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社内公用語を英語にする理由とは?そのメリット・デメリットと注意点をご紹介!

目次

社内公用語を英語にする理由とは?そのメリット・デメリットと注意点をご紹介!

そもそも「社内公用語」とは?

「社内公用語が英語」という企業について聞いたことがある人は多いのではないでしょうか。実際、社内公用語を英語にする企業が多数出てきています。

社内公用語を英語にするといっても、「社内公用語」という言葉に対する定義があるわけではないため、どの範囲まで英語にするかは企業によって度合いが異なります。

「社内のやり取りを全て英語にする」「会議は英語で行う」といったように、企業別の目的や目指す目標によってさまざまな方針が打ち出されています。

社内公用語を英語にする理由

では、なぜ社内公用語を英語にすることを検討する企業が増えているのでしょうか。社内公用語を英語にする理由には、いくつかの社会的な背景が関係しています。

人手不足

ひとつは、人手不足を解消するためです。日本では、人手不足が深刻化しており、2023年7月時点の調査では、正社員の人手不足企業の割合が51.4%となりました。業種別にみると、「情報サービス」で74.0%、「旅館・ホテル」で72.6%と、7割を上回っています。特に、情報サービスにおいて、システムエンジニア等の高度な技術を有する人材が不足しているといいます。
日本人の雇用だけでは人手不足が解消できず、外国人労働者を雇用する企業も増える中で、業務上のコミュニケーションの言語が英語に変わっていく企業もあるでしょう。

参考サイト:帝国データバンク「人手不足に対する企業の動向調査」(2023年7月)

グローバル化

また、人手不足の解消に加え、グローバル化に対応するためという理由があります。
現代において、事業の海外展開は企業が成長を遂げるにあたり重要なポイントとなります。支社や工場が海外にあることが当たり前になり、自然と英語の需要が増えていくと、それに対応して英語を話せることが円滑なコミュニケーションを行う上で必須になります。

社内公用語を英語にしている企業

ここからは、実際に社内公用語の英語化を導入している企業について見ていきます。
様々な業界の企業が社内公用語を英語に切り替えていることがうかがえますが、企業によって、どの程度の英語化を推進するかが異なっていることも見えてきました。

楽天グループ株式会社

楽天は、“Englishnization“と呼び、2010年から三木谷社長が社内公用語を英語にすることを宣言し、約二年の準備期間ののち、2012年には本格的な英語化を行ったことが当時は大きな話題となりました。
宣言から5年経った2015年には全社TOEIC平均スコア800点を達成し、現在では多国籍化する社員の社内議論の深化や、社外のトップエンジニア、ビジネスパーソンとの交流強化においても効果を実感しているといいます。

株式会社マネーフォワード 

マネーフォワードは、日本以外にベトナムとインドに拠店をもち、法人向けバックオフィスSaaSや個人向け家計簿サービスなど、さまざまなサービスを開発・提供する企業です。エンジニア人材の確保のため、社内エンジニア組織の公用語を2024年までに英語化する目標を掲げ、2021年から取り組みを開始しています。結果、2022年11月時点で、社内エンジニアの38%が外国人人材になる成果を上げました。 

参考サイト:「英語公用語化」でエンジニアの38%が外国籍に。世界中から人材を採用するノウハウとは

シャープ株式会社

台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業の傘下であるシャープですが、2022年には、英語を公用語化する方針が表明されました。それ以前は、研究開発本部においてのみ社内公用語を英語としていましたが、傘下に入って以来、ますます英語の重要性が高まっているのではないでしょうか。

参考サイト:朝日新聞デジタル「社内公用は英語に、シャープ、ファストリ、楽天 みんなで語学力UP」

社内公用語を英語にするメリット

では、多数の企業が実施している社内公用語の英語化ですが、どのようなメリットがあるのでしょうか。

国内外から優秀な人材を確保できる

まず、社内公用語が英語である場合、外国人を雇用するにあたって生じる言語の壁がなくなるため、言語の心配をせずに国内外から優秀な人材を確保することができます。
実際、英語は世界の14億人以上に話されており、日本語は1億2千万人ほどです。この通り、採用できる人材の母数が一気に増え、より優秀な人材の獲得を期待できます。

グローバルにビジネスを展開できる

もし企業がグローバルに展開をしたいと考えた場合、社内外でのコミュニケーションを行う上で英語が必要になってきます。社内公用語を英語とした場合、日頃からのコミュニケーションが英語になり、海外に支社や工場を展開することを検討しやすくなります。

また、海外取引のチャンスが大幅に上がることも考えられます。英語でのコミュニケーションが円滑に行えるようになると、海外の取引相手と通訳を介さずにコミュニケーションを行うことができるため、信頼関係も築きやすくなります。

外国人人材の受け入れがしやすくなる

社員の多くが英語に対応できるとなると、外国人人材の採用に積極的になれます。また、外国人が入社した後も、日本語が話せないことから感じる疎外感やコミュニケーションの不便さを感じることなく、居心地よく過ごせると考えられます。

風通しがよくなる

英語には、日本語ほどの堅い上下関係の表現がありません。そのため、どの立場の人とでも厳しい上下関係に縛られることなく、接しやすくなると考えられます。公用語が英語になった場合、今までにない一体感が生まれ、意見を言いやすい環境づくりができます。よりフラットに多くの意見が飛び交うようになれば、聞こえてこなかった意見も取り入れられ、企業の成長に繋がるかもしれません。

 

社内公用語を英語にするデメリット

様々なメリットもある一方で、社内公用語が英語になることで生じるデメリット(課題)もあります。
ここでは、3点ほど例をあげたいと思います。

導入の負担

社内公用語を英語にすると決めた場合、全社員の英語力を上げる必要があります。そのためには、英語学習の時間の確保とサポートの確立が必要になってきます。

会社としての取り組みになるので、業務時間内に学習時間を設ける場合、他の業務に充てていた時間を回さなければなりません。

また、今までの文書やシステムを英語に移行しなくてはなりません。長期的に見た場合、通訳等の費用を削減でき、業務効率化にもつながると考えられますが、導入時の負担はかなり大きくなるでしょう。

業務効率が低下する恐れ

導入時での負担に加え、導入の初期段階では一時的に業務効率が低下することが想定されます。

社内公用語が英語になると、日常会話だけではなく、会議やフォーマルな場でも英語が使用されると考えるのが一般的です。ビジネス英語に慣れていない場面では、一つ一つの会話にかかる時間が一時的に増加すること可能性がありますが、習熟度が向上すればこの問題も解決できるでしょう。

英語に苦手意識がある人の離職

当然、英語に苦手意識のある人が大勢います。入社前から社内公用語が英語になっていれば話は別ですが、既存社員にとっては、いきなり英語が公用語になることが望ましいとは限りません。

周囲のレベルについていけず、苦痛やストレスが増加する可能性もあります。そして、モチベーションの低下により離職をするリスクを上げてしまうかもしれません。

導入時に負担がかかるのは、経営陣のみならず、社員も同じだということを考慮する必要があります。

 

社内公用語を英語にするための重要なポイント

ここまで、様々なメリットやデメリットについてご紹介してきましたが、いざ社内公用語を英語にするにはどのような手順を追えばいいのでしょうか。

ここでは、重要なポイントをおさえていきます。

英語研修を行う

まず、英語研修の場を提供することは欠かせません。英語のレベルには個人差があり、導入時に満足する英語力がなく、苦手意識のある社員もいます。

会社が打ち出した方針である限り、会社が支援をする必要があります。

研修のプログラムを設ける・業務時間内に英語学習の時間を与えるなど、自社に合った方法で取り組みましょう。短時間でも毎日の学習を提供できることが理想的です。

外国人労働者を雇用することにより、英語が必須な環境を作る

社内公用語が英語になったところで、直ちに会話を英語に切り替えられる人はどの程度いるのでしょうか。

学んだものを実践する場がない限り、モチベーションに繋がらないうえ、日本語の方が円滑と判断した場合、英語でのコミュニケーションを選択する人はあまりいないと思います。社内で浸透させたい場合、英語が避けられない状況を作るべきです。

そのためにも、身近に外国人人材がいることが重要になります。

英語を公用語化する目的をはっきりとする

一番重要といってもいいのが、目的を明確に説明できるようにすることではないでしょうか。どのようなことにおいても、既に働いている社員に対して目的を共有し、理解してもらう必要があります。そして、目的意識を一人ひとりが持ったうえで取り組むことが重要です。

目的意識をしっかりと持っている場合、前述の「日本人同士では日本語で会話をしてしまう」という事態も避けやすくなり、社内公用語として英語が浸透しやすくなるでしょう。

具体的な目的、開始日や求める英語力を明確にすると、モチベーションの維持に繋がるでしょう。

まとめ

ここまで、社内公用語を英語にする理由や具体的な企業の例、メリットやデメリット、導入時の注意点についてまとめてきました。メリットもある分、デメリットもあり、長期的には有効ですが短期的な負担が大きいのは事実です。

会社全体としての覚悟と目的意識の強さが重要だと理解いただけたのではないでしょうか。

社内公用語を英語にすることはグローバル化を推進するにあたっての一つの戦略であり、英語化だけで業績の向上につながるわけではありません。ぜひこれらを踏まえたうえで検討を進めてみてください。

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