多くの企業が注目する、インド最高峰の大学・インド工科大学(Indian Institutes of Technology/以下、IIT)の学生。
特にコンピュータサイエンスの分野で人気のIITですが、同大学の学生を採用するには、大学が主催する年1回の面接会「プレースメント」への参加が不可欠です。ただ、その仕組み自体が独自のものであり、情報収集をおこなっている人事の方も多いのではないでしょうか。
ASIA to JAPANでは、IITのプレースメント(面接会)に参加する日本企業を支援しており、2023年は154名の内定をサポートしました。本記事ではプレースメントの基本とポイントについてご紹介します。
※本記事は2024年1月23日に開催したウェビナー「IITプレースメント 2023」結果速報&トレンド 解説セミナーの内容を基に作成しています。
世界最難関といわれるIIT入試試験の仕組み
インドの18歳の人口は約2,500万人で、そのうち約100万人が世界最難関といわれるIITの入学試験を受けます。最終的な合格者は約1.6万人。世界でも類を見ない狭き門です。
一方で日本の大学受験者数は約43万人。東京大学、京都大学、大阪大学、名古屋大学、九州大学の合格者総数が約1.5万人なので、規模感をイメージいただければと思います。

試験結果はランキングで発表され、成績上位者から順番に入学したい学部とキャンパスを選ぶことができる仕組みです。特に人気の学部はコンピューターサイエンスで、ITの知見を学ぶことで卒業後に高い年収を得られることが人気の大きな要因となっています。
そのため別の学部に進学した学生の中には、大学の勉強よりもITの勉強を優先する人も非常に多いのが特徴です。コンピュータサイエンス以外の学部生であっても、プログラミングテストで優秀な結果を出す学生は珍しくありません。
IITの学生を採用するメリット
IIT学生を採用するには「プレースメント(面接会)」に必ず参加する必要があり、その特徴がIITの学生を採用するメリットにも繋がっています。IITプレースメントの特徴は以下の3点です。
(1) ある程度の母集団から選抜し、効率良く採用ができる
(2) 面接〜内定までが1日で完結。内定承諾率が非常に高い
(3) 日本の学生に比べ、内定〜入社までの内定辞退率が低い
詳細については後述しますが、日本の中規模のベンチャー企業であっても、プレースメントに参加すれば100名程度の応募が見込めます。これだけの母集団が形成できるので、効率は相当良いです。日本国内だけでは、なかなか優秀な母集団形成がしづらい環境の中、海外の学生に目を向ける企業は年々増加していますが、このIITプレースメントにおいても同様に、多数の企業が毎年プレースメントに参加しており、IIT学生の採用を新たに始める企業も年々増加しています。
IITの学生の入社後の様子
非常に優秀で入社後も活躍する人材が多い一方で、「長続きせず辞めてしまう」という声も少なからずあります。
ASIA to JAPANが詳細をヒアリングをすると、以下の理由を挙げられることが多いです。
(1) 仕事が簡単すぎる
(2) 収入の上がり幅が狭い
日本の場合、定年までの長い期間でのキャリア設計が前提になっていることが多いですが、IIT出身の学生は非常に短期で考えていることが多いです。スピード感を持ってキャリアアップしたい学生の気持ちと、日本企業のキャリア設計が合わず、転職をするケースがあります。
また、年収が年間10万円程度しか上がらないことに対しても不満が生じやすいです。IIT出身者はアルムナイネットワーク(卒業生のネットワーク)でのやりとりが活発で、お互いの給与についてもオープンに話がされているため、卒業生同士で比較がしやすく、自身の年収への疑問を抱きやすくなってしまうのです。
他に、日本語のコミュニケーションが上手くいかずに退職に至るケースもあります。こちらに関しては、入社前の内定期間中に日本語研修を行うことである程度カバーが可能です。仕事に馴染みやすくなる効果も期待できます。
IITの面接会「プレースメント」の仕組み
ここからは、具体的な採用手法について解説していきます。
IITの学生を採用するには、大学主催の面接会「プレースメント」に参加する必要があります。インド人にとって就職活動は非常に重要なことですが、就職活動に熱心になるあまり勉強が疎かになってしまうことを防ぐために、大学が就職活動を厳密に管理をしています。そのため短期集中で就職活動を終えられるように、プレースメントは面接〜内定までが1日で完結します。企業は面接当日にオファーを出し、学生もまた当日中にオファーを受けるか決めなければいけません。
例えばA社がある学生にオファーを出した場合、学生はその日のうちに「A社に行くか、断るか」結論を出さなければいけません。もし断る場合は翌日以降のプレースメントに参加することが出来なくなるので、原則として「学生がオファーを断れない」仕組みとなっています。
もし同じ日にB社からもオファーをもらった場合、学生はA社かB社かを選ぶことはできますが、同じく当日中に結論を出さなければいけません。双方を断ってしまう場合も同じく、翌日以降のプレースメントには参加できません。
つまり、優秀な学生から順に就職先は決まっていきます。面接日程が後半になるほど、企業はなかなか優秀な学生とは出会えません。

では、企業の面接日程はどのように決まるでしょうか?
ポイントとなるのが、ずばり「年収」です。デリー校、マドラス校、ボンベイ校などの上位キャンパスのDAY1(1日目)に参加できる企業は、年収800万円以上が一つの目安となります。プレースメントの参加日程は、給与をベースに大学側が設定します。企業が選ぶことはできず、大学側がかなり厳格に設定していますので、基本的に日程は変えられないとご理解ください。
IITプレースメントの基本スケジュール

●面接日程について
先ほど「面接日程についてどう決まるのか?」と書きましたが、プレースメントは毎年12月1日から4日の間開催されます。日程は毎年固定なので、土日は関係ありません。時間帯はキャンパスによって異なりますが、ムンバイ校の場合はインド時間で深夜0時、日本時間で深夜3時半から始まります。
●企業のプレースメント参加登録について
企業の大学への登録は9月から始まり、その際にジョブディスクリプション(求人票)を提出します。ここで最適なジョブディスクリプションを作成しなければ IIT学生への魅力付けが出来ないため、非常に大切になってきます。初めて参加する場合は8月頃から準備をすれば十分でしょう。
●学生からの応募について
10月からは学生のプレースメント登録が開始され、10月中に応募までの工程は全て完了します。この時期に企業は会社説明会やコーディングテストを行うことも可能です。学生が提出するレジュメは内容に虚偽がないよう、特に成績の部分をプレースメント担当者が事前にチェックをしています。11月は大学の試験があるため一時中断し、12月1日からプレースメントがスタートする流れです。
●内定後の注意点
3月にあるアメリカの大学の奨学金審査の結果発表です。良い大学からの奨学金が下りた場合、内定辞退となる可能性が高いです。逆に言えば、それ以外の理由で内定を辞退されることはほとんどありません。
面接したいIIT学生の選び方
先述の通り、IITのプレースメントでは優秀な学生ほど先に内定が決まります。つまり、面接したい学生全員と面接ができるわけではありません。仮に面接したい学生を30人選んだとしても、プレースメントに参加する日程によっては、選んだ30人全員が他社で決まってしまい、一人も面接できないという事態が起こり得ます。
特にデリー校、マドラス校などの上位校でこのようなケースは生じやすく、実際に2021年のプレースメントでも誰とも面接ができなかった企業が見られました。
自社が何日目の参加になるかは、残念ながら面接する学生を選出した後に決まります。そのため、自社の年収額を考慮しながら「プレースメントの何日目に参加できるのか」を予測をした上で、学生を選ぶことが重要です。
なお、これまでASIA to JAPANでIITの採用を支援した経験上、3〜5目の面接をすると1名内定が出るのが平均的です。採用予定人数から逆算し、何人と面接できればいいのかを計算し、学生を選出しましょう。
学生の選び方は以下3つのポイントとレジュメを見て判断するのが基本となります。
(1) 大学での成績
学生のIIT内での成績を示すCGPA(Cumulative Grade Point Average)で判断をします。10点満点で、優秀といわれるのは7点以上。当社のクライアントも7点以上で選ぶことが多いです。
(2) コーディングテスト
10月のタイミングで学生にテストを受けてもらうことが可能です。IT系の学生を採用する場合はコーディングテストを推奨しています。
(3) キャンパスと学部
先述の通り、IITでは入学試験の成績上位者から順番に、キャンパスと学部を選ぶことができます。つまりキャンパスと学部を見れば、入学試験時の成績がある程度わかるということです。
IITでは、各キャンパス・各学部の人気ランキングがわかるデータを公表しており、「そのキャンパス及び学部を最初に希望した学生の入試試験順位」と「募集を締め切った学生の入試試験順位」を見ることができます。
Top40学部に入れるのは、おおよそ2,000番以内の学生までです。コンピューターサイエンス学部の募集締め切りは入試試験5,845位の学生です。以下はASIA to JAPANで作成した表の一部ですが、こういったデータを踏まえて「どのキャンパスのプレースメントに参加するのが適切か」をご提案しています。

さらに詳しい情報が知りたい方は、お気軽にご相談ください
インド工科大学の学生採用の基本やポイントについてご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。ASIA to JAPANのIIT採用サポートでは、参加校の決定から採用、そして来日に至るまで一貫してサポートしており、昨年は2万人以上の応募に対し564名の面接、そして154名の内定承諾者数を支援しました。
IITプレースメントにご参加いただく場合、7月末までにご相談いただけますとプレースメント当日までスムーズに進めることが可能です。
IIT学生の採用に興味がある企業様はASIA to JAPANへ気兼ねなくお問い合わせください。
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