【出張レポート | インドネシア】「次の国」を探す企業へ。インドネシア現地で見えた採用チャンス
2025年12月、ASIA to JAPANはインドネシアを訪問し、情報システム・ITサービス系企業の個別面接会実施に向けた下見として、現地大学での説明会や学生へのヒアリングを行いました。
今回の訪問では、すでにベトナム人材の採用実績を持ち、「次の国」を模索する日本企業とともに、インドネシアにおける日本就職志向や人材の質を現地で確認してきました。
日本就職を希望する学生向けの説明会には50名以上が参加し、現地でも年々希望者が増加していることを実感しました。
近年、インドネシアの大学では日本就職を目指す学生を後押しする動きが増えています。
その背景には、国内就職市場の厳しさに加え、IT分野を中心とした専門人材へのニーズ拡大があります。
一方で、ムスリム文化への配慮や受け入れ体制など、採用側に求められる理解もより重要になりつつあります。
本記事では、説明会参加者増加の背景や、現地学生のリアルな声をもとに、インドネシア人材採用のヒントをご紹介します。
■インドネシア現地で見えた、日本就職志向の変化
・日本就職への関心は一過性ではない
今回、日本就職を希望する学生向けに実施した説明会には、50名以上の学生が参加しました。
毎年インドネシアの大学で説明会を開催していますが、現地における日本就職への関心が着実に高まっていることを実感しています。
特に印象的だったのは、説明会中の質問数の多さです。
仕事内容やキャリアパス、日本語レベルへの不安など、具体的な就職後をイメージした質問が多く、日本就職を「現実的な進路」として捉える学生が増えていることがわかりました。
こうした反応からも、学生にとって日本就職が一時的な盛り上がりではなく、継続的に関心が高っていると感じられます。
・インドネシア国内就職の現状と、学生が海外に目を向ける理由
インドネシアでは、経済成長が続いている一方で、大卒者の就職環境は依然として厳しい状況にあります。
特に新卒採用においては、学歴や専門性があっても希望する条件(職種や給与面)での就職が難しいケースが少なくありません。
こうした背景から、学生の間では「国内だけでなく、海外も含めてキャリアを考える」という意識が広がっています。
説明会の様子
日本は、治安の良さや技術力の高さに加え、アニメやSNSを通じて日本文化に親しみを感じる学生が多い国です。
「日本の文化が好き」「日本で生活してみたい」といった比較的ライトな動機から日本就職に関心を持ち、そこから具体的に就職を考え始める学生も増えています。
かつてのように技術力や経済力だけが動機となる時代は終わり、文化的な魅力や生活イメージが、日本就職を考える入口になっている点は、近年の大きな変化と言えるでしょう。
・「日本で働く」選択肢が現実味を帯び始めている背景
訪問した大学で日本就職が現実的な選択肢として捉えられている理由の一つが、ASIA to JAPANが開講する日本語話者育成プログラムの存在です。
プログラムを通じて、日本語でのコミュニケーションが可能なレベルまで成長している学生も多く見られました。
説明会の様子
加えて、大学内外で日本語を学ぶ環境が整いつつあり、日本就職を前提に語学習得に取り組む学生も増えています。
こうした学習環境の広がりにより、日本就職は「特別な挑戦」ではなく、現実的な進路の一つとして認識され始めています。
さらに、先輩世代の日本就職事例が可視化されてきたことも大きな要因です。
「実際に日本で働いている人がいる」という事実は、学生の不安を和らげ、日本就職への心理的なハードルを下げています。
こうした変化の積み重ねにより、日本就職は一部の限られた学生だけのものではなく、「努力次第で手が届くキャリア」として受け止められるようになってきていると感じました。
・日本語教育の必要性を再認識
今回の現地調査を通じて、改めて日本語教育の重要性を実感しました。
長年外国人採用している企業でも、日本語力でスクリーニングを行っているケースが多く、専門知識を持つ優秀な人材でも、日本語力不足で選考から外れることが少なくないためです。
ASIA to JAPANの日本語講座を受講した学生の多くは、説明会や面接の場で円滑に日本語でのやり取りが可能で、プログラムの有効性を実感できます。
一方で、語学力は採用から入社までの間に伸ばすことができるため、言語以外の基準を満たしている学生がいれば、採用を前向きに検討することを常におすすめしています。
とはいえ、日本企業が求める基準に沿った育成も行う必要があることは認識しており、採用戦略の一環として、しっかりと日本語教育に取り組むべきであると感じています。
■インドネシア人材採用の下見で感じた、人材レベルと市場の手応え
・情報システム・ITサービス系企業の個別面接会を想定した現地調査
今回の出張は、情報システム・ITサービス系企業による個別面接会を見据えた下見という位置づけでもありました。
説明会の様子
現地大学では、カリキュラムや学生の専攻分野、実務に近いスキルの習得状況についても確認しました。
ヒアリングを通じて感じたのは、プログラミングやシステム関連分野において、日本企業が求める基礎スキルを十分に備えた学生が一定数存在しているという点です。
単なる人数確保ではなく、「実際に現場で活躍できるか」という観点でも、日本企業にとってインドネシアは検討に値する市場だと感ることができました。
・想定以上の人材層?大学レベルが“2ランク上”から狙える可能性
現地で学生のレベル感を確認する中で、企業側の想定よりも高い大学レベルから採用できる可能性が見えてきました。
これまで日本人採用では、一定の大学層に絞らざるを得なかった企業でも、インドネシアでは「現状より2ランク上」の大学から候補者を探せる余地があります。
背景には、優秀な人材が国内で希望する就職先を見つけにくく、余剰状態となっていることがあります。
こうした状況により、優秀層の学生も日本企業に目を向けるケースが増えており、結果として企業が選べる人材の幅が広がっている印象です。
・専門性を持つ人材ほど、日本企業との親和性が高い理由
特にIT分野では、専門性を持つ学生ほど日本企業との相性が良いと感じました。
理由の一つは、職務内容が比較的明確であり、語学面の不安があってもスキルで評価されやすい点です。
また、日本企業の開発現場では、チームワークや丁寧な業務遂行が重視されますが、こうした働き方はインドネシア人学生の気質とも相性が良いと感じました。
単に人手不足を補う存在ではなく、将来的に戦力として育成できる人材として採用を検討できる点は、日本企業にとって大きなメリットと言えるでしょう。
■採用を進める上で企業が押さえるべきポイント
・「次の国」としてインドネシアを検討する企業への示唆
すでに他国で外国人採用を進めてきた企業にとって、インドネシアは有力な「次の選択肢」となり得ます。
人材の量・質ともに一定の期待ができ、IT分野を中心に専門性を持つ学生も増えています。
一方で、言語や文化への理解、採用後の育成設計など、事前に準備すべき点も明確です。
今回の出張で見えたのは、「条件が整えば、十分に採用を進められる市場になってきている」という事実です。
インドネシア人材採用は、今後の外国人採用戦略を考える上で、現実的な選択肢の一つと言えるでしょう。
・ムスリム文化への理解が、インドネシア採用の成否を分ける
インドネシア人材の多くはムスリムであり、宗教的な配慮は採用・受け入れの場面で重要な要素となります。
礼拝時間への理解や食事面での配慮など、基本的なポイントを押さえるだけでも、候補者の安心感は大きく変わります。
今回のヒアリングでも、日本企業がどの程度ムスリム文化を理解しているかを気にする学生の声が聞かれました。
特別な対応が必要というよりも、「理解しようとする姿勢」が伝わることが重要です。
採用活動の初期段階からこうした点を意識することが、内定辞退や早期離職の防止につながります。
■【2025年総括】外国人採用市場の動向と今後の示唆
2025年は、創業以来、外国人採用のニーズが特に高かった一年でした。
ITや情報システムをはじめ専門性を持つ人材への需要が増え、国籍に関わらず優秀な学生の採用を目指す企業が多く見られました。
一方で、AIの台頭により、単純作業や誰でもできる仕事は新興国でも代替されつつあり、従来型の就職市場では人材余剰が生じる傾向が出ています。
こうした状況下では、「専門知識・技術力を持ち、日本語や文化理解も一定レベルで対応できる人材」が、日本企業にとって価値の高い採用対象となります。
2025年の出張や現地ヒアリングを通じて、インドネシアをはじめとする新興国でも、こうした優秀層の学生が増えていることを再確認できました。
採用担当者にとって重要なのは、国や学歴に関係なく、専門性や学習意欲を持つ学生をいかに見極め、入社後の成長につなげるかという視点です。
加えて、言語教育や文化理解のサポートを前提とした採用設計を行うことが、今後の外国人採用成功の鍵となるでしょう。
■インドネシアで訪問した大学
今回訪問した大学を紹介します。
・インドネシア大学(Universitas Indonesia/UI)
インドネシア大学は、インドネシアで最も歴史のある国立大学のひとつで、オランダ植民地時代の1849年に設立され、1851年に教育活動が開始された「ドクタージャワ学校」を起源としていまる東南アジアでも屈指の総合大学です。
その後、発展を続け1946年には複数の学部を統合した臨時大学が設置され、1950年に現在の Universitas Indonesia(インドネシア大学)の名称が確立しました。
現在はジャカルタと西ジャワ州デポックの2つのキャンパスを持ち、医学、工学、法学、社会科学、経済・経営、コンピュータサイエンスなど多様な学部・研究科を擁しています。
また、国際交流や研究活動にも力を入れ、国内外で高い評価を受けている大学のひとつです。
・バンドン工科大学(Bandung Institute of Technology/ITB)
バンドン工科大学は、インドネシアを代表する理工系の国立大学で、理工分野における国内最高水準の教育・研究機関のひとつです。
インドネシア初の技術系教育機関として1920年に設立された工業高等学校を前身とし、1959年に現在の「Institut Teknologi Bandung(バンドン工科大学)」として正式に設立されました。
所在地は西ジャワ州バンドン市で、工学・理学・デザイン・経営など多様な学部・大学院プログラムを提供しています。
国内外から多くの学生が集まり、インドネシア国内で入学が非常に競争的な大学の一つとされています。
■まとめ
今回の訪問で得られた情報を紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。
出張を通じて、日本就職に対する学生の関心の高さを改めて実感しました。
説明会に参加した学生の多くがASIA to JAPANが開講する日本語講座に参加しており、日本語での受け答えも企業の想定以上にできていました。
そして、国内就職が難しいこともあり、優秀な学生も日本企業に目を向けている印象です。
一方で、日本語力や文化理解の差が採用の成否に直結する現実も見えました。
現地での手応えを感じつつ、日本企業が求める人材を見据えた語学教育が、採用支援成功への大きな鍵になると強く感じた出張でした。
ASIA to JAPANでは、現地のリアルな声を企業の採用戦略に活かし、日本と海外の「まだ出会っていない」人材の架け橋として、今後もサポートを続けてまいります。
インドネシア人材への関心や採用プロセス、大学へのアプローチ方法などについてご相談がある場合は、お気軽にASIA to JAPANまでお問い合わせください。
またスタッフとの個別相談会をご希望の場合はこちらからお問い合わせください。