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セミナーレポート:外国人社員の採用とマネジメントの理論について 〜市場データと採用手法を知り、入社後の組織運営について考える〜

目次

ASIAtoJAPANは7月27日、識学社との共催webセミナー「外国人社員の採用とマネジメントの理論について〜市場データと採用手法を知り、入社後の組織運営について考える〜」を開催しました。

セミナーではASIAtoJAPANより市場データと外国人社員の採用について、識学社より新入社員を受け入れ時の組織運営について取り上げ、質疑応答を行いました。本記事では、その一部をご紹介します。


トークテーマ:

  • 外国人採用を成功に導くポイント
  • 外国人と日本人のマネジメントを同時に行う上で活用できる識学の理論
  • 新入社員を即戦力化するためのマネジメント

登壇者:

株式会社識学 事業開発部エンタープライズセールス課課長 菊池 真緒子氏
株式会社ASIA to JAPAN 代表取締役 三瓶 雅人

モデレーター:

株式会社識学 事業開発部エンタープライズセールス課 池田 韻 氏

 

【1】外国人社員の採用の必要性と課題

昨今、少子高齢化に伴って国内の労働力が減少していることを背景に、外国人採用が増加しています。政府機関によると、2040年には就業人口の多い地域で10人に1人、少ない地域でも20人に1人が外国人となると発表されています。

また経済産業省の調査によると、2030年のIT人材不足数は約45万人(中位シナリオ)と予測されています。この数字は今年の大学卒業者数とほぼ同じですので、海外から採用せざるを得ない切迫した状況となることが見込まれます。

労働力不足を補うだけでなく、語学力がある人材や海外でのビジネス展開を円滑にできる人材などを採用することは、国際的な競争力をつけようとする企業にとって大きなメリットがあると言えます。

一方で、海外の人材を採用するには多くの困難があるのも事実です。
そのため、人事の方には以下のような課題があるために外国人採用に踏み切れない方も多いのではないでしょうか。

  • 海外の優秀な人材の探し方がわからない、探すのに手間がかかりすぎる
  • 採用が決まった人材の在留資格の取得や日本語学習を行うための人手がない、知識がない
  • 採用後、日本人が行う「曖昧な表現」によるコミュニケーションが成立せず、業務に支障が出る
  • 評価基準が曖昧、年功序列などといった日本企業と海外企業の仕組みの違いによるモチベーション低下

 

こういったデメリットを解決することができれば、外国人採用は今後成長を目指していく企業にとって大きな利益となる可能性があります。

【2】外国人採用は留学生or海外大生?

外国人の社員を採用する場合、日本国内にいる外国人留学生または海外在住の学生を採用する方法があります。まずは国内にいる留学生の採用から目指す企業様も多いと考えられますが、期待した人材の採用は行えるのでしょうか?コロナ禍での留学生総数の減少や留学生の専攻についてのデータを交え、ASIAtoJAPAN より解説いたしました。

コロナ禍で留学生数は減少

三瓶:外国人の採用で、手っ取り早いのが日本にいる留学生の採用であると多くの人が考えると思います。日本政府としても以前から留学生を増やそうということで2012年以降、留学生数の急激な伸びを見せています。日本政府が目指していた30万人を無事達成し、2019年にピークを迎えました。
しかし、コロナ禍である2020年には約28万人と約3万人ほど減っています。2021年ももう少し減るという見込みになっています。

三瓶:留学生の内訳がこちらのグラフのとおりです。文系の学生さんが8割強、理系の学生さんは16%から17%ほどで日本にいる留学生の多くが文系という状況です。我々にお声掛けいただく企業様からは「理系の採用ができない」というお声が多いですが、留学生でその要望を埋めるのは至難の業であることが分かります。

日本で多くの企業が望む理系人材、特にエンジニア不足の事情を考えると、日本の大学生だけでは人材が不足してしまいます。外国人の採用を目指し国内の留学生を採用する場合は、日本語が話せる上位校の学生に内定が集中するなど特定の留学生を複数社で取り合い内定辞退となるケースが非常に多いです。現実的に考えるのであれば国内の留学生に目を向けるだけでは足りず、海外在住の学生たちの採用も視野に入れていく必要があります。

日本語を学ぶ海外大生が日本で働きたい理由

三瓶:よくある勘違いとして、「外国籍の方は日本で働きたい」と考えている人が多いですが実は働きたいのではなく「日本に住みたい」というのが大多数を占めています。日本に住むためには働かなくてはいけないので、働くことを選択している人が多いとご理解いただければと思います。

こちらは弊社で行った日本で働きたい理由のアンケート結果です。1位の理由には「文化を学びたい/文化に魅力を感じる」が挙げられており、これは日本独特のものと認識しています。このようなことから日本の会社は非常にラッキーであると考えます。
そんな中で世界の学生から人気のある業種は、バイオ、化学、機械、建築、ロボティクス、自動車です。

【3】外国人採用を成功に導くポイント

日本の企業にとって外国人採用は今後避けて通ることのできないテーマであることがご理解いただけたのではないでしょうか。

外国人採用を支援するASIAtoJAPAN三瓶より外国人採用を成功に導くポイントとして次の2点を紹介いたしました。

  • 継続採用のために最初の1人目選びが大切
  • 外国人採用専用の人事体制が必要

 

上記を意識していただくことで社内での外国人採用へのネガティブな印象を避け、継続採用成功へと導きます。

継続採用のため外国人採用1人目選びが大切

三瓶:どういう学生さんを1人目として採用すればよいのか?3つポイントをあげさせていただきます。

まずはすごく日本語が上手な外国籍の文系の方、そうすると日本人でも外国人でも一緒だねと社内の評価を得やすいです。
次に、理解のある責任者と受け入れwelcomな現場の担当者がいる部署、ここで採用しましょう。
あとは、まったく日本語を話せないけれどスーパースキルのある方。スキルがあるので、これだったら日本語を話せなくてもいいね、と社内から理解が得られます。
最初の1人目が成功するのと失敗するのとでは、次への続きやすさがかなり変わってきますので、ぜひポイントとしてあげたいと思います。

外国人社員採用のため「学生に寄り添う担当者」が必要

三瓶:外国人採用のとき人事の方が採用側に回ってしまうと、学生の良さを見極める手前でどんどん選考に落ちてしまいもったいないです。1人は「学生に寄り添う担当者」として社内エージェントのようなかたちで、書類を整えたり、日本語力の確認をしたり、会社の説明をしたりと、しっかり学生をサポートしたうえで、面接官に会っていただくことをおすすめします。このサポートがないと、優秀であっても日本流の面接に不慣れな学生たちが全員選考に落ちてしまうということになりかねませんので、この点は大きなポイントです。

【4】外国人社員受け入れ時に識学メソッドを活かす

セミナーの後半には、「識学で新入社員を戦力化するスピードを上げる」というテーマで識学社 菊池氏よりお話をいただきました。また、いただいた質疑への回答として、実際に外国人社員を識学メソッドで育成したASIAtoJAPAN 三瓶も参加し、トークセッションを行いました。

菊池氏:識学とは、人が環境を認識して行動に至るまで「自分はこういう風に動いた方がいいな」、「こういう風に動いたら得があるな」というように何かしら頭の中で考える、思考の動き(意識構造)に着目した独自の理論をベースにした組織マネジメント理論です。意識構造というのは人によって、育ってきた環境によって思考のクセをもちます。この思考のクセ同士が上司や部下間、会社と社員間でぶつかり合うと誤解、錯覚が発生し会社が求めていない行動が出てきます。
(中略)
新入社員を戦力化させるには、正しい位置認識をもたせることが重要です。まずは自分は「評価を受ける」側にいて、会社の中で「誰から評価を受けるのか」。ここをいかにシンプルにしてあげたり、認識をそろえてあげることが、今後の成長や、早期離職の帽子に寄与していくと考えています。
(中略)

三瓶:ASIAtoJAPANは社員の3割ほどが外国籍ですが、識学メソッドを入れさせていただいており無事修了しました。
日本の企業はなんとなくルールがなくて、日本人でずっとやってきたのでということが多いです。しかし海外の場合はルールやジョブが明確な場合が多いので、このようにルールがあってメソッドとおりに行けば迷わないという状態は外国人マネジメントと親和性が高いと実感をもってお伝えできます。

菊池氏:おっしゃるとおり、海外はルールが明確ですよね。

三瓶:そうですね、ジョブのディスクリプションがきちっとあり、それに応じてやりますので。日本の場合は、上司があれやってこれやってと本業から離れていってしまうこともあるので、そのあたりが分かっているとやりやすいかなと思います。

外国人社員の場合、特に意識すべき点はありますか?

菊池氏:外国人の方だからこうしなきゃいけない、日本人の方だからこうしなきゃいけないと特段分ける必要はありません。
ただ、外国籍の方は宗教に入られていて、自身の宗教のルールがある場合があります。日本人の感覚で、宗教のルールを会社のルールに合わせなさいと強制してしまうと、やはりネガティブが出てきます。
外国籍の方を迎え入れる場合は、どちらのルールを優先するのか会社側で決めてあげないと迷ってしまいます。会社のルールではこうなっているけれど、宗教上そこはちょっと…と抱えていることをあげられないことが続いていくと、離職につながることもあります。そうすると「外国人ってダメだねと」誤った評価となってしまいます。
そこはしっかりと組織側が何をルールとするのか、何をイレギュラーとし、こういう場合はそちらのルールで対応していい、というのを管理者側はしっかり線引きをしておいてあげないといけないと思います。

三瓶:あわせて日本人もそうかもしれませんが、宗教に属していても100%守っている方と、そこまで厳密にしていない方がいらっしゃいます。
面接時に確認するということがすごく大事だと思っています。宗教によって難しいと決めてしまうのではなく、たとえばお祈りが5回必要だという場合、「5回抜けられると困るので朝とか夕方にまとめられますか?」のように聞くと「わたしは大丈夫です」という方、「絶対ダメです」という方に分かれますので。そのあたりの確認は必要かなと思います。

 

 


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