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代表取締役社長の新美彰崇氏と管理本部 総務部 総務経理室の藤本恵氏にお話をうかがった。

【ご利用サービス】
  • FAST OFFER (外国人学生採用)

  • 【サービスご利用後の変化】
  • 採用時の日本語レベルよりも、努力の姿勢やポテンシャルが重要だと実感
  • 長期的に働いてもらうための課題を考えるようになった
  • 目次

    外国人材採用を始めた経緯を教えてください。

    新美:以前から現場ではベトナム人やブラジル人、スリランカ人、中国人など、多種多様な人材が働いていましたが、高度外国人材を採用するようになったのは最近のことです。

    そもそも当社が採用に力を入れ始めたのが2016年。現場で働く人だけでなく、幹部として会社を引っ張っていく人も足りない中、従業員の高齢化も進み、定年を迎える人が増えたことで人材不足が深刻な状況でした。

    また、当社の売上の90%が豊田自動織機からの受注であり、自分たちでビジネスをつくりたい想いがありました。そこで技術部に所属していた中国籍社員を大学に派遣し、私と一緒に新規事業をつくる中で形になったのが画像検査装置です。部品の検品・検査を自動化するもので、プロトタイプを作ったところ、お客さまのニーズがあることも分かりました。

    そこで画像検査装置の製品化を進めるべく、勢いを持ってガンガン手を動かせる高スキルな若手技術者を求めて中途採用を始めたのですが、思うように採用ができず、2021年より新卒採用でも理系の高度外国人材に目を向けるようになりました。今では社員の約20%が外国人材です。

    外国人材と日本人で、新卒採用の選考や評価軸に違いはありますか?

    新美:外国人材の方が、自分のしたいことが明確な方が多いように感じています。面接では本人の専攻やキャリアプランを確認し、本人の希望と入社後の配属に差異が生じないよう心掛けていますね。

    外国人材といっても、当社で長く働きたい人もいれば、数年経験を積んだら母国に戻って起業したい人、日本での転職を視野に入れている人など、様々です。数年で辞めてしまうと困る職種もありますが、基本的には数年間貢献してもらえれば問題ないと考えていますので、本人の志向やキャリアプランに合わせて任せる業務を明確化することが重要だと思います。

    最近では日本人でも若手離職率が高まっていますし、日本人でも数年で辞める可能性を織り込んで採用しています。そういう意味では、日本人の若手採用と考え方は大きく変わらないと思いますね。

    ただ、画像検査装置のエンジニアとして採用した人材に関しては、結果的に外国人材の方が長く働いてくれています。

    私の印象ですが、外国人材のほとんどがインターンシップを経験しており、「企業は成果ありき」という考え方が根付いているように感じます。選考の時点でも実績やインターンシップ経験など、レジュメにアピールポイントが明記されている。根本的に「成果を上げて、その成果に見合った待遇を獲得する」という発想があるように思いますし、ある程度現実を理解した上で入社しているような気がします。

    一方、日本人の場合は、学生と社会人でギャップが大きいように思います。大学では興味のある技術を好きなように学べますが、仕事では納期や品質、お客様とのやり取りなどが発生しますし、当然成果を求められます。そこにプレッシャーを感じてしまい、退職につながるケースが見られますね。

    日本語力はどれくらい重視していますか?

    新美:日常会話でコミュニケーションできる程度のレベルをイメージしています。N 3 レベルであれば十分、という感じで見ていますね。

    日本に留学している人の中には、授業も日常会話も全て英語で、日本語をほぼ使えない人がいますが、それでは技術用語や文化的背景を理解するのが難しく、入社後に本人が孤立してしまうこともあります。何より日本語を勉強するのは「日本で長く働く」意思の表れだと思っているので、そういう観点でも重視していますね。

    藤本:今年入社したインド人の従業員に、入社までの 3 〜4か月間で日本語の勉強をしてもらったところ、見違えるほど上手になりました。新入社員の教育プログラムに就業規則を皆で音読する時間があるのですが、「皆がするなら私もします」と、つまりながらも読んでくれました。日本人より彼女の方が漢字を正しく読めていたくらいです。本当に熱心に日本語の勉強をしてくれたのだと感じました。採用時の日本語レベルよりも、努力できる姿勢やポテンシャルが重要だと思いますね。

    新美:入社後はオンラインの日本語レッスンを受けてもらいながら、日本語と英語が堪能な人を介して話したり、グーグル翻訳を利用したりしています。小さなコミュニケーションエラーが起きることはあっても、大きく問題になったことはないですね。社内で英語が使える人間は 5 %ぐらいですが、エンジニアリングは世界共通であり、行間を読むようなこともないので成り立っていると思います。誰がしても結果が同じになるような仕事じゃないと、コミュニケーションミスや文化の違いの問題が生じてしまいますから。

    外国人材の受け入れにあたり、気を付けていることはありますか?

    藤本:日本の生活に慣れるまでの数年間は、衣食住のサポートをきちんとするのが重要だと思います。ムスリムの方に向けてハラルフードを買えるお店の地図を作るなど、日本の生活にいち早く慣れてもらうよう意識しています。

    特に住まいは会社が保証しなければ入居することができません。当社で採用した外国人材は会社から自転車で15分ぐらいのところに住んでいますが、最初に採用したインド人社員が住んでいるアパートの隣部屋がたまたま空いていたので、次に入ってきた 2 人のインド人もそこに入居し、三姉妹のような感じで仲良く暮らしています。朝も一緒に出勤していますね。

    どうやら最初に採用したインド人の従業員が後輩の 2 人と入社前からLinkedIn (リンクトイン) でつながり、日本の生活についてアドバイスをしてくれていたようです。おかげで後輩の 2 人はスムーズに生活を軌道に乗せられたように思います。

    新美:同じ国の出身者を複数人採用することは意識していますね。1 人だけだと孤立しやすいですが、複数人いれば支え合えますから。他に日本語が苦手な人の周りには英語が得意な人を置くなど、外国人社員が助けを求められる環境を整備するよう心掛けています。

    また、当社では適性検査を重視しています。もちろん文化的な違いはあるものの「こういう性格の人なんだな」と分かれば、一個人として相手への理解を深められます。外国人だからと特別に見るのではなく、あくまで「人それぞれ違う」を前提にする。性格の違いと文化や言語の違いを同じファクターとして捉えるイメージです。

    こうして国籍を意識する必要がなくなれば、あとは言葉の問題だけです。だいぶハードルは下がりますし、日本人採用とそれほど違いはないと思いますね。

    藤本:当然のことですが、改めて人間性に国籍は関係ないと私自身実感しています。当社の外国人社員は皆性格が良く、新卒で入った外国籍社員は部署でとてもかわいがられています。彼らは成果にこだわって一生懸命仕事をしていますから、周囲はなおさら面倒を見てあげたい気持ちになるのでしょうね。始めは様子見だった社員も打ち解けてきているように感じます。

    今後ついて、課題に感じていることはありますか?

    新美:長く働いてもらうために何をすべきか、考えていきたいと思っています。というのも、外国人材には40歳の壁があるように感じています。30代後半から40歳にかけて、親の介護などの事情で母国に帰ることを考えるタイミングが訪れますから。

    日本で長く働いてもらうために必要なものの一つが、各国のコミュニティだと思います。先日退職したイラン人社員は「日本で転職して数年したら、イラン人コミュニティがあるカナダに移住する」と言っていました。もし日本にイラン人コミュニティがあれば、違うキャリアプランを描いていたのかもしれません。

    今後、仮にインド人を毎年 5 人採用していけば、当社内にインド人コミュニティができるでしょう。理想をいえば近隣の会社も巻き込んで地域全体でコミュニティをつくれれば、さらにインド人が来やすくなる循環を生み出せます。

    当社がそうだったように人手不足で困っている企業は多いと思いますが、海外から外国人材を採用するという選択肢は、知らなければなかなか持てません。だからこそ外国人材の採用という手段があることをまずは広めたいです。

    貴社で外国人材採用がうまくいっている理由は何だと思いますか?

    藤本:採用担当の視点から見て、理由は二つあると思います。一つは、外国人材採用を許可してくれた社長の柔軟性。普段から「まずやってみて、ダメなら軌道修正すればいい」というスタンスであり、理系の日本人学生の新卒採用に苦戦していたとき、「日本人の人口は減っているから仕方ない。目的は優秀な人の採用だから、日本人にこだわらず世界中から優秀な人を連れてきてほしい」と社長から言われたことで外国人材の新卒採用はスタートしています。トップのコミットが追い風になるのは間違いありません。

    新美:技術がある人であれば国籍は関係ないのではないか、という疑問は昔からありました。僕は日本人と外国人の区別があまりピンとこないタイプで、明確な差がよく分からないのです。結局機会がありませんでしたが、若い頃は海外留学をしたい気持ちもあったので、外国人材と働いてみたいという個人的な好奇心もありましたね。

    藤本:うまくいっているもう一つの理由は、入社してくれた外国人材の人柄です。私は彼らと一緒に買い物に行くなど会社外でも接点があるのですが、「良くしてくれてありがとうございます」という言葉が自然に出てきます。生活のフォローは仕事の一環ではあるものの、彼らに早く日本に馴染んでほしいという個人的な想いも強くなります。そういう性格の良さは万国共通であり、改めて人柄が重要だと実感していますね。

    改めて、外国人材を採用する良さはどのようなところにあると思いますか?

    新美:外国人材は「この仕事を日本でしたい」という意思を持ち、そのためのスキルを備えた人材です。そこは信頼に値すると思います。

    今は自分一人で完結するような仕事をしてもらっていますが、この先はチームマネジメントができるような外国人材を増やしていきたいですね。そのためにも長く働いてもらうためにすべきことを考えていきたいです。

    また、近年当社では成果給を取り入れました。従来の業務はチーム仕事であり、個人ごとの成果に差がつかないので一律待遇でしたが、新規ビジネスの画像検査装置は本人の頑張り次第で如実に差が出るため成果給を取り入れました。結果的に今後、外国人材を受け入れる上でもプラスに働きそうだと感じています。

    画像検査装置は技術的には確立できたものの、マンパワー不足で売上が伴っておらず、利益を上げる意味では今はまだ 4 合目ぐらいです。まだまだこれから入る人たちが活躍できる余地は十分ありますから、引き続き優秀な外国人材採用を続けていきたいですね。

     

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