
― 御社の従業員規模と、外国籍社員の在籍状況について教えてください。
当社の国内従業員数は約700名で、そのうち外国籍社員は20名程度在籍しています。
国籍としては中国籍が中心ですが、タイ、フィリピン、ベトナムなど、複数の国・地域出身の社員が在籍しています。
これまでさまざまな国籍の人材を受け入れてきましたが、文化やキャリア観の違いから定着が難しかったケースもあり、現在はその経験を踏まえながら体制を整えている段階です。
― 外国人材の採用に取り組まれた背景を教えてください。
国内市場はバブル崩壊を機に低迷が続き、事業の継続的成長はもとより、存続さえ危ぶまれる状況でした。
そのため、1990年代には海外展開を加速させる経営戦略へと転換がはかられ、海外のグループ会社の設立やM&Aを進め、事業は着実に国際化してきました。
しかし日本人のみで構成された組織では、文化や商習慣の違いに十分対応しきれない場面も出てきました。
そうした背景から、徐々に外国籍人材の採用を進めてきました。
特定国籍に限定するのではなく、新卒採用の枠組みの中で門戸を広げる形でスタートしています。
― 本格的に進めるにあたって、不安や懸念はありましたか。
最も大きかったのは生活習慣やキャリア観の違いです。
言語面については、日本語能力を一定水準以上有する人材を採用していたため大きな課題ではありませんでしたが、キャリア形成の考え方は国によって大きく異なります。
日本企業では新卒一括採用後、数年間の育成やローテーションを通じてキャリアを形成していくケースが一般的です。
一方で、専門性を軸にキャリアを積み上げる文化圏では、その仕組みに違和感を持つこともあります。
過去に定着が難しかったケースについても、こうした価値観の違いが一因であったと分析しています。
― FAST OFFERを知ったきっかけと、導入を決めた理由を教えてください。
きっかけは、当社取引先からの紹介でした。
外国籍採用を進めてはいたものの、本格的に海外の大学生に特化した採用は行っていなかったため、検討することになりました。
導入の決め手は、技術系人材に強みを持っている点です。
東南アジアの大学と強固なネットワークを持ち、技術系の優秀な学生を集めている点は大きな魅力でした。
また、面接候補者に対して丁寧にフォローしている印象がありました。
日本語学教育も含め、日本企業で働くことを前提とした準備がなされている点も安心材料でした。
単なる紹介に留まらず、受け入れまでを見据えた支援姿勢を感じたことが参加の決め手です。
― 面接会に参加されて、学生の印象はいかがでしたか。
まず強く感じたのは、日本で働くことへの明確な意思と熱意です。
企業研究の深さや準備の質は、日本人学生以上だと感じる場面もありました。
特に技術系人材については、研究レベルの高さが際立っていました。
自社製品への応用可能性を具体的に想像できるテーマに取り組んでいる学生もおり、事業との接続をリアルに描けたことは大きな収穫です。
また、自国を離れ、海外企業の面接を受けに来るという決断自体に強い主体性を感じました。
研究を主体的にやり遂げている学生も多く、自立性の高さが印象的でした。
― 受け入れ体制や定着施策について教えてください。
現時点では、外国籍社員に限定した特別制度は設けていません。
新入社員全員に対して若手社員がサポート役として付く体制を取っており、彼らも同様の仕組みの中で受け入れています。
重要なのは、「外国籍社員向け制度」を作ることではなく、全社員が働きやすい環境を整えることだと考えています。
制度設計の際には常に「外国籍社員もいる」という前提で検討を行っています。
― 現場からの反発はありませんでしたか。
過去には文化や仕事の進め方の違いへの懸念は確かに存在しました。
しかし現在は、海外企業との事業統合を経て、英語を含むグローバルコミュニケーションが日常的になっています。
外国籍だから困るという声はほぼなくなりました。
むしろ、外国籍社員の視点や考え方が日本人社員に刺激を与え、組織全体のマインド変化につながっています。
― 今後のグローバル人材採用の展望を教えてください。
現在、当社はグローバル全体で約7,000名規模の企業体となっており、今後はグループ内での異動や出向、越境的なキャリア形成もより活発になると考えます。
その中で、外国籍人材の採用は組織の起爆剤になり得ると考えています。
その為にも、従来の日本人中心の採用モデルに加え、多様な人材を積極的に取り入れていく方針です。
もちろん受け入れに伴う課題は今後も出てくるはずですが、一つずつ解決しながら国籍を問わず挑戦できる環境を整えていきたいと考えています。