2026年の厳格化動向と、失敗しないための業種別チェックリスト
対象読者:外国籍人材の採用を検討・推進する人事・採用担当者様
これまで2回にわたり、技人国の基礎と許可基準・実務研修の考え方を解説してきました。最終回となる今回は、2026年に入り相次いで公表された運用の厳格化動向と、業種別の実務ポイント、そして採用担当者がすぐに使えるチェックリストをお届けします。
1. 2026年の最新動向:なぜ「これまで通り」が通用しなくなったのか
外国籍採用を推進する人事担当者にとって最も重要なのは、入管庁の運用が年々厳格化しているという事実です。特に2025年末から2026年にかけて、技人国に関する複数の重要な公表がありました。

図:2026年 技人国をめぐる運用厳格化の主な動き(マンスリーニュース・入管庁公表資料をもとに作成)
1-1. 技人国と特定技能の違いを示す比較表の公表(令和8年1月現在)
入管庁は、令和8年1月現在の情報として、在留資格「技術・人文知識・国際業務」と「特定技能」の違いを一覧化した比較表を公表しています(第1回で紹介した比較表がこちらです)。
宿泊業・外食業・製造業・自動車整備業・建設業の5業種について、特定技能1号・2号と技人国それぞれで想定される活動内容が具体的に書き分けられている点が特徴です。
業種ごとの活動内容がここまで明確に書き分けられているということは、裏を返せば「肩書きだけでなく、実際の業務内容が学術的な専門性を要するものかどうか」が、今後の審査でも重視され続けるということを意味します。
特に製造業では技人国側の想定活動が「設計、プログラミング、技術開発」に限定されている点は、現場作業と技術者業務の境界が曖昧になりやすい業種だけに、募集要件や職務内容を精査する際の重要な手がかりになります。
出典:在留資格「技術・人文知識・国際業務」と「特定技能」の違いについて(出入国在留管理庁、令和8年1月現在)
人事担当者へのアドバイス:過去に技人国での申請が問題なく通っていたとしても、それが今回整理された比較表の想定活動と一致しているかを、あらためて確認しておくことをおすすめします。「これまで通ったから今回も大丈夫」という前提だけに頼らないことが、更新時のトラブルを避けるポイントです。
1-2.派遣形態での就労に関する取扱いの厳格化
技人国をもって派遣形態で就労する場合の取扱いについてでは、技人国の在留者数の増加に伴い、派遣先での実際の業務内容が十分に把握できていない実態や、認められた活動内容に該当しない業務に従事する事案への対応が課題として挙げられています。
これを受けて、次のような運用変更が行われています。
- 派遣形態で就労する場合の提出書類が変更(令和8年3月9日申請分から適用)
- 申請時点で派遣先が確定していない場合、在留諸申請の許可を受けることができない
- 派遣契約期間に応じて在留期間が決定される
- 在留審査の際、派遣元だけでなく派遣先に対しても業務内容や活動状況の確認が行われる場合がある
出典:「技術・人文知識・国際業務」をもって派遣形態で就労する場合の取扱いについて(出入国在留管理庁)
人事部門への影響:人材派遣サービスを利用して外国籍エンジニア等を受け入れている企業は、派遣先が未確定の段階では在留資格の許可を得られない点に注意が必要です。採用計画と配属先の確定スケジュールを従来以上にすり合わせておく必要があります。
2. 業種別に見る実務上の注意点
2-1. ホテル・旅館業:フロント業務と「実務研修」の境界
ホテル・旅館等において外国人が就労する場合の在留資格の明確化についてでは、フロント業務や企画・広報等が技人国の対象となる一方、清掃・荷物運搬・配膳等は原則として対象外であることが、具体的な許可・不許可事例とともに示されています。
- 不許可事例:主たる業務が宿泊客の荷物の運搬及び客室の清掃業務であったため、技人国に該当する業務とは認められなかった
- 不許可事例:採用後最初の2年間、実務研修として専らレストランでの配膳や客室清掃に従事する計画であったため、技人国に該当しない業務が在留期間の大半を占めるとして不許可となった
- 不許可事例:同時期に採用された同種業務の日本人従業員と比較して報酬額が低く、合理的な理由も認められなかったため、報酬要件を満たさず不許可となった
これらの事例が示すように、「フロント業務」という肩書きだけで許可されるわけではなく、実際の業務配分・研修計画・報酬水準まで含めて審査される点に留意が必要です。
出典:ホテル・旅館等において外国人が就労する場合の在留資格の明確化について(出入国在留管理庁)
2-2. 建設業:施工管理・設計・測量分野が中心
外国人建設技術者の採用・定着に向けたハンドブックでは、技人国で受け入れる外国人建設技術者の代表例として、施工管理技術者、設計技術者、測量技師が挙げられています。
- 施工管理技術者:資材等の調達管理、施工計画の立案、工程管理・原価管理・品質管理・安全管理業務など
- 設計技術者:構造物調査、設計計画の立案、意匠設計・構造設計・設備設計・生産設計(CAD・BIM等の活用を含む)
- 測量技師:土地・建物等の測量調査、測量計画、製図、測量データ分析など
建設業は、特定技能では「指導者の指示・監督を受けながら行う土木作業等」が対象となるのに対し、技人国は「建築設計、設計監理、建築積算、施工管理技術者」等の業務に限定されます(第1回の業種別比較表もあわせてご参照ください)。現場の技能労働者としての受け入れを技人国で行うことはできない点を、採用担当者は明確に区別しておく必要があります。
出典:外国人建設技術者の採用・定着に向けたハンドブック(国土交通省)
3. 人事担当者が陥りやすい誤解
- 誤解1:「大卒の外国人なら、どんな業務でも技人国で採用できる」
→学歴だけでなく、業務内容が学術的な専門性を要するものかどうかが問われます。 - 誤解2:「特定技能より技人国の方が格上だから、現場作業でも技人国にしておけば安心」
→活動内容が実態と一致しない場合、更新時に不許可となるリスクがあります。 - 誤解3:「研修期間中は何をさせても問題ない」
→研修が在留期間の大半を占める場合や、日本人と異なる研修内容である場合は、資格該当性が否定される可能性があります。 - 誤解4:「以前この職務内容で許可が下りたから、今回も同じように通るはず」
→2026年の運用厳格化により、過去の許可実績がそのまま将来の許可を保証するものではなくなっています。
外国籍採用を進める人事担当者向けチェックリスト
技人国での受け入れを検討する際は、以下の点を事前に確認しておくことをおすすめします。
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- 募集職務が「専門的知識・技術」または「国際業務」のいずれかに明確に該当しているか
- 候補者の専攻・学歴と、実際に担当させる業務内容とに関連性があるか
- 国際業務の場合、必要な実務経験(原則3年以上)や語学水準(CEFR B2相当)を満たしているか
- 同種業務に従事する日本人従業員と比較して、報酬水準が同等以上になっているか
- 入社後の研修期間・研修内容が、日本人社員と同様の位置づけで設計されているか、また在留期間全体に占める割合が過大でないか
- 派遣形態で受け入れる場合、派遣先が確定した段階で在留資格の申請手続きを進めているか
- 製造業・建設業等、現場作業と技術者業務が混在しやすい職種では、実際の職務分担を具体的に説明できるか(または資料を準備しているか)
シリーズのまとめ
技人国と特定技能は、いずれも外国籍人材を受け入れるための在留資格ですが、対象となる業務の専門性のレベルや制度趣旨が根本的に異なります(第1回)。
技人国での採用には、学歴・実務経験・語学・報酬という許可基準を満たす必要があり、採用直後の実務研修にも一定のルールがあります(第2回)。
そして2026年に入り、入管庁は技人国と特定技能の違いを示す比較表を新たに公表し、派遣形態での取扱いも変更しています(第3回)。
外国籍採用を推進する人事担当者としては、「これまで通ったから今回も大丈夫」という前提に頼らず、募集する職務内容が技人国の該当性要件を満たしているかを、採用のたびに具体的に検証する姿勢が求められます。全3回のシリーズで紹介した公的機関の公表資料や事例を参考に、自社の受け入れ体制を今一度点検してみてください。
参考資料
・在留資格「技術・人文知識・国際業務」と「特定技能」の違いについて(出入国在留管理庁)
・「技術・人文知識・国際業務」をもって派遣形態で就労する場合の取扱いについて(出入国在留管理庁)
・ホテル・旅館等において外国人が就労する場合の在留資格の明確化について(出入国在留管理庁)
・外国人建設技術者の採用・定着に向けたハンドブック(国土交通省)