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【セミナーレポート】成功企業はなぜIIT(インド工科大学)採用なのか?楽天・メルカリの経験則に学ぶ、海外エンジニア採用

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【セミナーレポート】成功企業はなぜIIT(インド工科大学)採用なのか?楽天・メルカリの経験則に学ぶ、海外エンジニア採用

ASIA to JAPANは、ギブリー社と共催で【成功企業はなぜIIT(インド工科大学)採用なのか?楽天・メルカリの経験則に学ぶ、海外エンジニア採用】を4月24日に開催しました。

インド最高峰の理系大学である「インド工科大学(以下:IIT)」は、毎年約100万人の学生が受験に挑み、合格者はそのうちの1%と、優秀な頭脳と弛まない努力で合格を勝ち取った学生が通う大学です。ASIA to JAPANは、IITの運営担当者と長期に渡って連携を取っており、日本企業がスムーズにIITの学生を採用できるよう、支援を行なっています。

今回は、楽天・メルカリと日本におけるグローバル採用のパイオニアで採用を担当してきた、株式会社Liberaware CHROの小山様をゲストに迎え、インド人エンジニアやIIT学生の採用のメリットや注意点等を深掘りしながら、グローバル採用の意義についてご紹介しました。
本記事では、その内容の一部を抜粋してご紹介します。


■セミナーの概要

●トークテーマ

・オープニングトーク
– 登壇者紹介
– 日本企業が直面する、エンジニア労働人口減少と採用難
– Track コーディングスキルデータから見る、日本とインド新卒のスキル比較

・楽天・メルカリの海外エンジニア採用担当 小山様によるトークセッション
– 経営の意思決定プロセス:意思決定の判断材料・採用人数の決め方・なぜインドIITなのか
– 採用成功までのオペレーション:採用体制・期間・選考プロセス・内定の意思決定方法
– 現場エンジニアの受け入れ:受け入れ先の決め方や現場エンジニアの巻き込み方
– 楽天、メルカリを通じて分かった、グローバルカンパニーへの「3ステップ」
– 質疑応答

●登壇者

株式会社Liberaware(以下:Liberaware)
執行役員 CHRO 小山 浩平 様

株式会社ギブリー(以下:ギブリー)
執行役員 兼 HR Tech部門 事業推進部長 山根 淳平 様

株式会社ASIA to JAPAN(以下:ASIA to JAPAN)
代表取締役社長 三瓶 雅人

 


■エンジニア労働人口減少と採用難

現在、日本人の新卒採用において採用目標数を充足できた企業は40.4%と調査開始以来最低の数値となりました。(『就職白書2023』より)また年々少子化の影響で若者が減少しており、かつ理系大学生の比率が20.7%と各国に比べて少ないため、今後この充足率が上がることはないでしょう。

GDP

三瓶:現在172万人近くの外国人労働者が日本で働いていますが、2040年には674万人近くが活躍すると言われています。この場合東京や大阪を含む9都道府県において生産年齢の人口に対して外国人労働者の割合が10%を超えるであろうと予想されています。そのため日本に人材がいないのであれば海外から採用しようと考えるのが必然になってくるのではと考えています。
海外採用のメリット「学生の質を落とす必要がない点」「品質の高い理系女性の母数が多い点」そして「外国人や女性の採用などで社内の多様性が生まれる点」と大きく3つあります。

 

■海外採用に踏み切る企業の意思決定プロセスは?

・なぜIIT(インド工科大学)が注目されるのか

なぜIIT?

IITは毎年約100万人が受験しており、そのうち合格者が約1.6万人とインド屈指の狭き門です。現在23校あり、それぞれ独立運営されています。特に、マドラス校、デリー校、ボンベイ校、カンプール校、カラグプル校の5校は、OLD IITと呼ばれ世界的に有名なIT企業が率先して採用を行なっており、獲得競争も熾烈を極めています。

・IIT学生を採用するメリット

IIT学生を採用するメリット

三瓶:世界最高の受験倍率に受かった学力や精神面で優秀な人材の獲得が望めます。またIITが実施するプレースメント※により、ある程度の母集団に対して面接から内定まで1日で完了できるため、効率よく採用を行えます。そしてASIA to JAPANで採用支援を行なった内、内定辞退を選んだ学生は10%ほどと日本学生に比べて非常に少ないです。
※IITプレースメントについてはこちら

・コーディングスキルデータから見る日本とインド新卒のスキル比較

ギブリーはエンジニアやDX人材の採用を中心に、業界標準を目指すコーディングテストツール「Track Test」を提供しており、今までに128カ国で受験されています。

コーディングテスト受験国

Track Testの受験者数が多い国を順番で見てみると、日本に次いでインドが全体の11.9%受験しています。

山根様:インドからの受験は主にIIT学生が占めています。アルゴリズムの中級の問題に関しては、日本人に比べて正解率やコーディングスキルが高い傾向にあります。加えて受験時間に関しても日本人に比べて平均受験時間が20分ほど短く、情報処理能力に長けていることがわかりました。またソースコードの説明する試験を受験後の+αの時間を使って実施していますが、2人に1人が積極的にコメントしており積極的かつ自発的な姿勢が見受けられます。

 

■海外エンジニア採用とは?

海外エンジニア採用とは

小山様:外国人採用については各社状況が違うと思います。今回は日本に来たことがなく日本語を話せない「海外在住の新卒エンジニア」を対象にした採用のお話しをします。この5つの中で3つ目の「日本にはいないくらい優秀な(新卒)エンジニア」が今回の肝になります。

 

・なぜ海外から採用するのか

海外在住者を採用することは外国人材のための受け入れ準備や覚悟が必要であり、会社にとっては大きな意思決定です。しかし「日本人だけでは採用が困難」なので海外から採用することは必然な流れとなっています。

小山様:海外から採用する前に、まずは日本のマーケットで採用活動をやりきって、「日本のマーケットだけでの人材確保は難しい」という事をしっかり認識することが重要です。この認識は経営陣や人事だけでなく現場のマネージャーサイドにも共感してもらうことが大切です。そのためマネージャーも普段から採用に巻き込むなどし、全員が共通の認識を持つようにすることが一つの肝となります。そうする事で自ずと海外採用の流れにシフトされていくでしょう。そして海外の優秀人材を採用するためには、経営陣が覚悟を持って社内制度の変更等の受け入れに向けた準備をしっかりと進める必要があります。

 

・採用成功に向けた流れ

山根様:ベンチャーやスタートアップで海外採用を始めると決めた企業の方とお話しすることが多いのですが、エンジニアの部署では意思決定できるキーパーソンが明確な印象があります。一方でメルカリや楽天は部署が細分化されていますが「誰にどんなアプローチ」をして意思決定してもらうのか、こういった異なる部分など教えていただけますか。

小山様:山根さんの質問に対する答えは一つしかなくて「入社後受け入れに関わる人たち」に採用に参加してもらうことです。過去に体験した失敗例ですが、採用者へ入社後に配属の希望をヒアリングしました。その時、AI関連部署に採用者の多くが希望してしまい、配属決めで揉めてしまうことがありました。そういった経験から、応募する際「部署」「ポジション」「仕事内容」を明確にすることが海外採用に必要なことであると認識しました。そして、面倒を見る人が選考に入り自分たちで覚悟を持って選んでもらうことにつきます。

 

・他社の過去失敗事例

失敗事例

小山様:どの企業様も様々な取り組みはされるものの、結局1,2年で海外採用をやめてしまったというお話をよく伺います。理由を伺うと大きく3つ要因があることがわかりました。

「世界のTOP大学の学生だから」と通常の日本人学生よりもはるかに高い給与で採用したという話も幾つか聞いた事があります。ただし入社後の評価時に、同等の給与をもらう中堅の日本人社員と相対比較されることになりますので、その結果パフォーマンスは見劣り、社内の評価も上がりづらく、さらには評価されない外国人社員は不満が溜まっていくという悪い循環が起きていました。給与については、入社後に期待する役割に応じて決定すべきです。

途上国の外国人材であれば安い給与でも満足できるのではと考える企業様もたまにいます。しかし英語を話せる優秀な人材は世界中から取り合いになるため、彼らにとってはわざわざ日本で仕事をする必要がありません。そのため安い給与でいい人材を獲得できるという考えは間違いです。

お試しで、少人数の採用からスタートするケースはよくありますが、少人数の採用が悪いという意味ではなく、会社として受け入れ態勢がきちんと整えられていないと、社内での意思疎通が取れないために外国人材が辞めてしまうケースが多々見られます。1人や2人であろうと、入社いただいた方がしっかり活躍できるような受け入れ態勢をしっかり整えておくことが大事なのではと思います。

 

・国内採用に向けた変化

国内採用の変化

山根様:楽天やメルカリを通して見えてきたグローバル採用との向き合い方についてはいかがでしょうか。

小山様:ここが一番お伝えしたかった内容になります。海外採用は大変だとよく言われますが、私は結局採用することによって組織として得られることがあったなと感じています。元々国内と海外では採用のスタイルが異なっていました。しかしある時、海外採用のシステムを国内採用で流用できるのではと思い、実践してみるとうまく活用ができることがわかりました。流用した事で結果的に国内採用や人事の変化態勢の強化に繋がりました。
D&I(ダイバーシティ&インクルージョン)が企業の強みであるという考えは最近では当たり前になってきましたが、楽天もメルカリもグローバル化があったからこそ、考え方が違う人たちがいる環境が当たり前であるというダイバーシティ化が進み、企業の成長促進に繋がったんだろうと実感しています。

 

■IITについてさらに詳しい情報が知りたい方は、お気軽にご相談ください

今回のウェビナーにご参加いただいた企業様からは、海外採用に前向きな検討される方が多いような印象を受けました。
ASIA to JAPANのIIT採用サポートでは、参加校の決定から採用、そして来日に至るまで一貫してサポートいたします。さらに通常プレースメントとは別で、12月1日よりも前にNew IIT9校を対象とした早期プレースメント「FAST OFFER JAPAN DAY」を日本企業様向けに独自開催しております。
昨年は2万人以上の応募に対し564名の面接、そして154名の内定承諾者数を獲得できました。

IITプレースメントにご参加いただく場合、7月末までにお申し込みをいただけますとプレースメント当日までスムーズに進めることが可能です。
IIT学生の採用に興味がある企業様はASIA to JAPANへ気兼ねなくお問い合わせください。

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