水際対策緩和後、日本企業の外国人材受け入れ対応はどう変わる?【杉田昌平弁護士インタビュー】

https://asiatojapan.com/gjss/visa-support/onbording-interview/

目次

コロナ禍の水際対策が緩和され、日本を訪れる外国人が増えました。それに伴い、日本企業の外国人材の受け入れ対応にはどのような変化があるのでしょうか。

外国人材の法務・労務を専門に弁護士として活動する杉田昌平先生に最新情報を聞きました。(取材は2022年11月末)


水際対策緩和について

——コロナ禍の水際対策が緩和されました。外国人材の入国に際し、日本企業の対応にはどのような変化がありますか?

まず、そもそもの水際対策について振り返ってみましょう。新型コロナウイルス感染症の拡大を受けて2020年から始まった水際対策の柱は、大きく次の5つでした。

・上陸拒否(国境を越えて日本に来ることの拒否。基本に日本に入国ができない状態)
・検疫の強化(日本に上陸後、検疫所が指定したホテルなどの隔離施設での待機)
・既に発給された査証の効力停止(発行済みビザの無効化)
・査証免除措置の停止(ビザを取得せずに入国できる措置の停止)
・航空機の到着空港の限定等(便数の減便、発着空港の制限)

——基本的には入国ができず、例外的に入国する場合はビザが必要で、入国後も隔離施設での一定期間の待機が必要だったわけですね。

これらの水際対策がほぼなくなったのが今の状態です。それぞれについて詳しく見てみましょう。

・上陸拒否

2022年9月4日に、これまで指定されていた上陸拒否の対象国・地域はすべて解除されました。

変異株の流行に伴い、「オミクロン株以外の変異株が支配的となっていることが確認されている国・地域」が2022年2月に追加されましたが、こちらも現時点で対象国・地域はありません。

また、これまでは入国する場合のビザ取得時に「ERFS(外国人新規入国の申請手続)」が必要でしたが、こちらの対応も不要になりました。 

・検疫の強化 

入国後、公共交通機関の利用制限や自宅や隔離施設での待機が求められていましたが、原則不要になりました。

ただし、全ての帰国者、入国者に「新型コロナウイルスのワクチン3回分の接種証明書」か「出国前72時間以内に受けた検査の陰性証明書」が求められます。どちらか一つがあればいいので、ワクチン接種の証明書があれば陰性証明書は不要です。

なお、入国時に新型コロナウイルス感染が疑われる場合は、入国時に検査をし、陽性であれば待機施設に入ることになります。

・既に発給された査証の効力停止

2022年10月11日に解除されました。2021年12月2日以前に発行されたビザで入国ができるようになります。

・査証免除措置の停止

2022年10月11日に解除されました。

・航空機の到着空港の限定等(便数の減便、発着空港の制限)

準備が整い次第、順次国際線の受け入れが再開されます。 

【参考URL】 

新型コロナウイルス感染症に関する水際対策の強化に係る措置について 

「水際対策強化に係る新たな措置」のQ&A(10 月 11 日時点)

今後担当者が注意すべきこと

——ほとんどコロナ禍以前に戻ったように思いますが、担当者が注意すべきことはありますか?

ワクチンの接種証明ないし陰性証明書は引き続き必要ですので、内定者に準備するよう声がけを行いましょう。

また、入国後に新型コロナウイルスの症状が出てしまった場合、隔離される可能性があります。引き続きイレギュラーが起きやすい状況ではありますので、万が一を想定する必要はあります。

そして一番の注意点は、入国再開に伴う各種申請が一気に増えたことによって審査に時間がかかることです。どのくらいで手続きが終わるか、見通しが立てづらくなっています。

——平常時と現在で、どのくらいの違いがあるのでしょうか。

例えば一部上場企業の外国人エンジニアの在留資格認定証明書を取る場合、従来であれば1カ月かかりませんでしたが、今は3カ月かかるケースも出てきています。

この状況は翌年以降も続くと予想されます。これまで滞留していたものが一気に動き出したということは、入国時期が同時期にまとまってしまうことを意味します。外国人材受け入れに伴うあらゆる手続きが同時期に行われるので、翌年以降の更新手続きも同じ時期に集中することになる。

いわば外国人材の受け入れ対応に繁忙期ができてしまったわけですから、当面は早めの行動を意識する必要があるでしょう。

——国内の外国人留学生を受け入れる場合、ビザの切り替えに関して注意点はありますか?

留学生がコロナ禍に入国している場合、在留期限に気をつけましょう。卒業間際に入国した人の中には、卒業時期と在留期限が一致しないケースがあります。

例えば大学院の2年間のうち、最後の半年だけ来日している場合、卒業間際なのに在留期限は1年半残っているようなことがあります。

すぐにビザが切れるわけではないので切羽詰まった注意点ではないですが、こういったケースがあることは認識しておきましょう。

なお、この場合のビザの切り替え手続きも通常時より時間がかかる可能性が高いです。早めの対応を推奨します。

——これまで入国に関する規定は何度も変更がありました。今後の見通しはいかがでしょうか。

感覚値ですが、よほどのことがない限り変更はないと思います。ただし、感染状況によるところが大きいので、今後も注視は必要です。

また、水際対策は緩和されましたが、そもそも外国人材の受け入れプロセスは煩雑です。

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日本側での書類の準備や申請手続きのみならず、海外にいる内定者と連絡を取りながらしかるべき対応をしてもらい、抜け漏れがないか細かく確認する必要があります。当然ミスがあると入国はできません。

外国人材受け入れの経験がなかったり採用人数が多かったりする企業の場合、一連の入国手続きの代行を業者に依頼するのも一つの手だと思います。

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