【セミナーレポート】海外大生と外国人、優秀なグローバル人材の新卒採用戦略セミナー
ASIA to JAPANは、株式会社ハウテレビジョン様と共催で【26卒海外大生の最新動向と外国人採用のリアル】を7月29日に開催しました。
今年多くの企業様から「グローバル・バイリンガル人材が足りない」「優秀な人材が足りない」というお声をたくさんいただきます。より優秀な学生を求めて大手企業が短期インターンシップを実施するなど、多くの企業の選考の早期化が進んでおり、より優秀な学生の採用競争が大切です。
そこでウェビナーでは「グローバル人材として必要な高い海外大生の思考性や採用活動の視点」また「エンジニアを中心に進んでいる外国人採用の実態やメリット」についてお話ししました。
この記事では内容の一部を抜粋してご紹介します。
■セミナー
●トークテーマ
26卒海外大生の最新動向と外国人材用のリアル
●登壇者
株式会社ハウテレビジョン(以下:ハウテレビジョン)
事業開発部 部長 戸川 博司 様
株式会社ASIA to JAPAN(以下:ASIA to JAPAN)
代表取締役社長 三瓶 雅人
■海外大生の志向(海外の大学や大学院に進学した学生)
・26卒海外大生の志向性
戸川様:外資就活ドットコムに登録する25卒・26卒の学生および全世界に留学している学生を対象に、アンケートを実施した結果をお話し出来ればと思います。
企業を選ぶ際の志向性について日本の難関大生と海外大在籍学生(以下:海外大生)を比較すると、「大手企業で働きたい」「年収を重視」についての傾向は国内の難関大生と変わりませんでした。特徴的なのは海外大生については、「グローバルで勝負したい」というのが圧倒的であったということです。これについては海外で学ぶ留学生なのである意味当然の結果なのではという感想です。
もう一つ「若いうちから裁量がもてる」が海外大生の志向に入ってきています。一方、難関大生の回答のうち「ワークライフバランスを重視」の項目が入っていますが、海外大生には入っていません。
ここから、国内の難関大生に比べてチャレンジングな志向を持つ学生が海外大生には多いことが見て取れるデータとなっています。
・海外大生に人気な職種
戸川様:海外大生と、外資就活ドットコムに登録している国内学生全体(難関大生に限らず)を比較すると、まず両者で最も志望される人気職が「戦略/総合コンサルタント」でした。割合を見てみると国内学生は17%ほどですが、海外大生は20%超えと比率が高くなっています。
また海外大生では「インベストメントバンキング(投資銀行)」や「リサーチ(証券アナリストなど)」と金融が上位に入ってきています。金融業界は欧米で人気ということもありますし、働く環境が非常にグローバルということも人気となっている背景にあるのではと考察しています。
・就活に関する情報が不足している海外大生
戸川様:留学生は就活で日本企業の方々と接点が取りにくいという問題があります。コンサルや外資の金融企業は、海外まで出向いて直接学生と接点を取る活動をされているケースが多いので、志望職種に金融系が入る理由の一つとなっているのではと認識しています。
その他に「就活でどのような課題を感じているか」、「海外大生に就活において支援が足りていないものは何か」を見てみましょう。オンラインイベントに参加された海外大生を対象としたアンケート結果を見ると、最も不足しているものは「インターンシップや選考の情報提供」でした。
海外大生は授業だけでなく日常生活を送るだけでも非常に大変な環境ですし、また日本との時差やオフラインイベントに参加するには物理的な問題があるなど様々な問題が複合しています。そのため海外大生は留学をしている先輩から就活情報を得ることが多いそうです。しかし日本人が少ない大学で留学をしている学生は話を聞く先輩がおらず、企業や職種・キャリアに関する情報が全く入ってこないどいう状況に置かれています。
また、現地の大学へ訪問し直接交流を取れる企業は、コンサルや外資金融もしくは大手企業に限られるため、幅広く業界をみる機会が稀有な状況です。裏を返すと、どんな企業でも情報をしっかりと届けることができれば選択肢に入る可能性があると言えます。
・海外大生が活動する時期
戸川様:海外大生の動きについて気になる方が多いかと思いますが、データを確認すると、1月ぐらいから動き出しているようです。ただ日本国内の就活のように決まった時期に大きな山があるというわけではなく、常時2学年の学生が、何かしらの情報収集やエントリーをしています。
もちろん国によって動き方が違いますし、学生が持っている情報によって動き出しが異なってきます。そのためマーケットはなかなか捉え切るのは難しいです。一方で、常時動きがある分、いつアプローチをしてもある程度学生と接点が取れる可能性があるとも言えます。
■外国籍人材の採用が必要な理由
海外大生の志向が見えてきたところで、続いて、外国籍人材について見ていきましょう。
三瓶:厚生労働省が公表している最新の【「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和5年10月末時点)】によると、現在日本で働く外国人労働者数は2,048,675人で、届出が義務化された平成19年以降過去最高を更新するなど毎年外国人労働者の人口は右肩上がりとなっています。
なぜ外国人労働者が増えているのかと言うと、日本人の新卒採用だけでは難しくなってきている、というのが1番の理由です。
上記資料のように、日本人の新卒採用において、採用目標数を充足できた企業は40.4%と調査開始以来最低の数値となりました。(『就職白書2023』より)
また年々少子化の影響で若者が減少しており、かつ理系大学生の比率が20.7%と各国に比べて少ない状況の中で、今後この充足率が上がることはないと言っても過言ではありません。
・世界に目を向ける
三瓶:日本人の新卒採用が年々難しくなる中、世界中に大学生はどれくらいいるのでしょか。2022年時点で、中国は約5,714万人と日本の人口の半分近くが大学生であるということがわかりました。インドも今は4,055万人の学生いて、日本と比べて大学生の数が圧倒的に多いです。
ただ、この両国については国内情勢や諸外国の不況の影響もあり、大学生の数に対して就職状況がそれほど良くありません。そのため日本の15倍、10倍のマーケットから優秀な人材を採用できる可能性があります。日本人だけの人材確保が厳しいのであれば、世界に目を向けてみるもの一つの手段になると考えます。
・日本で働きたい理由
三瓶: このような状況の中で、外国籍人材を採用することを検討する企業も増えていますが、企業がよく気にされるポイントが「何故日本で働きたいのか?」という点です。純粋に気になる点でもありますが、昨今の円安の影響がどこまであるかについても、皆さん気にされているのかと思います。
ASIA to JAPANが提供している日本語授業を受講している学生にアンケートをとった結果では、純粋に「日本で働きたい」と答えた学生は非常に少なく、日本の文化が好き・日本は安全で便利だから「日本に住んでみたい」という方が非常に多いです。この内容自体は日本人として非常にありがたいことでありますが、「住む」ために「日本で働く」と考えている人が多いということをお伝えできればと思います。
・円安の影響は?
三瓶:また「円安の影響で日本に来てもらえないのでは?」という点についてですが、東アジアで大きな影響が出ていると感じています。実際に沿岸部の北京や上海、台湾、韓国に住む学生から、弊社就職支援サービスの『FAST OFFER』への登録が減りました。
日本では半導体が注目を集めており、台湾の学生を採用したいという声がかなり多いのですが、採用は難しい状況です。また、日本語がすぐに話せるようになるという点で韓国学生の採用をしたいという声も良く聞きますが、近年のソウルは日本よりも給料が高くなっているため、わざわざ日本で働く理由がなくなりつつあります。
では中国からの応募も厳しいかというと、実は、今年は過去最高数の登録が弊社のサービスへありました。文系に至っては国内での就職先が見込みづらいという問題があるため、多くの登録があったと推測しております。円安は続きますが、一部エリアを除けば、まだまだ日本の魅力はあるなと感じています。
・日本就職の壁
三瓶:日本就職の壁は間違いなく「日本語」です。仮に企業様が「日本語は話せなくても、英語が出来れば大丈夫」と言っていただければ、数万人単位で採用することが出来ると言っても良いくらいです。現状でもASIA to JAPANのお客様で「日本語で面接を実施したい」と希望する企業様は全体の9割以上を超えております。
アメリカの外交官育成期間が出している取得困難度別のカテゴリーがあるのですが、日本語は非常に難しいとされる「カテゴリーⅣ」に分類されています。もちろんこれはアメリカ人にとっての指標にはなりますが、漢字圏であることに加えて、平仮名、カタカナと3種類を学ぶ必要があるため、外交官でも習得までに2年必要とされています。
学生に日本語を学んでもらうとしても、大学の勉強との両立は至難の業であるが故に、日本語を話せる学生は非常に貴重と言えるでしょう。
・外国籍人材採用の注意点
三瓶:最後に、外国籍人材を採用するときに注意すべきポイントを3つお話したいと思います。
一つ目が「経営層からのトップダウン」です。これは非常に重要なポイントになります。採用を決めることは経営サイド発信ではありますが、ここに強い意志がなければ現場で起こるイレギュラーに担当者が不安を抱き、求めている採用結果に至らないと思っています。人数、注力するポイント、採用に至らなかった理由などコミットメントを求めなければスムーズに進みません。
二つ目が「キャリアパス」についてです。外国籍の方はキャリアパスを重視します。海外では一般的にジョブ型が採用されており、文化として根付いています。そのため学生の多くが「〇〇学部で〇〇を学んだのでこの仕事を選んだ。この仕事で私はキャリアパスを作っていきたい」という思いを持っています。
日本では研修の後に配属を決定したり、ジョブローテーションを実施する企業も少なくありません。しかし外国籍人材はその考えが理解出来ないことが多く、理解してもらえるまで丁寧に説明しなければ余計な不安を与える事となり、最終的に採用が難しくなります。
三つ目は「現場を巻き込みチームで動く」です。通常の採用では、経営者の方と人事担当役員、採用担当者から現場にヒアリングをおこない「何人採用したいですか?」という形でプランニングしていくかと思います。
外国籍人材採用については、配属される部署の責任者や、外国人材が社内にいる場合はその方にも採用チームに加えて採用のプランニングから参加してもらい、選考を進めることが大切になります。現場を巻き込まないで進めていくと、配属後、現場社員が外国人社員とコミュニケーションがうまく取れず、不満が出るケースがあるからです。
採用する部門が責任を持って面接を行う事で責任の所在を明らかにし、さらにチームの軋轢を回避することができます。
■外国人人材採用について詳しく知りたい方は、お気軽にご相談ください
今回のウェビナーでは海外大生と、外国籍人材の志向性や採用について紹介しました。
ASIA to JAPANではアジアを中心とした理系学生の日本語話者育成や、日本企業との面接の場また
外国人採用が未経験でも、採用経験はあるけどうまくいかなかったなど悩みを不安に企業様の採用支援も行っております。実施しています。
学生の採用に興味がある企業様はASIA to JAPANへ気兼ねなくお問い合わせください