【出張レポート|インドネシア】海外の内定者は、入社までの半年をどう過ごす?現地で聞いた本音と、企業ができるフォロー

海外の大学から新卒を採用すると、内定から入社まで半年以上空くことも珍しくありません。

「その間、内定者は何をしているのか」「気持ちが離れて辞退されないか」「企業として何をすればいいのか」。海外採用を検討する人事担当者から、よくいただく質問です。

2026年9月末、ASIA to JAPANは日本企業に同行してインドネシアを訪問しました。インドネシア大学(UI)とバンドン工科大学(ITB)では、2026年3月に内定し、来春入社予定の学生たちと再会しています。

本記事では、現地で見えた内定者の様子と本音をもとに、内定から入社までの期間に企業ができるフォローを整理します。あわせて、大学側が日本企業に求めていることもご紹介します。

インドネシア大学(UI)での会社説明会の様子

内定者は入社まで何をしている?——日本語力は「入社までに伸びる」

英語交じりから、日本語中心の会話へ

今回再会した内定者は、コンピュータサイエンスなどを専攻する理系の学生です。入社後はITエンジニアとして働く予定で、現在は大学の学業を続けながら日本語学習に取り組んでいます。

印象的だったのは、日本語力の伸びです。内定時には英語と日本語を交えて話していた学生たちが、今回は基本的に日本語だけで会話をしようとしていました。

もちろん個人差はあります。それでも全員が、日本で働くことを見据えて努力を重ねていることが伝わってきました。

日本語力は、採用の「入口」で決めすぎない

外国籍の新卒採用では、日本語力を選考基準にする企業も多くあります。しかし今回の内定者のように、内定後の数か月で大きく伸びる学生もいます。

専門性や人柄など、日本語以外の基準を満たしている学生であれば、入社までの学習を前提に採用を検討する価値は十分にあります。

内定者の「社会人意識」も育っている

内定者たちは、再会した企業の方々のために自ら手土産を用意していました。日本語力だけでなく、相手を思いやる気遣いや、社会人になることへの意識の変化も感じられる出来事でした。

▶ 採用担当者へのポイント

内定時点の日本語力だけで判断せず、入社までの伸びを見込んで採用・育成を設計しましょう。そのためには、内定後も日本語学習を続けられる環境(研修や定期的な面談など)を用意しておくことが前提になります。

内定者が不安に感じているのは「仕事」より「生活」

「何を食べるのか」「友達はできるのか」

ランチの場で日本での生活について不安を聞くと、挙がったのは主に食事や友人関係など生活面のことでした。

「日本でどんな食事をするのか」「日本に友達がいない中で、うまく生活できるだろうか」。初めて海外で暮らす若者らしい、率直な声です。

一方で、入社後の仕事内容について大きな不安を口にする学生はいませんでした。ただしこれは、まだ働くイメージが十分に湧いていないためとも考えられます。

一度の来日体験と同期の存在が、期待を後押しする

内定者たちは内定式の際に一度来日し、日本の街並みや雰囲気を体験しています。その経験もあってか、日本の自然や観光地、食文化など、これからの生活を楽しみにしている様子でした。

また、内定者たちはもともと友人同士ではありませんでしたが、今はSNSなどで連絡を取り合い、同じ時期に日本で働き始める同期として関係を深めています。

日本との接点は人それぞれで、家族が日本で働いていた学生や、アニメなどの日本文化から興味を持った学生もいます。

家族の反対は聞かれなかった

ITBキャリアセンターへのインタビューでは、インドネシアの学生が海外就職をためらう理由として「家族と離れることへの抵抗感」が挙がっていました。

今回の内定者からは、家族に反対されて悩んでいるという話は聞かれませんでした。全体として、入社への期待が不安を上回っている印象です。

▶ 採用担当者へのポイント

内定者の不安は、仕事よりも生活に向きがちです。住まいや食事など暮らしの情報を早めに具体的に伝えること、内定者同士や企業と直接つながれる機会をつくることが、入社前の安心につながります。

内定者は、次の採用の「語り手」になる

今回の会社説明会では、内定者が後輩学生に向けて自身の経験を話す場面がありました。

日本就職を目指したきっかけ、選考から内定までの道のり、今取り組んでいる日本語学習や入社準備。まだ日本で働き始めてはいませんが、選考を経験したばかりの内定者だからこそ伝えられることがあります。

2025年12月のインドネシア出張レポートでも、日本で働く先輩の事例が見えることが、学生の不安を和らげていると紹介しました。採用を始めたばかりの企業にとって、最初の内定者は、2年目以降の母集団形成を支える心強い存在です。

▶ 採用担当者へのポイント

翌年以降も同じ大学から採用を続けるなら、内定者に説明会への同席やメッセージの発信をお願いしてみましょう。企業の人事が話すよりも、学生にとって身近で説得力のある情報になります。

大学が日本企業に求めていること

「採用したい」という意欲を、もっと学生に伝えてほしい

今回はUIの日本語センターやコンピュータサイエンス学部、ITBのキャリアセンターの方々とも会談しました。

インドネシア大学(UI)コンピュータサイエンス学部での会談

大学側から聞かれたのは、「日本企業がインドネシアの優秀な学生を積極的に採用したいと考えていることを、もっと学生に伝えてほしい」という声です。大学としても日本企業と学生の接点を積極的につくりたい意向があり、インターンシップについても前向きな話がありました。

「日本で働きたい」学生はいる。足りないのは道筋の情報

現地では、日本に好意的な印象を持つ学生に多く出会いました。日本語講座の受講生だけでなく、独学で日本語を学んでいる学生もいます。

一方で、日本で働きたい気持ちはあっても、どうやって日本企業の選考を受ければよいのか、その道筋を知らない学生も少なくありません。つまり、日本企業が情報を届けるだけで、まだ出会えていない層に手が届く可能性があります。

大学によって、関わり方は変わる

今回訪問した2校は、どちらもインドネシアを代表する大学ですが、特色は異なります。

大学 特色
インドネシア大学(UI) 日本語センターがあり、日本語を話せる教員も比較的多い。日本への理解や親和性が高い
バンドン工科大学(ITB) キャリアセンターが充実しており、就職支援に力を入れている。具体的な採用活動やインターンの相談がしやすい(詳しくはITBキャリアセンターへのインタビュー)

また、大学との関係は一度の訪問では深まりません。訪問を重ねるうちにお互いの理解が進み、初回では踏み込めなかった具体的なテーマも話し合えるようになってきました。

▶ 採用担当者へのポイント

日本語力の高い学生に出会いたいのか、キャリアセンターを通じて計画的に採用したいのかによって、アプローチする大学や窓口を選びましょう。説明会やインターンを毎年続けることで、大学との関係も、学生への認知も積み上がっていきます。

まとめ——内定から入社までは「育成と関係づくり」の期間

観点 現地で見えたこと 採用担当者への示唆
日本語力 内定後の数か月で、英語交じりから日本語中心の会話へ 内定時点の語学力より、入社までの伸びを見込んで採用・育成を設計する
内定者の不安 仕事より、食事や友人関係など生活面が中心 住まいや食事など、暮らしの情報を早めに具体的に伝える
同期と対面の機会 SNSで同期同士がつながり、来日体験が期待を後押し 同期の交流の場や、直接会う機会を意識してつくる
次の採用 内定者が説明会で後輩に体験を語る 内定者を翌年以降の採用の「語り手」として巻き込む
大学との連携 大学は日本企業の採用意欲をもっと学生に伝えてほしい 大学ごとの強みに合わせて、説明会やインターンを継続する

海外の新卒採用は、内定を出して終わりではありません。入社までの期間をどう過ごしてもらうかが、内定辞退の防止と、入社後の定着・活躍の両方につながります。

ASIA to JAPANでは、内定後の定期面談や日本語研修、来日サポートまで、入社前後の支援を行っています。インドネシア人材の採用や内定者フォロー、大学へのアプローチ方法などについてご相談がありましたら、お気軽にお問い合わせください。

またスタッフとの個別相談会をご希望の場合はこちらからお申し込みください。

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