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長期就業が期待できるフィリピン人の日本語教育・就職事情とは?

目次

長期就業が期待できるフィリピン人の日本語教育・就職事情とは?

フィリピン人の日本語力とは

外国人材の採用をする際に気になる、日本語力。国によっても日本語教育が盛んかどうか、傾向が異なります。

この記事でのフィリピン人の日本語力を知っていただき、日本企業が採用する際に検討がしやすい情報を提供します。

フィリピンの教育事情

フィリピンでは、幼稚園に1年間、小学校に6年間、中学校に4年間、高校に2年間、大学に4年間(技術系は5年間)通うのが一般的です。そのうち、幼稚園から高校までの13年間が義務教育となっています。飛び級の制度があり、各学校の1学年100~1,000名程度のうち2~3名が飛び級となり、最近では16歳で国内トップのフィリピン大学を首席で卒業した事例もあるようです。

中学、高校は大きく分けて一般の学校と「サイエンスハイスクール」の二つが存在し、受験合格者はサイエンスハイスクールに進学できます。ここでは、ジャーナリズムやロボットなど、一般授業に加えて専門的な知識を得ることができます。

大学進学率は35.48%であり、金銭的な理由で進学できない人・入学してから卒業できない人も多くいるのが現状です。大学の年間スケジュールは8~12月が前期、1~5月が後期、卒業が6月というのが一般的です。

フィリピン人から見る日本への印象

フィリピンにとって、日本はアジアの国の一つという印象にすぎず、他のアジア各国と比較して日本への関心はそこまで高くないです。英語が公用語なため、英語圏の国に目が向けられがちです。ただ、近年では日本のアニメなどのカルチャーに興味を持つ若者の間で日本語学習が広がっているようです。

日本語学習状況の概要

2021年度海外日本語教育機関調査によると、フィリピンにおける日本語学習者は44,467人でした。フィリピンの知識層の特徴として、他の東南アジア諸国よりも欧米志向が強い傾向があります。そんな中でも、近年は日本への関心も高まってきています。ただ、第二外国語教育への支援が手薄いため、初級後半以降では日本語をはじめとした第二外国語を学べる教育機関が限られています。

初等教育における日本語学習

フィリピン日系人会国際学校(私立)で、日本語は同小学校、高校の必須科目となっています。

中等教育における日本語学習

2009年、フィリピン教育省が日本語をはじめとする外国語選択科目を、試験的に公立高校で実施することを発表しました。これは「Special Program in Foreign Language」と呼ばれ、日本語教育機関の機関数、教師数、学習者数の増加に繋がっています。

高等教育における日本語学習

主に選択外国語科目として履修され、3単位、6単位ほどのコースしかありません。時間数にして50~100時間程度、最多で200時間ほどであり、授業時間のみで見た場合、初心者が日本語能力試験N5を取得するのに必要とされる学習時間にも満たないほどです。ただ、フィリピン大学ディリマン校の言語学部には54単位、デ・ラサール大学には21単位など、いくつかの大学にはより充実した日本語コースが設置されています。

学校教育以外における日本語学習

フィリピンにおいて、日本語授業を実施している学校教育以外の機関の方が学校教育機関より多く存在します。学校教育以外の機関の多くは就労目的の学習者に向けた民間の日本語学校で、学校教育機関より学習者の数も多いです。また、学校教育以外の機関には日系企業の組織内研修というものも含まれており、フィリピンに進出する日系企業の増加に伴いこのような研修も増えているようです。

参考:フィリピン(2022年度)国際交流基金

日本語能力試験の受験状況

令和5年7月の日本語能力試験(JLPT)の受験者数は5,668人でした。レベル別にみると、N1, 2, 3の受験者と比較してN4, 5の受験者が多いようです。

 

令和5年第1回(7月)の受験者数データ(引用:日本語能力試験のHP

また、フィリピンでは、JLPT以外にも、国際交流基金が実施する「国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)」が先駆けて2019年4月より開始されました。JFT-Basicは、新しい在留資格「特定技能1号」の開始と同時に、資格を得るために必要な日本語能力を測定するために用いられるテストです。

フィリピン人の日本語能力に関する特徴ですが、アルファベットを使用しているため、文字の感覚が日本人と大きく異なり、日本語に馴染みにくい点が挙げられます。ただ、フィリピン語の発音が日本語と似ているため、日本語の発音はきれいな傾向にあります。

参考:フィリピン(2022年度)国際交流基金

フィリピン人の就職事情と仕事観

フィリピンにおいて、大学在学中は学業に専念する学生が多く、卒業後に就職活動を行うのが一般的です。トップ大学の場合、ジョブフェアが開催されることが多いですが、他にも大学のOBOGとのコネクションで探したり、企業に直接アプローチしたりして仕事を探していきます。

就職後の平均年収ですが、約535,800PHP※(約138万円)です。平均月収も約44,600PHP(約11万円)と、平均年収・月収共に日本の1/3ほどです。給与差についてですが、スキルや経験値によって変化します。

※フィリピン通貨:PHP(ペソ)※1PHP:約2.5円

また、給与を左右する要因に学歴があります。国内トップのフィリピン大学の卒業生の初任給は約20,000PHP(約5万円)なのに対し、一般大学の卒業生の場合、約10,000PHP(約2.5万円)です。参考程度ですが、いい大学に入ることは将来のために必要不可欠な選択となっています。しかし、はじめに述べたように、大学進学率も低く、卒業できる学生も限られており、貧富の差が給与に影響を及ぼしています。

参考:フィリピンの給与事情|GDPの約6割がサービス業を担う、フィリピンの平均月収とは? | ASIA to JAPAN 

国内で人気な就職先

フィリピン国内にも仕事はありますが、貧しい地域の出身者は大手企業に就職しづらいのが現状です。親戚が海外で働いていることが当たり前な環境なため、海外での仕事に抵抗はほとんどありません。海外に働きに出たのちはそのままその土地にとどまることが多く、長期就業が見込めます。

日本への就業に関する意識

前述のとおり、海外での仕事に抵抗のない人が多いため、日本での就業に関しても前向きな人が多いのではないでしょうか。フィリピン人の中には、高度人材ビザを取得し、日本人の新卒と同様の扱いで就労する場合もあります。ただ、現状として、日本に就労する場合に技能実習制度を利用して就労するフィリピン人が最も多いです。

参考:フィリピン(2022年度)国際交流基金

代表的な大学

●フィリピン大学(University of the Philippines)

フィリピン国内のトップ大学。

●アテネオ大学(Ateneo de Manila University)

●デ・ラーサル大学(De La Salle University)

関連記事:フィリピンの大学ランキング|フィリピンの優秀な人材を採用するためにチェックするべき大学とは? | ASIA to JAPAN 

日本におけるフィリピン人の数

在留フィリピン人の人口

出入国在留管理庁によると、2022(令和4)年12月時点の在留フィリピン人は298,740人です。全体の9.7%を占め、国籍別では4番目に人口が多いです。

 

引用:令和4年末現在における在留外国人数について(出入国在留管理庁)

フィリピン人労働者の人口

厚生労働省が2023年1月に報告した「外国人雇用状況」の届出状況まとめでは、前年の2022年10月の段階で外国人労働者数が1,822,725 人、前年比95,504人増加したと公表しました。フィリピン人は全体の11.3%である206,050人と、国籍別にみて3番目に多いことが分かっています。内訳をみてみると、「身分に基づく在留資格」を持つ者が70.0%であり、うち「永住者」が41.5%を占めています。海外に働きに出たらその土地にとどまることが多いという、フィリピン人の特徴を表しているようです。

※厚生労働省「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和4年10月末現在)を参考にASIA to JAPANが作成

 

終わりに

いかがでしたか?
今回は、フィリピンにおける日本語教育事情や仕事観、日本での就業状況についてお届けしました。

ASIA to JAPANでは、海外の主要大学と提携しており、現地大学内で年間を通して行う日本語学習などを通じて、海外の学生に日本への就職のきっかけを提供しています。 また、優秀な学生と企業とをオンライン・オフラインを通じて理想的なマッチングを実現いたします。就職決定後に、企業が必要なサポートを次々と充実させていくことで、双方のギャップを解消し、活躍するまで丁寧に支援しています。

外国人採用で不安な事がありましたら、気兼ねなくお問い合わせください。

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