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【セミナーレポート】社員の外国籍率約32%のゴーリスト様に聞く海外採用のきっかけ、気をつけたことは?

目次

ASIA to JAPANは株式会社ゴーリストの菊池取締役を招き、Webセミナー「はじめての外国人採用を成功するための3つの秘訣−継続的に外国人を雇用するために取り組んできたこと−」を開催しました。

 

JETRO(日本貿易振興機構)の「2022年度 日本企業の海外事業展開に関するアンケート調査(2023年2月)」によると、外国人材を雇用する企業の割合は50%を超えました。これは2014年度の調査以来初の半数超えです。

外国人を採用する企業が増えている中で、2016年から外国人採用をスタートし今では社内の3割以上が外国籍社員の株式会社ゴーリストさまにお話を伺いました。
ベトナムやインドの現地法人も立ち上げ、外国人採用を加速されています。

継続的に外国人を採用するためにどのような取り組みを実施されてきたのか、成功だけでなく上手くいかなかったエピソードも含め本セミナーではその秘訣を教えていただき本記事まとめました。

2023年4月13日開催のウェビナー

●トークテーマ
・はじめての外国人採用、どう始まった?始めて感じたことは?
・受け入れ側(既存社員)が気をつけるべきポイントとは?
・外国人社員向けの体制・制度はどう作った?
・外国人社員が活躍するために必要なことは?

●こんな方にオススメ
これから計画的に外国人を採用したいと考えている人事のご担当者さま
・外国人採用をするにあたり、社内の理解をどう推進していけば良いか知りたい人事のご担当者さま
・外国人採用をするにあたり、その後の定着など、入社後のサポート体制に不安を感じている人事のご担当者さま

●登壇者
株式会社ゴーリスト 取締役 菊池 健生さま

●モデレーター
株式会社ASIAtoJAPAN 取締役副社長 赤羽根 大輔

 

はじめての外国人採用はどう始まった?

外国籍メンバーの割合や活躍状況

菊池さま:2023年、ゴーリストは創業から13期目に入りました。現在のメンバーは58名、そのうち日本人は39名、海外メンバー19名です。

赤羽根:割合としては約32%が外国人社員という状況なんですね。ゴーリストさまに海外メンバーが加わったのはいつのタイミングですか?

菊池さま:創業7期目にあたる2017年から海外メンバーが加わりました。社員数は30名くらいの規模のときです。このタイミングで外国籍のメンバー1人目がジョインしました。

赤羽根:現在は19名の外国籍メンバーがいらっしゃるとのことですが、もともと日本で働かれていた方を採用されたのですか?それとも海外から直接御社へジョインしたメンバーもいらっしゃいますか?

菊池さま:最初のメンバーは日本で日本企業に勤めていた方でした。その後のメンバーは、海外現地で採用して日本へ来てもらうという形でした。背景としては、ベトナムとインドにグループ会社があります。現在ベトナムに9名、インドに3名、現地で働かれている方がいます。

赤羽根:外国籍メンバーが多い職種や業務はありますか?

菊池さま:弊社は受託開発事業を行っているので、ITエンジニアの外国籍メンバーが多いです。どうしても比率的に多いのはITエンジニアになりますが、財務や営業をしているメンバーもいます。職種問わず抜擢するように意識しています。

外国人採用を始めたきっかけ

赤羽根:ゴーリストさまが外国籍メンバーの受け入れを始めた理由やきっかけを教えてください。

菊池さま:ゆくゆくはアジア相手にビジネスをしていきたいという考えがあり、事業が軌道に乗ってきたところで外国籍メンバーの採用に踏み切りました。最初はある程度、日本語でのコミュニケーションが取れることを重視して採用しました。
採用してみると、宗教上配慮することなども出てきました。勤務時間中にお祈りをする必要があるとのことで、常駐するお客様先にお祈りスペースと時間を設けてもらうように調整したことは非常に印象に残っています。想定外のことでしたが、彼らの大切にしていることを尊重したいと思いお客様へ相談しました。

赤羽根:お客様先も驚かれたのではないでしょうか。それでも最終的には同意していただけ、うまくやっていけたのでしょうか。

菊池さま:はい、しっかり活躍していただきお客様先でも評価も高かったです。

外国籍メンバーが増えていったきっかけ

赤羽根:そこから外国籍メンバーはどうやって増えていったんでしょうか?

菊池さま:最初のメンバーを受け入れてからは機会があれば採用しようということで、続けていました。大きなターニングポイントとなったのは、インド人のメンバーが2名入ってきたことです。そのうち1人は、今も技術部門で活躍しています。2人とも25歳くらいだったのですが、当時のCTOが「とんでもなくスキルが高い、世の中にはこんな人がいるんだ」と。そこから外国人採用をもっと加速していこうという流れになりました。

 

外国人社員向けの体制・制度はどう作った?

赤羽根:外国人社員受け入れにあたって、社内で変えていったことはありますか?

菊池さま:大きくは変えていません。ミッション、ビジョン、バリューを非常に大切にしている会社なので、評価制度もバリュー評価です。翻訳の際にはニュアンスまで細かく伝わるよう工夫しましたが、評価制度自体は大きく変えていません。
新しく作ったものでいうと、「帰国休暇」として有給をつけてあげる制度は作りました。

赤羽根:帰国休暇はASIA to JAPANでも推奨している制度です。ただ、休暇の差ができてしまうことについて日本人メンバーから不満は出ませんでしたか?

菊池さま:まったく出ませんでした。もともと比較的休みは取りやすく、ゴールデンウィークなども休暇をずらしてとっていいよ、と柔軟にやっていたので日本人メンバーからは特に不平不満などはなかったです。

赤羽根:そうなんですね。暦も日本と同じでない国もありますし、それぞれの国で大事にしている時期や家族と一緒に過ごしたいという時期が異なります。寄り添うためには制度がないと難しいこともありますので、やってよかったと感じていらっしゃいますか?

菊池さま:はい、そうですね。あとは制度まではいきませんがTell me meetingという会を設けて「何か困っていることはある?」と聞く場をセッティングしています。外国籍メンバーを集めて、プライベートな話も含めて何でも質問できるミーティングです。そういうところは丁寧にやっているかなと思います。

 

受け入れ側が気をつけるべきポイントは?

外国人社員受け入れで起こった残念な出来事

赤羽根:言いづらいこともあるかと思いますが、外国籍メンバーを受け入れてから起こってしまった残念な出来事はありますか?

菊池さま:お客様先に常駐してお仕事をしていたときに、外国籍メンバーが業務中にゲームをしていてお客様から指摘をうけ、非常に気まずいことになりました。

赤羽根:本人としては、仕事中にゲームをしても構わないという認識だったんですか?

菊池さま:いえ、「本人は仕事がつまらないから、もっと楽しいことをやりたい」と。

赤羽根:お客様先でそれは、かなり厳しいですね。その後、どうなったんでしょうか?

菊池さま:ゲームはしなくなったのですが、次は寝てしまうという…。最終的にはお客様先でやるのは難しいと判断し、社内で仕事をしてもらいました。
話を聞いていくと、彼はゆくゆくは帰国し日本で学んだことを活かして自分で事業をやりたいと。現在はすでに退職しており、帰国して会社を立ち上げたそうです。ゲームの開発などをして自己実現をしています。

赤羽根:その方は日本でのお仕事とは難しいですが、現在は活躍されているということなんですね。やっぱり日本の仕事環境に合わせにくい方も、中にはいらっしゃいるのは事実ですね。

菊池さま:そうですね。あとはシンプルにミスマッチだったと思います。ゲームの開発がしたいということだったんですが、もともとコミュニケーションが得意な方ではなくて。以前入ったインド人メンバーのように、採用して定着していく中で日本語も習得していくだろうと思ったのですが、全員が全員そうではありませんでした。このようにコミュニケーション上のエラーは、やっぱりありましたね。

赤羽根:それを踏まえて見極め方について、御社の中で変化はありましたか?

菊池さま:丁寧に聞くようになりました。どうしたいのか?どうなりたいのか?しっかり聞いて、強い言葉で出てくる人ほど、本人はやっぱりその方向に進んでいきます。勝手に成長していくだろうと思っていましたが、やる人はやるし、やらない人はやらない。日本人も同じですが、このことを理解してからは個々に合わせたアサインを心がけています。

ミスマッチを乗り越えて外国人社員受け入れで気をつけていること

赤羽根:外国籍メンバーを受け入れにあたって気をつけるべきポイントはありますか?

菊池さま:見極めできれば理想ですが、外国籍メンバーに限った話ではなく日本人メンバーもそうですが見極めきれないなということもあると思うんです。よくある話ですが、新卒一括採用をして新入社員代表で挨拶をした社員がそのまま1年目のMVPを取ることって実際はすごく少ないかと思ってます。
我々の価値観では、人は人を見抜けないとの前提で物事を考えるようにしています。必要なのはオンボーディングとか、対話とか、大事にしていることが変わる瞬間。外国籍メンバーに限らずですが、1on1や対話を大切にしていて、カンパニービジョンとパーソナルビジョンの重なるところを最大化するということを大事にしています。

 

外国人社員が活躍するために必要なこと

赤羽根:これまでの採用を通して、外国人社員が活躍するために必要なことはなんだと思いますか?

菊池さま:リスペクトだなと思っています。異国の地に来て、自社で働いてくれている。まずはそのチャレンジ、自己実現含めてその行動にリスペクトを持つことは大切かなと思います。
あとは、「○○人だから、こう」という括りは本当に良くない、先入観だなと思います。一人一人とコミュニケーションをとって向き合っていくということができれば、外国人社員の活躍につながると思います。もっと言えば「外国人社員」の外国人という括りがなくなるような、社風になっていくことが大事だなと考えています。

赤羽根:ありがとうございます。最後に、外国人社員を今後増やしていきたとお考えの人事担当者様に向けて菊池様からメッセージやアドバイスをいただけますでしょうか?

菊池さま:日本人だけで採用していたときよりも、圧倒的に採用力がつきました。どういうことかというと、日本から海外に広げたことでパイが増えます。さらに、最近では日本語を話せない人も採用することで、出会える人が変わりました
日本にいる日本人だけで採用できるマックスの偏差値が70だとすると、海外採用により人数が増えるので偏差値80、90の人たちと出会える。今まで出会えなかったようなメンバーと出会え、事業が加速し、超一流のメンバーと接することにより既存メンバーの「やらなきゃ」という原動力が生まれてきました。

ASIA to JAPANは外国人社員受け入れのサポートも実施

ASIA to JAPANはアジアトップの大学から日本就職の意思を持つ大学生を集客し、日本へ招待、日本企業との面接会を開催しています。

学生と企業のマッチングを通して、受け入れ時のサポートを行ってほしいとのお声を多数いただいています。企業さまからのお声を受け、ASIA to JAPANはが「外国人社員受け入れ研修」も開催しています。

ダイバーシティやインクルージョンの基本は対話による相互理解。外国人新入社員と受け入れ部門、それぞれに対して「ワークショップ型研修」を実施します。

【外国人新入社員向け】
・違いを知る
・違いとの向き合い方
・日本企業の習慣と特徴
・外国人新入社員が苦労すること
など

【受け入れ部門向け】
・受け入れ部門に対する期待
・今回の新入社員の詳細や出身国の特徴
・受け入れのあるある
・違いに対する向き合い方と超え方
など

外国人採用や外国人社員受け入れにお困りの企業さまは、ぜひお気軽にご相談ください!

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