EN

【インド最前線 #2】インドの大学生のリアル —AISSMS工科大学 学長インタビューから見えた採用のヒント

目次

【インド最前線 #2】インドの大学生のリアル —AISSMS工科大学 学長インタビューから見えた採用のヒント

📌 本記事は「インド最前線」全4回シリーズの第2回です。

#1 日本語を学ぶインド人学生の特徴(26/6/4公開済み)

#2 インドの大学生のリアル(本記事)

#3 インドの日系企業が教えてくれた——日本でインド人材を採用する前に知るべきこと(近日公開)

#4 インド人材 採用成功のポイント(7月公開予定)

 

はじめに

インド人材の採用を検討する際、「どんな大学でどんな教育を受けているのか」「就職への意識はどうなのか」「日本への関心は本当にあるのか」——こうした疑問を持つ採用担当者は多いのではないでしょうか。 

今回はインド・プネにあるAISSMS工科大学(AISSMS College of Engineering)の学長へのインタビューをもとに、インドの工科大学生のリアルな実態と、日本企業が採用を検討する際に知っておくべきポイントを整理しました。 

 

AISSMSとはどんな大学か——プネ有数の実践型工科大学

AISSMS工科大学は1992年創立のプネ大学傘下の工科大学で、学部生3,000人以上が在籍しています。AI・機械学習、化学工学、土木工学、コンピュータ工学、電気工学、電子通信工学、機械工学、ロボティクス・オートメーションなど幅広い学科を擁し、大学院・博士課程では75人以上が研究に取り組んでいます。

他大学との最大の差別化ポイントは実践型教育(ハンズオン教育)の徹底です。ハンズオン教育とは、座学だけでなく実際に手を動かして学ぶ教育スタイルで、インドの新教育政策が強く推進しているアプローチです。

特徴的なのが「機械サンドイッチプログラム」で、在学中に1年間企業で実務経験を積む制度です。また、SAE(自動車技術者協会)主催の学生コンペ「Baja SAE」への参加も盛んで、学生チームが一人乗りオフロード車を実際に設計・製作・レースで競います。AISSMSはBaja SAE 2025でサステナビリティ賞を受賞するなど、実践力の高さで知られています。

また近年はAI・機械学習専攻を新設し、AIがあらゆる産業に波及することを見据えて、カリキュラムを毎年アップデートしています。学長は「AIは使いこなすべきツールであり、学生にとって大きなメリットになる」と話しています。

採用担当者へのポイント:AISSMSの学生はAI・機械・IT・土木など幅広い専門性を持ち、在学中から実務経験を積んでいます。即戦力に近い人材が育つ環境であり、日本企業の技術職・エンジニア職との親和性が高いといえます。

 

採用の仕組み——大学の「就職支援センター」が鍵を握る

インドの工科大学では、企業と学生の橋渡しを担う「トレーニング&プレイスメント部門」(T&P部門)が採用の中心的な役割を果たしています。日本のキャリアセンターに相当しますが、単なる就職相談窓口ではなく、企業との関係構築・採用スケジュール調整・学生の適性選定まで積極的に担う点が特徴です。

採用の流れは以下の通りです。

  • 企業がT&P部門にコンタクトし、採用要件・給与条件を提示
  • T&P部門が適格な学生をリストアップ
  • キャンパス内での採用試験・面接(オンキャンパスリクルート)またはオフキャンパス面接を実施
  • 内定・採用へ

 

日本企業がインド人材を採用したい場合、このT&P部門とのリレーション構築が最初の重要ステップになります。

採用担当者へのポイント:インドの大学採用は「大学の就職支援センターを通じた関係構築」が前提です。日本企業が個別に学生にアプローチするのは難しく、T&P部門との信頼関係を先に作ることが採用成功の鍵になります。

 

インド国内の就職事情——TATAやTCS、日系企業はどう戦うか

インドの工学系学生にとって国内就職の人気企業は、TATAやRelianceといった財閥系大手、TCS・Infosys・Wiproなどの大手ITサービス企業、そしてGoogleやAmazonなどのグローバルテック企業です。
特にIT業界は「高収入を目指せる」という点で圧倒的な人気を誇り、多くの学生が志望しています。

新卒の年収水準は以下のような幅があります。

  • 一般的な水準:年収50万ルピー(約85万円)〜
  • 優秀な学生:100〜150万ルピー(約170万〜255万円)
  • トップ層(IIT等名門校):200〜250万ルピー超

 

学生のレベルや分野によって給与水準は大きく異なるため、日系企業にも十分なチャンスがあります。

採用担当者へのポイント:日系企業がGAFAや大手インドIT企業と同じ土俵で戦うのは難しいですが、「技術を学べる環境」「規律ある職場文化」「海外就労の機会」といった日本ならではの魅力を打ち出すことで、志向性の合う学生を獲得できます。給与条件はCTC(企業負担の年間総額)を明確に提示することが重要です。

 

日本への関心——「今がチャンス」の理由

これまでインドの工学系学生の海外志向といえば、アメリカ一択でした。修士号を取得してそのまま現地就職するパターンが主流でしたが、状況が変わりつつあります。学長は「米国の関税政策や移民規制が厳しくなり、学生がアメリカ以外の選択肢を考え始めています。日本やドイツがその候補として浮上しています」と話します。

AISSMSはこの変化に対応するため、すでに日本語・ドイツ語・フランス語をカリキュラムに導入しています。ASIA to JAPANとの連携では現在27名の学生に日本語トレーニングを実施中で、うち土木工学専攻の11名が日本企業へ就職予定です。

現時点で日本就職を目指す学生は全体の約5%ですが、学長は「就職した学生たちがブランドアンバサダーになり、口コミで関心が広がれば確実に増える」と期待を示しました。

学生が日本に魅力を感じる理由として挙がったのは、以下の3点です。

  • 給与水準の高さ(インド国内と比較して)
  • 先進技術を学べる環境
  • 規律ある職場文化

 

採用担当者へのポイント:米国離れが進む今は、インド人材の日本就職関心が高まる絶好のタイミングです。今の段階で大学との関係を作り始めた企業が、数年後に大きなアドバンテージを持つことになります。

 

採用後に知っておきたいこと——定着のカギ

学長インタビューでは直接語られませんでしたが、日本でインド人材を採用した企業が共通して直面するのが「来日後の定着」の課題です。

インドの学生は優秀で意欲も高い一方、日本の職場文化とのギャップに戸惑うケースが少なくありません。

  • 「報連相」や「察する」コミュニケーションへの適応
  • 残業文化(インドでは定時退社が一般的)
  • 日本語でのビジネスコミュニケーション
  • 生活面でのサポート(住居・行政手続きなど)

 

採用の成否は、採用後のフォロー体制で決まるといっても過言ではありません。

採用担当者へのポイント:入社前のオリエンテーションで日本の仕事文化を丁寧に説明し、メンター制度で日本人先輩がサポートする環境を整えることが、早期離職の防止につながります。

 

ASIA to JAPANにできること

「インド人材に興味はあるけど、何から始めればいいか分からない」——そう感じている方に向けて、ASIA to JAPANでは以下のような支援を行っています。

「インド人材のことをまず知りたい」企業へ

AtoJ HIRAMEKIを通じた現地大学訪問ツアーや、インド人材との直接交流の機会を提供しています。AISSMSのような工科大学との連携実績もあり、採用前に「どんな人材がいるのか」を肌で感じることができます。

「大学へのアクセス方法が分からない」企業へ

インドの大学はトレーニング&プレイスメント部門(就職支援センター)を通じた採用が主流です。ASIA to JAPANはすでに複数の工科大学とリレーションを持っており、採用窓口の確保からサポートします。

「採用後の定着が不安」な企業へ

日本語教育・文化研修・入社後フォローまで一貫して対応しています。インド人材が日本の職場で活躍できるよう、採用して終わりではなく伴走支援を提供しています。

インド人材採用について、まずはお気軽にご相談ください。

 

まとめ——採用担当者が知っておくべき5つのポイント

 

ポイント 採用担当者への示唆
理系×実践教育の人材が豊富 AI・機械・IT系の専門教育+実践型カリキュラムで即戦力に近い人材が育っている
採用は大学の就職支援センター経由 トレーニング&プレイスメント部門との関係構築が採用の第一歩
給与期待値は幅広い 新卒で年収50〜250万ルピー超と差が大きい。ポジションと条件を明確に提示することが重要
日本への関心は今が高まりどき 米国離れが進む今、日本への関心が高まっている。先行して関係を作った企業が有利
採用後のフォローが定着を左右する 来日後のコミュニケーションギャップを減らす受け入れ体制が不可欠

 

インドの工科大学には、日本企業が求める理系・エンジニア人材が豊富に育っています。米国離れが進む今こそ、関係構築を始める絶好のタイミングです。

次回(#3)は「インド現地採用のリアル——日系企業16社訪問で見えた採用の常識」をお届けします。

外国人学生採用

日本語が話せる アジアトップ大学の
理系新卒外国人材を紹介します

この記事をシェアする!