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シンガポール共和国(Republic of Singapore)

シンガポールにあるマーライオン

目次

1.基本事情と特徴

首都 都市国家のため存在しない。
人口 約569万人(中華系74%、マレー系14%、インド系9%)
言語 公用語として英語,中国語,マレー語,タミール語の4カ国語が話されている。
複数の言語を操る人も多く、英語と中国語の双方を話せる人も多数いる。
宗教 仏教、イスラム教、キリスト教、道教、ヒンズー教と幅広い。

効率性を重視し、チャキチャキと物事を処理するのが得意な傾向にあり、何かをゼロから生み出すよりは、与えられた仕事を効率よくこなす能力に長けたスタッフ気質の人が多い。
また、シンガポールのパスポートは、ビザなしで渡航できる国の数がほぼ日本と同じ。海外出張の際の工数が少なくて済む利点も。

2.教育事情

大学ランキング上位の大学が集まるシンガポール。その教育システムは複雑で、成績によって進路が分岐していく。まずシンガポールの学校は大きく「Primary」「Secondary」「Post-Secondary」の3つに分かれる。「Primary」は小学校、「Secondary」は中学校、「Post-Secondary」は高校と大学を含んでいるイメージだ。
順を追って進学していくのは日本と同じだが、進路の決まり方は全く異なり、「Primary」、「Secondary」のそれぞれ卒業前にテストを受け、その結果によって進学できる学校や学部が決まる仕組みになっている。日本では大学名で学歴を判断するが、シンガポールでは学部が学歴の判断材料となり、一部の成績上位者しか進めない最難関学部は医学部、法学部、歯科学部だ(※1)

3.日本への関心と日本語環境

ラーメンをはじめとした日本食や旅行先としての人気が高まっており、ここ最近のシンガポール国内は“日本ブーム”だ。1965年にマレーシアから独立してからまだ約半世紀しかたっておらず、国の歴史が浅いことから欧米や日本、韓国といった海外文化への興味も強い。

ただ、日本語が話せる人は多くない。詳しくは次の「就職事情と仕事観」で説明するが、日本での就業を希望する人が少なく、かつ英語を使いこなせる人が多いため日本語を学ぶモチベーションが湧きにくいのだ。その一方で、日本人から見てアジアの中で住みやすい環境であるため日本人の日本語教師の数が比較的多く、日本語の教育環境は整っている。日本語が話せない人を採用したとしても、入社までの間の日本語教育のサポートはしやすいと言える。

なお、シンガポール人が日本で生活する上で、一人暮らしができること、車が持てることの2点は魅力に映る。その背景にはシンガポールの家賃は高く、そもそも結婚前に家を出ることがないため一人暮らし用の物件がほとんどないこと、車を所有する事はとても費用がかかり1000万円以上するので一部の人しか保有できないという事情がある。

4.就職事情と仕事観

シンガポールは世界大学ランキングを重視しており、ランキングへの対策を熱心に行なっている。ランキングを決める指標には卒業生の就職状況や給与も含まれるため、各大学でジョブフェアやキャリア教育を行なうなど、就職支援に熱心だ。大学は8月から新学期が始まり、11月で前期が終了。12月に休みを挟み、1月から後期がスタート、5~7月が夏休みで、卒業月は5月となる。学生は卒業の半年前の12月ごろから就職活動を始めるのが一般的だ。

国の仕組みがきちんと回っており、国内就業の条件も良いため、賃金目当てに海外勤務を希望する人は他のアジア各国に比べて少数派。シンガポールには製造系の開発や生産の拠点が少ないため、エンジニアリングを学んだ学生の中には日本での就業に魅力を感じることもあるが、日本での就業を希望する人の総数は少ない。

シンガポールは職種別採用であり、平均給与は学部と成績によって大きく異なる。国内就業の条件が良いからこそ、日本企業が柔軟に給与を設定できなければシンガポール人の採用は難しい。シンガポールは税金が安く、同じ給与であれば日本よりも手取り額が高くなるため、給与水準を合わせる場合はそこを踏まえる必要も生じる。

仕事上の傾向としては、教育システムの兼ね合いで幼少期から競争社会に身を置いていることもあり、ハードワーカーである。残業をする文化はないものの、時間内に仕上げようという意識が強く、目算を立て仕事をやりきる人が多い。こういった気質は日本の企業との親和性も高いだろう。また、仕事での自己実現を目指すというよりは、いかに給与を上げて豊かな生活をするかに重きをおく傾向にある。最近はコーポレート機能をシンガポールに置く会社が増えているが、シンガポール人は英語と中国語が堪能であり、さらに処理能力に長けているため、コーポレートスタッフに向いている人が多い。

注意すべき点としては、 シンガポールの大学に通っている外国人学生はボンドと呼ばれる奨学金制度でシンガポール政府の奨学金を受けていることが多い。この制度は卒業後にシンガポール国内で一定期間就業することを条件としており、採用をしても日本の在留資格を得られず日本の本社の社員として働くことができない。選考の段階で必ず確認しておこう。

5.主な大学

シンガポール国立大学(National University of Singapore/NUS)

南洋理工大学(Nanyang Technological University/NTU)

シンガポールマネジメント大学(Singapore Management University/SMU)

シンガポール工科デザイン大学(Singapore University of Technology and Design/SUTD)

(脚注)
※1(参考)Ministry of Education SINGAPORE

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