【セミナーレポート】「高度外国人材」は建設業界の救世主となるのか~人手不足の解消を超えて、未来を担う基幹人材へ〜

【セミナーレポート】「高度外国人材」は建設業界の救世主となるのか~人手不足の解消を超えて、未来を担う基幹人材へ〜

ASIA to JAPANは、
土木・建設業界の総合情報誌「日経コンストラクション」編集長・眞鍋政彦氏、
建設業界への高度外国人材派遣のトッププレーヤー・オープンアップコンストラクション代表の保苅浩史氏をお迎えし、
webセミナー【「高度外国人材」は建設業界の救世主となるのか ~人手不足の解消を超えて、未来を担う基幹人材へ〜】
(日本経済新聞社 人財・教育事業ユニット共催)
を6月12日に開催しました。

人手不足が進む日本ですが、建設業界では需給のミスマッチや流動性の高さ、特有の法規制など様々な理由が複合し、とりわけ厳しい状況にあります。

そんな中、施工管理や現場監督などの基幹人材においても、日本語力や文化への愛着など日本に関するスキルやロイヤリティに優れた「高度外国人材」の活用が注目されています。

本セミナーでは、どのようにすれば「高度外国人材」を建設業界の救世主にできるのか?高度外国人材活用の現状と今後について考察し、実務と実践に有効な具体策についてご紹介しました。

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この記事では内容の一部を抜粋してご紹介します。


■セミナー概要

●トークテーマ
「高度外国人材」は建設業界の救世主となるのか
~人手不足の解消を超えて、未来を担う基幹人材へ〜

●登壇者
株式会社日経BP(以下:日経BP)
日経コンストラクション編集長 眞鍋 政彦 様

株式会社オープンアップコンストラクション(以下:オープンアップコンストラクション)
代表取締役社長 保苅 浩史 様

株式会社ASIA to JAPAN(以下:ASIA to JAPAN)
代表取締役社長 三瓶 雅人

●モデレーター
株式会社日経BP
日経コンストラクション編集長 眞鍋 政彦 様


 

■建設業界の今

・就業者数は主要産業別で4位

眞鍋様:建設業界の就業者数ですが、業界ごとで見てどのぐらいなのかについてお話したいと思います。

製造業、卸売・小売業、医療・福祉についで4番目に多い産業と、業界的にはやはり大きな規模であるということが分かります。

ただ、就業者数全体数が、2024年度と20年前と比べると約18%減少しており、年々右肩下がりで減少傾向にあるというのが現状です。

建設投資額は1992年度に約84兆円でピークを迎え、一旦減少しますが、2012年度から増加に転じ、2024年度ではピーク以降最高額となりました。

ピーク時に比べて13%減少していますが、投資額が増加基調にあるにもかかわらず就業者数が減っており、建設業界は慢性的な人手不足に悩んでいるということです。

 

・入職者も減少傾向

眞鍋様:就業者数が少ないということは、辞める人が多いことはもちろんですが、加えて新しく職に着く人が少ないというのがここ最近の傾向としてあります。

最新のデータですと、2022年度が約22万人で20年前の入職者数と比べても約60%減っています。

ただ、新規学卒者に限ると、こちらも減ってはいるものの、10年前と比べると増加傾向にあり、明るい気差しは少し見えているのかなと思っています。

 

・課題は若年入職者の確保

眞鍋様:離職率ですが、大卒者で約3割、高卒者で約4割~5割で、概ね横ばい傾向が続いています。

ただ、製造業の大卒者の場合は約1割なので、比較すると離職率はやはり高く、若年入職者の確保になかなか課題があると言えます。

 

・充足できない新卒採用

眞鍋様:取材でも人手不足とか、なかなか採用が進まないという話は我々もよく聞きます。

日経クロステックは、2024年度に全国の主要建設会社に「新卒の採用状況について」などアンケート調査したところ、苦戦している様子が伺えました。

土木売上高100億円以上の大手と言われる企業のうち、全体の約7割が予定数に満たなかったと回答しています。

100億円未満の企業でも、約6割弱ぐらいが予定数に満たなかったということで、全体的に技術者の数が減っているため、採用もかなり頑張っているものの、なかなか増えていないという現状がわかります。

 

■建設業界における外国人労働者の存在

 

・なぜ外国人労働者

眞鍋様:さて、このような状況の中で今後技術者をどのように増やしていくのかが大きな課題です。

もちろん若手を育成していく、または業界外の方を採用していく、などはこれまで通りされると思います。

しかし、日本人全体の母数が減っているため、次の選択肢として注目すべきが外国人労働者だろうと考えています。

 

・なぜ外国人労働者の推移

眞鍋様:外国人労働者自体は右肩上がりで増加しており、合わせて、技術、人文知識、国際業務、通称「技人国」と言われる高度外国人材の数も増加傾向にあり、労働者全体で占める割合は10%程度でしょう。

ただ、高度外国人材で建設技術者の全体数を見ると、まだまだ少数派なのかなと感じています。

この実情に危機感を覚えたのか、今年はこの人材不足の問題解決のため外国人の技術者の採用に向けて、国も大きく動き出した年となっています。

各省庁でさまざまな取り組みがされており、国土交通省では採用定着に向けたハンドブックを作成しています。

なぜ注目されているかというと、優秀な専門人材の確保が一番に上がっています。

高度外国人材は即戦力にもつながるということは、既に採用している企業は、かなり感じているところなのかなと思います。

 

・外国人労働者採用を「ICT」が後押し

眞鍋様:外国人技術者を採用する動きを後押している背景にあるのは、単なる人手不足ではないと考えています。

これまでも人手不足は叫ばれていましたが、やはり日本特有の制度やしきたりなど、適用のための教育や訓練などがハードルとして立ちふさがっていたようには感じています。

ですが、最近では研修や教育、会話などハンディキャップを補佐してくれるデジタル技術が、飛躍的に革新しています。

例えば、わかりやすい例でいうと、自動翻訳システムがその一つと言えます。

他にも動画生成サービスの普及から高度外国人材の受け入れとはかなりしやすくなったと思います。

ICT技術は、外国人材だけでなく、新卒や業界外からの入職者など、未経験の方にも有効な手段だと考えており、

このようなDX(デジタル・トランスフォーメーション)の後押しがで、今後ますます高度外国人材採用が増える鍵になると見ています。

 

■現場の声

 

・新卒求人倍率は9.35倍

保苅様:先ほど、眞鍋様から建設業界の現状や課題を事実ベースでお話をいただきましたが、派遣会社目線で有効求人倍率について掘り下げてご説明いたします。

まず、建設業と全産業の合計の有効求人倍率について紹介すると、全産業は1.1倍に対して、建設業は5倍と高止まりしています。

この原因は、求職者の減少に対して求人者数は増加しているためです。

また、新卒においては9.35倍となっており、キャリア採用を大きく上回る数字となっています。

 

・絶対数が極めて少ない

保苅様:実は有効求人倍率のトリックがあり、高止まりの結果となっているのでご説明します。

建設業の有効求人倍率は5.2倍となっています。

弊社もお客様のニーズに応えるべく、経験者採用、キャリア採用を頑張っていますが、本当に厳しい状況です。

一方でお客様からは、現場の欠員補填のために経験者の即時派遣の依頼や、社員の平均年齢が高く、女性の受け入れ体制が整っていないので、若い男性を派遣してほしいという依頼を多くいただきます。

そこで、すぐ入社可能かつ30歳未満の男性に限定した場合、有効求職者数が21,553名から1,705名まで減るので、実質の有効求人倍率が65.78倍になります。

そのため66社が、1人の求職者を取り合う状況が現場で起きており、これらが要因で有効求人倍率が高止まりしています。

 

・人材を求めるお客様の声

保苅様:コロナ禍以降、特に若手人材は在宅ワークができないこの業界イメージに加えて、地元志望者が増えた影響で、自社採用に苦しんでいるというお客様の声をよく聞くようになりました。同時に、短勤できる優秀な人材を派遣してほしいという声も頂戴するようになりました。

実はこの時、弊社も全国転勤できる優秀な人材の獲得、採用に大変苦戦しておりました。

・ニーズに応えるため

保苅様:そこで、弊社はお客様のニーズに応えるべく、外国の現地大学で建設を学び、日本全土で働くことを希望する高度外国人材を採用して、派遣サービスを開始しました。

おかげさまで、今では北は東北、南は九州まで業種や職種問わず、数多くの建設会社様にご活用いただいています。

 

・「高度外国人材」に対する派遣先企業様の声

保苅様:具体的なお客様の声をご紹介いたします。

共通してご評価いただいている点は、成長意欲が高い、責任感が強い、真面で素直、出勤率が高いと全部で4点ありました。

また、ある企業様から

「母国で建設について学んできているため、工事関係書類を手早く作成してくれる」

「ノンコア業務も担当してくれるので、自社社員がコア業務に集中できるようになった」

「想像以上に教育や生活の面でも手がかからない」

と、かなりポジティブなお声をいただきました。

 

一方で、

「2名以上配属していると母国語で会話してしまうため、日本語の上達が遅れるのではないか」

などの疑問や、

「日本独自の専門用語や難しい日本語が伝わりにくい」

「人事部で推進を試みたが、現場では心理的ハードルがあった」

など若干ネガティブなお声もいただいています。

このようなご意見をいただいた際には真摯に受け止め、もちろん対象者たちにも伝えて最大限改善に努めています。

 

・「高度外国人材」の定着率

保苅様:弊社社員の定着率は、高度人材で98%、日本人で61%です。

割合だけ見た場合、仮にそれぞれ100人ずつ採用すると、1年後には高度外国人材が98名、日本人は61名残存するという結果になります。

高度外国人材の定着が、いかに高いかご理解いただけるかと思います。

 

眞鍋様:とても興味深いお話ありがとうございました。

三瓶さんもこの辺り気になるポイントじゃないでしょうか。

 

三瓶:そうですね。

この定着率がほぼ100%という点は、とても驚異的な数値だと思います。

定着してもらうために、御社(オープンアップコンストラクション)では独自の取り組みをされているのでしょうか。

 

保苅様:私は、日本人と外国人共に面接から立ち会うようにしています。

外国の方との面接時の立ち合いで彼ら彼女らの目を見ていると「日本で働き成功したい」という気持ちがすごく伝わってくるというのが一つですね。

あとは、社内フローとして、安心して来日し安定的に働けるよう社内で専門の組織を立ち上げました。

その部隊が就業フローまで行っていることが、この数字に繋がっているのではと思います。

 

三瓶:なるほど。

100%近いって結構夢のような数字のような気がします。

なにより、今の超大手と同じくらいの定着比率かなと思います。

 

■建設業界における高度人材の採用

 

・在留資格の内訳

三瓶:在留資格の内訳について紹介します。

技人国と特定技能、技能実習という割合をみると、技人国が10%とだいぶ低く、他業種と比較して大きく違う点になります。

どうして進まないのかというと、まさに「日本語力」です。

職場では日本語のコミュニケーションが求められるので、最低限の日本語レベル求められることが大きく進まない理由です。

他にも「海外展開が少ない」や「技術的なギャップ」などがありますが、主に日本語だとご理解いただけばよいかと思います。

・日本の建設業の人気

三瓶:以前、建設業界についてインドで説明会を実施した時、立ち見の学生がいるほど多くの学生にご参加いただき、日本の建設業界が大変人気が高いことがわかりました。

では採用の始め方ですが、ポイントは2つだと考えています。

まず「始めてみる」こと、しかし「無理しない」このキーワードが鍵になります。

 

よく社内制度を整えてから始めるというお話を伺いますが、日本人採用でも毎年人事制度を変えている中で、初めての外国人材採用のために完璧な制度を事前に整備することは難しいです。

限度を超えて色々やってしまうと、悪影響を及ぼす恐れがあるため、今の制度で採用できる方を探すことが大切であると考えています。

・採用に動き出すにあたって

三瓶:動き出しですが、まずトップダウンが必要であることをお伝えします。

これはやはりトップが責任持って取り組まなければ、現場まで下りていかないためです。

仕組み化が必要ですので、細部まで関わっていただきたいと考えています。

 

あとは、人事経営層で定期的なチェックですね。

経営層の方は「外国人を採用するように」という形で適当な伝え方で人事に下ろしますが、手段を知らない人事の方は動き方が分からず採用工程になかなか進めません。

伝達だけで全てうまくいくと考えている経営者の方が、そろそろ採用が終わるだろうと思って現状確認すると、実は全然進んでなかった、といった形になりえます。

そのため、進捗状況を定期的にチェックすることが大事です。

その時、採用のPDCAの構築のため、状況レポートを上げて、次の動きを話し合うことも大事だと思います。

・「なぜ高度外国人材を採用するのか」面接官も理解が必要

三瓶:あと、現場の面接担当者の中には「どうして外国籍採用をしなければならないのか?」と内容を理解していない方がいます。

担当者が採用意図を理解していないと「ちょっと日本語力が足りない」という理由で優秀な人材を落としていき、選択肢が不足する事態に陥ります。

そのため、会社の意図を担当者全員にしっかりと理解してもらったうえで、面接に望んでもらう必要があります。

ちなみに日本語力は後から養えるので、そのことも合わせて打ち合わせしておくと良いでしょう。

・日本語が話せる建築人材はいるのか?

三瓶:「海外に日本語を話せる人材はいるのか?」という話ですが、残念ながら「いません」というのが回答です。

では、どうすればいいかというと「育てるしかない」というのが我々の答えです。

実際、ゼロからなんとか日本語で話せるレベルまでの教育期間は約550時間必要だと弊社は試算しております。

具体的にいうと、毎日4時間ペースで半年です。

弊社が開講する日本語講座では、1年半プログラムを組んでいますが、それでも週3回2時間やらなければ話せるレベルに達しません。

ただ、1年半プログラムだと半年経過時点で70%の方が日本語は難しいと辞めてしまいます。

一方で、半年プログラムですと90%は残るので、半年で一気に仕上げるのが一番の理想です。

しかし、そうすると大学の授業を全てストップして日本語だけに集中してもらう必要があるので、難しいところだと考えています。

 

・国籍による違い

保苅様:三瓶さんへの質問ですが、国によって採用の難しさや学生の意欲などの違いはありますでしょうか。

 

三瓶:そうですね、やはり国によっては賃金が大きなポイントになりますね。

新卒時の年収が変わってまいりますので、自国の初任給が低ければ低いほど日本への就業意欲が高いと思います。

昨今でいうと、台湾や韓国、中国の沿岸部と、近隣国や地域のトップ大学が、日本と変わらないぐらいの年収になっているので、徐々に採用が厳しくなってきています。

その差は徐々になくなってきているので、そうすると選択する国、地域を変えていかなければならないとは感じております。

ただ一方で、大学生が5000万人いるインドでも、まだ日本に行きたいと言っていただける学生が多いという実感を持っています。

 

眞鍋様:ちなみにインドの学生は日本の何に魅力を持っているのでしょうか。

 

三瓶:そうですね、やはり安全、安心といった環境が魅力とされています。

最近インドから日本に旅行していただける方も増えております。

そうすると、来日した方から「日本よかったよ」と口コミされます。

また、日本のアニメなどにも、今だとYouTubeを通していつでも触れられるようになりました。

そして日本は、先進国で新卒を一括採用する唯一の国です。

経験者は国を超えた転職ができますが、新卒の場合ですと他の国ではなかなか受け入れてもらえません。

もちろん言語の壁が生じますが、新卒学生にとって魅力的な国といえます。

 

■建設業界向け採用企画

三瓶:11月に初めて日本経済新聞社さんと共同でFAST OFFER with NIKKEIという「建設業界向け」の採企画を実施する予定です。

すでに、アジアの土木建築向けの学生を対象に、日本語クラスを設けて日本語話者育成を進めています。

参加学生に対しては、我々が事前に面談して日本語力を確認しますので、企業様は専用サイトで学生情報や日本語力を確認していただけます。

この企画は、海外の現地新卒学生が来日しますので、オフラインで面接して帰国までの間に内定オファーを出していただく、という内容です。

最終日には内定を受け取った学生が、内定企業へ会社訪問してもらう流れをセットアップしたいと考えています。

また、イベント実施模様を日経新聞さんで掲載する予定です。

ぜひ興味あれば弊社までご連絡ください。

 

■外国人材採用について詳しく知りたい方は、お気軽にご相談ください

今回のウェビナーでは、【「高度外国人材」は建設業界の救世主となるのか】について紹介しました。

日本の建設業界は、少子高齢化や担い手不足といった深刻な課題に直面しています。

こうした状況の中で、「高度外国人材」の受け入れは、単なる労働力補填ではなく、業界の未来を切り開く重要な選択肢となりつつあります。

もちろん高度外国人材は、建設業界の救世主となる可能性を秘めていますが、その可能性を見つけられるかどうかは企業側の姿勢にかかっています。

そして、定着率を高めるにも、企業の取り組みや社員の理解が大切です。

 

ASIA to JAPANは、アジアを中心とした新卒理系学生の就活支援について

日本語話者育成や、日本企業との面接の場の提供など様々なサービスを行っています。

また、外国人採用が未経験、採用経験はあるけどうまくいかなかった、など悩みや不安を持つ企業様の採用支援も行っています。

外国籍の学生採用に興味がある企業様はASIA to JAPANへお気軽にお問い合わせください。

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