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【インド最前線 #1】インド人が日本語を学ぶ理由とは?—現地教師と学習者が語る「日本語学習者のリアル」

目次

【インド最前線 #1】インド人が日本語を学ぶ理由とは?—現地教師と学習者が語る「日本語学習者のリアル」

📌 本記事は「インド最前線」全4回シリーズの第1回です。

#1 日本語を学ぶインド人学生の特徴(本記事)

#2 インドの大学生のリアル(近日公開)

#3 インドの日系企業が教えてくれた——日本でインド人材を採用する前に知るべきこと(近日公開)

#4 インド人材 採用成功のポイント(7月公開予定)

 

はじめに

「インド人材を採用したい」——そう考える日本企業が増えています。しかし「日本語ができる」と一口に言っても、どのくらいの学習量を経ているのか、どんな動機で日本を目指しているのか、採用後にどんなギャップが生じやすいのか。現場のリアルを知っている担当者は多くありません。

今回はインドで日本語を教えるシュルティ先生と、実際に日本就職を目指す学生のシデッシュさん(25歳・プネ在住・コンピューターサイエンス専攻)へのインタビューをもとに、採用担当者が押さえておくべきポイントを整理しました。

 

「日本語ができる人材」は実は希少である

まず知っておきたいのが、日本語学習の継続率の低さです。

インドでは大学の2〜3年生から日本語学習を始めるケースが多く、卒業までの総学習時間は約500時間。しかし学習を継続するのは全体の約3割にとどまるとシュルティ先生は言います。大学の専門科目との両立が壁となり、多くの学生が途中で離脱してしまうのが現実です。

さらに日本語で業務をこなせるレベル——日本企業が求めるN2〜N3相当——に到達するには、約1,000〜1,500時間の学習が必要とされています。このレベルまで到達している人材は、インド全体で見てもまだ限られています。

採用担当者へのポイント:「日本語学習経験あり」という応募者の日本語レベルには大きな差があります。面接時に具体的な学習時間や取得資格を確認することが重要です。

 

日本を選ぶ動機は「文化への共感」

シデッシュさんに日本で働きたい理由を聞くと、給与や待遇よりも先に出てきたのは仕事文化への共感でした。

「日本人は小さいことにも注意を払う。日本の仕事文化は本当にいいと思う」ということです。

アメリカやヨーロッパへの関心はほとんどなく、日本語を学ぶうちに自然と「日本で働きたい」という気持ちが育っていったといいます。シュルティ先生によると、就職を見据えて本格的に学習を続ける学生も一定数おり、トヨタ・楽天・スズキといった日本を代表する企業への関心が高いといいます。

採用担当者へのポイント:日本志向のインド人材は、待遇だけでなく「丁寧な仕事文化」に魅力を感じているケースが多いです。自社の仕事文化や教育体制をしっかり伝えることが、採用の決め手になります。

 

受け入れ時に配慮すべき2つのギャップ

①コミュニケーションスタイルの違い

シデッシュさんが日本就職に向けて最も不安に感じているのが、コミュニケーションです。

「日本人の考え方と自分の考え方が違う。どんなコミュニケーションが正解なのか、それが一番不安」

日本語の語学力とは別に、「察する文化」や「報連相」といった日本独自のコミュニケーション文化は、入社後に摩擦を生みやすいポイントです。シュルティ先生も、敬語の複雑さや言外の意味の読み取りに苦労する学生が多いと話します。

②残業文化へのギャップ

シデッシュさんは現在大学を卒業してインド国内で就業中ですが、9時〜18時のきっちりした勤務時間で働いており、日本の残業文化については率直に懸念を示しました。インドのIT・コンサル系企業では定時退社が一般的なケースも多く、長時間労働が当たり前の環境では早期離職につながるリスクもあります。

採用担当者へのポイント:入社前のオリエンテーションで日本の仕事文化を丁寧に説明すること、またメンター制度など先輩が丁寧にサポートする環境を整えることが、定着率の向上に直結します。

 

採用するなら「理系×日本語」人材に注目

シュルティ先生によると、日本語学習者の中でも特に多いのが機械・IT・データサイエンス系の理系学生です。シデッシュさんもコンピューターサイエンス専攻で、将来はソフトウェアエンジニアを目指しています。
理系の専門知識と日本語スキルを併せ持つ人材は、製造業・IT・エンジニアリング系企業にとって即戦力候補になり得ます。

採用担当者へのポイント:技術職の採用においては、日本語力だけでなく専門スキルとの掛け合わせで候補者を評価することで、採用の精度が上がります。

 

まとめ——インド人材採用で押さえるべき3点

  • 日本語レベルの見極めを丁寧に 学習継続率は約3割、実務レベルまでには1,000〜1,500時間が必要。面接で具体的なレベルを確認する。
  • 文化的ギャップへの事前準備を コミュニケーションスタイルと残業文化は、入社後の摩擦になりやすい。受け入れ体制の整備が定着率を左右する。
  • 理系×日本語の人材に注目 IT・機械系の専門知識を持ちながら日本語を学んでいる学生は、即戦力候補として有望。

 

次回は「インドの大学の学生の状況」として、インドの工科大学生のリアルな実態と、日本企業が採用を検討する際に知っておくべきポイントを整理します。 

 

取材協力

シュルティ・チャンナギリ 先生

N2・N3レベル対象クラス担当。日本語力検定インド国内最高スコア保持者。
日本の大手電機メーカーでの就業経験をもとに、
会話やコミュニケーションを重視する実践的な教育を行う。
国際交流基金の教師向けビジネス日本語研修プログラムに選抜されており、インドにおけるビジネス日本語教育の第一人者的存在。

 

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