EN

【来日レポート】国立か私立か民間か?エジプト学生の大学選びの条件や学生事情とは

エジプト_学生事情

目次

先日、エジプトのアインシャムス大学で日本語学科の専任講師であるエシーバ先生が来社され、エジプトの大学事情等についてお話いただきました。 

今回は、エシーバ先生から実際に伺ったエジプト現地の最新状況について紹介します。 

  

■アインシャムス大学  

・アインシャムス大学(Ain Shams University:ASU)  

アインシャムス大学は、1950年設立された言語学学部を始めとする20の学部と研究所を擁する国立総合大学です。 

その言語学学部の中にある日本語学科はエジプトで2番目に設立され、高水準の日本語教育が行われており、エジプトにおける日本語教育および日本研究の振興に重要な役割を果たしています。  

   

■エジプトの学生事情  

・国立大学受験  

日本では大学入学共通テストが大学入試で実施されますが、エジプトにも Thanweyaと呼ばれる全国高等学校共通テストが導入されています。 

その制度はたびたび内容が変わるそうですが、2025年2月現在は高校3年の学年末に実施される全国共通試験での成績の合計で大学が決まるシステムが用いられています。(2026年より再度制度の変更が予定されています)  

現地学生は高校2年次に文理選択を行い、理系であれば工学系医科学系と専門となる分野を選択します。 

また学生は選択した学部に該当する教科を受講しなければ、希望学部の応募資格を得られません。  

そして高等教育省が各大学に寄せられた応募者数を集計し、合計人数から大学の受け入れ人数が決められ、高等学校のテストでの得点を基に最終的な合格者が決定します。  

・大学の決め方  

学生が大学を決める時に重要視するのが「学部」です。 

日本では東大、京大、早慶上理など大学名で選択する人が多いですが、エジプトの場合何を学ぶかという専門性を重視するため学部、そして希望学部の上位大学ランキングから順に人気が集まります。  

ちなみにエジプトで東大と同じように国内最高峰に当たるのが「医学部」で最も人気があり、国立大学の場合は高校3年次の成績が約93%以上なければ進学できないとても狭き門です。 

続いて人気なのが理系の工学部で約88%以上の成績が必須となります。 

また最低ラインギリギリで大学ランキング上位を狙いづらい学生は、基本的に地元で同学部がある大学を選択します。  

・国立大学の授業料  

エジプトでは国立であれば小学校から大学まで授業料無償化されているため、国立大学に進学できた場合、国が指定した基準をクリアさえすれば、毎年5000円から高くても10000円の入学手数料はかかりますが基本的には無償で通えます。  

また、有償プログラムが開設されている場合に学生が希望すればその有償プログラムに入学することが可能になります。 

有償プログラムでは、講師陣や教育の質は変わらずプラスアルファの授業より良い教室環境で講義を受けられるなど特典があるそうです。  

実はエジプトの国立大学では空調設備が整っていないなど細々とした問題があることが多く、有償プログラムはそれらを補填する形で運営されています。  

・私立学校とは  

エジプトでは全高校のうち私立高校が3割を占めており、基本国からの補助金がないため全額自己負担で授業を受けることになります。 

そのため家計的に難しい学生は国立を選択することがほとんどです。 

実際に授業料無償の国立高校は、人数が多く午前と午後の入れ替えで授業されていますが、近年ではそれを解消するため、多くの学校が新設されるようになっています。」

最近では人気を集めているのは、「日本式学校」で、これまでエジプト全土に60校近くが設立されています。

エジプト人の教師を日本に派遣し、研修を受けさせたり、日本からの専門家を招聘し、学校運営の仕方や教育方法などについて指導してもらったりし、日本式の学校生活、特にクラブ活動や学級活動を経験する子どもが年々増えています。 

私立高校の場合、国立同様の完全アラビア語のみの高等学校、理系科目を英語やフランス語で行われる外国語高等学校、そしてイギリスやアメリカの教育システムを導入しているインターナショナルスクール大きく3タイプの学校があります。  

都市部の場合だと複数の語学に触れられる、そして国立以上の高水準の教育を受けられる私立高校の人気が高い傾向があるそうです。 

そのため家計に余裕があれば私立高校に進学を選択させる家庭が多いそうです。  

一方で私立大学は、教育の質は国立と変わらないものの国立大学に進学できなかった学生受け皿と認識されているケースがいまだに多くを占めます。  

最近では従来の政府系大学に付属する形で設立され大学行政がそこに服する、または設立の発端は民間にあるがその他の機関との共同で設立された大学である「民間大学」が増えてきています。 

民間大学は国立ではないものの、政府がその大学の設立と運営に必要な資金を出しており、国立大学と同じ講師陣が教鞭をとるシステムが取られています。 

そのためか直近の大学ランキングでは、日本政府が設立に大きく関わったエジプト日本科学技術大学(E-JUST)が特定の運屋において国内大学ランキングでトップ大学のカイロ大学を抜き、設立から15年しか経っていないにもかかわらずランキング1位になるなど注目を集めています。  

   

■採用担当者が知っておくべき情報  

・兵役について  

エジプトでは18〜30歳に該当する男性(一部除く)は1年〜3年間軍隊への入隊が義務付けられています。(詳しくはこちらをご覧ください) 

現在でも大学生のほとんど、特に工学部の学生は軍内で仕事があるため卒業後のタイミングで入隊しています。  

入隊機関はほとんどの場合1年で終わりますが、入隊した場合最長で3年は就活ができないため、該当者は日本での就職は困難が予想されます。 

また入隊前1年間はパスポートを発行されないため、国外に出られません。 

またもし期間中に無許可で国外に出てしまうと旅行であっても国外逃亡に該当するため重い刑罰を受ける恐れが多々あります。  

・エジプトの女性  

いまだにエジプト女性の日本就職は難しいそうです。 

これは条件の問題ではなく、両親と離れられないや結婚するためなど個人的な理由が大きく関わっています。 

そのためもし来日しても数年で帰国を余儀なくされるケースもあるかもしれませんが、そもそもエジプト国内を重視している人材は日本就職を求めないため、あくまでも応募母数が男性に比べて少ないという認識に留めておくぐらいで問題ありません。 

実際にASIA to JAPANの就活支援から内定を獲得したエジプト人女性もおり、日本就職に前向きな話を伺っています。 

※エジプト人内定者の声はこちら 

   

■まとめ  

今回エシーバ先生からのヒアリングを紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。  

大学選択の基準や運営方法の種類など、日本と違う文化が根付いていることを改めて感じる内容でした。 

そして、一部の男性学生が抱える兵役はエジプト国内では重要事項である一方で、エジプト人材の採用を検討する日本企業の担当者にとっては採用問題に関わってきます。  

ASIA to JAPANでは安心してエジプト人材採用を進めていただけるよう、就職支援を実施する前に問題なく支援が行えるか学生からヒアリングを実施しております。 

また今までエジプト人材の採用支援実績もあるため、不安を抱える採用担当者様の相談も受け付けております。  

海外の高度人材採用へのご関心、また採用後から入社までの手続き方法など気になることがありましたら、お気軽にASIA to JAPANへお問い合わせください。

その他のエジプトに関する記事はこちら

外国人学生採用

日本語が話せる アジアトップ大学の
理系新卒外国人材を紹介します

最新記事

外国人学生採用

日本語が話せる アジアトップ大学の
理系新卒外国人材を紹介します

この記事をシェアする!