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【出張レポート | 中国】安定志向の中で光る、海外就職を目指す中国学生の可能性

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【出張レポート | 中国】安定志向の中で光る、海外就職を目指す中国学生の可能性

ASIA to JAPANは6月17日~20日にかけて
日本就職を目指す学生に向けた説明会や大学関係者との打ち合わせを目的に、
中国・東北部の現地大学を訪問しました。

近年、中国の学生たちは「安定」を第一に企業を選ぶ傾向が強まっており、特に公務員や国有企業、地元企業への人気が集中しています。

一方で、親世代の影響で就職活動そのものに消極的な学生も増えており、中国の新卒市場は大きく変化しつつあります。

しかし、そのような環境の中でも、日本就職を目指す学生は依然として存在し、彼らは高い成長意欲とチャレンジ精神を持っています。

この記事では訪問した大学の紹介や、現地での様子についてご紹介します。

【中国】人事のための大学情報まとめ

 

■中国学生の就活事情

・トップ大学の理系人材は引く手あまた、文系は厳しい現実

現在の中国では、トップ大学の理系学生は企業から非常に高い需要があり、中国国内の大手企業の内定を獲得していることが珍しくありません。

特にAI、電気自動車、IT分野は人材争奪戦が激化しており、中国国内企業だけでなく欧米や香港の企業も積極的に採用に動いています。

一方で、文系学生は就職先を見つけるのが年々難しくなってきています。

大卒人口が急増する中、文系職の求人が十分に増えておらず、倍率が非常に高いのが現状です。

特に近年は「リストラへの不安」が若者の間に広がっており、終身雇用の安定を求めて国家公務員を目指す人も増加しています。

ただ、親の意向で就職を選択せず大学院進学を選択する学生も少なくありません。

・インターンは就活成功の必要条件に

中国ではインターンシップが非常に重要視されており、大学によってはインターンが単位として認定される場合もあり、実務経験の有無がそのまま選考の合否に直結するケースも少なくありません。

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・昔の日本を彷彿させる企業文化の変化

中国国内では「ブラック企業」の存在が顕在化されてきています。

かつての中国では時間外労働が少なく、時間になると退勤しておのおの自由に時間を過ごすのが一般的でした。

しかし、急激な経済発展による生産量の増加などで、ひと昔前の日本のように残業が当たり前になり、上司からの厳しい指導や成果主義の風潮が働き方に影響を与えているとの声もあります。

このような背景から、慎重にインターン先や就職先を選ぶ学生が増えているのが現状です。

・高い日本語能力を持つ中国学生、その一方で会話は苦手

中国は日本語学習者の数が世界でもトップクラスであり、日系企業に関心を持つ学生の多くがすでに高い日本語能力を身につけています。

中国語と日本語は共通の漢字を使用するため、語彙の吸収が早く、特に文法や漢字の理解度は非常に高いため、JLPT(日本語能力試験)N3以上レベルに至っている学生も珍しくありません。

しかし、実際に日本語を「話す」ことに苦手意識を持つ学生は少なくありません。

大学では読み書き中心の教育が多く、また中国国内では日本語を日常的に使用する場面が限られているため、アウトプットの機会が圧倒的に不足しているのが現状です。

一方で、彼らはもともとの基礎力が高く、会話機会をしっかり提供すれば短期間で飛躍的に成長するポテンシャルを持っています。

現地で出会った日本志望の学生たちからも、「もっと話す機会が欲しい」「会話を通じて日本語を磨きたい」という声が多く挙がっていました。

 

■なぜ日本を目指すのか

 

・日本企業への信頼「守られる環境でチャレンジしたい」

今回ヒアリングした日本志望の中国学生たちは、一様に「日本企業は社員を守ってくれる」というイメージを持っていました。

中国国内で増加するブラック企業やリストラの現状を見て、「安心して働ける環境」に強い魅力を感じているようです。

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さらに興味深かったのは、特に上昇志向を持つ学生は、ただ「安定」を求めているだけではなく、「守られた環境でありながら、自分もチャレンジしたい」という意識を持っているところです。

日本企業であれば、新人でも挑戦の機会が与えられ、丁寧に育成してもらえると考えており、彼らにとってこのバランスが大きな魅力になっています。

・日本の初任給はまだ競争力がある

賃金面でも日本は一定の競争力を保っています。

現在、中国の一流企業の初任給は都市によってばらつきがあるものの、多くの場合日本の大卒初任給よりも低く、特に円安の影響がある中でも「日本企業の方がスタート時の収入が良い」と認識されています。

もちろん、長期的には中国の所得上昇により逆転する可能性もありますが、少なくとも現時点では「日本で働くこと=生活の安定とキャリアの成長が両立できる」と評価されています。

日本で働きたい中国学生は、大学内の講義や独学で日本語を学び、総じて語学力も高く自ら積極的に情報を取りに行く傾向があります。

こうした層は、現地での主流とは異なり、成長意欲やチャレンジ精神が強いことが特徴です。

 

■日本企業が中国学生採用で取り組むべきこと

 

・ジョブ型採用では仕事内容を明確に

中国の学生は、日本のいわゆる「総合職」の曖昧さに不安を感じることがあります。

ジョブ型採用の場合でも、「具体的にどのような業務を担当し、どのようにキャリアアップしていくのか」を事前に明示することが非常に重要です。

漠然と「将来いろいろ経験できます」という説明では、他の中国企業や外資系企業に比べて魅力を感じてもらえない可能性があります。

また、中国では仕事の成果が評価されやすい文化が根付いているため、成果主義を意識した説明やキャリアパスの提示も、応募者の安心感につながります。

・福利厚生と働きやすさを丁寧に伝える

中国学生にとって「休日」「福利厚生」「残業時間」は、企業選びの重要な基準です。

リストラなど永続的な就労の難しさだけでなく、過労問題が認知されている中で、安心して長く働ける環境かどうかは非常に大きなポイントです。

特に日本企業は、有給休暇の取得率や残業時間の実態、福利厚生の具体例をしっかり説明することで、安心材料を提供できます。

また、家族を大切にする中国の文化も踏まえ、育児休暇や家族手当といった制度を紹介することも効果的です。

・オンラインインターンで早期に関係を築く

日本企業が中国学生を採用したい場合は、大学3年生以前から早期に接点を持つことが重要です。

特に、オンラインインターンシップや仕事理解セミナーを通じて、学生との関係性を深めておくことが有効です。

オンラインを活用して積極的に採用活動を展開している現地企業や海外企業もおり、日本企業も同様に早い段階で情報発信と関係構築を始めることが求められています。

単なる会社説明会ではなく、実際の業務の一部を体験できるようなインターンシッププログラムが、優秀層を惹きつけるポイントになるでしょう。

また日本企業としては、採用前の交流会や日本語面談、オンラインインターンシップの中で「日本語で会話する場」を意図的に増やすことが、彼らの能力を最大限に引き出す大きな鍵となります。

 

■中国で訪問した大学

今回訪問した大学を紹介します。

・大連理工大学(Dalian University of Technology / DUT)

DUT

1949年に設立された大学です。

理工系に強く、力学、水利工学、化学工学技術などは国の重点学科に指定され、工学・化学、集積回路、理科の基礎科学研究などの分野のスペシャリスト育成拠点として国内でも着目されています。

 

・大連外国語大学(Dalian University of Foreign Languages / DLUFL)

DLUFL

大連外国語大学は、1964年に設立された「大連日本語専科学校」を前身とし、遼寧省人民政府に属する地方大学です。

外国語教育を中心に、工学、経済学、管理学、法学、芸術など幅広い学部を擁しています。

国際的人材の育成を使命とし、外交官の輩出数では北京外国語大学に次ぐ実績を誇ります。

日本語専門学校を起源とすることから、日本語学科の規模・教育水準ともに国内トップクラスです。

 

・吉林大学(Jilin University / JLU)

JLU

吉林大学は、2000年に「吉林大学」「吉林工業大学」「白求恩医科大学」「長春科技大学」「長春郵電学院」の5つの大学、

2004年には旧中国人民解放軍軍需大学も統合され、

哲学、経済学、法学、教育学、文学、歴史学、理学、医学、管理学、軍事学など、

12の学問分野を幅広くカバーしている中国屈指の総合大学です。

吉林省の省都・長春市に本部を構え、「211プロジェクト」「985プロジェクト」に指定されているほか、

2017年には「双一流(世界一流大学・学科)」にも選ばれた、教育部直属の全国重点大学です。

在籍する全日制学生は約7万人と、中国国内でも最大規模。

清華大学、北京大学、中国人民大学と並び、多くの政治家を輩出している大学としても知られています。

特に、化学、法学、物理学、哲学、数学、自動車工学、地学、基礎医学、精神神経医学、考古学といった分野において

伝統的に強みを持っています。

 

・東北大学(Northeastern University / NEU)

NEU

東北大学は、1923年に中国北東部の学術拠点として設立された、長い歴史を持つ理工系の名門大学です。

満州事変を経て一時避難を余儀なくされましたが、1946年に瀋陽に復帰。

1950年には「瀋陽工学院」「撫順鉱業」「鞍山鉱業」と統合し、「東北工学院」として工学分野に特化した大学となり、1993年に現在の「東北大学」となりました。

本部は遼寧省の省都・瀋陽にあり、国家重点大学として、冶金、材料、鉱業、機械といった基幹産業を支える分野において、長年高い実績を誇ります。

近年では、ソフトウェア開発や自動化制御システムなどのハイテク分野にも力を入れており、中国で最初の「大学ソフトウェアパーク」を開設したほか、自校発ソフトウェアの校弁企業が中国で初めて上場した実績もあります。

また、中国トップレベルのスーパーコンピュータを有し、2017年には「双一流(世界一流大学・学科)」にも選出されています。

 

・黒龍江大学(Heilongjiang University / HLJU)

HLJU

黒竜江大学は、1941年に設立された「延安人民抗日軍政大学第三分校」を前身とし、1944年の「延安外国語学校」、1948年の「ハルビン外国語専門学校」を経て、1958年に現在の「黒竜江大学」として名称を変更しました。

その後も、1972年にハルビン外国語専科学院、2003年に中国農業科学院甜菜研究所、2004年に黒竜江水利専科学校を統合し、現在は総合大学として発展を続けています。

黒竜江省政府に属し、教育部と国家国防科技工業局が共同で運営する地方重点大学で、特にロシアとの学術交流が盛んなことが特徴です。

キャンパス内にはロシア政府が設置するロシア語センターもあり、外国語教育に強みを持っています。

また、中国農業研究院黒竜江科学技術モデル基地として、国家砂糖材料改善センターや農業部甜菜品質検査センターなど、国家級の研究施設も備えており、農業分野でも高い研究実績を誇ります。

【中国】人事のための大学情報まとめ

 

■まとめ

今回の訪問時の情報を紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。

今回の中国出張を通して見えてきたのは、「安定志向」と「チャレンジ志向」が共存する中国学生のリアルな就活観です。

その中で、日本企業の「安心して働ける環境」「チャレンジできる成長機会」は、確かな魅力となり得ます。

とはいえ、それを十分に伝える努力をしなければ、他の選択肢に埋もれてしまうリスクもあります。

現地の学生に適した情報提供の仕方、早期の接点づくり、インターンを通じた関係構築。

こうした工夫を積み重ねることが、中国における採用成功の鍵となるでしょう。

 

ASIA to JAPANでは、こうした現地のリアルな声を企業の採用戦略に活かし、日本と海外の「まだ出会っていない」人材の架け橋として、今後もサポートを続けてまいります。

中国人材へのご関心や、採用後から入社までの手続き方法、大学へのアプローチ方法など気になることがありましたら、お気軽にASIA to JAPANへお問い合わせください。

 

またスタッフとの個別相談会をご希望の場合はこちらからお問い合わせください。

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