【セミナーレポート】2026年6月開催|高度外国人材採用支援セミナー ~企業の未来を担う基幹人材へ~

2026年6月、ASIA to JAPANは、高度外国人材の「採用」をテーマに、日本企業が直面する課題とその解決策について実務的な観点から体系的に解説するセミナーを開催しました。 

少子化と採用難が同時進行する今、「新卒採用の目標を充足できた企業はわずか40%」という調査結果が示すように、日本企業の人材獲得は年々厳しさを増しています。特に地方・中小企業では、理工系人材の確保が構造的な課題となっています。

今回のセミナーは、この課題に正面から向き合う企業・支援者が集まり、「外国人材採用の始め方」から「定着・活躍の実践知」まで、現場のリアルな声をもとに徹底的に語り合った場となりました。本レポートでは、その内容を経営者・人事担当者の皆さまに向けてまとめます。

本記事では、セミナー内容を抜粋してレポートにまとめました。 

■セミナー概要

●トークテーマ
高度外国人材採用支援セミナー
~企業の未来を担う基幹人材へ~

●登壇者
株式会社アイキューブドシステムズ様
地球人.
jp株式会社様

株式会社ASIA to JAPAN(以下:ASIA to JAPAN)
代表取締役社長 三瓶 雅人

第1部:基調講演 

「外国人材採用は必然。始め方はシンプルで、勝負は準備で決まる」
株式会社ASIA to JAPAN 代表 三瓶 

新卒採用の目標充足率は40%。大学生数も減少し、採用難は今後も続く構造的問題 
外国人材採用の「始め方はシンプル」。勝負は採用前の準備(日本語研修・定着設計)で決まる 
離職の3分の2は採用前に決まっている。給与・日本語・受け入れの3大ミスマッチを事前に潰すことがカギ 
面接では「定着・貢献志向」か「ステップアップ志向」かを必ず見極める 

 なぜ今、外国人材なのか 

25年以上にわたり人材ビジネスに携わる三瓶は、現状の深刻さを数字で示しました。 

  • 新卒採用の目標充足率はわずか40%。6割の企業が採用未達のまま終わっている。 
  • 大学生の数が2年前から減少に転じており、今後も回復の見込みはない。 
  • 「今採用できないということは、今後もずっと採用できない」と考えるべき構造的問題。 
  • 経済産業省の試算では、2040年に事務職が約400万人余剰になる一方、エンジニアなど専門職は極度に不足する見通し。 

こうした状況を踏まえ、「海外から優秀な人材を迎えるしかない」という結論に至るのは必然であると強調しました。 

 

採用の流れはシンプルに考える 

「外国人採用は難しい」と思われがちですが、三瓶は「始め方はシンプルで、勝負は準備で決まる」と言い切ります。具体的なステップとして以下を紹介しました。 

  • 求める人材像を明確にする(どの分野、どのレベルか) 
  • 採用チャネルを決める(例:FAST OFFERなどの外国人材専門の採用プログラム) 
  • 面接で確認すべきポイントを事前に共有しておく 
  • 内定後から日本語研修を開始し、入社前の準備を充実させる 

 

定着・活躍のカギは「採用前の準備」 

三瓶は「離職の3分の2は採用前に決まっている」と語り、以下の3大ミスマッチを事前に潰すことが重要だと説きました。 

  • 給与・評価のミスマッチ:成果に見合った報酬設計ができているか 
  • 日本語コミュニケーションのミスマッチ:内定時から日本語研修を行い、入社後の壁を低くする 
  • 孤立感・受け入れ設計のミスマッチ:直属上司とは別の英語対応できるメンターを用意し、人事による月1回の面談を実施する 

 また、採用時に「定着・貢献志向」か「ステップアップ志向」かを見極めることも重要だと指摘。自社の成長スピードと候補者の期待値が合致しているかを面接で確認する重要性を語りました。 

 

日本語力よりも「話す・聞く」能力を重視 

ASIA to JAPANの日本語教育はJLPT(日本語能力試験)に準拠しておらず、「資格取得」ではなく「面接・業務での会話力」を目的としています。JLPTはリーディング・ライティングのみで、業務に必要な「聞く・話す」は評価されません。 

ASIA to JAPANでは学生の日本語力を独自の5段階評価で企業に提示しており、「N3相当」という目安より実際の会話力を重視するアプローチを採用しています。 

 

第2部:企業事例発表①

IT企業における外国人材採用のリアル
発表者:山田 氏(株式会社アイキューブドシステムズ) 

全従業員の10%が外国籍 
一定数採用し続けることで孤立を防ぎ定着率を高める 
外国籍メンバーの活躍が日本人社員の刺激となり、組織全体のレベルアップにつながった 
▶ 外国人採用が『海外での事業展開への布石』になることにも期待している 

 自社プロダクト開発を行うIT企業が、高度外国人材の採用にどう向き合ってきたかをリアルに語っていただきました。 

採用の背景と現状 

  • 新卒エンジニア採用が不調な時期に、、外国人エンジニア採用に活路を見出した 
  • 現在、全従業員の10%が外国籍。 

定着のための社内環境整備 

  • 外国籍メンバーが「一人ぼっち」にならないよう、日本への入国時に、新生活支援のプログラムを提供し、安心して新生活を始めることができるよう支援を実施。 
  • 万が一、トラブルが起きた際も、外国籍だから」と国籍のせいにせず、個人の事情として慎重に扱う 

日本人社員への好影響 

「外国籍メンバーが増え候補者の母集団が広がることで、国籍やルーツを問わず、当社に合ったマインドや能力を持つ人が入社しやすくなり、それが社員にとって良い刺激になる」という好循環も生まれています。外国籍メンバーは日本語・英語・母国語の複数言語を操り、スキルポテンシャルも高い。それが日本人社員の刺激になっているといいます。 

将来の展望 

将来的に海外でビジネスチャンスが生まれた際、その国の出身者が社内にいれば進めやすくなる可能性があるほか、場合によっては現地で活躍できる可能性もあるため、外国人採用を「グローバル事業への布石」と位置付けています。また、日本語要件を緩和し英語のみでも採用できる体制への発展も検討中です。 


第3部:企業事例発表②
 

建設技術職での外国人材採用の取り組み
発表者:菊竹 氏(地球人.jp株式会社)  

インド・プネ大学の建築・土木系学生をASIA to JAPANと連携して採用。建設技術職への高度外国人材活用を実現 
内定後に現地で日本語教育(約半年)を実施し、N3水準を達成した学生から順次来日 
来日後も日本語オンライン研修を継続サポート。技術職に求められるコミュニケーション力を段階的に高める 

 

外国籍人材専門の人材サービスを27年間展開し、自社従業員の約7割が外国籍である地球人.jp株式会社から、今年ASIA to JAPANと連携して進めた建設技術職の採用事例が紹介されました。 

なぜ建設技術職に着目したか 

  • 既存の建設系クライアント(専門工事業者)からの職人派遣ニーズに加え、施工管理・設計など技術職の人材不足が顕在化 
  • 日本人の理工系学生採用が難しくなるなか、海外理工系学生の採用に可能性を見出した 
  • インド・プネ市のプネ大学で建築・土木学部の学生をASIA to JAPANと共同で採用 

採用プロセス 

  • インド現地で採用面接を実施し、仮内定を付与 
  • 内定後にASIA to JAPANが現地で日本語教育を開始(約半年間) 
  • N3相当の日本語力を目標として設定し、達した学生から来日 
  • 来日後も日本語のオンライン研修を継続サポート 

「施工管理は現場で職人さんと直接やり取りする仕事。N3水準の日本語力と入社後の継続的なサポートがカギ」と菊竹氏は語りました。 

 

第4部:パネルディスカッション 

ASIA to JAPAN 三瓶・アイキューブドシステムズ 山田氏・地球人.jp 菊竹氏が登壇し、実務的なテーマで深く掘り下げました。 

社内合意形成:「人手不足対策」ではなく「将来の組織づくりへの投資」として語ることが突破口 
面接:日本語力より「意欲・コミュニケーション力・定着志向」を重視する。面接官の雰囲気が内定承諾率にも直結 
定着:離職の多くは「希望職種のミスマッチ」と「給与評価の乖離」。面接で小さな違和感を丁寧に拾うことが重要 
嬉しい発見:日本は想像以上に人気で、能力・意欲ともに高い人材が来てくれる 
展望:一歩踏み出した企業の大半が採用を継続。英語のみでの採用や子会社設立など、次のステージも見えてきた 

 

テーマ①|採用を進めるための社内合意形成 

「誰かの声かけから始まるのに、最終的に採用まで到達できない」という壁について議論されました。 

【アイキューブドシステムズ 山田氏】 採用チームからの提案でスタートした。また、すでに外国籍社員が何名も働いていたため、現場からも特に異論は出ず「日本語で意思疎通ができれば大きな問題はない」という意見があった。 

【地球人.jp 菊竹氏】 外国人材を断片的に採用するのではなく、将来の組織づくりとして位置付けること。「人手不足の穴埋め」ではなく「グローバルに戦える組織を作る投資」として社内に語りかけることが重要。 

ASIA to JAPAN 三瓶】 トップダウンであっても経営陣を完全に巻き込むことが採用成功のポイント。責任者が最後まで関与している企業ほど、採用後の定着率も高い。 

 

テーマ②|面接で何を見るか 

【アイキューブドシステムズ 山田氏】 日本語力については、ネイティブレベルまでは求めないが、エンジニアであれば意思疎通ができれば十分。国籍に関係なく、当社が求めるマインドセットとポテンシャルを持っているかを重視する。 

【地球人.jp 菊竹氏】 語学力そのものより、コミュニケーション力を重視。カタコトでも相手の意図を汲んで自分の考えを伝えられる人材は優秀な場合が多い。なぜ日本で働きたいのかの動機は特に丁寧に確認する。 

ASIA to JAPAN 三瓶】 「定着・貢献志向」か「ステップアップ志向」かを必ず見極める。目の前のいい人材に引っ張られて、自社の報酬・評価制度と合わない人材を採用してしまうと、12年で離職するリスクがある。 

 

テーマ③|定着率と離職の実態 

【アイキューブドシステムズ 山田氏】 退職したケースを振り返ると、面接で候補者の「本当の希望職種」を見落としていたことが原因の一つだった。外国籍の学生は日本で就職できるかの不安から、本音を抑えてしまいがち。面接では「ほんのわずかな違和感」を丁寧に拾うことが大切。 

ASIA to JAPAN 三瓶】 ワーキングホリデーや特定技能制度での採用でも、転職率は日本人と変わらない水準。むしろ「日本で働き続けたい」という強い動機がある高度外国人材はロイヤルティが高い傾向がある。 

 

テーマ④|採用後の「嬉しい発見」 

【アイキューブドシステムズ 山田氏】 採用前は「優秀な人材は欧米や中国に流れ、日本には来ない」と思っていた。しかし実際に採用してみると、日本が想像以上に人気で、かつ能力の高い人材が来てくれた。日本に溶け込もうという姿勢や積極性も予想以上だった。 

【地球人.jp 菊竹氏】 「外国籍社員に限らず、採用後は必ずフォローアップを」という意識が社内に定着した。外国籍採用をきっかけに、人材育成の仕組み全体が見直されるケースも多い。 

 

テーマ⑤|今後の展望 

【アイキューブドシステムズ 山田氏】 将来的には英語だけでも応募できるポジションを設け、日本語要件を緩和した採用チャネルの整備が出来ればと考える。 

【地球人.jp 菊竹氏】 最初の一歩を踏み出した企業は、大半がその後も継続している。まず1名でも採用してみることが重要。 

ASIA to JAPAN 三瓶】 外国人採用は「始めるかどうか」ではなく「どう始めるか」の段階に来ている。採用の仕組みと社内の受け入れ体制を同時に設計することが、成功の条件だ。 

 

質疑応答 

質問  回答の要点 
外国人材の離職率はどの程度か?  ワーキングホリデーや特定技能の人材でも、転職率は日本人と変わらない水準。「日本で長く働きたい」という動機が強い高度人材はむしろ定着率が高い傾向がある。(三瓶) 
採用にあたり魅力訴求や定着に何が有効か?  技術を深く学べるキャリア機会の提示、外国籍メンバーが既に活躍していることを示す「土壌」のアピール(山田氏・菊竹氏) 
日本語研修はどのくらいの期間・レベルが必要か?  ASIA to JAPANJLPTに準拠しない独自プログラムを採用。N5N4レベルをしっかり学んだうえで会話練習に注力し、面接・業務に対応できる「話す・聞く」力を養う。JLPTは読み書き中心で実務の話し言葉と乖離があるため、資格取得を採用基準にしないことを推奨。(三瓶) 

 

まとめ|経営者・人事担当者へのメッセージ 

今回のセミナーを通じて、参加者に共通したメッセージとして浮かび上がったのは以下の3点です。 

外国人材採用は「いつか始めるもの」ではなく、「今、始めるべきもの」です。採用難は今後も深刻化し、早く始めた企業ほど組織としての受け入れノウハウが蓄積されます。 
「準備が整ってから」では遅い。まず1名から始め、試行錯誤しながら自社の受け入れスタイルを作りあげることが成功の近道です。面接官の対応・メンター設置・月1回の面談といった工夫は制度変更なしで今日から始められます。 
採用した外国人材が活躍することで、日本人社員も刺激を受け、組織全体のレベルが上がります。「外国人のための配慮」ではなく、「組織全体の成長機会」として位置付けることが、経営者・人事担当者に求められる視点です。 

  

外国人材採用についてのお問い合わせ 

ASIA to JAPANでは、高度外国人材の採用支援から内定後の日本語研修、入社後の定着サポートまでを一貫して提供しています。 

ご関心のある方は、下記よりお気軽にお問い合わせください。 

https://asiatojapan.com/contact-us-1/