日本企業のインドIT人材採用最前線!世界が注目するインド人の特徴と採用のポイント
ASIAtoJAPANは6月17日、ギブリー社との共催webセミナー「グローバル採用市場が注目!“インドの理系学生”を獲得する秘訣とは?現地一流大学の学科長に聞くインドI T人材採用最前線」を開催しました。
セミナーではインドにて日本語エンジニアの育成に取り組み、数々の日本企業に生徒を送り出してきた、プネ大学日本語学科長に登壇いただきトークセッションを行いました。本記事では、その一部をご紹介します。
トークテーマ:
- インド人エンジニアの技術レベルや特徴、志向性
- プネ大学の学科長から見た、学生に人気な日本企業の特徴
- 日本企業が、狙うべきインド人材とは?
- インド人エンジニア採用を成功させるためのステップ
- インド人エンジニアの入社後マネジメントのポイント
登壇者:
プネ大学日本語学科 学科長 Prajwal Channagiri 氏
株式会社ASIA to JAPAN 代表取締役社長 三瓶 雅人
モデレーター:
株式会社ギブリー 執行役員 兼 HRTech部門 採用ソリューション事業 事業部長 山根 淳平 氏
【1】世界中がグローバル採用でインドに注目するワケ
本セミナーのオープニングトークでは、弊社三瓶より世界中からインドの人材に注目が集まる理由について解説しました。
三瓶:まず圧倒的な人口の多さがインドの特徴です。その中で上に行くためには、相当な努力を要することが、インドの強さの源泉と考えています。インド国内であってもクラスや学校は多言語、異文化、いわばカオスのような状態になっています。その中でコミュニケーションをとっていかなければ、なかなか上に行くことはできません。このような環境下でGAFAのトップになるようなコミュニケーション能力が磨かれていくのだと考えています。
また、インド国内でいい仕事を見つけることは難しく、優秀な方はアメリカやヨーロッパといった海外へ条件のよい仕事を求めていくことが多いです。そのため、世界で働くインド人ネットワークがあることもインド人材の強みの一つです。
【2】日本国内の給与水準でワンランク上のインド人材採用が可能
三瓶:「なぜインドなのか?」という点に関して、日本企業がインド人材を採用する利点はいくつかあります。たとえば、ワンランク上の優秀なIT人材を自社の給与水準で採用できるということが挙げられます。
少子化が進む日本では、海外からの優秀な人材確保は重要なテーマの一つです。しかし、日本の平均年収は下がり続けており、OECDの調査によると主要先進国の平均年収(2020年)を見てみると、日本は22位とアジアでは韓国より下であることが分かります。年収を下げてまで国境を超えて日本に来ることは稀ですから、日本より年収が低い国から人材を確保する必要があります。
弊社では、インドの方に希望年収についてアンケート取りました。
アンケートによると「インド国内で働く」場合、一番多い回答は50から99万円と非常に安い水準です。全体の7割弱が200万円未満を希望年収として回答しています。
「日本で働く」場合を想定しても、大幅に上がってはおらず全体の5割以上は250万円未満の金額を回答しています。つまり、日本の給与水準でもインドの優秀な学生を採用できるチャンスが十分にあることが分かります。
【3】インドの学生は日本の会社に何を求めるか?
インドの学生たちが日本への就業へ求めることが大幅な年収アップではないことが、前段のアンケートで明らかになりました。実際に「日本の会社に何を求めるのか?」という質問では、「新しいスキルの習得」や「個人的な成長」に興味関心が集まっています。
本セミナーのトークセッションにおいて、Prajwal氏からもインド人が日本企業に入社する理由として、「日本企業の技術の高さ」や「教育・研修環境の充実」という点が挙げられました。
これらをふまえるとインドの学生にとって「成長」という点が、日本で働く上での大きなキーワードということが分かります。
【4】インド人エンジニアの特徴
トークセッションでは、Prajwal氏を交えインド人エンジニアの採用についてディスカッションを行いました。インド人エンジニアの特徴や採用のステップについて、お話いただきましたので一部を抜粋します。
山根氏:インド人エンジニアの特徴や志向性についてぜひお話いただけたらと思います。インド人、非常にエンジニアリングの力が強いと世界的にも言われていますが先生からの見え方としていかがでしょうか?
Prajwal氏:まずインド人の特徴で言うと、自分の意見を積極的に述べてくれるので非常に仕事がしやすいかなと思います。失敗を恐れない挑戦マインドが強い点も企業的には良いのではないでしょうか。協調性があり、何においても「No」と言わない。結構なんでもアセットして仕事をしたがるのもインド人の特徴です。要するにモチベーションが非常に高いです。
…(中略)…
現在は日系企業でもグローバルに仕事をされている企業が多く、語学が一番の壁になると思います。インドは国内でも現地のマラティ語、国の言葉としてヒンディー語、教育が英語と、3つの言語を多くのインド人が学んでいます。それに加えて日本語を学習している、つまり語学が堪能で外国語を学習する抵抗が少ない点がインド人の特徴です。
三瓶さん他になにかありますでしょうか?
三瓶:そうですね。それに加えて、人口が多く、競争感が日本とは比べ物にならない点が特徴だと思っています。
【5】インド人エンジニア採用を成功させるためのステップ
山根氏:インド人エンジニア採用を成功させるステップについてお話を伺いたいと思いますが、いかがでしょうか?
Prajwal氏:日系企業が直接インドに入ってインド人を採用するということは、かなりハードルが高いと私は思います。文化の違いもありますし、インドに行ったことのないメンバーであればさらに難しいと思います。そのようなときはインド人の観点から言うと、インドを理解されている人材紹介のサービスや会社を使って入った方がやりやすいと思います。インド人にとっても日本の企業様がつまずいているときに、採用されるとなるとハードルが高いので…、全て把握されている企業じゃないと難しいかなと。ですので、そういった人材紹介のサービスを使った方がいいと考えます。
山根氏:なるほどですね。ありがとうございます。三瓶さん視点ではいかがでしょうか?
三瓶:日本より人口が多いということもあり、1回募集を出すと結構な数の応募が来ます。見慣れないレジュメがどんどん届くんですね、しかもフォーマットも整っていないと。できるのかできないのかよく分からないけれど「できます」と書いてあるレジュメが、どんと届いた中で「どうやって判断するのか?」というのが結構難しいんです。弊社のお客さまはほぼギブリー社のテストを経て、「実際にできるのか」判断した上で面接をするという形になっています。特にITエンジニアの採用をする場合には、テストをしないと面接の回数ばかり増えて結構大変かなと感じています。
山根氏:1回求人を出すだけで、何百、何千というエントリーが来るケースがあると私も聞いたことがあるのですが…。実際、そうなのでしょうか?
三瓶:そうなんです。それでレジュメをPDFで一つずつ開いていかなくてはいけないので、とても大変です。
山根氏:なるほどですね、日本で言う人材紹介を頼るという感覚とちょっと異なるのかなと思ったのですが。日本の場合では優秀な方の母集団獲得のために人材紹介を使う、自社だけでは集まらないから、という視点があると思います。インドでは集まるけれどもプロセスの部分や入社前、入社後のフォローまで含めて一括でお願いできるという点で頼られるケースの方が多いのでしょうか? たとえば企業が自社でインドの学校などに求人を出して集めることもできるとは思うのですが、そもそものナレッジみたいなところを求めて使われるケースが多いのでしょうか?
三瓶:そうですね。そういった形で、最適な母集団形成、入社までのフォロー、面接のフォローというところが大事です。あと実は面接前に日本式の面接を練習しています。いきなり日本式の面接をしてしまうと、ある学生は60分の面接のうち58分くらいずっと自分で話をしてしまったりと、こんなことが普通に起きてしまいます。「いい子だけど聞きたいことが聞けなかった」で終わってしまう。インドはなんとかPRしなくてはという文化なのに、日本はキャッチボールができるかどうかを見るので、それを事前に言っておかないと面接が成り立たないということがあります。
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