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海外大学に通う日本人留学生の就活の仕方は、大きく次の4つに分かれます。

・ボストンキャリアフォーラムなどの就活イベントへの参加

・就活エージェントの利用

・オンキャンパスの会社説明会や選考会への参加

・自力でのエントリー

 

本記事では、就活エージェントに注目。学生たちは、どのような点にエージェントのメリットを感じているのでしょうか。

メリット1. 時間と工数の削減

——就活エージェントを利用するメリットは何だと思いますか?

●Aさん(アメリカ/UCLA):情報が集まっているのはメリットだと思います。海外大学生向けの会社説明会やイベントなど教えてもらえますし、企業の情報もまとめてくれる。それぞれの企業を自分で一から調べるのは膨大な時間がかかるので、助かりますね。

また、面談や面接を組んでもらえるのも利点です。時差の兼ね合いでスケジュール調整に時間がかかることが多いので、時間の削減ができると感じています。

●Jさん(アメリカ/UCSD):時間が短縮できるのは大きいです。中にはESやグループディスカッションが免除されることもあって。特にESが免除されると応募がしやすいですね。

●Dさん(カナダ/UBC):まとめて応募ができるのもうれしいですよね。個人で1社ごとにエントリーし、それぞれを管理するのは大変なので、そこを見てもらえるのはいいなと思います。

メリット2. 企業に海外大学生への理解がある

●Bさん(アメリカ/UCLA):エージェントはもちろん、エージェントを利用している企業も、海外大生の事情を理解してくれているように感じます。就活に避ける時間や情報が少ないことを知っているからなのか、面接が優しいですね。企業研究の時間がないことを踏まえてくれている感覚があります。

——海外大学生への理解がない企業に対して、どういうところに違和感を持ちますか?

●Bさん(アメリカ/UCLA):ガクチカと志望動機の深堀りですね。特に志望動機について詳しく聞かれることが国内選考の場合は多いです。

●Gさん(イギリス/マンチェスター大学):海外企業の選考では専攻や普段やっていることについて聞かれることが多いのですが、日本企業からは「なぜうちの会社なの?」と志望動機を聞かれます。

もちろん大事な要素だとは思うんですけど、僕が大学で何をしているかはどうでもいいのかなと感じますね。志望度の高さを重視するのであれば、中卒でも高卒でも変わらないのでは?と思ってしまいます。

●Jさん(アメリカ/UCSD):日本の大学生は時間に余裕がある分、バイトをしたり長期インターンをやったりと、社会の一つのパーツとして動く機会が多いように思います。でも、僕らは学生ビザなのでバイトができない。そこの経験が薄いことに、僕はちょっと危機感がありますね。

●Cさん(カナダ/トロント大学):海外大生は大学に入った時点で自分の好きなことをやっているので、やりたいことは明確なはずなのに、就活においての「企業と自分のすり合わせ」という意味での自己分析がうまくいっていないし、それをやるノウハウがない。日本の大学生と比べて、自己分析の機会も少ない気がします。そこを理解してもらえるとうれしいですね。

 

 

メリット3. コンサルタントのサポート

日本人留学生のホンネ座談会

●Eさん(カナダ/UBC):私はコンサルタントとの個人面談がいいなと思っています。そもそも大人と就活について話す機会がないので、就活に詳しい大人と話ができるのはありがたいです。

というのも、海外大学の場合、OB/OG訪問ができないんです。同じ大学の日本人出身者自体が少ないので、なかなか日本人の社会人と話をする機会がなくて。

●Iさん(アメリカ/サンディエゴ州立大学):自力だと知っている企業としか出会えないけど、エージェントを利用すると、コンサルタントの方を通じて知らない企業とも接点が持てます。視野が広がるのは感じていますね。

●Kさん(イギリス/マンチェスター大学):興味がある企業がリストになかった場合のサポートがあるとよりうれしいですね。「こういうことがしたいから、こういう企業がいいだろう」というところまではなんとなく分かるんですけど、その先でつまずくことが結構ある。

自力でググるだけだと限界があるので、気になる企業の情報の得方やアプローチの仕方、企業の絞り込み方など、アドバイスがあるといいなと思います。

学生のリクエスト「企業の幅がほしい」

●Cさん(カナダ/トロント大学):一方で、企業の偏りは感じています。僕の肌感ですが、就活エージェントを利用している企業は、大体ボスキャリにも参加しているように思っていて。これから海外進出を狙っている日本企業の情報がもっとあるといいなと思います。

●Fさん(カナダ/トロント大学):偏見かもしれないですけど、有名企業が多いですよね。そうすると、必然的に選考の難易度も上がるのかなと思います。「海外大学生=上位企業」という感じで考えられてしまっているのかなと、正直違和感を覚えることはありますね。

無名だけど今後成長する企業やスタートアップなど、有名企業でなくても自分のやりたいことができる企業に行きたい人もいるので、企業の幅が広がるといいなと思います。

●Cさん(カナダ/トロント大学):海外大生にはいろいろな専攻をしている人がいるのに、みんなが単一的に金融やコンサルに進むのは、違和感があります。それ以外の会社名がただ並んでいるだけでも、興味を持つチャンスになるだろうなと思いますね。

 

<参加者>

  • Aさん:アメリカ/カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)社会学専攻
  • Bさん:アメリカ/カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)社会学専攻
  • Cさん:カナダ/トロント大学、映像・経済学専攻
  • Dさん:カナダ/ブリティッシュコロンビア大学(UBC)金融専攻
  • Eさん:カナダ/ブリティッシュコロンビア大学(UBC)心理学・美術学専攻
  • Fさん:カナダ/トロント大学、経済学・保健数理専攻
  • Gさん:イギリス/マンチェスター大学、コンピューター専攻
  • Hさん:アメリカ/カリフォルニア大学バークレー校(UCバークレー校)環境経済学
  • Iさん:アメリカ/サンディエゴ州立大学、ビジネス専攻
  • Jさん:アメリカ/カリフォルニア大学サンディエゴ校(UCSD)社会学専攻
  • Kさん:イギリス/マンチェスター大学、ビジネス専攻

 

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