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タイ・ベトナムとの往来再開に向けたレジデンストラックの開始が決定。詳細を弁護士の杉田先生に聞きました

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8月6日に経済産業省より、国際的な人の往来再開に向けた段階的措置として、タイとベトナムのレジデンストラックに関する説明会がありました。詳細について、弁護士の杉田昌平先生に伺います。

コロナ禍の海外と日本の往来のこれまで

現在、諸外国は上陸拒否対象国と、そうでない国に大きく分かれています。

アジアの上陸拒否対象国:インド、インドネシア、韓国、シンガポール、タイ、台湾、中国、ネパール、パキスタン、バングラデシュ、フィリピン、ブルネイ、ベトナム、マレーシア、モルディブ(外務省HPより。上記情報は2020年8月21日時点)

上記の上陸拒否対象国と日本を行き来するためには、ビジネストラック(短期就労者向け)とレジデンストラック(長期滞在者向け。出張などの短期商用も含まれる)のどちらかの手続きを踏む必要があります。

これまで上陸拒否対象国になった国ではビザの発行を行っていない大使館もありました。そこを変えて、ビザが発行されるようになったのが今回の仕組みです。手続きを踏めば、タイとベトナムに関して日本と行き来することが法律上の仕組みとして可能になります。

入国前の手続きから入国するまでの流れ

対象となるのは、就労系の在留資格保持者本人のみ。家族滞在は含まれません。そして移動手段は直行便のみです。

日本企業の手続きにおいて、これまでのビザを取る流れと大きく何が変わったかというと、「コロナ対策の対応に従う旨を記載した誓約書」を提出し定められた検疫手続を行う必要がある点です。

<入国前の手続きから入国するまでの流れ>

航空券を取る(許可されているのは直行便のみ)

コロナ対策の対応に従う旨を記載した誓約書の原本(日本企業の署名入り)と在留資格認定証明書を本人に郵送

現地大使館で本人がビザの発給を受ける

14日間の検温

72時間以内に新型コロナウイルスに感染していないことを証明するための検査を受け、検査証明を受け取る

日本の空港に到着後、通常の必要書類に加えて誓約書と14日間の日本での行動計画を提出。接触確認アプリをインストールするなどの手続きを行う

そのまま空港でPCR検査を受ける(午前便で到着した場合、検査結果は当日中に出る見込み)

公共交通機関を使用せずに目的地へ

入国してから14日間以内は、提出した行動計画の範囲内で活動を行う
————————

手続きは在留資格認定証明書を取得してから1カ月ほどあれば問題ないと思います。

ただ、気がかりなのは誓約書の原本の郵送です。コロナ禍により通常よりも時間がかかっていますので、2週間程度見ておけば問題ないかとは思いますが、その時々の状況に応じて期間を見積もる必要があります。

なお、ビジネストラックの開始はまだアナウンスされていませんが、出入国の仕組みはおおよそ同様であることが予測されています。

最大のボトルネックは「飛行機」

このように法律上の仕組みとしては整備されましたが、一番のボトルネックは飛行機です。

ベトナム航空は10月24日まで、タイ航空9月30日まで、定期運航便の運休をすでに発表していますが、直行便が飛ばない限りは、ビザが取れても日本に来る手段がありません。

現在日本にベトナムの技能実習生は登記上18万人いるとされています。概ね3年で技能実習は終わりますので、単純計算で18万人を36カ月で割ると、毎月5000人程度帰国者が出てきます。

今回のコロナショックにより、一説には帰国待機者が2万人ほどいると言われています。また、帰国者がいるということは、新しく技能実習に来る人もいるということ。出国待ちの人も同程度いると想定されており、飛行機の渡航が再開したとしても「すぐに乗れるのか」という懸念もあります。
現在でも定期運航便ではなくチャーター便は飛んでいますので、移動が全くできないというわけではありません。しかし、従来のとおり自由に移動するのは、限られた便数を考えると難しいといえるでしょう。飛行場での検査数のキャパシティが増え、往来する航空機の数が増えるまでもう少し時間がかかると思います。

まとめると、タイとベトナムに関して、日本から両国へ行き来できる仕組みは法律上整いました。また動きがあり次第、お伝えしていければと思います。

※情報は8月12日時点。その後、シンガポール、マレーシア等でも往来が可能になることが明らかになりました。

<杉田先生プロフィール>
弁護士(センチュリー法律事務所)
杉田 昌平先生
平成23年弁護士登録(東京弁護士会)・入管届出済弁護士(平成25年~)
・日本弁護士連合会中小企業海外展開支援担当弁護士(平成30年度)
・名古屋大学大学院法学研究科研究員・慶応義塾大学法科大学院
・グローバル法研究所研究員・ハノイ法科大学客員研究員。
>>プロフィール詳細はこちら

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