「内定者体験記」インド プネ大学  電子通信工学

PROFILE

国籍・地域インド
性別女性
大学プネ大学
学部電子通信工学
内定先企業ボイラーをはじめとする産業用機器を専門とする日本の大手メーカー

日本に来て1年。地方で働き、暮らすことで変わった私

私が日本に来てから気づけば1年が経ちました。日本の地方で暮らし、働くことは、想像もしなかったほどに私自身を変えてくれました。今では、松山市を自分の故郷の様に感じています。

松山は穏やかな街で、夜8時を過ぎると通りも静かになります。そんな落ち着いた環境で暮らしている間にも、私の日常には新しい発見や多くの驚きがありました。今回は、実際に私が日本で暮らし、働いた最初の1年間の体験をお話します。

 

日本企業で、はじめての外国人社員として働く

私が初めて今の会社に入社し、地方で働き始めたとき、外国人社員は私を含めてまだ2人しかいませんでした。つまり、すべてが私にとって初めての経験だっただけでなく、周囲の人たちにとっても初めての経験だったのです。

日本人の同僚たちも、異なる文化的背景を持つ人とどのように一緒に働けばよいのか、手探りな部分があったと思います。それでも、入社初日から皆さんはとても親切で、温かく迎えてくれました。職場で私が仲間の一員として安心して過ごせるよう、さまざまな場面で気を配ってくれています。

 

言葉の壁を乗り越える

最初、同僚たちは私たちが英語ではなく、ヒンディー語だけを話すと思っていたようです。

実は、インドには多くの言語があり、私の母語はマラーティー語です。

そのため、最初の会議では、皆さんが気を利かせて、プレゼンテーション資料や文書をすべてヒンディー語に翻訳してくれました。

そこで、私たちは英語と日本語が使えることを説明し、すべてをヒンディー語に翻訳する必要はないことを伝えました。ちょっとした面白い勘違いでしたが、改めて皆さんの親切さや思いやりを実感した出来事でした。

現在では、多くの資料に英語訳が付くようになり、会議の内容も理解しやすくなっています。それでも、日本語を母語とする人たちが話す内容を、今でもすべて理解できるわけではありません。特に、話すスピードが速いと聞き取れないこともあります。

そのため、分からないことは正直に伝え、もう一度説明してもらったり、繰り返してもらったりするようになりました。

ときには、理解できるようにノートに書いて説明してくれることもあります。最初は少し気まずく感じ、相手に迷惑をかけているのではないかと思うこともありました。しかし、本当の意味でコミュニケーションを取るには、お互いに根気強く向き合うことが大切なのだと気づきました。

分かったつもりになるよりも、きちんと確認することのほうがずっと大切です。

 

日本での働き方に適応する

もう一つ印象的なのは、規律を重んじる姿勢です。皆、時間や業務を効率よく管理しています。、締め切りよりもかなり早く仕事を終えることもよくあります。そういった姿から、一つひとつの仕事に対する責任感と、最後までやり遂げようとする姿勢を感じることができます。

さらに、計画性も特筆すべき点です。プロジェクトが始まる何か月も前から、入念な準備が行われることがあります。細部に至るまで、しっかりと準備し、検討されているのです。

そのため、実際に仕事が始まると、物事がスムーズかつ効率的に進みます。徹底した事前準備によって、実行段階の仕事がまるで苦労なく進んでいるかのように見えるのは、本当にすごいことです。

日本企業で働く経験を通じて、私はチームワークと規律の大切さを学びました!

 

日本人の同僚と打ち解ける

ここで働き始めて気づいたことの一つは、日本人は最初、少しシャイな人が多いということです。そのため、時にはその控えめな態度が、気取っているとか、よそよそしいと誤解されてしまうこともあるかもしれません。でも、実際はそうではありません。

最初のうちは、英語を話すことや、直接相手に話しかけることに少し戸惑っている人も多いのだと思います。

しかし、最初の壁を越えてしまえば、気軽に接することができるようになります。今では、同僚たちとスムーズに、そして心地よく一緒に仕事ができています。

会社では、毎月「飲み会」と呼ばれる食事会があります。私が特にうれしく感じているのは、皆さんの細やかな気遣いです。お店を予約する際には、私が食べられるベジタリアン向けのメニューがあるかどうか、必ず確認してくれます。

そして何より、お酒を飲むように強要されることがありません。おいしい食事を楽しみながら、仕事仲間とリラックスして過ごせることが魅力です。

 

日本各地へ旅に行く

初めて日本に来たとき、特に楽しみにしていたことの一つが、国内を旅行して、さまざまな場所を訪れることでした。

そして今、フルタイムで働きながらも、その夢を実現できていることをうれしく思っています。

まずは地元の松山から。松山城や、ジブリ作品として有名な『千と千尋の神隠し』に登場する湯屋を思わせる美しい道後温泉を訪れました。

友人たちと京都、大阪、広島へ旅行する機会にも恵まれました。清水寺や金閣寺、嵐山、伏見稲荷大社など、多くの素晴らしい場所を訪れることができました。

最近は東京に行ってきました。東京は活気にあふれ、とても刺激的な街です。渋谷でハチ公像を見たり、スクランブル交差点のにぎわいを体感することができました!

旅をするなかで、餃子やラーメン、お好み焼きなど、ベジタリアンでも楽しめる新しいおいしい料理にもたくさん出会うことができました。

観光客としてだけでなく、日本に暮らす一人として、こうして日本を探索できることに心から感謝しています!

 

ベジタリアンとして日本で暮らす

今住んでいる地域では、ベジタリアン向けの食事の選択肢がやや限られています。そのため、自炊することが多いです。

食材は近くのインド食材店で購入することが多く、手に入りにくいものは家族が宅配便で送ってくれることもあります。また、Amazon Japanでも多くの食材を購入できるので、本当に助かっています!

私がよく作るお気に入りのインド料理は、ダール・チャワル、パニプリ、パブ・バジ、ラジマ・チャワル、チョレ、ビリヤニなどです。

何が言いたいかと言うと、日本にいても、こうした料理はちゃんと作れるんです!

 

日本の地方で暮らして、私自身はどう変わったのか

日本に来る前、私はホームシックになることをとても心配していました。実際に来日してみると、言葉も人々も何もかもが初めての経験でした。正直最初は、こうした環境のなかでどうやって生活していけばいいのか、不安でいっぱいでした。

しかし、時間が経つにつれて、新しい環境に少しずつ慣れていきました。そして、その過程で、私自身も変わっていったのです。

1. 以前よりも活動的になった

今では、1日に3万歩ほど歩いても、ストレスを感じなくなりました(笑)。

最近は、街なかをもっと気軽に移動できるように自転車を購入しました。私の出身地は車での移動が中心でした。もし未だにインドに住んでいたら、私が自転車を買うことは無かったでしょう。

2. 時間の使い方が上手になった

日本で暮らし、働くことで、以前よりも規律を意識して一日の予定を計画的に立てられるようになりました。

3. ゴミの分別が上達した

少し意外に聞こえるかもしれませんが、日本の厳格なゴミの分別ルールのおかげで、自分が出すゴミについて、以前よりもずっと意識するようになりました。

4. 新しい趣味に挑戦するようになった

さまざまなサークルや活動に参加し、陶芸や卓球、生け花などにも挑戦しました。

こうした新しい経験のおかげで、日本での生活がさらに楽しくなりました!

 

外国人として日本で友人を作る

日本で新しい友人を作るには、自分から努力する必要がありました。

言葉の壁があるため、日本で地元の人たちと友達になるのは、簡単なことではありません。しかし、日本語を話せると分かると、とても親しみやすく、オープンに接してくれる人も多いです。

今日までを通して私が感じているのは、日本人と打ち解けるには時間がかかるということです。

インドでは、気軽に会話を始めてすぐに友達になることも珍しくありません。一方、少なくとも私の経験では、日本人は比較的控えめなので、関係が深まるまでに少し時間がかかるように感じます。

もちろん、日本に暮らすインド人のコミュニティとも交流しています。インド出身の新しい友人も何人かできて、近況を語り合ったり、一緒に日本各地を旅行したりしています。

また、ベトナムやフィリピン、インドネシアなど、世界各国の人たちとの出会いにも恵まれました。

仕事の後におしゃべりをしたり、時にはカラオケに行ったりすることもあります。皆、自分たちの文化について紹介してくれるので、とても素晴らしい経験になっています。

さまざまな背景を持つ人たちと出会えることは、本当にすてきなことです。私が日本で暮らすなかで感謝していることの一つです。

 

日本でのキャリアの先にあるもの――地方で働くことが人生を変えた

日本の地方で暮らし、働くことは、私の人生を大きく変える経験になりました。少なくとも、以前よりも成長し、よりよい自分になれたと感じています。

日本で成長できることは期待していましたが、まさかここまで変われるとは思っていませんでした。私にとって、想像していた以上に素晴らしい経験となっています。

日本に来てから、あらゆることが自然と自分のあるべき場所に収まっていくように感じています。故郷から何千キロも離れた場所にいる私自身も含めて、すべてがしっくりと馴染んでいったのです。

自分にとってふさわしい場所に、ふさわしいタイミングでいられること。その実感が、私の心を落ち着かせてくれると同時に、前向きな気持ちを与えてくれています。

日本では、「人生」を追いかけることができています。

ここで言う「人生」とは、さまざまな可能性のことです!

訪れてみたい場所、新しく挑戦したい趣味、これから出会う友人たち。そのすべてに手を伸ばすことができます。

日本には、人生を思いきり楽しみたくなる環境があります。効率的な鉄道などのインフラ、文化的な見どころ、心を奪われるような自然の絶景。そして何より、自分から一歩踏み出せば、さまざまな経験を分かち合おうとしてくれる人たちがいます。

この記事を読んでいる皆さんは、1年も暮らせば、日本への期待が薄れてしまうと思っているかもしれません。

しかし、私が経験してきたことは、むしろ日本に対するイメージを、以前よりも明るく、色鮮やかなものにしてくれました。

今の私が思い描く日本は、昨年よりもずっと輝いています。日本は、私の心と記憶のなかに、かけがえのない場所を築いてくれました。

たとえ、何らかの理由で明日日本を離れることになったとしても、日本は私の記憶のなかでずっと明るく輝き続けると思います。

ありがたいことに、私はこれからも日本で暮らし続けるつもりです。一瞬一瞬を無駄にすることなく、大切に過ごしていきたいと思っています。

日本で過ごす毎日のすべてが、私にとってかけがえのないものです。これからも、たくさんの思い出を作っていくことが楽しみです。

日本は、色とりどりの大きな本のような場所です。自分の手でページをめくりさえすれば、そこに広がる素晴らしい世界を体験することができるのです。