【世界大学ランキング】QS世界大学ランキング2027でアジアの大学はどう動いた?中国・インドが躍進

【世界大学ランキング】QS世界大学ランキング2027でアジアの大学はどう動いた?中国・インドが躍進

毎年発表される「QS世界大学ランキング」は、世界中の大学の教育・研究レベルを測る国際的な指標として、企業の人事担当者からも高い注目を集めています。

今回の記事では、2026年6月18日にイギリスの教育評価機関「Quacquarelli Symonds(QS)」が発表した最新版「QS World University Rankings 2027」のデータをもとに、アジア圏の大学、とくに中国・インド・マレーシア・タイ・インドネシア・フィリピンにフォーカスしてランキングの傾向を分析します。

外国人材の採用ターゲットとなる大学を検討している人事担当者・経営者の方は、ぜひ採用戦略の参考にしてください。

もし「そもそも世界大学ランキングとは?」という点から知りたい方は、以下の記事を先に読んでいただくとより理解が深まります。

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QS World University Rankingsとは

通称「QS」と呼ばれる”QS World University Rankings”は、世界的にも影響力がある大学評価指標のひとつです。毎年6月頃に、翌年版となる世界大学ランキングを公表しています

「学術的評判」「雇用者からの評判」「教員・学生比率」「論文被引用数」「国際性」「サステナビリティ」など9つの指標をもとに算出した総合スコアの高い順に大学をランク付けしています。

2027年版では、世界106の国・地域、約8,800校の中から1,504校がランクインしました。新規ランクインは98校にのぼり、世界の高等教育の裾野が着実に広がっていることがうかがえます。

【QS世界大学ランキング2027】世界TOP20

まずは世界全体のTOP20を見てみましょう。トップ層は例年通り欧米の名門校が占めていますが、シンガポール国立大学(10位)・香港大学(11位)・南洋理工大学(12位)・北京大学(13位)・清華大学(14位)・香港中文大学(18位)と、アジア勢6校がTOP20入りを果たしている点が大きな特徴です。

順位 大学名 国・地域
1 マサチューセッツ工科大学(MIT) アメリカ
2 インペリアル・カレッジ・ロンドン イギリス
2 スタンフォード大学 アメリカ
4 オックスフォード大学 イギリス
5 ハーバード大学 アメリカ
6 ケンブリッジ大学 イギリス
7 カリフォルニア工科大学(Caltech) アメリカ
8 チューリッヒ工科大学(ETH Zurich) スイス
8 UCL(ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン) イギリス
10 シンガポール国立大学(NUS) シンガポール
11 香港大学(HKU) 香港
12 南洋理工大学(NTU) シンガポール
13 北京大学 中国
14 清華大学 中国
15 ペンシルベニア大学 アメリカ
16 コーネル大学 アメリカ
16 イェール大学 アメリカ
18 香港中文大学(CUHK) 香港
19 ニューサウスウェールズ大学 オーストラリア
20 ジョンズ・ホプキンス大学 アメリカ

※オレンジの文字=アジア圏の大学 出典:QS World University Rankings 2027(2026年6月18日発表)をもとにASIA to JAPAN作成

MITは15年連続で世界1位を維持し、トップ層は「安定」が際立ちました。一方でQSは今回のランキングを「トップは安定、その下は激動(stability at the top, disruption just below)」と表現しており、中東・東アジア勢の台頭を最大のトレンドとして挙げています。

とくに中国は、世界で最も新規ランクイン数が多く、順位上昇校数も最多を記録しました。

アジア各国・地域の状況

ここからは、日本企業の外国人材採用で存在感が高まっている国・地域を中心に、詳しく見ていきます。

中国:トップ層の厚みが際立つ

北京大学(13位)・清華大学(14位)の2校が世界トップ15入りを継続。さらに復旦大学(26位)・上海交通大学(36位)・浙江大学(47位)と、世界トップ50に5校がランクインしており、層の厚さは他国の追随を許しません。

QSの分析によれば、トップ200校における中国本土大学の論文被引用数(Citations per Faculty)の平均スコアは98.9と、アメリカ(68.0)やイギリス(64.7)を大きく上回っており、研究インパクトの面での存在感が急速に高まっています。

インド:史上最多の52校がランクイン、IIT勢が躍進

インドはアメリカ・イギリス・中国に次ぐ「世界4番目」の大学ランクイン数(52校)を記録しました。過去10年で対象校数は14校から52校へと271%増加し、G20諸国の中で最も急速な成長を遂げています。

国内トップはインド工科大学デリー校(IIT Delhi)の118位で、インド史上最高順位を更新。インド工科大学ボンベイ校(134位)、インド工科大学マドラス校(170位)と続き、この3校が世界トップ200入りを果たしました。

順位 大学名
118位 インド工科大学デリー校(IIT Delhi)
134位 インド工科大学ボンベイ校(IIT Bombay)
170位 インド工科大学マドラス校(IIT Madras)
205位 インド工科大学カラグプール校(IIT Kharagpur)
221位 インド科学大学院大学(IISc Bangalore)

マレーシア:ASEAN最多の5校がトップ200入り

マラヤ大学(UM)が前年の58位から56位へと順位を上げ、マレーシア史上最高順位を更新しました。

マラヤ大学に加え、サインズ・マレーシア大学、国民大学(UKM)、プトラ大学(UPM)、テクノロジー大学(UTM)の計5校が世界トップ200にランクインしており、これはシンガポールを除く東南アジアで最多の記録です。

テイラーズ大学やサンウェイ大学など私立大学の順位上昇も目立ち、マレーシアの高等教育システム全体の底上げがうかがえます。

タイ:チュラロンコン大学が18年連続の国内1位

チュラロンコン大学が212位で国内1位を18年連続で維持し、ASEANトップ10入りを果たしている唯一のタイの大学となりました。

マヒドン大学(345位)が続き、タマサート大学、チェンマイ大学、カセサート大学などとあわせて13校がランクインしています。

インドネシア:ガジャマダ大学が急上昇

インドネシア大学(UI)が191位で国内1位を維持する一方、ガジャマダ大学(UGM)が前年から18ランクという大幅な上昇を見せ206位につけ、僅差で追う展開となりました。バンドン工科大学(ITB)やアイルランガ大学も含め、20校がランクインしています。

フィリピン:5校がランクインするも軒並み順位を落とす

フィリピン大学(UP)が402位で国内トップを維持したものの、前年(362位)から40ランク下落。

ランクインしている5校すべてが順位を落とす結果となり、アテネオ・デ・マニラ大学は581位(前年511位)、デ・ラ・サール大学は751〜760位バンド(前年654位)、サント・トマス大学は951〜1000位バンド(前年851〜900位)、アダムソン大学は1201〜1400位バンド(前年1001〜1200位)となりました。

QSは「研究の強度や国際連携、卒業生の就職実績で他国に後れを取りつつある」と分析しています。

国・地域別トップ大学サマリー

国・地域 トップ大学 世界順位 国内ランクイン数
中国(本土) 北京大学 13位 85校
インド IIT Delhi 118位 52校
マレーシア マラヤ大学 56位 32校
タイ チュラロンコン大学 212位 13校
インドネシア インドネシア大学 191位 20校
フィリピン フィリピン大学 402位 5校
(参考)日本 東京大学 39位 41校
(参考)シンガポール シンガポール国立大学 10位 4校

 

参考:日本の大学の状況

比較の参考として、日本の状況にも触れておきます。東京大学は39位となり、4年連続で順位を下げる結果となりました。京都大学(64位)、大阪大学(95位)、東京科学大学(97位)と続き、TOP100入りは4校にとどまっています。

QSは、学術評判・雇用者評価では日本の大学が依然として高水準を保つ一方、論文被引用数や国際性(留学生比率・外国人教員比率)といった指標で伸び悩んでいる点を課題として指摘しています。

ランク上位に入る大学の傾向

2027年版でランクインしたアジアの大学に共通する強みを整理すると、次の3点が浮かび上がります。

研究力とインパクトの強化

中国・インドの大学は、研究インフラへの投資と論文被引用数の伸びが顕著です。国家レベルでの研究投資が、そのままランキング上昇に直結している構図が見て取れます。

国際性の底上げ

香港・シンガポール・マレーシア・韓国は、留学生比率や国際共同研究ネットワークの指標で軒並みスコアを伸ばしています。一方、アメリカ・イギリスなど「Big4」と呼ばれる主要留学先国は、留学生の受け入れ制限や就労ビザの厳格化などの影響で同指標が下落傾向にあり、アジア勢が相対的にシェアを伸ばす結果となりました。

雇用者からの評価が順位を左右

マレーシアやインドの大学に共通するのは、雇用者評価(Employer Reputation)の伸びです。単なる論文数だけでなく「卒業生が実際に企業からどう評価されているか」が、順位に直結する時代になっています。日本企業にとっては、こうした大学の卒業生が即戦力として期待できる裏付けともいえるでしょう。

まとめ

QS世界大学ランキング2027を、アジア圏を中心に紹介しました。

トップ層こそ欧米の名門校が占めるものの、その一段下の層では中国・インド・マレーシアをはじめとするアジアの大学が着実に存在感を高めています。とくに中国の研究力の伸び、インドのランクイン校数の急拡大、マレーシアのASEAN最多5校のトップ200入りは、今後の採用ターゲット選定においても押さえておきたいポイントです。

もちろん、ランキングに入った大学だけが優秀というわけではなく、対象外の大学にも実力のある人材は数多く存在します。

QSランキングはあくまで大学を評価するひとつの「物差し」です。評価基準や背景を理解したうえで、他の情報とあわせて読み解くことで、自社にとって必要な人材の見極めに役立てていただければ幸いです。


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