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インドネシア共和国(Republic of Indonesia)

インドネシアのバリ島のタワー

目次

 

1.基本事情と特徴

 

首都 ジャカルタ
人口 約2.70億人(2020年、インドネシア政府統計)
人口は世界第4位。今後も人口は増加すると予測され、2035年には3億人に達する見込みだ。さらにそのうちの生産年齢人口は6割以上とされており、今後の経済発展が期待できる国と言える。
言語 公用語はインドネシア語だが、約350もの言語が話されている多言語国家でもある。
宗教 イスラム教徒が国民の87%を占める。身分証に信仰する宗教が記載されているほど宗教が生活に根ざしている。

インドネシアには「神様が定めた運命に身を任せる」という考え方があり、文句を言っても仕方がないという思いが根底にあるインドネシア人が多いため、比較的ストレスを感じにくい傾向にある。また、ルールにはとりあえず従うことが多い日本に対し、インドネシア人はルールの背景を問う人が多いという。

2.教育事情

日本と同様、小学校に6年間、中学校に3年間、高校に3年間(もしくは専門学校3~4年間)、大学に4年間(もしくは専門学校2~3年間)通うのが一般的。小中学校の9年間が義務教育である点も日本と同じだが、高校から先に進学する人は27.9%と少数。インドネシアで大学に行ける人は限られているのが現状だ。人口が多いため競争は激しく、その競争をくぐり抜けてトップ大学に進学した学生たちは研究熱心で優秀な人が多い。大学卒業後、ドイツや日本、アメリカ、イギリスなどの海外大学で博士課程に進む学生も。なお、大学の年間スケジュールは大学によって異なる。

3.日本への関心と日本語環境

インドネシアは世界的に見て日本語教育が盛んな国。日本語教育機関数は2000年代に増えており、その背景には若者の日本文化への関心の高まりがある。「ドラえもん」をはじめとしたアニメや漫画、女性アイドルグループ「JKT48」に興味を持ったことが日本語を学ぶきっかけとなっているようだ。2018年には日本とインドネシアの国交60周年を迎え、2019年8月にインドネシア大学で行われた「JAPAN文化祭」には4万人以上もの人が訪れるなど、日本への関心は強い。

国際交流基金が発表している2015年度「海外日本語教育機関調査」では、日本語学習者数は74万5,125人と中国語に次ぎ世界第2位。日本語教育機関数は韓国語に次ぎ第2位、日本語教師の数は中国語、韓国語に次ぎ第3位となっている。中学・高校の中には第二外国語として日本語を教える学校が多数あり、現に日本語学習者の94%は中高生の時に日本語を学習している。あくまで初級レベルではあるものの、日本語への素地があるのは日本企業にとって大きな魅力だろう。

国内大学ランキング1位のインドネシア大学の日本語学習センターへの入学希望者は、定員50名に対して毎年約2500人にも上る。インドネシアの学生が専攻を決める際には、本人だけでなく家族の意向も影響するが、インドネシア国内に日系企業が多いため日本語ができれば就職に有利に働くイメージが強く、日本語を勉強することへの理解も得やすい。こうした背景も学生の日本語学習を後押ししている。

4.就職事情と仕事観

インドネシアの学生は卒業後に就職活動を開始するのが一般的。例えばインドネシア大学ではキャリアセンターが毎年2月と8月の卒業時期に合わせてジョブフェアを開催しており、そういった大学主催の就職イベントに参加したり、入社を希望する会社に直接履歴書を送ったりするのが一般的な就職活動の方法だ。最近では日本の人材系企業がインドネシアを訪れることも増えている。

就職先として国内で人気なのは、外資系企業と政府系機関。前者は高い給与とキャリアアップのしやすさが、後者は安定感が魅力なようだ。一方で、トップ大学には海外の就業を希望する学生も多数見られる。海外で経験を積んだのちにインドネシアに戻り、その経験や語学力を国内で活かしたいと考える人が多い。

インドネシア国内の初任給は500万~600万ルピア、日本円にして4万~5万円程度であることから、給与水準が高い日本企業は人気がある。オファーを断られることはほとんどなく、日本語ができずとも英語を話せる人材が多い。日本企業がまだ積極的に採用活動をしていない国でもあり、優秀な人材を採用するチャンスは大きいと言えるだろう。

ただ、仕事観の違いから日本企業に抵抗を持つ人もいる。「仕事は家族のためにするもの」という考え方が根付いており、日本では子どもが病気になっても仕事をすることはさほど珍しくないが、インドネシアでは「子どもが病気の時になぜ仕事をするのか」という感覚が強い。こうした考え方の違いから、終身雇用や残業に対して人生を会社に捧げるかのようなイメージを抱く人も。日本でも働き方改革が各社で進み、終身雇用への考え方も変わってきている。「1社で一生勤める」ことは現実的ではなくなりつつあるが、そういった変化はまだインドネシア国内には伝わっていない。「インドネシアとは違うことが日本にはたくさんある」という先入観が根強いため、壁を感じせるようなことを過度に発信せず、インドネシアとの共通点をアピールすることで不安を払拭させることが重要だ。

5.主な大学

インドネシア大学(University of Indonesia/UI)

バンドン工科大学(Institut Teknologi Bandung/ITB)

 

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