外国人採用をしようと考えたときに、気になるのがビザのこと。そこでASIAtoJAPANの日本語教育プログラム受講者のビザサポートを担っている株式会社トッパントラベルサービスの外国人受入サポートデスク部長・風間弘将さんにインタビュー。昨今のビザ事情やビザ申請の流れに引き続き、ビザに関する注意点について伺った。
●注意点1. 仕事内容

本人の学位と職務内容が一致している必要がある。「職務内容の設計は一番重要なポイント」と風間さん。
「文系の学位の方にプログラミングの仕事をさせようとする企業が見受けられますが、学位と職務が一致していないという理由でビザが不許可になったケースも出ています」
仮に不許可になっても、キャリアプランを再設計し、再申請をすることは可能だそう。また、長期的に働いてもらうためには、本人にキャリアプランをしっかり説明することも重要だ。
「外国人の方に会社に質問したいことを聞くと、『自分のキャリアプラン』と答える人が多いです。キャリアプランを自国の言葉で理解したいというニーズは強いですね。入社時にキャリアに関する人事制度をきちんと説明することが重要で、ここの説明が弱いと早期退職につながってしまいます」
●注意点2. お金
給与は日本人と同等以上でなければならない。
「特に地方に多いですが、基礎給与が17万円程度という企業が時々あります。公示されているわけではないのですが、大卒初任給程度ということですから、18〜19万円ぐらいが最低ラインです。下回る場合は住宅費用や残業代など、各種手当を含めたトータルグロスで申請するというやり方もありますが、基礎給与だけで判断されてしまうと不許可となる可能性が高いです」
●注意点3. 語学力
ビザ取得のために必要な日本語レベルは、文系と理系で異なる。
「理系の学位の方の場合はスキル優先で採用されるので、日本語レベルはそれほど求められません。一方の文系の学位の方に関しては、日本語能力試験でN2以上が必要とされることが多いですね。N3レベルだと、まだまだ日本と海外との橋渡しをするようなブリッジ役の人材として不足しているのではないかという見解です。履歴書に『できます』とただ書いてあるのではなく、日本語検定などで証明書として提示できることが望ましいですね」
●注意点4. 卒業時期

日本では卒業時期といえば3月と決まっているが、海外では卒業時期が大学や学部によって異なる。外国人の学生を新卒採用する際は注意が必要だ。
「本人はカリキュラムを7月ですべて終わらせているから、履歴書に卒業の時期を7月と書いている。でも蓋を開けてみたら、卒業セレモニーは11月だったという例があります。ビザ申請の際に必要な『Bachelor of Degree』という卒業証明書が発行されるのは、卒業セレモニーと同じタイミング。これでは卒業証明書が間に合わず、10月入社ができません。こういったケースは最近よく見受けられます。卒業セレモニー前に学部長に証明書を出してもらうこともできますが、履歴書に記載されている卒業時期と卒業証明書がもらえる日にちが合致しているのかはしっかりと確認をしましょう」
卒業してから日本に入国するまでのスケジュールにも留意したい。
「卒業から入社までの期間を利用して、日本の学生と同じように卒業旅行で海外に行く学生は多いです。しかしビザ申請をするには、自国で本人が各種書類を提出する必要があります。そのタイミングで本人が海外に行ってしまっていることがないように、ビザ取得までのスケジュールを提示して、自国にいるように喚起する必要があります」
●注意点5. 雇用後、退職後の各種届出
コンプライアンス上、気をつけたいのが各種届出だ。まず、外国人を採用したら「外国人雇用状況の届出」を提出しなければならない。
「ある飲食店がこの届出を出しておらず、摘発を受けてしまいました。そうすると次回から外国人採用自体ができなくなってしまいます」
無事に5年のビザが降りたものの、1〜2年で辞めてしまうことも少なくない。その場合は退職後に「資格喪失届」の提出を忘れないよう、留意したい。
「在留カードはあくまで本人に紐付いているので、退職後もそのまま保持することができます。国に帰る方は空港で返却、転職する方は転職先で再度手続きをすることになるのですが、ハローワークに資格喪失届出、入国管理局に「雇用解除届出」を提出しないと、例えばそのビザで不法に労働従事することもできてしまいます」

●国別の注意点
これまで紹介した以外にも、学生の国籍によっては採用上の注意点がある。以下で上げる国の学生を採用する際は、各国の事情を頭に入れておこう。
・シンガポール
「シンガポールの大学に通っている学生、特に留学生の中には、シンガポール政府から奨学金をもらっているケースがあります。ボンド制度と呼ばれますが、シンガポール国内で一定期間就業することを条件としているため、採用をしても日本で働くことができません。採用時のスクリーニングで必ず確認しましょう」
・フィリピン、タイ
「ビザとは別に、出国許可の手続きをする必要があります。特にフィリピンの場合、免許を持っている現地企業でないと出国許可の申請ができません。日本で働きたいフィリピン人はたくさんいますが、手続きは煩雑で大変なのが実情です」
・韓国
「兵役を残している人は、本人が軍隊に兵役免除の申請書類を提出しなければいけません。韓国人は日本語を覚えるのも早いですし、理系人材の需要は日本国内で高まっている印象です。スムーズな入社を実現するためにも、兵役が終わっているかどうかの確認を事前にしておくと安心ですね」
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