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【出張レポート】インドネシア学生の現状 〜日本と異なる就活スタイルとは?〜

インドネシア出張

目次

【出張レポート】インドネシア学生の現状〜日本と異なる就活スタイルとは?〜

ASIA to JAPANは、2024年4月30日〜6日にかけてインドネシアの現地大学を訪問し、日本就職を目指す学生に向けた説明会や8月開催予定のイベント誘致、そして日本語講座に参加する学生との懇親会を実施しました。
この記事では訪問した大学の紹介や、インドネシア学生の就活事情についてご紹介します。

■インドネシアで訪問した大学

今回訪問した大学を紹介します。

・ガジャ・マダ大学(Universitas Gadjah Mada:UGM)

ガジャ・マダ大学

UGMは複数の高等教育機関が合併し1949年12月19日に国立大学として正式に設立された、インドネシアで最も古い大学の 1 つと言われています。現在は文理合わせて18の学部があり約5万人の学生が通う総合大学で、インドネシア国内の大学ランキングではトップ3に入ります。
ASIA to JAPANは今年からUGMで日本就職を希望する理系学生向けの日本語講座を開講しており、日本語で面接が行えるレベルまでの育成を進めています。
今回の訪問では8月に実施を予定しているイベントの誘致、さらに日本語講座に参加する学生と懇親会を開きました。

・バンドン工科大学(Institut Teknologi Bandung:ITB)

バンドン工科大学_キャンパス

ITBは科学技術を国の発展に役立てることを使命として、1959年3月2日に西ジャワに設立されたインドネシア初の工科大学で、インドネシア国内の大学ランキングではトップ3に入ります。前身は1920年、オランダ植民地時代に設立されたバンドン工業高等学校Techniche Hoogeschool te Bandung(TH)で、インドネシア共和国のスカルノ初代大統領が卒業しています。
今回の訪問で、本年度に実施予定の講義の紹介やFAST OFFERの説明、さらに日本語講座に参加する学生と懇親会を開きました。
ASIA to JAPANが開講する全日本語講座の中で、日本企業への合格が最も多いのがITBの学生です。

・インドネシア大学(Universitas Indonesia:UI)

インドネシア大学_キャンパス

UIはオランダ植民地時代の1851年1月に医療従事者を育成することを目的とした「ドクタージャワ学校」という名の専門学校がルーツで、1950年に大学名をインドネシア大学と改称しました。医学系がルーツであるため医学部が有名であり、インドネシア国内の大学ランキングではトップ3に入ります。
またインドネシアでトップレベルの日本語学科があり、通う学生の多くが通常会話ができるレベルです。
今回の訪問では8月に実施を予定しているイベントの誘致。また日本語学科に通う生徒と会い日本の就活事情を紹介しました。

・ジャカルタ国立大学(Universitas Negeri Jakarta:UNJ)

ジャカルタ国立大学ロゴ

UNJは1964 年にジャカルタ教育研究所として設立されました。インドネシア独立後、政府はあらゆる種類の教育機関で教育人材が不足していると認識し、この問題を解決するために教師育成を目的として創設されました。UNJはジャカルタ市内唯一の国立大学で、日本語学科を有しています。
ASIA to JAPANにとって今回が初めての訪問でしたが、日本就職に興味を持つ学生が一定数いること、さらに提供する就職支援サービスに興味を持っていただけたため、後日改めて学生向けに説明会を実施する予定です。
さらにASIA to JAPANでのインターンシップも希望されたため、こちらも調整を進めていく予定です。

・アル・アズハル・インドネシア大学(Universitas Al Azhar Indonesia:UAI)

アル アズハル インドネシア大学キャンパス

UAIは2000年に設立されたアル・アズハル・イスラム寄宿学校 (YPI) 財団の後援の下にある高等教育機関で、現在は文理合わせて6つの学部で構成されています。UAIでは2001年から日本言語文化学科を設置しており、その学習では最新テクノロジーやSNSなどが活用されています。
こちらもASIA to JAPANにとって今回が初めての訪問でしたが、日本就職に興味を持つ学生が一定数いること、さらに提供する就職支援サービスに興味を持っていただけたため、後日改めて学生向けに説明会を実施する予定です。

 

■就活事情の違い

今回訪問をした大学では日本就職を希望するインドネシア学生を対象に、ASIA to JAPANが運営する支援サービス「FAST OFFER」の説明会や、8月に開催予定のイベント誘致、さらに日本語講座を受講する学生との懇親会を開きました。各大学で学生や教授から現在のインドネシアの就活事情について伺いました。

・就活格差と海外就職

日本では学歴の差で就職先が見つからないことはほぼありません。しかしインドネシアでは、トップ大学以外の学生がホワイトカラーの就職先を見つけることはとても難しいという就活格差が存在します。その理由が、採用枠に対して学生数が過剰にいるからです。インドネシア学生は就職活動を順調に進めるために、トップ大学に入る必要があり、さらに高成績を収めているかが重要になります。
そのため下位層の大学に通う学生は内定を勝ち得ることが難しいです。しかし「大学まで通ったのにブルカラーの職には就きたくない」という思いを抱いている人が多く、結果的に就職先が見つからないという問題に至ります。この考えがインドネシアの就職率を下げている大きな要因の一つと考えられています。

そういった学生が考える次の選択肢が「海外就職」です。もちろん今回お会いした学生達のように自主的に海外就職を望む学生もいますが、インドネシアは日本と同じように海外で働く選択をする人は比較的少ないです。

・募集要項の違い

勤務先での配属部署の決め方について日本とインドネシアでは違いがあります。インドネシアでは募集要項に配属先だけでなくポジションまで指定されている「ジョブ型雇用」が一般的です。日本でも近年ではこのジョブ型雇用への関心が高まり、大手企業を中心に導入が進められていますが、まだまだ総合職として採用し入社後に配属先を決める企業が多いのが現状です。

また日本のような新卒一括採用は実施されていないため、インドネシアでは在学中に企業からの内定をもらえる学生は稀です。そのため、日本の募集のされ方や配属先の決められ方について疑問を抱く学生がいます。
今回の説明会ではその点を丁寧に説明し、日本で就活をする際に抱えるギャップを減らすことに注力しました。

・言語の壁

8月開催予定の就活イベント(理系だけではなく文系の学生も多く集客するイベントを予定)を紹介した際、日本就職は興味があるものの、日本語を話せない文系の外国人学生も多く「日本語ではなく英語で進めたい」という声が上がりました。

ほとんどの学生は母語であるインドネシア語だけでなく英語も問題なく話せるため、一から日本語を覚えるのではなく、英語を活用できる職場を探したいという考えを持っているようです。

説明会の様子

 

■日本語講座に参加する学生

大学紹介で軽く触れましたが、ASIA to JAPANは今回訪問したUGMとITBで理系学生の日本語話者育成を目的とした日本語講座を開講しており、学生の成長速度の確認や抱える不安の解消を目的とした懇親会を開き、学生の生の声を伺いました。参加いただいた学生は、もともと日本語を話せないレベルでしたが、すでに日本語でやりとりができるレベルまで成長していました。

学生からは大きく二つの質問があがりました。一つが「本当に日本で就職できるのか」です。
日本語講座は学生が通いやすいよう無料で開講してますが、インドネシアに限らず海外の学生の多くは「何かを学ぶ際それに見合った対価を払う」という考えが一般的なため、その後の日本就職に不安を抱く学生が少なくありません。

そのため、過去に同プログラムに参加し日本就職が決まった先輩学生から体験談を話してもらう事で、学生たちが抱く不安解消に取り組みました。

ガジャマダ大学日本語講座学生

二つ目が、「日本でどのような就職先があるか」という質問です。理系学部を対象とした職種について説明する中で「希望する仕事」について彼らに聞いてみると「原子力」や「電気(蓄電など)」系での就職を希望する学生が多くいることがわかりました。「日本はその手の技術が進んでいる」ことが就職希望の一番の理由のようです。

 

■まとめ(インドネシア学生採用の魅力)

今回の訪問で得られたインドネシア学生の就活事情や日本語講座参加者の声について紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。
説明会には文理問わずさまざまな分野で学び力をつけている学生が多く集まり、日本で就職するきっかけを逃すまいと多くの質問をいただきました。

説明会の様子02

UGM、ITB、UIの3大学はインドネシア国内の大学ランキングで常にトップ3に君臨し、国内就職も可能なほどの優秀な学生が多数在籍しています。
そんな学生は、「習得した日本語の活用」と「魅力的な日本文化に触れたい」という大きな思いを持っており、前向きに日本での就職を希望しています。

インドネシアの学生は、訪問した他のアジアの国に比べてもまだまだ日本就職への意欲が高く感じました。また街中にも日本に関連するものが溢れ、クールジャパン※が活きているように感じました。
※日本の経済成長を実現する「クールジャパン戦略」

インドネシア人材だけでなく海外の高度人材採用へのご関心、また採用後から入社までの手続き方法など気になることがありましたら、お気軽にASIA to JAPANへお問い合わせください。

 


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