【セミナーレポート】高度外国人材採用支援セミナー ~企業の未来を担う基幹人材へ~
株式会社ASIA to JAPANは2025年10月23日(木)、日本経済新聞社 人財・教育事業ユニット(本社:東京都千代田区)主催、企業経営者や人事部門役職者向けセミナー「高度外国人材採用支援セミナー~企業の未来を担う基幹人材へ~」を開催しました。
近年では、企業活動を支える若者の減少がより深刻化しており、採用に苦戦する企業担当者も少なくありません。
一方で、海外に目を向けると若い労働力人口は増え続けており、高い専門知識や技術を持つ「高度外国人材」は、単なる働き手の補充に留まらず、企業の未来を担う基幹人材としても注目を集めています。
本セミナーでは、高度外国人材採用を検討されている企業担当者に向け、具体的なプロセスやトレンドなどを徹底解説するとともに、実際に高度外国人材を採用している企業にもご登壇いただき、その背景や狙いを交えた臨場感のあるお話し
を伺いました。
この記事では内容の一部を抜粋してご紹介します。
■セミナー概要

●トークテーマ
高度外国人材採用セミナー
~企業の未来を担う基幹人材へ~
●登壇者
株式会社ジェイテクト(以下:ジェイテクト)
兼房株式会社(以下:兼房)
豊田合成株式会社(以下:豊田合成)
●モデレーター
株式会社ASIA to JAPAN(以下:ASIA to JAPAN)
代表取締役社長 三瓶 雅人
■企業が悩む人材の人材不足
三瓶:厚生労働省が公表している最新の【「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和5年10月末時点)】によると、現在日本で働く外国人労働者数は2,048,675人で、届出が義務化された平成19年以降過去最高を更新するなど毎年外国人労働者の人口は右肩上がりとなっています。

なぜ外国人労働者が増えているのかと言うと、日本人の新卒採用だけでは難しくなってきている、というのが1番の理由です。
日本人の新卒採用において、採用目標数を充足できた企業は40.4%と調査開始以来最低の数値となりました。(『就職白書2023』より)
また年々少子化の影響で若者が減少しており、かつ理系大学生の比率が20.7%と各国に比べて少ない状況の中で、今後この充足率が上がることはないと言っても過言ではありません。
※人材不足の状況に関しては、ASIA to JAPANのこちらの記事もご覧ください。
■各企業の外国人材採用
・株式会社ジェイテクト
担当者様:2006年に2つの企業が合併して誕生したジェイテクトは、まもなく合併から20周年を迎えます。
現在では、国内市場にとどまらず、世界中で私たちの製品が広く活用されています。
事業の中核は、自動車部品事業、産業・軸受事業、そして工作機械・システム事業の3本柱で構成されています。
外国人材の採用については、2023年からASIA to JAPANとのお付き合いを開始しました。
同年に開催された外国人選考会に参加し、3名の外国人材を採用しています。
2024年は事情により採用活動を一時見送ったものの、2025年度は採用を再開しました。
8月と9月に実施された「FAST OFFER」プログラムを通じて、4名の方に内定承諾をいただいております。
・採用の背景
担当者様:当社では、研究開発職に絞って人材を募集しています。
企業の人事担当の方ならお分かりいただけると思いますが、AI人材やソフトウェア人材、そして当社が取り組む自動運転開発に関わる制御システムの構築ができる人材は、非常に競争率が高く、日本国内だけでは確保が難しいという課題がありました。
こうした競争が激化する中で、「どのように優秀な人材を集めるか」を考えた結果、グローバルに目を向けて採用を始めたのがきっかけです。
実際に採用した方々は、これらの分野における知見が広く、入社後すぐに即戦力として活躍してくれています。そのため、当社としても非常に満足のいく採用となりました。
・兼房株式会社
担当者様:当社はBtoB向けに、工業用切削機械に取り付ける刃物を製造しています。
非常にニッチな分野ではありますが、世界的に見ても同業他社は少なく、当社は業界内で大手3社に次ぐポジションに位置しています。
創業は明治29年。およそ120年にわたって培ってきた技術と実績を強みに、ものづくりを支える企業として歩みを続けています。
・採用の背景
担当者様:グローバル採用を始めたのは、2000年代に入ってからでした。
その背景には、1986年にインドネシアへ初の海外拠点を設立し、本格的にグローバル展開を進め始めたのが2000年前後であったことが関係しています。
当時、インドネシア拠点のマネジメント人材を探していた際に、愛知の大学に通うインドネシア人留学生をスカウトしました。
日本で経験を積んだ後、彼はインドネシアで大きく活躍し、現在は副社長を務めています。
その後、「彼の後継者を育てたい」という思いから、10年前に2人目を採用しました。
しかし、インドネシアに異動後、転職してしまったため、再び人材採用の必要性が生じました。
また、海外拠点の拡大に伴い、現地人材の重要性をより強く認識するようになり、外国人材の採用にこれまで以上に前向きに取り組むようになったのです。
2023年には、取引先企業からの紹介をきっかけにASIA to JAPANを知り、同年実施された「FAST OFFER」プログラムを通じて、インドネシア人材を1名採用しました。
ここ2〜3年で、日系人材の採用はますます難しくなっています。
以前は留学生を採用し、日本で育成した後に母国へ戻ってもらい、現地でマネジメントを担ってもらう形が主流でした。
しかし近年は、高度人材として日本国内でも活躍してもらう方向へと方針をシフトしています。
今後さらにグローバル展開を進めていく中で、彼ら外国人材の活躍には大いに期待しています。
・豊田合成株式会社
担当者様:当社は、創業76年を迎える自動車部品のグローバルサプライヤーで、トヨタグループの一社です。
現在、グローバル人材を含めた従業員数は約4万人にのぼります。
主力製品の一つである「エアバッグ」は、世界シェアの約18%を占めており、海外売上が全体の6割を占めるなど、グローバル市場での存在感を高めています。
そのため、社員の中でも外国籍人材の割合が多いです。
・採用の背景
担当者様:豊田合成が外国人材の採用を本格的に進め始めたのは、ここ2年ほどのことです。
ロボティクスやIoT、AIといった分野では、既存社員だけでは補いきれないという課題がありました。
これらは従来の専門領域とは異なる分野であり、新たなスキルや発想を持つ人材の採用が不可欠です。
しかし、新卒採用に目を向けても、理工系学生の競争率は年々高まる一方で、少子化の影響により学生の母数自体も減少しています。
加えて、当社は大手企業に比べて知名度が高いわけではなく、拠点が愛知県にあることから、国内での人材確保は容易ではありません。
さらに、採用までにかかるコストも上昇しており、これまでのように同業種間だけでなく、異業種とも人材獲得競争しなければならない時代になりました。
こうした状況の中で、外国人材の採用に活路を見出すようになったのです。
とはいえ、当初は正直なところとても消極的でした。
「採用体制の準備が整っていない段階で始めて良いのか、無理に進めてもトラブルが起きるのではないか、そしてチームが本当に動いてくれるのか、そうした不安を抱えていました。
そんな中、上層部から「ASIA to JAPANさんの採用イベントに参加してみよう」という声があり、昨年「FAST OFFER」に初めて参加しました。
結果として、インド国籍の方を1名採用しました。
さらに、直近の同イベントではモンゴル国籍の新卒学生1名から内定承諾をいただきました。
どちらもIT分野での採用となります。
もともとは機械工学系の学生を中心に募集をかけていましたが、希望に合う人材に出会えませんでした。
その一方で、IT分野の候補者とは非常に良いご縁があり、結果として大変満足のいく採用となりました。
この採用活動を通じて、社内にも大きな変化がありました。
日本で働くことを夢見る学生がいるということ、そして外国人材の採用をきっかけに、日本人社員の意識にも良い影響が生まれているということです。
この経験は、当社にとって非常に大きな学びとなりました。
■パネルディスカッション
ジェイテクト:担当者様(ジ)、兼房:担当者様(兼)、豊田合成:担当者様(豊)
・採用前、準備段階
三瓶:外国籍採用を始める際、誰かの声かけから始まることが多いのですが、最後採用まで到達できないという壁にぶつかることが多々あります。
この障壁を突破するためにどんなプロセスがありましたでしょうか?
担当者様(ジ):弊社では、過去に外国籍人材の採用で失敗した経験がありました。
約10年前、自動車部品の設計開発者として外国籍の方を採用しましたが、日本語が話せない方だったため、コミュニケーションがうまく取れず、またお互いの文化を理解し合えなかったことから、職場に馴染めず退職されてしまいました。
この経験をきっかけに、上層部の中では外国籍人材の採用に対して慎重な姿勢が強まっていきました。
しかし一方で、日本人の採用も思うように進まず、さらに中途採用では年収の約35%を人材会社に支払う必要があるなど、コスト面での課題もありました。
そうした中で出会ったのが「FAST OFFER」でした。
成功報酬型であるため中途採用ほどのコストがかからず、さらに日本語を話せる理系の外国人学生が多いという点に魅力を感じ、上層部に提案して再び外国人材採用に挑戦することにしました。
三瓶:ありがとうございます。
日本語を話せる海外理系学生はほぼいないので、その点の魅力に気づいていただき嬉しいです。
担当者様(兼):弊社ではもともと、留学生を将来的に子会社のマネジメントを担ってもらう目的で採用していました。
当時は「数年後に母国へ戻り、現地拠点を担当してください」という形で採用していました。
しかし、採用前から日本での生活に思いを寄せ、「日本で働き続けたい」という思いを持つ方がほとんどでした。
なかには、日本で家を購入し、母国へ戻らず転職されるケースもありました。
こうした経験を経て、外国籍社員にも日本人社員と同じ条件で働いてもらうことで、長期的に定着してもらう方向へと方針を転換しました。
一方で、これでは当初の目的であった「現地拠点を担う人材の育成」という採用方針からは外れてしまうため、改めて対策を検討しました。
その中で、「海外の大学に通う学生を直接採用する」という方法に可能性を感じ、現在の採用スタイルへとつながっています。
三瓶:素晴らしいシフトチェンジですね。
外国人採用でとても必要な考え方だと思います。
担当者様(豊):当時の事業部長は「保守的でいては今後立ち行かなくなる」という考えの持ち主で、新卒採用が思うように進まない現状に危機感を抱いていました。
そんな折、ASIA to JAPANさんの広告が目に留まり、「国内での採用が難しいのであれば、高度外国人材の採用に挑戦してみよう」という方針のもと、採用プロジェクトが動き出しました。
いわゆるトップダウンの形です。
一方で、当時の私たちのチームは「社内の受け入れ体制が整っていないのに、果たして本当に採用できるのか」という不安を抱えており、納得しきれないままのスタートでした。
そこからは、社員や役員に理解を得るため、人口減少や外国人採用の重要性、東海エリアでの採用難といった社会的背景を丁寧に共有し、受け入れの準備を進めていきました。
部長の決断があっても、最終的に責任を負うのは社長です。
経営陣にも納得してもらえるよう、何度も丁寧な説明を重ねました。
弊社は基本的に日本語のみで業務を行っています。
外国人材の採用にあたっては複数の人材会社を利用していますが、ASIA to JAPANさんが紹介してくださる学生は、日本語能力が高く、社内でも安心して受け入れられる点が非常に魅力的でした。
また、「FAST OFFER」は3日間という短期間で選考が完結する点、成功報酬型でリスクが少ない点、海外へ出向かずとも複数国の候補者と面接できる点、そして何より「日本で働きたい」という強い意欲を持つ学生が集まっている点などから、会社としても挑戦しやすい仕組みだと感じています。
三瓶:弊社サービスの魅力も合わせて丁寧に紹介いただきありがとうございます。
やはりトップダウンからのスタートは、どの企業様でも起きていることです。
ここで経営陣も巻き込んで採用活動に取り組まれていることが、採用をうまく進める重要なポイントだと私たちも考えております。
・面接時
三瓶:続いて面接時について質問ですが、日本人学生を採用する場合と比べて、どのような違いがありましたか?
また、外国人材を採用する際に、どの程度の日本語力を基準として選考を進めたのかについても教えてください。
担当者様(豊):私たちが面接で重視したポイントは、「日本語力を日本人基準で判断しないこと」です。
カタコトだからといって不採用にするのではなく、どれだけ意思疎通ができるか、そして日本で働く意欲がどれほど強いかを大切にしました。
面接に関わる全社員にも、その点をしっかり認識してもらいました。
特に重視したのは、「日本に来たい理由」です。
単なる観光の延長線としてではなく、日本という国を理解したうえで「ここで働きたい」と思っているかどうかを丁寧に確認しました。きっかけは何であっても構いません。ただ、日本をよく知ったうえで来る人のほうが、長く定着してくれると考えています。
また、学生側の視点では、「自分が学んできたことと業務内容が一致、もしくは関連しているか」を特に気にする傾向がありました。
日本人学生の場合、「まず会社に入る」という志向が強いですが、外国籍の学生は「自分の専門性を活かせる職種」にこだわる傾向があると感じました。
三瓶:確かに、外国籍の学生の多くは「自分が学んできた分野に関係する職種に就きたい」という思いを強く持っています。
そうした点で、面接時に日本語力を日本人基準にせず、意欲や適性を重視されたことは非常に素晴らしいと感じました。
また、エンジニア職の面接では、面接官の方々が真面目な性格ゆえに、つい難しい日本語や専門的な言葉を使ってしまうケースがあります。
しかし、そのような場面では、学生が質問の意図を理解できず、うまく会話がかみ合わないことも少なくありません。
面接では「話し言葉」で、できるだけリラックスした雰囲気で話していただくことが大切です。
そうすることで学生も日本語を話しやすくなり、より自然でスムーズなコミュニケーションが生まれるでしょう。
担当者様(兼):面接の質問内容は、日本人学生の場合と基本的に同じ流れで進めています。
ただし、「なぜ日本で働きたいのか」という点については、豊田合成さんと同様に特に丁寧に確認するようにしています。
日本語レベルについては、ほとんど気にしていません。
どちらかというと、多少カタコトであっても、会話のキャッチボールができるか、相手の話を理解しようとする姿勢があるかといった点を重視しています。
優秀な学生ほど、日本語が完璧でなくても、話し手の意図を的確に汲み取り、限られた語彙の中でもしっかりと自分の考えを伝えられます。
そのため、私たちは語学力そのものよりも、社員と円滑に意思疎通を図るためのコミュニケーション力を重視して面接しています。
三瓶:ありがとうございます。
語学力は入社後の努力や環境によっていくらでも伸ばせます。
しかし、コミュニケーション力はその人がこれまでの経験の中で培ってきたもので、短期間で身につけられるものではありません。
だからこそ、私たちもこの点を企業の方に必ずお伝えしております。
担当者様(ジ):弊社も、お二方と重視したポイントは同じです。
配慮した点としては、面接はすべて日本語で実施したため、まずは話すスピードに問題がないかを確認しました。
また、観光や留学などの日本滞在経験の有無、そして日本で困った際に頼れる人がいるかどうかについても質問しました。
社会人になると学生時代とは異なる文化や環境に適応する必要があるため、日々のストレスやトラブルに直面したときに支えとなる人がいるかどうかは、企業として把握しておきたいと考えたからです。
面接を通して感じたのは、FAST OFFERに参加する学生は皆、日本語が非常に上手だということです。
資格としての語学レベル以上に話せる学生も多く、日本語学習を始めて1年ほどで日常会話レベルまで習得している方も普通にいました。
面接前は「本当にコミュニケーションが取れるだろうか」と不安に思っていましたが、結果的にはまったく心配いりませんでした。
さらに、外国籍学生は自己PRが非常に上手で、企業との親和性をわかりやすく伝える力があると感じました。
また、学生のうちから企業と共同でプロジェクトを進めている方も多く、即戦力として活躍してくれそうな人材が多かった点も印象的でした。
三瓶:ありがとうございます。
確かに弊社では、日本語教育プログラムを独自に運用していますが、JLPT(日本語能力試験)に準拠していません。
というのも、学習の目的を「資格の取得」ではなく、「面接時にしっかり受け答えができるようになること」としているからです。
そのため、FAST OFFERに参加している学生の中には、N5を持っていなくても実際には十分な会話力を備えている方も多くいます。
また、もし「優秀な外国人学生を採用したい」とお考えであれば、日本人採用とは異なる視点が必要だと感じています。
特に大切なのは「面接官が“優しいかどうか”」という点です。
外国人学生は、複数の企業と面接を受ける中で、「あの会社の面接官はとても優しかった」「話しやすかった」という印象を強く持ちます。
そしてその「安心感」が、最終的に企業選びの決め手になることもあります。
学生にとって、「面接官が優しい=企業が優しい」という印象につながるからです。
ですので、一次面接で良い印象を持った学生がいた場合は、二次面接でもリラックスして話せるよう、面接官の対応を工夫することで採用がよりスムーズに進む可能性があります。
■外国人材採用について詳しく知りたい方は、お気軽にご相談ください
今回のセミナーでは、各企業がそれぞれの課題や経験を経て、外国人採用に本格的に取り組むようになった経緯が共有されました。
共通していたのは、「日本語力だけで判断しない」「コミュニケーション力や意欲を重視する」という姿勢です。
また、面接官の対応や学生への向き合い方といった“人”の部分が、採用成功の鍵を握ることも印象的でした。
FAST OFFERを通して採用された学生たちは、想像以上に高い日本語力や専門性を持ち、日本企業の一員として活躍できるポテンシャルを十分に備えています。
そして何より、「日本で働きたい」という強い思いが、彼らの最大の原動力となっています。
採用の難易度が年々高まる中、企業がグローバルな視点を持つことはもはや特別なことではなく、必要不可欠な取り組みとなりつつあります。
ASIA to JAPANは、これからも日本企業と海外の優秀な学生をつなぎ、ともに未来を築くためのサポートを続けてまいります。
外国籍の学生採用に興味がある企業様はASIA to JAPANへお気軽にお問い合わせください。