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止まらない少子高齢化、地方を中心とした労働力不足、大学進学率の頭打ち──こうした構造的課題を背景に、多くの日本企業が「人材確保」という壁に直面しています。特に新卒採用の現場では、これまでの常識が通用しなくなりつつあります。

そんな中で、新たな選択肢として注目を集めるのが外国籍人材の採用と育成。
すでに先進的な企業は一歩を踏み出し、成果を挙げ始めています。

日本経済新聞社 人財・教育事業ユニットは、人的資本経営の重要性をいち早く見出し、2024年からは外国籍人材のマッチング支援に特化したASIA to JAPANと業務提携を締結。
情報発信だけでなく、実践的なソリューション提供へと踏み込みました。

本記事では、日本経済新聞社 常務取締役でライフ&キャリアビジネス統括を務める渡辺雄一郎氏と、ASIA to JAPAN代表取締役の三瓶雅人が描く「人材の未来図」、そして日本社会に欠かせない存在である外国籍人材の可能性について、対談形式で深く掘り下げます。

(インタビュアー:株式会社フジコム 高橋氏)

目次

きっかけは、元旦の日本経済新聞一面のASIA to JAPANの記事

ー日本経済新聞社 人財・教育事業ユニット(以下、日経)とASIA to JAPAN(以下、AtoJ)が業務提携されたということで、まずはお2人のご関係について教えてください。 

渡辺

三瓶さんはグループ会社の株式会社日経HRに勤めていた頃から知っていて、その後独立して会社を設立されたと聞いていました。ある日、2024年1月1日の日本経済新聞朝刊の一面に、三瓶さんの名前が出ていたのです。インドのエンジニアを日本企業に紹介するビジネスで活況を呈していますと。 元旦の一面に出るとはすごいと思い、すぐ連絡しました。  

三瓶

グループ会社に勤めてはいましたが渡辺さんは雲の上の存在でしたので、ご連絡いただいて驚きました。 すぐにお返事をして、その後食事に誘っていただき、久しぶりにお会いしました。  

渡辺

それぞれ日経、日経HRという立場で、三瓶さんとはいわゆる日経転職版のような事業を一緒にやっていました。その時、三瓶さんが新しい事業を立ち上げる事となり、その内容が海外から大学生を日本に連れてきて、日本の企業とマッチングさせるビジネスでした。ただ非常にお金もかかる事業で、なかなか継続するのは難しいといった背景などから、結局三瓶さんは独立して仲間と二人で会社を立ち上げられたのです。  

三瓶

私としては、長く人材ビジネスをやってきた中で、外国人向けのサービスはすごく感謝されることが多く、ずっと続けていきたいという強い思いありました。 それで、思い切って起業したという経緯があります。 

渡辺

三瓶さんと色々お話して、とても面白いビジネスをされているなと。 ただ、やはり大きな企業とのネットワークがまだまだ足りないということで、であれば、日経は大企業とのお付き合いや、企業のCHRO(Chief Human Resource Officer=最高人事責任者)の方々とのコネクションもあるし、一緒に組めばシナジーが生まれるのではと、話が盛り上がったのです。  

ー当時、海外の人材に目を向けられたことには、何か理由があるのですか?  

三瓶

最初はさほど強い思いではなく、今思えば興味レベルでした。でもその時、日本で働きたい海外の人材は非常に多くいると気づいたのです。 同時に、日本の企業で働くには日本語が話せなければ難しく、就職先を見つける手段もほとんどない、というとても大きな障壁があること感じ、日本語を勉強する機会と、日本企業とのパイプを提供できれば、すごくいい事業になると考えたのです。   

渡辺

私はニューヨーク駐在の経験や、フィナンシャル・タイムズとの連携事業なども担当していたので、弊社の中では、海外の人と仕事をする機会が比較的多い方だと思います。 多様性の時代と言われますが、全く違うカルチャーで生まれ育った者同士が交わり、新しいイノベーションが生まれることは、個人的にもひしひしと感じています。 私には、今もずっと一緒に仕事をしている外国人の仲間がいますが、彼らは日本や日本人に対して、色々な指摘をしてきます。 私にはない感覚で、理解しづらいこともありますが、気づかされることも多くあります。 それがイノベーションにつながっていると感じているので、外国の方と働くことはとても大事だと思っています。  

日本経済新聞社 渡辺 雄一郎氏

日経ブランドの強みと人材のサプライチェーンモデルを作りたいという思いが合致

ーAtoJは2017年の創業から間もなく9年となりますが、その間いかがでしたか? 

三瓶

基本的に市場は伸びているので、我々のビジネスも、コロナ以前は比較的順調に伸びていきました。 しかしコロナ禍では、外国人は入国すらできない状況となり、我々のビジネスは大打撃を受けました。その後は復調しましたが思ったほどではないというか、正直もっとグロースするはずなのに何かが足りない、それはやはり我々のブランド力の不足だと考えていたので、”日経”というこのビジネスにおいて最強のブランドからお声をかけていただいたのは本当にありがたいですね。 

日経側は、今回の業務提携にどういった狙いをお持ちなのでしょうか? 

渡辺

人的資本経営という視点で、企業の経営層やCHROの方とお話しますが、様々な課題をお持ちの中で、特に最近すごく重要になっているのは採用です。 やはり採用が難しい。いい人が採れない。 でも、実は外国人でも日本語が話せて、すごく日本が好きで、日本で働きたいという希望を持つ人たちがいることに、実はまだまだ大企業のCHROは気づいておられないのです。 ですから、我々としても、AtoJさんをご紹介できることは、人的資本経営に関連するサービスのご提供という流れの中でメリットがあります。  

また、我々が今一番力を入れているのは、サクセッション人材と言われる後継者育成です。 当たり前ですが、このブーカ(VUCA)時代、世の中がどう変化するかわからない中、企業が成長し続けていくうえで、既存モデルがそのまま通用するとは限りません。 ですから、臨機応変に事業のポートフォリオを変えていく必要があるわけですが、その事業を担っていける人材を見つけることは本当に難しいのです。 

それでもやはり社内にそうした新しい人材が足りないとなれば、新たに採用するしかないのです。しかも、日本国内だけでなく、海外からも採りたいと。 理由はもちろん、グローバル事業を大きく伸ばさなければいけないからです。特に日本の企業はそうです。 ならば日本人ではなく、海外から採用したいとなるのですが、やはり周りは日本語しか喋れない人が多いので、日本語も話せてサクセッション人材の候補になりうる人を採りたいというニーズになるわけです。 そういうニーズがあるときに、AtoJさんをご紹介するという流れです。 

ーそうした人材のサプライチェーンを作っていくことを期待されているのですね。

渡辺

そうです。 先ほど申し上げたように、我々は人的資本経営という考え方の中で、人材のサプライチェーンモデルをきっちり作っていきたいのです。 その上で、やはり採用が非常に重要です。企業様のニーズが、グローバル人材の採用にどんどん傾いていて、そこにお応えしなければいけない中で、信頼できる仲間である三瓶さんとなら、きっと良いシナジーが生まれより良いサービス提供が実現すると考え、今回の業務提携に至ったわけです。 

三瓶

我々としてもご紹介いただいた企業様に、しっかり成功体験をご提供し、継続的に強い関係を作り続けていきたいと思っています。 

ASIA to JAPAN代表 三瓶 雅人

お互いが持つ大学とのネットワークのシナジーにも期待

渡辺

あまり知られていないかもしれませんが、バンコクに日経ビジネスラボアジアという人材教育事業部門の関連企業があり、現地の社員とともにビジネスケーススタディという事業やっています。 様々な大学とネットワークを組み、いわゆるハーバードのケーススタディのように、企業のケーススタディを先生と一緒に作って、大学でその授業をデリバリーする事業です。 ですから、我々が持つ大学とのネットワークと、AtoJさんのネットワークとのシナジーも期待しています。 

三瓶

大きな流れで言えば、日本人の人口は減っているわけですから、どんどん外国籍の方に入ってもらわないと、立ち行かなくなると思っています。 うちは小さな会社ですが、社会貢献という意味でも、日本が今後もっと成長していくために必要なリソースだと考えています。 

AtoJは、インドだけでなく、中国、台湾、タイ、インドネシア、マレーシアなどアジアのネットワークはもちろん、エジプトからも学生さんが来られています。どうやって広げてこられたのですか? 

三瓶

実はほとんどは現地の大学などからの紹介です。 我々AtoJは、アジアの様々な大学に日本語授業を無料で提供していて、学生が面接を受けるため来日・滞在する際の費用も全て弊社で負担しています。もちろん、就職先の紹介費用も発生せず、ビザ取得の手続きなども全部サポートしているので、学生と大学からすると「全部無料で就職までさせてくれる会社」なので、周りに話したくなるみたいです。 話した先がたまたまエジプトで、「うちも話を聞きたい」となって、そのような経緯でお話をいただくこともあります。 

渡辺

でも向こうから勝手に話が来るばかりではなく、とても熱心に営業活動をされていますよね。 特にコロナ禍で渡航が難しい中でも、しっかりインドに行き、インド工科大学(IIT)の23校全部訪問してパイプを作られたという話は驚きましたね。 全部回って、日本語を話せる人材がいるなら、日本の企業に紹介しますとプレゼンして回って。 しかも、三瓶さんは実は英語がぜんぜん得意でないというから、さらに驚きました。こういうバイタリティある方が、本当のグローバル人材で、世界を広げていけるわけですね。 

でも、「現地の日本語学科の先生は、インド人だけど日本語ができるから、日本語でも交渉できる」とおっしゃるのです。 その発想力がすごいですよね。こういうバイタリティある方が、本当のグローバル人材で、世界を広げていけるわけですね。

ーやはり現地の方は日本への思いやニーズが強いのですか? 

三瓶

強いですね。 アジアでは、アニメなどの影響もありとても認知されているのですが、インドやエジプトではまだまだ日本は知られていないと感じます。 でも行くと、興味を持って話しかけてくれて、日本で就職したいという話や、日本に行けるならそんな幸せなことはないとまで言ってくれるので、とてもやりがいがあります。 あとは、本当に就職を受け入れる企業様が増えれば全員Win-Winの関係になれるので頑張りたいですね。 

インドは今、IT人材宝庫だと言われていますね。 

三瓶

そうなのですが、現状はやはり日本語が話せないと日本での就職は難しいのです。 他国は英語でOKなので語学の苦労はないのですが、日本だけ日本語の壁があって、勉強しなくてはいけない。突破するのに、だいたい500時間くらいの日本語学習が必要なので、それをサポートする企業なんて他にありません。でも我々はそれをやり続けてきたので、数年かかってやっとお客様が付いてきて、いよいよここからなのかなと思っています。 

日本語が話せる海外人材への強い期待

独自の仕組みでAtoJは企業側からもすごく信頼を勝ち取っていますね。 

渡辺

既に色々な企業様を紹介しているのですが、実際にAtoJを通じて採用に至っていますよ。 紹介した企業様から、「良い人を採用できた」というフィードバックもいただき、良い意味でのレピュテーションも広がっていて、我々も安心して色々な企業様にAtoJさんを紹介できるという循環ができつつあります。 AtoJのサービスの話をすると驚かれます。 実は色々な企業様が使っていますよと話すと、だいたいが「そうなの。一回ぜひ話を聞いてみたい」となりますね。 これはもう、間違いなく日本企業にとって救世主的なビジネスモデルだと思いますよ。 

三瓶

褒め過ぎです(笑) でも本当に、企業様から感謝していただけるケースも多いです。 我々は、採用だけでなく、今は入社以降のサポートも行っていますし、ビザの手続きや、生活の立ち上げサポートまでやっているので、時間がかかる仕事をお引き受けすることができます。 人事の方からすると、通常は採用が決まった後も色々な手配を自らセットアップする必要があるのですが、それをすべて我々が解決できるので、たぶん使い勝手が良いと思っていただいていると思います。 

渡辺

そこはすごく刺さります。人事の方は本当に忙しいですから。 採用が決まったら、次はビザを取って、家を探して、なんだかだって、すごく大変ですよね。 今、人事は戦略にもっと力を入れろと言われていて、一方で人員削減もあり、オペレーション部分は外部委託しなければ回らないので、代行できることは、とても時流に乗ったサービスだと思いますね。 

地方企業のグローバル化にも貢献していきたい

ー首都圏だけでなく、地方企業の参加も増えているのですね。 

三瓶

はい、やはり地方は採用が本当に難しくなってきているので、地方の企業様のグローバル化についてもしっかりお手伝いしたいと、強く思っています。 地方に限らず、外国人採用を初めてスタートする場合、経営層の意思決定があるとスムーズに進みますので、我々はそこにアプローチする方法をいつも模索しています。 その中で、最近ですと地方銀行や商工会議所など、地域の企業様の採用課題をよく理解されている所や、日経の支社でもセミナーを行なわせていただいています。 

ー企業からの期待度も変わってきていますか?

三瓶

そうですね、結構著名な企業様が参加いただいているので、新しく参加いただきやすくなってきました。 さらには、入社後の活躍までをしっかりとご提示できれば、より踏み出していただきやすくなるので、今まさに一生懸命そのノウハウをめて、失敗しない方法を企業様にお伝えできるよう仕組みを整えています。 

業務提携で既に始まっている様々な取り組み。留学生向けのイベントも

ー業務提携以降、どのような取り組みをされていますか? 

三瓶

年数回、日経の東京本社セミナールームにて、採用セミナー、面接会を実施しています。 また、外国籍の学生さんは海外だけでなくもちろん留学生も対象となりますし、企業様からすると留学生の方が、取り掛かりやすいことも多いので、そこもしっかりフォローしていきたいと考え、留学生向けのイベントもやらせていただきます。 

渡辺

私は、留学生について少し誤解していて、留学を終えると自国に戻ってしまう方が多いと思っていたのです。でも実はそうではなく、留学生こそ日本に住んでみて、やはり日本はいい国だから日本で就職したい、というニーズが多いそうなです。 日本人は海外留学しても、そこで就職する人より日本に戻ってくる人が多いですが、同じように考えてはいけないのですね。  海外学生を集客するほうが難しいですか? 

三瓶

実は海外の学生を集めること自体はそれほど難しくはありません。 ただ、理系の勉強をしながら500時間近く日本語を勉強してもらうことが大変です。  

ー留学生は日本語が堪能な人は結構多いでしょう 

三瓶

そうですね。 日本語ができるという意味ではハードルは低いのですが、実はもう留学生はレッドオーシャンで、企業からの内定をたくさん持っているので、むしろいかに繋ぎとめるかが課題になっていたりします。 ただ、特に理系は日本語を話せない留学生もたくさんいます。その場合は就職できないケースが多いので、そういった学生を今支援しています。 

また、英語プログラムの大学が結構増えているので、日本語力を問われず日本に留学できるのですが、日本に就職したいとなると日本語を話せないといけない。 でもなかなか日本語で面接できるまでには至らないのです。 ですから、そのギャップを今、我々が一生懸命埋めています。

 

人材のサプライチェーンを作るうえで海外人材採用は必要不可欠

ー今後も色々な展開に期待が持てそうですね。 

渡辺

私は、やはりまだまだ規模を拡大できるはずだと思っています。 様々な企業様の課題感を聞いていると、ニーズはすごくあるのに、いったいどこにハードルがあるのかと。 やはり最初の一歩を踏み出すハードルが高いということかと思いますが、一回経験すれば変わってくる気がしています。もっとブレイクさせたいですね。 

三瓶

 よくお聞きするのは「まず制度を整えてから始めたい」というお話なのですが、正直な話、全部制度が整うことはないと思うのです。 お気持ちはわかりますが、日本人の制度でさえどんどん変えているのに、外国人の制度が整うことはないと思うので、まず現状の制度になるべく合う人を採用して、必要であれば適宜変えていくことが大事なのではと。 セミナーなどでもそうお伝えしているのですが、なかなか踏み出していただけないことが多いですね。 ですから、やはり経営層からのトップダウンが必要だと思いますね。 上層部から、まずはチャレンジしてみようというスタートが、結局人事や現場もやりやすいように感じています。 

渡辺

企業のトップは相当、人材に対して危機感を持っておられると思うし、オポチュニティはたくさんある。制度を整えてからやりたいのはむしろ現場のほうだったりしますよね。 そこを動かしていくためには、やはりトップアプローチが大事だと思います。 実際に採用をしている企業の声を聞ける座談会や交流会なども、もっとやりたいですね。 

三瓶

そうですね。 名古屋や大阪で開催しましたが、内容がすごく良くて参加企業様にも喜んでいただけたので、改めて東京でも開催したいと考えてます 

渡辺

この先、間違いなく海外人材の採用は増えますから、早く始めてノウハウを構築していくべきですよね。 人材のサプライチェーンを作るために海外人材採用は欠かせないと思いますから。 我々は着実にニーズにお応えし、しっかりと企業様の人的資本経営を支えられる質の高いサービスへと成長させていきたいですね。 

スピーカー

日本経済新聞社
常務取締役・ライフ&キャリアビジネス統括
渡辺 雄一郎氏

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株式会社ASIA to JAPAN
代表取締役
三瓶 雅人

新卒にてキャリアデザインセンターに入社。キャリア採用広告営業、営業部長、マーケティング部長を歴任し人材紹介部門の事業責任者となる。日経HRに移り、人材紹介事業の立ち上げ、転職サイトおよびシステム責任者を経て、2012年よりアジア現地採用のための新規事業責任者となる。2017年2月に株式会社ASIA to JAPANを創業し、現職。