【NGRF開催レポート】新卒外国人学生94名とグローバル人材を求む27社が参加した大規模採用マッチングイベント!
ASIA to JAPANは、日本経済新聞社 人材・教育事業ユニットが主催する大規模な外国人新卒採用マッチングイベント「NIKKEI GLOBAL RECRUITING FORUM(以下:NGRF)」を共催しました。
普段運営する採用イベントFAST OFFERに加え、グローバル就職のトレンドや課題について考察する「国際セミナー」を実施しました。
この記事ではNGRF全日程の実施プログラムをご紹介します。
■NIKKEI GLOBAL RECRUITING FORUM
●イベント日程
2月17日:学生の面接前の事前オリエンテーション・NGRFレセプションパーティー
2月18日:面接会Day1・イベント見学会・国際セミナー
2月19日:面接会Day2・イベント見学会
●その他
2月16日:学生来日
2月20日:会社見学・お疲れパーティー
2月21日:学生帰国
■Day 1 / 2月16日
今回の面接会もFAST OFFERと同様に参加企業様から事前に候補の学生を指名いただき、3社以上から指名を受けた学生が来日しています。
3社未満であってもオンラインで面接会に参加することになっており、今回の参加学生は総勢94名と過去最大規模の人数となりました。
Day1は、NGRFに参加する学生23名が来日するため、運営担当スタッフが空港で出迎えました。

参加者の中には日本就職のきっかけを掴むため、ASIA to JAPANが開講する日本語話者育成プログラムに参加し、1年半近くかけて語学を習得した学生もおり、努力と実直さを兼ね備えた優秀な学生が非常に多くいます。
そんな彼らからは長旅で疲れていたと思いますが、希望とやる気に満ちた表情が伺えました。
また出発国は皆異なりますが、合流後すぐに学生同士で仲良く話し合っており、今回の参加者もコミュニケーション能力に長けていることを実感しました。


■Day 2 / 2月17日
Day 2は翌日に控える面接会の事前オリエンテーションと、ASIA to JAPANと日経のスタッフや来日された教員のみなさま、そして招待した企業様とのレセプションパーティーを開催しました。
・事前オリエンテーション

2日間にわたって開催される面接会に向けて、ASIA to JAPANのスタッフより学生への事前オリエンテーションを実施しました。
主に当日の流れや面接でよく聞かれる質疑への対応、採用担当者が面接で見ていることなど学生が抱く不安をできる限り解消することに努めました。
このオリエンテーションも全て日本語で行いましたが、学生たちは問題なく内容を理解し質問が出るなど、日本語での会話のキャッチボールに対応できていることを確認できました。
・レセプションパーティー
オリエンテーション終了後は、学生は翌日に向けた準備のために解散してもらい、NGRFに関わる方々同士の交流を目的としたレセプションパーティーを開催しました。
なんとありがたいことに合計約60名にご参加いただきました。
パーティー序盤は、主催である日本経済新聞社の方よりご挨拶とNGRFの簡単な概要についてお話しいただきました。
その後、食事を堪能いただきつつ、参加企業が体験した外国人採用についての考えや努力過程など共有され、和気藹々と歓談されていました。
パーティー中盤では過去FAST OFFERを活用し、新卒外国人材の採用をされた企業様のトークセッションを実施しました。
採用実績の紹介だけでなく、事前にいただいていた質問に応えていただくなど、外国人採用未経験の企業が抱く不安や懸念を解消できる場となりました。
■Day 3 / 2月18日
いよいよ面接会初日になりました。
参加学生の表情は前日までとは異なり、少し緊張した面持ちで待機していたためスタッフが学生に声掛けし、緊張を和らげるようサポートを尽くしました。

また、冒頭でも記載した通り参加者は対面だけでなくオンラインでも参加するため、面接中に回線不良など不具合が起きないよう細心の注意を払って準備を進めました。
・一次面接開始
初日は各企業様が指名した学生に対して一次面接が行われました。
企業様は指名した学生がどれだけ企業に貢献できる人材かの把握を、学生は学生期間で培った実績や能力を丁寧に伝え込むなど、両者の思いを共有する場になりました。
また私たちスタッフも、企業も学生も支援する立場として、互いにミスマッチなく円満に採用されてほしいと切に願いながら面接の進捗を見守っていました。

・見学会
将来外国人材の採用を検討している企業向けに、面接会の様子を直接見ていただく見学会を同時進行で開催しました。
面接会Day1、Day2の2日間で合計4回開催し、総勢21企業37名が参加されました。
見学会は主にFAST OFFERのシステム理解を目的としているため、面接会場の現場の確認や、参加学生に対するヒアリングなどに参加いただきました。

面接会の雰囲気はもちろんのこと、各企業様が気にしておられるのはやはりなぜ日本で就職したいのかという学生に対する質問でした。
学生からは自己紹介として、出身国、大学、学部、専攻、そしてなぜ日本で働きたいと思ったかを話していただきました。
学生の思いの中で多かったのが「日本はモノづくり技術が長けていて、その現場に身を置きたい」という回答でした。
もちろん日本の文化が好きだからという声もありましたが、技術ノウハウを得たいという前のめりな姿勢が参加者の関心をより強いものとしていました。

■国際セミナー
面接会Day 1に「アジアから日本への就職「新たな可能性と課題」の追求」をテーマにした国際セミナーを開催しましたので、一部内容を紹介します。
・基調講演「⽇本企業の採⽤動向とアジア学⽣への期待について」
登壇者:ASIA to JAPAN 代表 三瓶雅⼈
三瓶:日本人の人口は、大正時代を皮切りに右肩上がりで急激に上昇してきました。
しかし、2008年の12,808万人をピークに約100年間貯めに貯めた人口が一気に減少します。
今後の予想として2100年には5,972万人と半分以下まで減るのではと言われています。
これは採用母数の減少だけでなく、日本マーケットの縮小も予想されるデータです。
ビジネスを含めて国内だけでなく海外進出も視野に入れる必要があるでしょう。
※日本人採用の充足率についてはこちらをご覧ください
・大学生数と外国人労働者の数
三瓶:世界と日本の大学生の数ですが、日本には現在400万人近くの学生がいます。
一方で海外に目を向けた際、インドは4,000万人以上、中国に至っては5,700万人以上の学生が学んでいます。
現在日本には、過去最高となる2,048,675 人の外国人労働者が職務を担っています。
これは対前年増加率12.4%とコロナ禍を除くと上昇傾向となっています。
外国人を雇用する事業所数は318,775所で、対前年増加率は6.7%でした。
ここで考えていただきたいのは、労働者数は12.4%に対して事業所は6.7%と、採用企業の増加率は半分程度となっているということです。
・ハードルを下げることで得られる人材
三瓶:旧帝大出身者でビジネス英語を話せるのは全体の1割しかいません。
各大学でも1割を超えるところはほとんどなく、圧倒的に英語人材不足というのが日本の現状です。
では理系人材、英語人材、異文化適応力、リーダーシップがあれば日本企業に合格できるのかというと、全然そんなことないというのが事実です。
日本では結局日本語ができるかが重要視されています。
創業から8年間採用支援してきた中で、不採用となった理由の80%が日本語力の問題でした。
ただ、面接レベルの日本語能力を得るには450時間以上が必要になります。
仮に面接時は英語で問題ないとおっしゃるのであれば、どの国でも優秀な人材を容易に確保することが可能になります。
・各国における「⽇本語教育の現状と現地での就職事情」
セミナーには7大学の教員にご参加いただき、各国の就活事情について紹介いただきました。
マレーシアからは、マレーシア科学大学のディディ先生が同校での日本語教育について紹介いただきました。
学生がなぜ日本語を学ぶかというと、日本就職を目的にしている人が多くいるとのことです。
また、アメリカなどの外資でも日本出張や取引でN1~N2レベルの実力者を据えておきたいという考えがあるらしく、そのために学んでいるとのことでした。
マレーシアは英語以外にもマレー語や中国語、ヒンドゥー語など複数言語話せる人材も多いので、日本企業に人気がある国でもあります。
ベトナムからはハノイ工科大学のトゥ先生に登壇いただきました。
ハノイ工科大学は日本の組織や企業などと30年近く関係があるため、日本に造詣が深いです。
また同校でのインターンシップは海外であると日本や韓国、ドイツなどが人気だそうです。
タイからは、キングモンクット工科大学ラートクラバン校のニダー先生に登壇いただき、タイにおける日本語教育の現状をお話しいただきました。
2021年に発表された国際交流基金の調査によると、タイでは機関数が676機関で学習者は183,957人となっています。
現在では学習者や教員数は新型コロナの影響もあり減少傾向にありますが、中等教育の学習者が最近増えきたようです。
また、文部科学省の奨学金を活用して日本で留学する夢がある学習者も少なくありません。ただ、理学系の学習者は、日本語の能力があまりないため、試験を受ける場合英語しか選ばない傾向にあるそうです。
エジプトからは、アインシャムス大学のエシーバ先生に登壇いただき、エジプトにおける日本語教育と就職事情についてお話しいただきました。
アインシャム大学び日本語学科はエジプトにおいて2番目に歴史がある日本語学科として2000年に設立され、400名以上の卒業生を輩出しています。
世界の日本語学習の割合で中東・アフリカエリアは全体の0.5%しかいません。
しかし、年々増加傾向にあります。
就活事情では、エジプトには兵役があるので対象者の多くが退役後、国内の政府機関や民間企業に、また国外としても同じアラブ圏のサウジアラビアやUAEで働いています。
同校の日本語学科卒業生は、エジプト国内およびアラブ湾岸諸国の日本企業および日本の政府機関(大使館や国際交流基金など)、または観光業界で働いている人が多くを占めています。
インドネシアからは、インドネシア大学のアリー先生に登壇いただき、同校の日本語教育について紹介いただきました。
学部進学希望者は2015年をピークに、デジタル化が進む世の中に対してより有益な学部を選ぶようになってきた結果、希望者が減少しているそうです。
ただ、オンラインで日本語が学べるなど環境の変化も相まって、徐々に回復の兆しが見えてきています。
インドからは、プネ大学のプラジ先生に登壇いただき、インドの日本語教育を紹介いただきました。
インドでは現在約37,000人が日本語学習に取り組んでおり、南アジアの中でも最高数います。
2010年以降に理系学生や社会人の関心が増加し、就職を目的にする傾向が出てきました。
近年では、キャリア志向とアニメクレイジーの学習者が急増し、また工学・経営系の学生の関心が高まっている傾向にあります。
最後に中国からは、北京科技大学の範玉梅准教授に登壇いただき、同じく日本語学習についてお話しいただきました。
中国は世界で最も多く100万人以上の日本語学習者がいます。
20年前はまだ一部の人が覚える言語だったのが、日本文化の影響もあり急激に増加しました。
また2016年に中国国内の大学受験制度が変わり、その影響も多分に受けています。
学習者全体として理工系の就職率は文系より高く、初任給もキャリア満足度もより高い傾向にあります。
ただ、複合型の日本語人材への需要が拡大するにつれ、単一の日本語人材の就職状況は厳しいと言えるのが学生の現実です。
・パネルディスカッション「教育と企業のギャップを埋める」
パネルディスカションでは、マレーシア工科大学のクマラグル先生(マレーシア)、バンドン工科大学のハフィズ先生(インドネシア)、そしてAtoJ HIRAMEKIのシュルティ先生(インド)にご参加いただき「大学のキャリア支援と企業の期待のズレ」についてお話しいただきました。
クマラグル先生:このズレというのはどの国の方でも感じることがあるでしょう。
ただ、1つ個人的に伝えることは「大学は企業の訓練センターではない」ということです。
マレーシアでもそうですが、工科大学に対してよくミスマッチがあると言われます。
では、具体的にどういうミスマッチが起きているのか企業側の意見を伺いたいというのが本音です。
ただ、企業によって答えが違うためミスマッチをなくすのはとても難しいと考えています。
大学としても企業に寄り添った教育を進めたいと考えているので、コミュニケーションやサポートができる人材を育成し、できる限りズレを減らす動きをしています。
ハフィズ先生:私も同じように考えています。
ただやりたいことをやり、やりたくないことには携わりたくないと考える学生も多く、企業との思いにズレが生じてしまっているかなと思います。
現在は、新しい教育プログラムを用意し長期間にはなりますが、企業が求め適応できる人材育成を進めています。
シュルティ先生:インドでは日本語を学ぶ学生が増えていますが、アニメが好きということをモチベーションに学習している人が大変多いです。
実は就職というの選択肢があることに気づいている学習者の方が稀です。
大学でも日本語学部・学科はあるものの就職情報を把握している所は稀有です。
それがズレを生じさせてしまう現状かもしれません。
各大学が感じる企業とのズレ以外にも、パネラーから日本企業へ質問を投げかけるなど、互いが歩み寄り、生の声を得るきっかけとなる時間を作ることができました。
■Day 4 / 2月19日
面接会Day 2では最終面接が行われ、学生と企業との最後のやり取りがされました。
今回の面接会では合計24名の内定が決まり、日本で働くチャンスをものにした学生の笑顔はとても晴れやかでした。

また前日同様、会場の様子を見ていただくための見学会も同時進行で実施しました。
■Day 5 / 2月20日
面接会も無事に終わり、内定が決まった学生は各企業へ訪問し、会社の雰囲気や仕事の様子を見てもらいました。
そして、ASIA to JAPANスタッフ、海外大学関係者、学生の合計70名ほどでNGRFでの振り返りも兼ねたお疲れ様パーティーを開催しました。
短期間ではあるのもの、本格的な日本語での面接を何社も行い、またコミュニケーションも取らなければいけないなど、疲れも多く溜まっていたかもしれませんが、学生の安堵からくる高揚感が、パーティーを明るく彩ってくれました。
■大規模採用マッチングイベントを終えて
今回は文理問わず、たくさんの学生と企業様にご参加いただきました。
スケジュール感は普段と変わりませんが、合わせて国際セミナーを開いたことで、いかに外国人材が日本と異なる文化や考え方に溢れる環境下で育ち、さらに日本就職を前向きに考えているのかを、より多くの企業様に知って頂けるイベントになったと思います。
三瓶のプレゼンテーションでも紹介した通り、新卒日本人材の母数は年々減少していきます。
また、国内に根ざすこともとても大事ではありますが、人口減によるマーケット縮小への対策について検討し始めてよいフェーズに入ってきているかもしれません。
ASIA to JAPANは、年間約400名の外国籍人材の採用実績があります。
動き出しで悩んでいる、また今まで上手くいかず手段に困っている、など外国籍の学生採用に興味がある企業様は、ASIA to JAPANへお気軽にお問い合わせください。