もはや年収ではない。高度外国人材の日本で働きたい理由とは?
弊社では昨年の12月に、日本語が話せる海外の理系外国人学生と日本の企業とをマッチングする、「来日・対面型の面接イベント」を都内にて開催いたしました。
集まった学生はアジアを中心に各国トップクラスの大学で学び、かつ日本語が話せるという外国人学生達です。彼らほどの優秀な学生は昨今、なぜ日本に住み、働きたいと考えているのでしょうか?
今回の面接イベントに参加した、学生17名(インド:5名、インドネシア:5名、マレーシア:4名、イタリア:1名、パキスタン:1名、台湾:1名)へのインタビューをもとに、年収にとどまらない、日本企業就職の魅力を紐解いていきます。
円安の日本は外国人学生にとって魅力的ではないのでは?と疑問に思っている人事担当者の方にぜひ一読いただきたい、おすすめの記事となっております。
面接会1日目終了時の学生達の様子。
日本に興味を持ったきっかけ
日本に就職したいと考える海外学生は、日本に何かしらの形で親近感や肯定的なイメージを持っているものです。彼らがまずはじめに日本に興味を持ったきっかけは何だったのでしょうか?
日本文化への親しみ
日本のアニメやテレビ番組などのコンテンツ、日本の食文化、日本製のゲームの利用などを通し、日本を認知しはじめた学生がほとんどでした。
さらに、こうした学生は幼少期から日本の文化に慣れ親しんでいることから、日本文化がソフトパワーとして外国人にとって日本を魅力的な存在となる後押しをしていることがわかります。
また、例えばインドネシアでは日本の食品が人気だそうで、日本の食文化も同じく外国人にとって魅力的な部分になっています。
日本のプロダクトへの親しみ
また、日本の自動車や空調設備、または日本製のロボットなど、日本企業のプロダクトを通して幼少期から日本に親しみを持つ学生もいました。多くの学生は日本の製品を実際に使った経験があり、好意的な印象をもっています。
また、海外のテレビ番組で日本の高い技術力が紹介されていることもしばしばあるようで、それを見て日本に興味を持ったと話す学生もいました。
あるインドの学生は、大学で開催されたロボットの展示会に参観した際、会場にあるほとんどのロボットが日本製であったことに感銘を受け、日本に興味を持ったと話していました。
日本語学習
特にアジアでは、高等教育や大学のカリキュラムに日本語の授業がある場合があります。日本語話者が世界第二位であるインドネシアなどが高等教育に日本語が組み込まれている国として有名ですが、そうしたクラスを受講したことで日本へ興味を持ち始めた学生が多くいました。
ASIA to JAPANでは、世界中の大学とパートナーシップを組み、理系学生向けに無料の日本語授業を提供しているため、日本語の授業を通して日本への興味を持つ学生が増えていることはうれしい発見となりました。
日本に関わりがある知り合いの存在
学生の中には、現地にある日本企業に勤めていた母親の存在や、日本留学経験のある大学教授の話を聞いて日本への興味を持った学生もいました。
実際に日本企業で働いた経験があったり、日本に居住した経験があったりする人の話をもとに日本に興味を持ってくれているのは、外国人が日本企業で働いたり日本に住んだりした経験が悪いものではなく良い経験だったということを示しているといえるかもしれません。
また、知り合いでなくとも、大学の先輩の日本就職体験談を目にしたことで日本への興味をもったとの意見もありました。
ASIA to JAPANでは、世界中の大学のキャリアセンターと協力し、外国人材の日本就職を勧めているほか、学生向けのウェブサイト上で日本企業に就職を決めた世界中の学生の日本就職秘話を「内定者体験記」として、日本語と英語で公開しています。
こうしたサイトで大学の先輩の日本就職ストーリーを目にし、日本就職に興味を持っている学生もいることがわかりました。
内定者体験記のページはこちら:内定者体験記 | ASIA to JAPAN
実際に日本就職を決意したのはなぜ?
たとえアニメやゲーム、日本食などが好きだったとしても、母国でもない日本に就職する大きな理由とはなりません。彼らが広い世界の中で日本を就職先と選び、日本語を数年かけて学び、実際に日本企業へ就職しようと決意した理由は、どんなものがあるのでしょうか?
日本の技術力~ユニーク且つ便利なテクノロジー~
エンジニアリングを専攻するすべての学生が日本就職を決意した理由として挙げたのが、日本の高い技術力への尊敬の念でした。日本の自動車会社やロボット(人工知能、AI)、工業製品、精密機械が高品質であるという点において評価しているようです。
アジアの国では、日本企業の子会社や工場があったり、日本の主要な輸出先であったりすることからそうした製品に馴染みがあるようです。また、家電製品や日用品に使われる日本の技術にも大きな関心を寄せていました。
あるマレーシアの学生は、材料工学を学ぶ中で日本の刃物のコーティングの技術(刃物を長く使えるようにするコーティング技術)の高さに大きく感銘を受けたと話していました。また、新幹線やウォシュレット、ホテルの接客ロボットや人間と話せるロボットなど、日本の技術はユニークで且つ便利で魅力的だと学生たちは話していました。
ほかのマレーシアの学生によると、日本の延命治療や医療機器の研究なども人間社会全体に大きな良いインパクトを与えているテクノロジーであり、自分も日本の技術者たちのように人間にメリットがある、人の役に立つ技術の開発を日本の会社で行っていきたいと語っていました。
日本企業の年収の高さ
もちろん、日本企業の年収の高さも外国人材を引き付ける大きなポイントとなっています。日本は昨今円安の影響を受け続けていますが、それでもエリアによっては「日本は年収が高い国」と考えられていることがわかりました。
以下のタブより、アジアを中心とした国/地域別の年収平均を比較した資料をダウンロードいただけます。是非ご覧ください。
世界各国・地域別の平均年収をまとめた資料はこちら
充実した研修制度・仕事環境「日本はエンジニアに優しい国」
日本文化への興味や年収の高さだけにとどまらず、学生達は日本企業の研修制度や職場環境を理解したうえで、日本就職への決意を固めたことがインタビューにてわかりました。
多くの学生は、母国では新しい技術を開発する環境が少ないが、日本の企業にはエンジニアとして人の役に立つ、社会に貢献できる技術を開発できる環境が整っていると話します。
●インドネシアの学生の声「やりたい研究開発の機会が多くある」
「インドネシアには海外の企業の投資を受けた生産工場が多くあり、そういう工場では高度な研究開発の技術よりマニュアルに沿った作業が求められている」との意見があり、日本には自分のやりたい研究開発の機会が多くあることが魅力とのことでした。
他のインドネシア学生も、「日本の企業は海外の企業と資金を出し合いながら共同プロジェクトを進めるなど、真の意味でグローバルな研究環境があると思う。インドネシアの会社は海外の会社から一方的に投資を受けて下請け工場を建てるケースが多く、グローバルとは言い難い。」との意見も出ました。
●パキスタンの学生の声「日本はエンジニアの想像力が生かされる社会」
「日本はユニークな技術や便利な技術にあふれていて、且つ日本企業は新しい商品の開発に積極的であるため、エンジニアの想像力が生かされる社会。日本はエンジニアに優しい国だ」との話しも出て、日本企業が製品開発に積極的に取り組み、海外とも盛んに交流していることは、エンジニアを目指す彼らにとってスキルを磨き、成長できる仕事環境と評価されていました。
●インドネシアの学生の声「日本は新卒を育てるシステムが整っている」
加えて、日本企業の新人研修の制度やポテンシャル採用を評価している学生もいました。別のインドネシアの学生からは、「インドネシアではジョブ型採用が一般的で、空いたポジションにあてがわれる。そうすると、新卒にもかかわらず中途と同じ、高水準の業務を求められてしまう。日本のポテンシャル採用はその分、研修制度をもって新卒を育てるシステムが整っていると感じる。」との意見も出ました。
12月の来日型面接会にて来日した学生達。面接を終え、リラックスした表情。
まとめ
以上のように、海外の学生が日本で働きたい理由は、年収や日本文化だけでなく、日本の技術力や高品質な商品を開発する日本企業への尊敬の念、日本にあふれている便利でユニークなテクノロジー、また日本企業の仕事環境の良さに起因していることが本インタビューにて明らかになりました。
多くのエンジニア学生が、日本の技術は社会、人のためになる技術であると語り、日本企業で社会の役に立つ商品や技術を開発したいと意気込む姿が印象的で、このように技術開発への強い情熱をもち、且つ日本就職のために数年をかけて日本語学習と学業の両立に取り組んだ優秀な外国人材が日本企業就職を目指していることがわかりました。
ASIA to JAPANでは、今回のような、アジアを中心としたトップ大学で学ぶ外国人学生と日本企業が採用面接を行う「面接イベント」を毎月開催しております。ご興味がある企業様は是非ご相談下さい。