インド政府の定期労働力調査(PLFS)によると、2025年の給与所得者の平均月収は、男性24,217ルピー(約4.0万円)、女性18,353ルピー(約3.0万円)でした。働く人のうち給与所得者は23.6%にとどまり、半数以上は自営業です。本記事では、最新の政府統計をもとにインドの給与事情と、日本企業がインド人材を採用する際に押さえておきたいポイントを解説します。
※2026年11月に、就業形態別の収入や推移のデータを追加して更新しました。
結論:インドの給与所得者の月収は約4万円。ただし「平均」だけでは実態は見えない
- 給与所得者の平均月収は男性約4.0万円・女性約3.0万円: 年額にすると日本の平均給与の約10分の1です。それでも直近4年で2割近く上がっています。
- 給与所得者は働く人の4人に1人以下: 半数以上は自営業で、その平均月収は男性約3.0万円、女性約1.1万円とさらに低い水準です。
- 日本で雇うなら「日本人と同等以上」の給与が必要: インドの給与水準に合わせて低く設定することはできません。採用の決め手は給与差より、キャリアや受け入れ体制です。
2023年、国連人口基金(UNFPA)が公表した世界人口推計で、インドは長年1位だった中国を抜き、人口世界最多の国になりました。IT大国としても知られるインドですが、働く人は毎月いくら稼いでいるのでしょうか。インド政府の最新の統計をもとに見ていきましょう。
インドの平均月収(2025年・政府統計)
※インド通貨:INR(インド・ルピー)、1INR=約1.648円(2026年10月下旬のレートで換算)
インド政府(統計・計画実施省)の定期労働力調査(PLFS)によると、2025年の給与所得者(常用雇用)の平均月収は、男性が24,217ルピー(約4.0万円)、女性が18,353ルピー(約3.0万円)でした。前年からそれぞれ約5.8%、約7.2%増えています。
PLFSでは、働き方を「給与所得者(常用雇用)」「自営業」「日雇い(臨時労働)」の3つに分けて収入を調べています。働き方によって、収入には大きな差があります。
| 働き方 | 男性 | 女性 |
|---|---|---|
| 給与所得者(常用雇用) ※平均月収 |
24,217ルピー (約4.0万円/前年比+5.8%) |
18,353ルピー (約3.0万円/前年比+7.2%) |
| 自営業 ※平均月収 |
17,914ルピー (約3.0万円/前年比+6.0%) |
6,374ルピー (約1.1万円/前年比+8.8%) |
| 日雇い(公共事業を除く) ※平均日給 |
455ルピー (約750円/前年比ほぼ横ばい) |
315ルピー (約520円/前年比+5.4%) |
給与所得者は、毎月決まった給与を受け取る、比較的安定した働き方です。自営業の女性の平均月収は約1.1万円で、給与所得者の男性の4分の1ほどにとどまります。「インドの平均月収」と言っても、どの働き方を指すかで数字は大きく変わる点に注意が必要です。
給与所得者の月収は、4年で2割近く上がった
給与所得者の平均月収は、毎年着実に上がっています。2022年と2025年を比べると、男性は約18%、女性は約19%の上昇です。
| 年 | 男性 | 女性 |
|---|---|---|
| 2022年 | 20,517ルピー | 15,406ルピー |
| 2023年 | 21,717ルピー | 16,456ルピー |
| 2024年 | 22,891ルピー | 17,126ルピー |
| 2025年 | 24,217ルピー(約4.0万円) | 18,353ルピー(約3.0万円) |
| 2022→2025年の伸び | +約18% | +約19% |
※この記事の以前の版では、民間サイト(Salary Explorer)の推計値を使っていました。2026年10月の更新で政府統計に切り替えたため、以前の数値とは直接比べられません。
給与所得者は4人に1人以下。インドの働き方の内訳
インドで働く人のうち、毎月決まった給与を受け取る給与所得者は23.6%です。半数以上は自営業で、日雇いも約5人に1人を占めます。
| 働き方 | 2024年 | 2025年 |
|---|---|---|
| 自営業 | 57.5% | 56.2% |
| 給与所得者(常用雇用) | 22.4% | 23.6% |
| 日雇い(臨時労働) | 20.0% | 20.2% |
給与所得者の割合は、1年で1.2ポイント増えました。男女別に見ると、男性は25.4%から26.5%、女性は16.6%から18.2%に増えています。企業に雇われて安定した給与を得る働き方が、少しずつ広がっていることがわかります。
日本の給与と比べると約10分の1
給与所得者の男性の平均月収24,217ルピーを年額にすると、約29万ルピー(約48万円)です。日本の平均給与487万円(2025年、国税庁)と比べると、約10分の1の水準です。
この差を見て、「インド人材なら人件費を抑えられるのでは」と考える方もいるかもしれません。しかし、日本でインド人材を雇う場合は、次の点に注意が必要です。
⚠ 日本で雇う場合、給与は「日本人と同等額以上」が条件です
エンジニアなどが取得する在留資格「技術・人文知識・国際業務」では、日本人が同じ仕事をする場合と同等額以上の報酬を受けることが要件の一つです(出入国在留管理庁)。インドの給与水準に合わせて低い給与を設定することはできません。実際の申請にあたっては、入管庁や行政書士などの専門家にご確認ください。
つまり、インド人材の採用は「コストを下げる手段」ではなく、日本国内で採用が難しい理系人材を確保する手段と考えるのが現実的です。インド側から見ると、日本で働けば母国の平均の何倍もの収入を得られます。この点は、日本企業にとって大きな魅力になります。
収入格差の背景にある「学歴」と「社会構造」
インドは、収入格差が大きい国です。その背景の一つに、カースト制度があります。カーストによる差別は憲法で禁止されていますが、地域や世代によっては今も職業選択や教育の機会に影響が残っていると言われます。
収入を大きく左右するもう一つの要素が、学歴です。インドでは名門大学に入るため、毎年熾烈な受験競争が行われます。その代表が、国家的重要機関として全国に23校ある「インド工科大学(IIT)」です。IITは、GAFAMなど世界的企業の経営層も輩出しています。
IITをはじめとする理系の上位校の卒業生は、国内外の企業から好条件のオファーを受けます。平均月収が約4万円の国であっても、理系トップ層の採用市場は、国際的な人材獲得競争の場です。日本企業がこの層を採用するには、給与だけでなく、仕事の内容やキャリアの見通し、来日後の生活サポートまで含めて魅力を伝えることが大切です。
POINTインド人材の採用で押さえておきたい3つのポイント
- 給与は日本の基準で決める。 在留資格の要件上、日本人と同等額以上が必要です。
- 理系トップ層は国際的な争奪戦。 IITなどの上位校では、世界中の企業が同じ学生を狙っています。
- 伝えるべきは「働く理由」。 技術を伸ばせる環境や、日本での生活の安心感が、入社の決め手になります。
日本企業はIITの採用面接会にどう参加しているのか。最新の現地レポートをまとめました。
よくある質問
Q. インドの平均月収はいくらですか?
A. インド政府の定期労働力調査によると、2025年の給与所得者の平均月収は、男性が24,217ルピー(約4.0万円)、女性が18,353ルピー(約3.0万円)でした。自営業では男性が17,914ルピー(約3.0万円)、女性が6,374ルピー(約1.1万円)です。
Q. インドの給与は上がっていますか?
A. 上がっています。給与所得者の平均月収は、2024年から2025年にかけて男性で約5.8%、女性で約7.2%増えました。2022年と比べると、男性で約18%、女性で約19%の上昇です。
Q. インドで給与所得者として働く人はどのくらいいますか?
A. 2025年の調査では、働く人のうち給与所得者(常用雇用)は23.6%で、前年の22.4%から増えました。自営業が56.2%、日雇いが20.2%です。
Q. 日本の給与と比べるとどのくらいの差がありますか?
A. 男性の給与所得者の平均月収を年額にすると約48万円で、日本の平均給与487万円(2025年)の約10分の1です。
Q. インド人を日本で雇う場合、給与をインドの水準に合わせられますか?
A. できません。在留資格「技術・人文知識・国際業務」では、日本人が同じ仕事をする場合と同等額以上の報酬を受けることが要件の一つです。
まとめ:インドの給与は日本の約10分の1。採用では「日本基準」で考える
この記事のポイント
- 2025年の給与所得者の平均月収は、男性約4.0万円、女性約3.0万円。日本の約10分の1の水準です。
- 給与所得者は働く人の23.6%。半数以上を占める自営業の収入は、さらに低い水準です。
- 給与は2022年から2割近く上がっており、安定した雇用も少しずつ広がっています。
- 日本で雇う場合は「日本人と同等額以上」の給与が必要です。IITなど理系トップ層は国際的な争奪戦になっています。
インドの平均月収を調べていた方の中には、インドの理系人材の採用を検討している方もいらっしゃるのではないでしょうか。給与の差だけに注目するのではなく、「どんな人材に、どんな仕事を任せたいか」から採用を考えるのがおすすめです。
インドの理系人材の採用は、ASIA to JAPANにご相談ください
株式会社ASIA to JAPANは、インド工科大学(IIT)をはじめ海外大学の理系新卒人材の採用から、内定者の日本語教育、来日後の受け入れサポートまで一貫して支援しています。理系外国人材に特化した面接イベントを毎月開催しており、企業様の状況に合わせて優秀な学生をご紹介できます。
- インドの理系新卒の給与相場・採用条件の整理
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(脚注)
・(参考)インド統計・計画実施省 PLFS年次報告2025 プレスノート(2026年3月27日)
・(参考)国税庁 令和7年分 民間給与実態統計調査
・(参考)出入国在留管理庁 在留資格「技術・人文知識・国際業務」
・(参考)UNFPA 世界人口白書2023