シンガポールの平均年収|本当に格差はあるのか?シンガポールの給与事情とは?
世界各国・地域別の平均年収をまとめた資料はこちら
国土面積が東京23区に近く、アジアでもトップレベルの大学が揃うシンガポール。物価も日本と大差がないこの国ですが、はたして社会人の平均月収はいくらもらっているのでしょうか。
今回は、シンガポールの平均年収、新卒者の初任給、そして業界ごとの給与事情について詳しく見ていきましょう。
※シンガポール通貨:SGD(シンガポールドル)※1SGD:約102.7円(2023年5月時点でのレートで換算)
【シンガポールの平均年収】
シンガポールの人材開発省(MOM:Ministry of Manpower)によると、2022年におけるシンガポールの平均年収は、65,910SGD(約677万円)でした。ただし、この平均年収には雇用主のCPF(シンガポールの社会保険制度)拠出金が含まれているため単純な比較が難しいですが、現在の日本の平均年収が443万円なので、日本以上の高い収入を得ていることがわかります。高額の平均月収を得ているシンガポールですが、実際は業種によってだいぶ差がみられます。高収入職として挙げられるのが、システム管理者やマネージャー職で平均が130,884SGD(約1,343万円)、また専門職で平均が100,386SGD(約1,030万円)になります。一方で、清掃員やリーダー職以下の労働者などは平均で22,815SGD(約234万円)と格差があります。
【シンガポールの平均月収】
平均月収は約5,070SGD(約52万円)です。これは、インフレと人材獲得競争が起因となっており、雇用主は物価と労働需要の上昇に対して賃金の引き上げ対応を行う必要がありました。国として2023年以内に平均月収5,000SGD越えを目標にしていましたが、1年前倒しで達成することができました。所得は2021年と比較して8.3%増加し、実質ベースでは2.1%増加しており、パンデミック以前に記録された3.8%を下回るものの、2021年の0.9%の2倍以上となっている。
では男女別で、収入はどれだけ差が出ているものなのでしょうか。2021年に公表された「Ministry of Manpower」の調査結果を見てみると、2020年の25歳から54歳までのフルタイム女性従業員の収入は男性に比べて14.4%低いが、2018年の16.3%から差が縮小したことがわかりました。日本での給与格差は約24%も開いているため、シンガポールの方が格差が少ないということがわかります。
【新卒の初任給】
シンガポールの教育省(MOE:Ministry of Education)の2022年大学大学院合同就職調査によると新卒の初任給は4,200 SGD(約43.1万円)でした。厚生労働省が行なった日本国内での初任給調査「令和4年賃金構造基本統計調査結果」を見ると、大卒(男女計)の初任給は平均228,500円と、日本の2倍近くあります。国内の物価は、日本と変わらないか少し安いくらいですが、シンガポールの85%が居住するHDBフラット(政府建設の公共団地)の家賃は約2,200SGD〜2,850SGD(約22万円〜29万円)、車は日本の3倍の価格、嗜好品などに関しては1.5〜2倍の価格がするなど、生活必需品以外の価格が高い傾向にあります。そのため、家に関して若者の多くがシェアルームを行い、月額を人数で割ることで月の諸経費を抑えるなどしています。
【業界ごとの給与事情】
業種別 | 平均月収(SGD) |
保険業 | 104,652 |
法律関連 | 100,247 |
金融業 | 95,175 |
輸送・航空業 | 92,238 |
電気・ガス供給業 | 95,603 |
ヘルスケア・薬品関連 | 85,831 |
マーケティング業、商社関連 | 79,690 |
IT&プログラミング業 | 78,756 |
エンジニア業 | 78,756 |
人事関連 | 75,285 |
教育関連 | 73,016 |
製造業 | 71,681 |
不動産業 | 71,014 |
公的機関 | 70,079 |
メディア関連 | 66,075 |
インフラ関連 | 64,206 |
建設業 | 62,604 |
会計業 | 60,201 |
ホテル・観光業 | 56,864 |
農業・漁業 | 54,729 |
スポーツ関連 | 50,857 |
服飾業 | 50,324 |
飲食業 | 47,253 |
※参考:AVERAGE SALARY SURVEY(SINGAPORE / SALARY)
上記の一覧を見るとわかるのが、業種によって平均月収に大きく差が出ていることです。ただし、年功序列のシステムがないシンガポールでは、勤続年数よりも役職によって年収が大きく左右します。そのため、業界にもよりますが平均中央値とはいえ役職の有無で2〜3倍ほどの差があります。
世界各国・地域別の平均年収をまとめた資料はこちら
【まとめ】
シンガポールは日本比べて高い給与を得ることができます。また、勤続年数よりも実績次第で役職を手にすることができる環境があります。そして、年々平均給与が上がっているため、今後も注目すべき国だと思います。
また、この記事をご覧になって頂いた方の中には、シンガポールの人材を採用するために、平均年収を調査していた方もいらっしゃるのではないでしょうか?
株式会社ASIA to JAPANでは新卒の理系外国人材に特化した面接イベントを毎月行っています。企業様のご状況に合わせて優秀な外国人学生をご紹介可能です。お気軽に以下よりご相談ください。
(脚注)
・(参考)ministry of manpower(Summary Table: Income)
・(参考)ministry of manpower(SINGAPORE’S ADJUSTED GENDER PAY GAP)
・(参考)Ministry of Education(GRADUATE EMPLOYMENT SURVEY)