文学を通した日本との触れ合い

– 「成長のチャンスに」 –

内定先企業

生産エンジニアリング企業

インドネシアのバンドン工科大学で管理工学を専攻。最終論文では、太陽光エネルギーの会社でのビジネスプロセスの分析を研究している。QMSやGap Analysisを用いて、データ収集からインタビューの実施、分析をし会社の優位性を高める事に貢献。SOLIDWORKS, PythonのITスキルもあり。日本語での面接が可能。現在、UI/UXのコースなども受講しており、好奇心の強い方。

Profile

国籍・地域
インドネシア
大学
バンドン工科大学
学部
エンジニアリングとデザイン
最終学歴
学士

-文学を通した日本との触れ合い、そして交換留学へ

僕は幼いころから、村上春樹をはじめとした日本文学や日本の漫画に夢中でした。僕がいつも作業をする僕の部屋の机の周りには常に日本の本が置いてあります。僕はとにかく読書が好きですが、その中でも日本の本、日本の文学が大好きでした。日々日本に関連しコンテンツに触れる中、高校生になったときについに日本語を学び始めました。学ぶといっても、本当に簡単に、学習アプリを使ってひらがなやカタカナを勉強する程度でそれでも入口としては十分で、気づけばほぼ毎日日本語に触れ、二つのコースを修了する事ができました。 

日本への興味と憧れを持うちに、なんと僕が通っていた高校に日本への2週間交換留学プログラムがある、ということを知りました。これは参加するしかないでしょ!!!」と思い、参加を決めました。 

僕の交換留学先は岩手県の高校で、日本人のホストファミリーのもと滞在しました。 

今でも覚えているのは、東京から岩手に行った日のことです。雪が全く降っていないところから少しずつ積もり始め、そして盛岡に着いたときにはすごい吹雪でした。正直、ひどい経験でした(笑)また、日本には私にとって不思議なことが色々とありました。例えば、外に出て歩くと、いつも車が歩行者を先に行かせ、道路を横断するのを待っているのです。会釈をしたり、「どうぞ」と言ったりしていて礼儀正しさが垣間見えました。 

 また、僕にとって日本に来て一番興奮した点は本です。日本の本は本当にとてもきれいで本当に質高いと思います。一度、岩手の地元の本屋さんで化学の本を手に入れたことがあるのですが、それがもう、めちゃくちゃ美しい!という感じで、今でも絵のように自分の部屋に飾っています。また、日本にいた際にホストファミリーの方々にいただいた本もも大切にとってありますそれはとにかくパッケージがシンプルで、すごく読んでみたい気持ちになります。漢字が多くまだ読み切れてはいませんが…日本の本のコンセプトは、新しいことを学ぶことだとも感じています。また、本ははじめからカバーをかけた状態で販売されていて、長く使えるようになっていることも魅力でした。日本の文庫本と呼ばれるものはとにかく小さくて、持ち運びも楽です。どこにでも本を持っていくことができます。ある意味、日本人のマインドが反映されているような気がします。あの二週間は、全体を通して、不思議で面白くて刺激的な事が沢山あり、特に本の虫である私にとっては素晴らしい経験となりました。この経験が、今の日本就職ということへの大きなきっかけとなったと思います。 

 

-プレッシャーの強い環境も成長のチャンスに

日本人は規律やプロ意識、責任感をとても大切にしますし、社会は時間に縛られものだと思います。日本で暮らすということは、よりストレスの多い場所で暮らすということなのでしょうが、それは経験とトレードオフの関係で、自分がいかに向上していくかということでもありますこのプレッシャーをネガティブなものとしてとらえると、ネガティブなものになってしまいます。しかし、それを成長の機会ととらえれば、成長することができると思います。 

企業の面接にもそれが表れていると思います。ASIA to JAPANがアサインしてくださった面接対策のためのメンターさんは、当時私たちに対していい意味でかなり厳しく接してくださいました。「日本企業はプロフェッショナリズムを求め、面接でいかに100%の力を、そして120%の力を発揮するかを見ているのです」といつも言われていたのを覚えています。日本企業はプロフェッショナリズムを求めていること、また日本で働くための心構えや、日本企業の面接でどう振る舞うべきかを教えてくれたので、彼には本当に感謝しています。これから入社する会社の最初の面接は、彼と一緒に頑張ったおかげでかなりうまくいきました。個人的には、日本の面接官はもっとリラックスしていてリスト化されたような定番の質問を一つ一つ丁寧に聞いて行っていると私は感じます。僕が言われたのは、面接の質問をリストアップして、その一つひとつに取り組み、自分の考えを言語化しなさいということでした。それを一生懸命やった結果、内定を勝ち取ることができました。 

 最終的な結果を両親に伝えたとき、両親はそのことにとても感謝し、喜びでいっぱいになっていました。最初に一緒に暮らしている母に言いました。彼女はよかったねと言って号泣していましたそれと、ここだけの話、実は父も泣いていました。今まで父が泣いたところを一度も見たことはなかったと思います。だからこそ驚きました少し気恥ずかしいのと同時にすごくうれしかったです。半年後に日本に行きますが、それまで自分のルーツをたどるためにインドネシアを回ろうと思います。まずは自分の母国の事をより深く知るべきだと感じているからです。また、家族との残り少ない時間も大切にしたいと思います。 

そうは言っているものの、正直なところ日本に行くのが待ちきれません。(笑)日本での生活は、日常生活も仕事も、もちろんインドネシアとは全く違います。日本では、先ほども言ったように、時間に縛られ、ある意味プレッシャーのかかる生活となりますが、私はそのチャレンジングな環境が大好きです。きっともっと成長できるだろうし、人生も楽しくなると思います。とにかく本当に楽しみです