海外大学に通う日本人留学生の座談会を通じて、就活に関するさまざまな悩みがあることが見えてきました。
>(参照記事)海外大学に通う日本人学生のリアルな悩み「就活の情報も時間も全然足りない」
そこで、学生たちに日本企業へのリクエストを聞いてみました。全8個、前後編に分けてご紹介します。
●Aさん(アメリカ/UCLA):海外大生を採用したいのであれば、海外大学の学生がどういう生活を送ってるのか、もう少し理解してほしいですね。
例えばゼミや卒論について聞かれても、私の大学にはゼミも卒論もないんですよ。私は3年生から大学をトランスファーしていますが、そういうシステムも理解されていないから、面接の最初の5分がトランスファーの説明で終わってしまうことも結構あって。アピールしたいことは他にあるのになと思います。
●Bさん(アメリカ/UCLA):わかります。僕も大学のシステムの説明をするだけで一次面接が終わったことがあって。通過はしましたけど、「一体この面接で自分の何がわかったんだろう」と思ってしまいました。調べて分かることは、最低限抑えてほしいなと思います。
●Hさん(アメリカ/UCバークレー校):和訳する大変さもありますよね。頭の中で話の内容を組み立てつつ、大学のシステムや授業の内容を日本語に変換して……という工程に苦労しています。
●Aさん(アメリカ/UCLA):初めて海外大学生を採用する企業であれば仕方がないかなとも思いますが、グローバルを打ち出して海外大学生を積極採用していることをアピールしているような企業の場合、もうちょっと事前準備ができるのでは?と正直思ってしまいますね。
●Iさん(アメリカ/サンディエゴ州立大学):私は「海外大学生を考慮した選考フローがあるか」を見ています。説明会でグローバルを打ち出しているのに、インターンが日本の大学生しか参加できない時期に開催されていることも多くて。本当にグローバルな人材を求めているのか?と疑問に思うことがあります。
●Kさん(イギリス/マンチェスター大学):そもそも海外大学生からの応募が想定されていないこともありますよね。「ボスキャリと別の選考を併願できるか」「24卒のくくりでイギリスの大学生は何年生が受けられるのか」など、確認を取った上で大丈夫と言われたのに、あとから「やっぱりだめでした」と言われることもあります。
●Hさん(アメリカ/UCバークレー校):僕は面接後に「この枠はもういっぱいなので選考は打ち止め」と言われたことがありました。他にも面接の2カ月後、忘れた頃にメールで不通過の連絡が来たこともあります。海外大生だからなのか、たまたま不誠実な企業だったのかはわからないですけど。
●Kさん(イギリス/マンチェスター大学):日本の大学生と海外大生は母数が違うので、人数を絞るための選考は飛ばしてほしいとも思います。日本の学生は就活を理由に課題を免除してもらえたり締め切りを延長したりできるケースもあるけど、海外大学はそういうわけにいかないので、重要な選考に絞ってほしいですね。
●Iさん(アメリカ/サンディエゴ州立大学):逆に海外大学生に向けた選考フローを用意している企業は、入社後も歓迎してもらえるのかなと思いますし、志望度は上がりますね。「海外大学出身の人も多いのかな」とも思います。やはり海外大卒の社員が多いと、安心感があるんですよ。長い期間日本にいないので、日本で社会人としてちゃんとできるか不安もあって。
●Kさん(イギリス/マンチェスター大学):「日本でちゃんとできるか不安」に関するところで、些細なことですが、服装の判断が難しくて困っています。「私服可」と書いてあったので私服で参加したら、みんなスーツだったことがあって。別の時はスーツで行ったらみんな私服だったんですよ。本音と建前を理解できているか、測っているんですかね? いっそ指定してほしいです。
●Hさん(アメリカ/UCバークレー校):わかります。アメリカでは仕事でも私服な人が多いので、日本とアメリカのどちらの基準で考えるか、悩ましいことは多いですね。
●Hさん(アメリカ/UCバークレー校):僕は長期インターンのスケジュールについて、海外大学生を考慮してもらいたいです。日本の大学の夏休みに合わせる会社がほとんどですが、僕らは8月末〜9月頭には戻らなければいけない。最長1カ月しかインターンができないので、6月後半から始まるものがもっとあればなと思います。
アメリカの友人は休みに入った翌週から学校が始まる前週までインターンをやっていたりするので、2カ月ぐらいやれたらうれしいですね。
●Kさん(イギリス/マンチェスター大学):オンラインでできるものがあると、なおありがたいです。
●Jさん(アメリカ/UCSD):インターンの選考プロセス自体、授業があって受けられないことが多いですよね。スタートラインにも立てない。
●Iさん(アメリカ/サンディエゴ州立大学):わかります。ギリギリ間に合わないですよね。めちゃくちゃ調べましたが、今年のインターンはスケジュールが合わなくて諦めました。
●Hさん(アメリカ/UCバークレー校):僕は学校が始まってからの最初の2週間を休むことも視野に入れて、長期インターンを探しています。最初はあまり重要な授業をやらないから休んでもどうにかなるだろうという判断ですけど、どうしてそんな犠牲を伴わなきゃいけないんだろうと思いはしますね。
●Aさん(アメリカ/UCLA):「あなたの大学に対して、特別なオファーを出します」くらい、対象を絞ってもらえると助かります。「アメリカの大学向け」だと数が膨大なので、せめてカリフォルニアに限定するなど、範囲を絞った情報発信をしてもらえると、キーワードで引っかかって、学生にも届きやすいように思います。
●Iさん(アメリカ/サンディエゴ州立大学):スカウト性がほしいですね。自分がどのくらいその企業に向いているか、どれぐらいの能力を持ってるか、比較対象が少ないのでわからないんです。企業側からアプローチしてもらえると、そこのハンデが埋まるのかなと思います。
●Kさん(イギリス/マンチェスター大学):イギリスは逆で、日本人の学生数が少ない分、就活サービスが手薄です。だから「ヨーロッパ向け」でもいいので、広く情報発信をしてほしいですね。時差の問題から解放されるだけでもだいぶ楽になるので、ヨーロッパ向けの就活イベントも増えたらいいなと思います。
<参加者>
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