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終身雇用がインド人から人気?プネ大学日本語教師が教える、インド人理系学生の会社選びの条件

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10月23日、ASIAtoJAPANはIT、機械、電気・電子などの理系専攻で日本語ができる外国人の新卒学生が集まる就職イベントを開催。同日にはイベント見学会を兼ね、西インドのプネ大学(Savitribai Phule Pune University/SPPU)日本語学科でビジネス日本語を教えるシュルティ先生を招き、「インド人の理系学生が選ぶ・選ばない会社」と題した講演を行なった。プネ大学には、ASIAtoJAPANの無料日本語学習プログラム「Study Go Work JAPAN」を提供しており、シュルティ先生は本プログラムにも携わっている。ここでは講演の一部を紹介しよう。

 

 

プネは教育の街だ。700校以上のカレッジがプネ大学に所属しており、地域の安全性や治安の良さも相まって「東のオックスフォード」とも言われる。プネは学校数が多いことからインド全土から学生が集まり、インドの中で最も若者の人口が多い町として知られている。

 

プネ大学には5つの外国語学科があるが、ドイツ語に次いで2番目に学習者が多いのが日本語だ。プネ大学の日本語教育はレベルが高く、現在は500人弱の学生が日本語を学んでいる。この数はインド国内で最も多い。

 

 

インドの人口は現在13億人以上だが、そのうちの半分以上が24歳以下と、平均年齢は非常に低い。2025年には15億人を超え、世界一人口が多い国になると予測されている。そんなインドの就職事情はどのような状況なのだろうか。

 

「ここ10年で理系の勉強をする学生が増えています。エンジニアは就職のチャンスが多く、給料が高いこともあり、政府も理系教育に力を入れています。インドのトップ大学IITは世界的にも有名ですが、卒業生のエンジニアはさまざまな分野で活躍をしていることから世界中に注目されています」

 

インド人学生の会社選びの条件として重要なのが、「勤務地」「業務内容」「会社の規模」「給料」の4つ。それぞれの理由について先生は次のように説明する。

 

勤務地

「勤務地を重視する背景には、国内で仕事が見つからないという事情があります。国内のエンジニア人口が多過ぎて、卓越したスキルか、よほどのコネがなければ大手企業には入れない。インドのある州では、州当局の368人の採用枠に対して、230万人の応募があったそうです。倍率は約6000倍ですね(笑)。そのくらい競争は激しく、失業者も増加しつつあります。卒業するエンジニアが100人いると、就職が決まるのが25人で、その25人が残りの75人の面倒を見るなんて冗談もあるくらいです」

 

業務内容

「インドの会社にはジョブローテーションの文化がありません。専門分野に関連する仕事に就き、専門的な経験を積んでいくのが一般的。そのため、自分の専門外の仕事に対して抵抗を感じる人は多いです。ジョブローテーションに対して不安を感じている学生は少なくありません」

 

「また、競争の激しい社会で育っているので、仕事に挑戦や新鮮さを感じられなければ飽きてしまう傾向にあります。インド人の転職理由で一番多いのは『給与が低い』ですが、その次に多いのは『仕事の満足度がない』です。仕事を始めて3年ぐらいでプロジェクトマネジャーになりたいという学生は多く、昇進への我慢強さがあまりない印象です。日本では多芸は無芸と言われますが、インドでは『多芸は有能』という考え方が強く、マルチタスキングが好きな人がたくさんいます。この辺りは日本人の考え方と一致しないところもあるのかなと思います」

 

会社の規模

「調査の結果、約7割の学生が最初の就職先として大手企業を希望していることがわかりました。ブランド好き、視野を広げたい、海外に行きたいという理由が多いです。特にインド人学生は旅行で海外に行くことがあまりないですから、海外出張のチャンスが多い大手企業は魅力的なのです。また、中小企業を希望する人の理由としては、いろいろなチャンスがある、昇進のスピードが速いといった理由があげられます。ただ、インド人は海外への憧れが強いですから、海外出張のある会社を優先する傾向にあると思います」

 

給与

「IIT以外の大学を卒業するエンジニアが国内で受け取る初任給は、比較的安いです。一方、海外で就職をすると初任給は高くなります。エンジニアになるための学費は高いので、両親にお金を返すために高い給料を求める人がこれまでは多かったですが、最近の新入社員はお金よりも仕事内容を重視する傾向にあります。経験者が転職をする際は給与を重視しますが、新人の場合は自分の専攻に合った仕事ができるのかが最も大事です」

 

 

最近では日本での就職を希望するインド人が増えているという。

 

「数年前まではアメリカやヨーロッパが注目を浴びていましたが、最近はそれ以外の国で仕事をする人も増えています。特にアメリカの治安が悪くなってきている中で、アメリカの給料とそれほど差がない日本に注目が集まっている。ここ10年でインド人の日本に関する知識は増え、インドに進出する日本企業も増えています。日本企業の協力を得てインドにも新幹線が走るようになりますし、日本企業で就職したいという人は多いです」

 

「日本は治安が良く、技術レベルが高いイメージが強いです。また、日本の終身雇用システムがインド人の中で人気を集めています。例えばアメリカの企業はいつリストラされるかわからないという不安がある。そんな中で、多少給与が低かったとしても、終身雇用システムのある日本企業を希望するインド人は増えています」

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