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日本人のワビサビを理解する稀有な人材であり、日本語、中国語、英語が堪能な理系女性。研究テーマはPUFを使った暗号作成。同じ回路を持つ半導体の製造工程によるわずかな差異をチップの“指紋”として利用し、クローン出来ない暗号作りに取り組んだ。プライベートではバンド活動に従事し、部活の概念が無い中国の進学校で学校側との交渉や、部室や機材、発表の場の確保に務めるなどまとめ役として活躍。

内定先企業

輸送機器メーカー

企業からの評価ポイント: 出身大学が中国でも理工系の評価が高い大学であった。研究テーマであるPUFを使った暗号作成技術は電子制御する次世代車両のコア技術への相関性が高く評価のポイントとなりました。また、プライベートでのバンド活動やそのまとめ役として活躍した実績は組織でのリーダーシップ発揮できる存在としての期待に繋がりました

Profile

国籍・地域
中国
性別
女性
大学
華中科技大学
学部
電子通信
学歴
学士

MESSAGE

留学しないと日本での就職は無理だと思っていましたが、そうではありませんでした。

中学生の頃から国際交流に憧れていたのですが、なかなか留学の一歩が踏み出せずにいて、故郷の武漢で大学院まで進みました。修士課程で先輩たちの就職体験記を見て、中国の電子科学技術の目覚しい発展に驚きながら、心に抱いていた夢を思い出しました。

日本に留学したこともなく、この先、日本に行くチャンスはあるのだろうかと考えました。そして、日本の技術はアジアでトップクラスですし、私は趣味で日本語を勉強してきたので、日本で就職することを思いつきました。

少子高齢化が進み、労働力が不足している日本では、外国人労働者を受け入れる企業も多いと思いますが、難しいところは、どうやって日本で就職活動をするかということです。中国の人材紹介会社では、選択肢が狭いと思いました。

中国の大学の就職説明会では、日本企業は数社参加しますが、内陸部の大学へはほとんど来てくれません。
父は、「それなら、海外に行ってもう一つの修士号を取ったらどうか」とアドバイスしてくれました。でも、私は時間を無駄にしたくなかったので、父のアドバイスに従わず、別の道を探していました。

そして、ついに見つけたのです。それは、ASIA to JAPANが主催する海外の優秀な人材の日本での就職を支援する『FAST OFFER International』というプログラムです。 応募後、さまざまな面談、選考を経て、嬉しいことに日本での面接会に参加することが決まりました。

中国企業の面接では、技術力が細かくチェックされますが、日本企業は、学生のポテンシャルを大事にしているような気がしました。例えば、私の面接では、専攻に関する質問だけでなく、趣味や日常生活などさまざまな話題があり、会社の雰囲気にマッチしているかどうかを確認されました。また、留学生を対象とした面接であったため、難しい日本語は使わず、カジュアルな面談のような感じでした。おかげで、落ち着いて自分をアピールすることができました。

2日間の最後には、日本の大手機械メーカーから内定をもらい、そこに就職することにしました。個人的な事情もあり、卒業後には少しお休みをいただき、2020年4月に入社することになりました。すでに2019年の10月から日本で新生活を始めている仲間もいるので、みんなと日本で再会するのを楽しみにしております。

FINAL YEAR PROJECT

研究テーマはPUFを使って、暗号を作ることです。

PUF(Physically Unclonable Function)は電子回路の誤差を利用した暗号の作り方です。同じ回路を持つ半導体の、製造工程によるわずかな差異をチップの“指紋”として利用し、クローン出来ない暗号を作りました。3種のPUFを作る課題を4人のチームで行いました。

私は回路の時間差を利用したArbiter PUFを担当しました。FPGA上に全く同じ回路を二つ作って、それぞれの中にデータが通れるルートを264個ずつにしました。64bitのルート選択信号を使い、ルートを変えながら、二つの回路に同時にチャレンジを与え、レスポンスが返す順番をアービタ回路で判断し、0と1で構成した暗号を作ることができました。

作り上げた暗号は、同じチップでなければ再現できないため、複製の不可能性が高いです。

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