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【セミナーレポート】この1年で8カ国以上を訪問したチームラボ採用リーダー山田氏による海外採用市場の最新情報

目次

ASIA to JAPANはチームラボの採用チームリーダー山田様を招き、Webセミナー「この1年で8カ国以上を訪問したチームラボ採用リーダー山田氏による海外採用市場の最新情報」を開催しました。

国内の新卒採用市況の激化やダイバーシティー推進、海外ビジネスの拡大等、様々な理由で海外の高度外国人材の採用に目を向ける企業さまが増えています。

一方で、世界から見た日本は、円安の影響などもあり、働くメリットが見出しにくくなっています。コロナによる規制も緩和され、国境を越え自由に往来できる環境になったいま、海外からの高度人材獲得は新たな局面に入ったと言えます。

チームラボ社はこの1年で10ヶ国、ASIAtoJAPANも8ヶ国を訪問し採用市況を現地で見てきました。

セミナーでは「今、海外人材の採用市況はどうなっているのか?」「コロナ前後で何が変わったか?」「その上で採用ターゲットはどう設定すればよいのか?」などをお話しいたしました。本記事では、内容の一部を抜粋しまとめました。詳細の海外採用動向に興味のある企業さまはお気軽にお問い合わせください。

●トークテーマ
✓ 直近1年間で訪問した国(大学)と、現地での就活事情
✓ 現在の海外採用の市況感。コロナ前とどう変わったか?
✓ 市況感を踏まえた上で、海外採用をどうするべきか。ねらい目の国や採用ターゲットの決め方

●こんな方にオススメ
・今後の事業を発展させる上で外国人採用をしていかなくてはいけないが、継続して採用している企業はどんなことをしているのか?情報収集している人事のご担当者さま
・外国人採用をするにあたり、最新の海外の就職事情を知りたい人事のご担当者さま
・外国人採用をするにあたり、どのようにターゲットを決めていくか知りたい人事のご担当者さま

●登壇者
チームラボ 採用チーム リーダー 山田 剛史 さま

●モデレーター
株式会社ASIAtoJAPAN 代表取締役社長 三瓶 雅人

コロナ禍を経た海外採用の変化

三瓶:コロナ前、withコロナでチームラボさんで採用ターゲットの変更はありましたか?

山田さま:我々が採用したいターゲットは変わっていないのですが、現実として採用「できそうな」ターゲットが変わったので変わらざるを得なかったのが結果かなと思います。

三瓶:具体的にチームラボさんではどのような人材の採用をしていらっしゃいますか?

山田さま:チームラボでは新卒、中途採用を両方行っており、海外採用をどのくらいの比率で行なっているかというと全体の15%くらいが外国籍や海外に行ったときに出会って採用につながった方たちです。だいたい年間10人から20人くらいの海外からのメンバーが加わってきてくれます。

コロナ禍は海外に行くこともなく、もちろん新規開拓もできなかったです。既存のつながりの中でコロナ前に訪問して話していたようなことをzoomを使って話していました。しかし入社には至らず、コロナ禍2年弱くらいは海外からの受け入れはできなかったです。海外に向けての発信は止めていなかったですが、政府的にビザの発行もできないし、コロナ禍最初の1〜2年は完全に止まっていました。今はもう完全に通常運転に戻りました。

三瓶:コロナ前とwithコロナ後ではどちらが良い人材採用できているなと感じますか?

山田さま:やはりコロナ前だと思います。コロナに関係してというよりは、日本の円安、海外の金融状況が日本より良くなっているからというのが大きいですね。

三瓶:私の実感値ではコロナ前、2019年末は海外採用をする企業が増えてきたところでしたが2020年からコロナ禍となり入国できないので海外採用は下火になりました。
今では当たり前になっているオンラインでの採用も、オンラインで完結する企業がコロナ前は少なかったです。やっぱり最後は会って決めたいという企業さんが多かったんです。

しかしコロナ禍で物理的に会えないので、一部企業さんはしょうがないからと割り切ってオンラインで採用を続けたり、一方で採用ストップしたり内定取り消ししたりする企業さんもいたという状況でした。

withコロナの今、アジア各国の採用状況は良くないので本来は採用しやすいはずなんです。しかし山田さんがおっしゃられたように、円安が原因で学生が自国通貨で日本企業の給与を見たとき、目減りして見えているんです。
例えば、2020年に400万円が36,000ドルだったのが今や28,000ドルと日本円で同じ400万円でも海外からは25%下がったように見ているんです。もちろん海外各国あるのでドルだけで見る訳ではないですが、肌感覚で下がってしまっているので日本企業にとっては厳しいですよね。

 

withコロナ2022年以降の現地大学の訪問歴

チームラボ社とASIAtoJAPANは2022年以降、海外への訪問を再開しました。セミナーではコロナ禍を経た現地での採用動向をお話ししました。

●チームラボ山田さま:訪問エリア
ヨーロッパ4ヶ国、アジア4ヶ国、北米2ヶ国、中東1ヶ国

●ASIAtoJAPAN三瓶:訪地エリア
タイ、マレーシア、インドネシア、インド、ベトナム、中国、韓国、シンガポール

2社合計した訪問国数は16ヶ国!本記事では一部を抜粋してお届けします。詳しい各国の採用状況はお気軽にASIAtoJAPANまでお問い合わせください。

三瓶:2022年の訪問歴というところで活動結果を教えていただきたいです。まずはヨーロッパではいかがでしたか?

山田さま:ヨーロッパではアート系のプロジェクトで活躍してくれるクリエイティブ職を探していて、あと限定的に建築系の学校に訪問してきました。卒業生がいる学校をまわって話をしてきました。
結果で言うと、インターンシップの応募はあったのですが受入れにつながったところはなくて。1回行ったら1人見つかるというものではないので、久しぶりに教授たちと関係性をつなげられたのが良かったかな、という体感です。久しぶりの訪問でしたので海外が今どうなっているのか見られて良かったです。

三瓶:韓国はいかがでしたか?

山田さま:10月はアジア諸国の採用シーズンに当たるのでコロナ以前も訪問していました。コロナ以前は1ヶ国への訪問と採用イベントの実施で、最低1人多いと3人新しいメンバーが見つかるという実績があったのですが、今回初めて1人も採用できなかったです。

三瓶:原因はどんなところにあると思いますか?

山田さま:マスのデータをとった訳ではないですが…いろんなところから話を聞いて個人的に思っているのは、ソフトウェア開発職のメンバーを探していたのですがアジア諸国のソフトウェア開発職の企業が強くなっており、給与的に劣勢になっていると感じました。そもそも選考に参加している方々の中でコンピュータサイエンスを専攻している人の割合が減っていました。なのでエンジニア職としてオファーを出せる方々が減って、オファーを出す方々はGAFAなどの選考も受けており…日本でなくていい場合、アメリカからオファーが出れば競り負けてしまうということもありなかなか採用できなかったかなと思います。

労働条件的なところが日本が優位ではなくなってきています。

あとは海外からのインターン生と話していて感じたのですが…コロナ以前の方が海外からの採用がしやすかったと感じるのは、日本は日本食・環境・アニメ・その他の文化など、給与以外で魅力を感じてもらいやすいラッキーな国だと思っていて、その流れがコロナにより一切断ち切られてしまったのが痛いなと感じます。(中略)

日本に興味がある方たちが、大学1〜3年生の夏休みに日本へ遊びに来たり、交換留学やインターンに来たりして、実際に日本の雰囲気や労働環境を見た上で見て「いいな」と思う方々が結構出てきていたと思うんです。給与的に見たらアメリカの方がいいけれど、そんなことよりも日本で働きたいんですという方たちと最後就活するタイミングでマッチするということがあったのかなと。

コロナでそういった日本を好きになる物理的なタッチポイントがなかったかなと思います。

三瓶:そうですね。コロナ前は日本に遊びに行った友達の話を聞く機会もあったと思います。今はだいぶ戻ってきていますが、コロナ禍で来日が難しかったことによる採用への影響があと1〜2年は続くのかなと考えています。

韓国は私も3月に訪問してきたのですが、TOEICや資格などのスペック重視採用だなと実感しました。そのため上の学歴の子の英語を話せる割合が非常に高いなと感じます。なので世界を目指しやすいですよね。
韓国国内の就活はかなり熾烈でなかなか採用が決まらないのですが理系の上位校は全然そんなことなく、日本企業よりも良い企業から採用が出ますので理系上位校からの採用は難しいです。一方で、文系はトップ校でも今は採用しやすく狙い目だなと感じました。

 

現在の海外採用の市況感。コロナ前とどう変わったか?

採用ターゲット、どこにチャンスがあるのか?

三瓶:最後に山田さんから皆さんへのアドバイスをいただければなと思います。採用ターゲット、どこにチャンスがあると思いますか?

山田さま:あまり教えたくないところですが…(笑)皆さんがどういう職種を採用されたいかによって全然違う話になると思いますが、受入れハードルが低い、日本語能力が他国に比べて非常に高い、ビジネス職も開発職も採用の可能性が感じられるポテンシャルが高いのはソウル近辺だと思います。

なぜかと言うと現地では大学卒業後、最近のトレンドとして現地の人は塾と言いますが、日本でいうところの「専門学校」に行く学生さんが非常に増えています。要は文系卒業して就活厳しいよね、というのでデザイナーやエンジニアの専門学校に数ヶ月行くんです。(中略)デザイナーやエンジニア志望の方もそうですし、文系職採用だと優秀な方でプラス3ヶ国以上話せるような方もいます。

韓国の採用市場から溢れてしまうのは彼らが優秀じゃない訳ではなくて、就活のハードルが高すぎて、たまたま会社が見つからないというケースもあるので。

海外人材の採用や受入れで気をつけること、準備しておくとよいこと

三瓶:韓国の方だと受入れしやすい話がありましたが、その他の国の方で受入れ時に気をつけると良いことや準備していることはありますか?

山田さま:自分達も海外採用の初年度、次年度のころに面した壁なんですが海外の人って1回就職をするためにビザをとって日本にくると、会社側の受けが良くないとスッと他の会社に転職してしまうことがあります。なので外国人への理解がある日本人がまずいないといけないです。
日本語が上手いとはいえ日本人よりも不自由になるので、もしくはあまりうまく話せないと言う人が入った時でも、彼らが心地よくモチベートされるような環境がないと、もっと外国人フレンドリーな会社に転職してしまうので気をつけないといけないかなと思います。

例えば、年配の上司がいて日本語があまりできない外国人がいると不当にその人の優秀さに気付けないなどは、起こしてはいけないことですね。

エンジニアで口下手で日本語も苦手というメンバーがいた場合、ミーティングで声が大きいことが彼らの優秀性ではないので、きちんとした評価が下され、それを彼らが実感できる状態を作っておかないといけないです。

もっとくだけて言うと海外からのメンバーと働きたいと思っている人たちのチームを作っておいて、彼らを巻き込んでやっていくのが良いと思います。トップダウンで採用してきて「外国籍のメンバーは、この部署でよろしく!」としてもうまく機能しないと思います。

三瓶:どこの誰にどういう人をつけると言うのは大事と言うことですね。

山田さま:チームラボでは週に1回、日本語ディスカッションクラスというのを海外から採用したメンバー向けに開催していて、自身もクラスを担当しています。日本のメンバーにも参加してもらっているんですが、日本語を学べるトピックやオフィスで聞いて分からなかった日本語を解消する、日本語を使う遊びなどをやったりしています。
日本語能力が少し上がるだろうし、そこで友達ができるというのが1番良いかなと思い毎週やっています。
もっと本格的に日本語教育を受けたいメンバーには、外部の日本語教師の方とのプライベートレッスンもチームラボの負担でご提供しています。

海外大学から採用するメリット

三瓶:海外大学からの採用のメリットはどのあたりだと思いますか?

山田さま:一般論的な話になりますが、企業は多様な人が集まった方がより多様なことができる許容力が上がるので、個人的には従業員は多様な方がいいと思います。

初年度、日本語が得意ではないメンバーが入るとなった時、弊社でもやはり外国籍メンバーを受け入れたことのないチームからは不安の声が多かったです。最初はすでに外国籍メンバーがいて受け入れもやりますよという、すごく限定的なチームから始めました。それでも初年度はどうなるのかと思いながらのトライでした。

1回受け入れてしまうと、メンバーがやはりメリットを感じてくれます。単純に楽しいとかもありますし、日本だと知ることができない情報を持っていたり、知的好奇心が高い人からすると海外の文化が異なるメンバーが自社にいるのはすごくメリットになるなと感じます。

正社員での採用はハードルが高いという議論がチームラボ内でもあったので、今もやっていますがまずはインターンで受け入れて、1回一緒に働いてみて双方判断しましょうというところから始めています。するとインターンが集まるようになり、インターンを挟まなくても日本語能力がこれくらいの人なら、こういう仕事が一緒にやれそうだなという判断がついてきます。今はほぼ全チームが外国籍の人たちが多少日本語が流暢じゃなくても受け入れたら何かいいことあるよね、という実感・体感を持っています。そういう土壌になると後は楽になってきますね。日本のメンバーが働く上で感じる面白さも増えるのでいいなと思っています。

 

ASIA to JAPANは海外のトップ学生との面接会を日本で実施しています

ASIA to JAPANは2022年以降、海外大学の訪問を再開しました。現地とのコネクションを活かし、世界のトップ学生を日本へ招き就職面接会を開催しています。

アジア11ヶ国50大学とのネットワークがあるため、世界トップレベルの学生とマッチングが可能です。

優秀な海外人材の採用に興味がある企業さまは、ぜひお気軽にご相談ください!

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