留学生数が過去最多の40万人超え。2025年度JASSO調査から読み解く、留学生採用のポイントと「量」が増えた背景

留学生数が過去最多の40万人超え。2025年度JASSO調査から読み解く、留学生採用のポイントと「量」が増えた背景

外国人留学生の「採用」を検討する企業にとって、留学生数の推移は市場規模を測る重要な指標です。

JASSO(日本学生支援機構)が公表した「2025(令和7)年度外国人留学生在籍状況調査結果」によると、2025年5月1日時点の外国人留学生数は408,069人となり、前年から71,361人(21.2%)増加、2年連続で過去最多を更新しました。

前回(2024年度)の調査では留学生数が初めて30万人を超えたことをお伝えしましたが、今回はその水準をさらに大きく上回り、政府が掲げる「留学生40万人計画(2033年目標)」を前倒しで達成する形になりました。

ただし、留学生採用を考える上で重要なのは総数の伸びだけではありません。

今回の調査結果を深掘りすると、「どの層が」「なぜ」増えているのかという内訳と背景に、これまで以上に大きな偏りが見えてきます。この記事では最新データと各種調査・報道をもとに、留学生採用の担当者が押さえておくべきポイントを整理します。

留学生数40万人超えの全体像

在学段階別に見ると、伸びを牽引しているのは大学・大学院ではなく、専修学校(専門課程)と日本語教育機関です。

大学院はわずか+3.1%、大学(学部)も+5.7%にとどまる一方、専修学校(専門課程)と日本語教育機関はいずれも3割超という突出した伸びを見せています。

在学段階 2025年度 2024年度 増減率
大学院 60,013人 58,215人 +3.1%
大学(学部) 92,442人 87,421人 +5.7%
短期大学 4,138人 3,265人 +26.7%
高等専門学校 527人 506人 +4.2%
専修学校(専門課程) 106,829人 76,402人 +39.8%
準備教育課程 3,946人 3,658人 +7.9%
日本語教育機関 140,174人 107,241人 +30.7%

出典:独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)「2025(令和7)年度外国人留学生在籍状況調査結果」

なぜ専修学校・日本語教育機関の留学生が急増しているのか

専修学校(専門課程)は前年から3万人以上増え、日本語教育機関を上回る+39.8%という伸び率を記録しました。この背景には、政策面・制度面・学校経営面という3つの要因が重なっています。

(1)政府が掲げる「留学生40万人計画」

2023年3月、政府の教育未来創造会議において、2033年までに外国人留学生の受け入れを年間40万人に拡大し、国内就職率を6割に引き上げるという目標が示されました。今回の408,069人という数字は、この目標をすでに前倒しで達成した水準にあたります。

政府は在留資格の見直しや留学生の就職支援の拡充などを通じて、留学生の受け入れ拡大と国内就職の両輪を後押ししています。

(2)専修学校・日本語学校ルートは「数値目標達成の主役」という構造

教育政策に関する研究では、かつての「留学生30万人計画」の達成についても、日本語学校と専修学校における留学生の急激な増加によってもたらされたと指摘されています。今回の40万人超えも、同じ構造の延長線上にあると見られます。

専修学校が選ばれる理由としては、実践的なスキルを短期間で身につけられる点や、企業との接点の多さ・就職支援の充実度が挙げられます。実際に、日本の高等教育機関を卒業した外国人留学生の国内就職率は5割超に達しており、専修学校はその受け皿としての存在感を強めています。

(3)在留資格・学費面でのハードルの低さ

より構造的な要因として、日本語学校・専修学校は大学に比べて入学要件が緩やかで学費も比較的安く、週28時間までの資格外活動(アルバイト)が認められているため、経済的に自立しながら学べるという点が指摘されています。

また、少子化により私立大学の約半数が定員割れとなる中、留学生の受け入れを学校経営の維持策として位置づける教育機関が増えていることも、受け入れ数の拡大を後押ししていると考えられます。

こうした背景を踏まえると、専修学校・日本語教育機関経由の留学生の増加は、必ずしも「専門性の高い人材が増えている」ことを意味するわけではなく、在留資格や学費といった制度的なインセンティブに支えられている面がある点は、留学生採用を検討する企業として押さえておきたいポイントです。

 

国別ではネパール・ミャンマーが急増。その背景にあるもの

出身国別では、中国が131,097人(構成比32.1%)で引き続き最多ですが、伸び率で際立つのはネパールとミャンマーです。

  • ネパール:100,239人(前年比+54.7%、+35,423人)
  • ミャンマー:29,413人(前年比+77.2%、+12,817人)
  • スリランカ:17,626人(前年比+43.7%)
  • ベトナム:43,366人(前年比+7.5%)

中国・ネパールの2カ国だけで全留学生の56.7%を占めるまでに集中が進んでいますが、この2カ国の急増には、それぞれ異なる背景があります。

(1)ネパール:経済格差と「働けるビザ」としての実態

ネパール人留学生は2023年度に約3.8万人を超えて中国に次ぐ第2位となり、10年間で12倍近くに急増しました。この背景には、母国との経済格差に加え、就労が可能な在留資格の仕組みがあるとされています。

実際、ネパール人留学生の在籍先を見ると、日本語学校と専修学校を合わせて8割超に達し、大学・大学院は1割台にとどまります。さらに私費留学生が99.4%を占めている点も、「学び」より「就労」を主目的とした来日の割合が高いことをうかがわせます。

(2)ミャンマー:クーデター・内戦・徴兵制からの回避

ミャンマー人留学生は、2024年末時点で約2.3万人となり、3年でおよそ7倍に増加しました。急増の要因として、2021年の軍によるクーデターや、2024年に導入された徴兵制が挙げられています。

国内の政情不安や内戦の激化を背景に、避難とスキルアップを兼ねて日本留学を選ぶ若者が増えているのが実情です。国内の教育現場でもクーデター後は学生の集会が制限されるなど混乱が続き、通常の学年で必要な学習時間を確保できない状況が続いていたことも、海外への留学希望を後押ししたと考えられます。

いずれの国についても、留学の動機が経済的事情や政治情勢による「緊急避難」的な性格を帯びている場合があり、日本語能力やキャリア志向にはばらつきが大きいことを、採用担当者としては理解しておく必要があります。

専攻分野の実態にも「質」を見るヒントがある

高等教育機関(大学院・大学・短大・高専・専修学校等、日本語教育機関を除く)に絞って専攻分野を見ると、社会科学が35.6%と最も高く、人文科学(20.8%)、工学(18.4%)と続きます。

理系分野(理学・工学・農学・保健)の合計はおよそ23%にとどまり、国内でエンジニア不足が叫ばれる中、専門性がそのまま自社の採用ニーズに直結する留学生は依然として限られています。

なお、日本語教育機関・準備教育課程の在籍者は統計上すべて「人文科学」に分類されるため、留学生全体(408,069人)ベースで見ると人文科学が48.0%と最も高く見えますが、これは分類上の影響が大きい点に注意が必要です。実態に近い専攻分布を見るなら、高等教育機関のみの内訳(社会科学35.6%が最多)を参照するのが適切です。

大学ごとの偏在も継続

在籍者数の多い大学(大学院含む)は、早稲田大学(5,541人)、東京大学(4,922人)、立命館大学(3,386人)、日本経済大学(2,948人)、立命館アジア太平洋大学(2,927人)の順です。

一部の大学・専門学校への留学生集中は依然として続いており、JASSOの資料には「外国人留学生の在籍管理が適正に行われない大学等に対する指導指針」に基づく改善指導対象校の存在も明記されています。

受け入れ数の増加と、教育機関側の管理体制・教育の質が必ずしも比例していない可能性がある点は、採用側としても押さえておきたいポイントです。

留学生採用の担当者が押さえるべきポイント

今回のデータと背景分析から見えてくるのは、留学生の「数」と「質」の乖離が、前回調査よりもさらに深まっているという実情です。留学生採用を成功させるためには、次の3点を意識する必要があります。

  • 大学院・大学(学部)の伸びは緩やか(+3.1%〜+5.7%):高度人材候補としてすぐに採用ターゲットになる層は、全体の伸び率ほどには増えていない
  • 専修学校・日本語教育機関の伸びは、制度的インセンティブに支えられた面がある:就労可能な在留資格や学費の安さが動機になっているケースも多く、必ずしも専門性を積んだ人材ばかりではない
  • 出身国・出身大学の偏りが継続:中国・ネパールで6割弱を占め、一部大学への集中も続く。「どの国から」「どの学校で」「何を学んだか」の見極めが、これまで以上に重要になる

留学生採用の数字だけを見て「留学生が増えた=採用しやすくなった」と捉えるのではなく、在学段階・専攻・出身国・在籍大学・来日の背景事情といった内訳を踏まえて採用戦略を組み立てることが、これからの外国人留学生採用にはこれまで以上に求められます。

 

私たちASIA to JAPANは、日本で働くことを目指す外国人学生と日本企業との最適な出会いをつくることをミッションに、単なる「採用支援」にとどまらず、双方にとって価値あるマッチングを通じて、企業の未来と個人のキャリアを支えていきます。

外国人留学生の採用について少しでもご関心をお持ちいただけたなら、まずはお気軽にASIA to JAPANへお問い合わせください

出典:独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)「2025(令和7)年度外国人留学生在籍状況調査結果」(2026年5月公表)、日本経済新聞、その他公開情報をもとに作成