合わせて、日本語ができるとは言い難い人が54%を占めている。
一方、来日後の日本語力に目を向けてみると、来日してからの期間はバラバラであるものの、ニュースが理解できるレベルであるN1、N2の合計は60%に達している。日常会話が困難であると見られるN4、N5、資格を持っていない人の合計は54%から約25%まで減少しており、就職後、確実に日本語力を向上させていることが見て取れる。
■日本語能力検定(JLPT)のレベルを教えてください
来日前 | 来日後 | |
ない | 35.5% | 13.5% |
N5 | 6.5% | 4.5% |
N4 | 12.0% | 7.5% |
N3 | 11.5% | 14.0% |
N2 | 15.0% | 28.0% |
N1 | 19.5% | 32.5% |
【N1】幅広い場面で使われる日本語を理解することができる
【N2】日常的な場面で使われる日本語の理解に加え、より幅広い場面で使われる日本語をある程度理解することができる
【N3】日常的な場面で使われる日本語をある程度理解することができる
【N4】基本的な日本語を理解することができる
【N5】基本的な日本語をある程度理解することができる
※日本語能力試験(JLPT)は筆記のみだが、試験結果と会話力はおおむね一致する。ただし漢字になじみのある中華系人材の結果は実際の日本語力より高く出る傾向にあり、会話力とレベルが一致しないこともある。
【2】日本で働きたい理由
外国人材が日本での就業を希望する理由を「母国と比べて日本の給与水準の高いから」だと思っている人は多い。だが、実際のアンケート結果によると「経済的な理由から」を選んだのはわずか7.4%。最も多いのは「日本の文化が好きだから」(23.9%)だ。実際に外国人材と接していても、日本自体への興味から「日本に住みたい」と考え、日本での就業を希望する人は非常に多い。
つまり「日本で働きたい理由=住みたい理由」であり、この齟齬が外国人材を採用したい日本企業にコミュニケーションギャップを生んでいる。「日本の技術や会社に興味があるから」(15.2%)や「キャリアにとってプラスだから」(12.5%)を選んだ人ももちろんいるが、それ以上に「日本の文化が好きだから」(23.9%)が日本での就業を希望する理由になっていることを理解したい。外国人材も面接を受ける以上はその会社について調べ、理解する努力をすべきではあるが、よほどの有名企業でない限り、会社や仕事内容に惹かれて応募をする外国人材はほとんどいないと思った方が無難だ。
「キャリアにとってプラスだから」(12.5%)に関しては、技術などのスキルアップのほか、国によっては母国に戻った時、日本での就業経験がプラスになるケースがある。アジア各国ではマネジメント層の人材が不足しているため、日本で一定期間の就業経験がある外国人材は各国の日系企業の現地法人から引く手数多。転職の選択肢が一気に増え、さらに日本と同じ水準の給与を得ながら物価の低い母国での暮らしを送ることができる。
■日本で働きたいと思った理由を教えてください
日本の文化が好きだから | 24.0% |
海外でチャレンジしたかったから | 16.9% |
日本の技術や会社に興味があるから | 15.2% |
キャリアにとってプラスだから | 12.5% |
日本語を活かしたかったから | 11.5% |
経済的な理由から | 7.4% |
日本の生活や環境に興味があるから | 6.1% |
日本に住んだことがあったから | 3.4% |
その他 | 3.0% |
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