【2026年10月改定】ビザ(査証)とCOEの違いと手数料|外国籍社員の費用は会社負担?本人負担?

はじめに

2026年は、外国籍社員の受け入れにかかる行政手数料が大きく変わった年です。7月に来日用のビザ(査証)の手数料が原則として約5倍に、10月には在留資格の変更・更新の手数料が最大75,000円に引き上げられました。

これを受けて、人事担当者の方から「更新費用は会社と本人のどちらが負担すべきか」というご相談をいただく機会が増えています。ただ、この議論の前に整理しておきたいのが、「ビザ」と「在留資格」は別のものだという点です。申請先も手続きも異なり、「ビザ代」とひとくくりにすると費用負担のルールも曖昧になりがちです。

本記事では、外国籍社員の来日・入社支援に携わるASIA to JAPANの受け入れ支援チームの知見をもとに解説します。

この記事でわかること

  • ビザ(査証)とCOE・在留資格の違い
  • 2026年に何がいくら値上がりしたか
  • 手数料をいつ・どうやって払うか
  • 会社負担・本人負担を決めるときの考え方

まず整理:「ビザ(査証)」と「COE・在留資格」は別物

日常会話では「就労ビザ」「ビザ更新」のように使われますが、制度上の「ビザ(査証)」と「在留資格」は別のものです。ビザは日本に入国するためのもの、在留資格は日本で活動するためのもの、と考えると整理しやすくなります。

手続き 何のためのものか 申請先 主に必要になる人
COE(在留資格認定証明書)の交付申請 入国前に、日本で行う活動が在留資格の要件に合うかを入管が事前に審査した証明書 日本の地方出入国在留管理局(受入れ企業などが代理で申請) 海外に住む内定者
ビザ(査証)の申請 日本に入国するための推薦。入国時に役割を終える 本人が住む国の日本大使館・総領事館(外務省) 海外に住む内定者(COEを添えて本人が申請)
在留資格の変更許可申請 日本にいるまま、別の在留資格に切り替える 住所地を管轄する地方出入国在留管理局 日本にいる留学生(「留学」→「技術・人文知識・国際業務」など)
在留期間の更新許可申請 同じ在留資格のまま、在留できる期間を延長する 住所地を管轄する地方出入国在留管理局 入社後の外国籍社員

POINT採用ルート別に必要な手続き

  • 海外大学の新卒を採用する場合:日本の入管でCOEを取り、現地の大使館でビザを取る(2段階)
  • 日本にいる留学生を採用する場合:ビザは関係なく、入管への在留資格の変更申請のみ
  • 入社後:「ビザ更新」と呼ばれがちですが、正しくは入管への在留期間の更新

この区別が大事なのは、申請先も、値上げの時期も金額も、支払い方もそれぞれ違うからです。「ビザ代は会社負担」とだけ決めると、どの手続きの費用を指すのかが曖昧になります。

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2026年に何がいくら値上がりしたか

ビザ(査証)手数料:2026年7月1日から約5倍

2026年7月1日以降に在外公館が受理した申請から、新しい手数料が適用されています。1978年以来、約48年ぶりの改定です。

査証の種類 改定前 改定後
一次有効査証(1回のみ入国可) 約3,000円 約15,000円
数次有効査証(有効期間内に何度でも入国可) 約6,000円 約30,000円

就職のために来日する場合は、通常は一次有効査証です。ただし、実際の手数料は国籍や申請先の大使館・総領事館によって大きく異なります。たとえばインド国籍の方の一次有効査証は、2027年3月末まで500ルピーに据え置かれています。また、手数料は現地通貨で支払うため為替でも変わり、代理申請機関を通す国では取次手数料が別にかかります。採用国ごとの最新の金額は、各国の日本大使館・総領事館のホームページで確認してください。

なお、COEの交付申請には手数料がかかりません。今回の改定の対象外です。

在留資格の変更・更新手数料:2026年10月1日から「許可期間に応じた段階制」に

これまでは在留期間にかかわらず一律(窓口6,000円、オンライン5,500円)でした。改定後は、実際に許可された在留期間に応じて金額が決まります。在留資格の変更と在留期間の更新は同じ金額です。

許可された在留期間 窓口申請 オンライン申請
3か月以下 10,000円 10,000円
3か月超6か月以下 18,000円 15,000円
6か月超1年未満 25,000円 21,000円
1年 33,000円 27,000円
1年超3年未満 48,000円 42,000円
3年以上5年未満 64,000円 56,000円
5年以上 75,000円 65,000円

オンライン申請は窓口より最大10,000円安くなります。ただし、オンライン申請では手数料とは別に決済手数料(許可期間3年未満は330円、3年以上は550円)がかかります。

POINT1年あたりで見ると、短い許可ほど割高

窓口申請の場合、1年の許可は1年あたり33,000円、5年の許可は1年あたり15,000円です。許可期間が長いほど総額は高くなりますが、短い在留期間で更新を繰り返す社員ほど、負担が重くなります。

旧料金が適用されるのは「9月30日までに受け付けた申請」

2026年9月30日までに入管が受け付けた申請は、許可が10月1日以降になっても旧料金です。10月1日以降に受け付けた申請には、新料金が適用されます。なお、9月30日までに受け付けたオンライン申請は、許可が10月以降でも収入印紙で納付します。

永住許可は20倍に

永住許可の手数料は、10,000円から200,000円になりました。外国籍社員の定着支援として永住申請を支援している企業にとっては、支援内容を見直すきっかけになります。なお、日本人・永住者・特別永住者の配偶者や子などで、所定の要件を満たす場合は20,000円に減額される措置があります。

手数料は「いつ・どうやって」払う?

在留資格の変更・更新の手数料は、申請時ではなく、審査が終わって許可を受けるときに納めます。許可される在留期間で金額が決まるため、申請の時点では金額が確定しません。

窓口申請 オンライン申請
金額がわかるタイミング 審査終了後に届くハガキに記載 審査完了メールの後に届く決済案内メールに記載
支払い方法 収入印紙 コンビニ決済または銀行決済(収入印紙は使えない)
注意点 収入印紙は現金でしか購入できない。入管の売店やコンビニでは在庫が限られるため、大きめの郵便局などで事前に購入しておくよう案内されている 手数料とは別に決済手数料がかかる。ネットバンキングならキャッシュレスで支払える

会社が手数料を負担する場合、この仕組みが精算方法に関わります。たとえば窓口申請では、本人が現金で収入印紙を立て替えることになりやすく、5年の許可ならその額は75,000円です。社員に立て替えを求めるのか、付与と合わせて精算するのかを事前に決めておくと、社員も安心して手続きできます。

ビザ(査証)の手数料は、本人が現地の大使館・総領事館や代理申請機関で、現地通貨で支払います。会社が負担する場合は、来日後に領収書をもとに精算する方法が考えられます。

費用負担を決めるときの考え方

手数料を会社と本人のどちらが負担するかは、法律で決まっているわけではなく、雇用契約や社内規程を踏まえて各社が判断するものです。採用時の手続きと入社後の更新では事情が異なるため、手続きを「誰のための手続きか」で分けて考えると、社内でも説明しやすくなります。

手続き 性格 考え方の例
COE・ビザ(査証)・入社時の在留資格変更 会社が採用するために必要な手続き 入社の前提となるため、会社負担とする理由を説明しやすい
入社後の在留期間更新 雇用を続けるために必要だが、本人の在留を続ける手続きでもある 本人負担、会社負担、一部補助のいずれもあり得る。今回の値上げで最も検討が必要になる部分
永住許可 本人の選択による手続き 本人負担が基本。定着支援・福利厚生として支援する選択肢もある

特に入社後の更新は、これまでは1回6,000円だったため問題になりにくい部分でした。しかし改定後は1年の許可でも33,000円となり、新卒社員にとっては小さくない負担です。外国籍社員の定着や、採用時の魅力という観点からも検討する価値があります。

POINT試算:在留期間1年の社員10人の更新を会社が全額負担する場合

  • 改定前:6,000円 × 10人 = 60,000円
  • 改定後:33,000円 × 10人 = 330,000円
  • 負担増:270,000円

※窓口申請の場合。実際の金額は、許可される在留期間や申請方法によって変わります。

ルールを決めるときのチェックポイント

  1. 1対象にする手続き上の表のどこまでを会社負担とするかを、手続き名で書き分けます。「ビザ代」のような曖昧な表現は避けます。
  2. 2金額差への対応許可される在留期間は入管が決めるため、同じ更新でも金額は1万〜7.5万円と幅があります。実費を全額負担するのか、上限を設けるのかを決めます。
  3. 3予算更新を迎える社員の人数と時期を把握し、必要な予算を見積もります。
  4. 4在留資格の変更・更新の申請方法入管への変更・更新申請は、オンラインなら窓口より最大10,000円安くなります(現地の大使館で行うビザ申請とは別の手続きです)。事前の利用登録をすれば、企業の職員が代わりに申請できる場合もあります。
  5. 5精算の流れ本人が立て替えて後で精算するのか、会社が直接支払うのか。立て替えの場合は、必要な書類と支給のタイミングも決めます。
  6. 6書面での明示と説明内定通知や社内規程に記載し、入社前に本人へ説明します。日本語に不安がある社員には、英語や平易な日本語での説明も有効です。

「早期退職したら返還」の条件は設けられる?

会社が在留資格の変更・更新手数料を負担する場合に、「更新後1年以内に自己都合で退職したら、手数料を返還してもらう」といった条件を設けられるか、というご相談をいただくことがあります。

⚠ 返還条件を設ける場合は注意が必要です

こうした返還条件は、労働基準法などとの関係で問題になる可能性があり、制度の設計や規程の書き方によって判断が分かれます。会社が負担した手数料を退職時の給与から差し引くことにも、法律上の制限があります。

返還の仕組みを検討する場合は、事前に弁護士や社会保険労務士などの専門家に確認することをおすすめします。

外国籍社員の定着支援のための費用負担が、かえって社員の不信感につながらないよう、制度の目的や条件を明確にしておくことも大切です。

まとめ

この記事のポイント

  • ビザ(査証)は入国のために在外公館で、COE・在留資格の変更・更新は日本での活動のために入管で申請する、別の手続きです。
  • 2026年は、ビザ手数料が7月から原則約15,000円(国により異なる)に、在留資格の変更・更新手数料が10月から許可期間に応じた段階制(窓口で最大75,000円)になりました。COEの申請は無料のままです。
  • 変更・更新の手数料は審査後に金額が確定し、窓口は収入印紙、オンラインはコンビニ・銀行決済で支払います。
  • 費用負担は「入社に必要な手続き」「在留を続ける手続き」「本人の選択による手続き」に分けて考えると、ルールを決めやすくなります。

次回予告

日本にいる留学生を採用するときに「在留資格の変更」と「一時帰国してCOEで新たに入国する」のどちらを選ぶべきかを取り上げます。手数料だけでなく、渡航費、審査期間、入社スケジュールまで含めて、人事担当者が確認しておきたいポイントを整理します。

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  • VISA取得・来日サポート:内定後の在留資格手続きから、来日・生活立ち上げまでを支援します。

※本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の法的助言ではありません。手数料の額や手続きは2026年10月23日時点の情報です。最新の情報は出入国在留管理庁・外務省のホームページをご確認ください。

参考資料