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【セミナーレポート】マネーフォワードのグローバル採用部長が明かす、 グローバルエンジニア組織を作る、採用から組織定着までの手法

目次

ASIA toJAPANは株式会社ギブリーと共催ウェブセミナー「マネーフォワードのグローバル採用部長が明かす、 グローバルエンジニア組織を作る、採用から組織定着までの手法」を開催しました。

日本国内でのエンジニアの新卒採用は年々厳しくなっています。優秀なエンジニアの採用に向けてアンテナ高く情報収集をおこなっている企業様も多いのではないでしょうか?

今回のセミナーでは、新卒採用で優秀なエンジニアを恒常的に獲得し事業の成長に結びつけているマネーフォワード様をお呼びし、日本国内だけでなく、海外人材にも目を向けたエンジニアの採用と、外国人も日本人も働きやすい組織づくりについてお話しいただきました。

また、実際に外国人採用を支援するASIA to JAPANより2023年7月に実施した『日本で働く外国人材に関するアンケート』の結果を踏まえ、実際に外国人社員が入社前後に抱える不安や心配事についてもお話しさせていただきました。

本記事では、内容の一部を抜粋しまとめました。海外人材の採用に興味のある企業さまは、ぜひお気軽にお問い合わせください。

●トークテーマ
・マネーフォワードが新卒の外国人エンジニア採用を始めた背景
・外国人エンジニアが働きたい組織ができるまで
・外国人エンジニアとの出会い方と採用時の見るべきポイント
・質疑応答

●こんな方にオススメ
・エンジニアの新卒採用が年々難しくなっており、今後どうしようか、何か良い手立てはないか情報収集しているご担当者様
・日本人学生だけでは採用が難しいので、外国人採用も視野には入れているが、うまくいっている企業はどんなことをしているのか?情報収集しているご担当者様
・外国人採用をするにあたり、社内制度や受け入れ体制の構築をしなければと思っているが、他社は具体的にどんなことをしているのか?情報収集しているご担当者様

●登壇者
株式会社マネーフォワード
People Forward本部 中途採用部 / グローバル採用部 部長
保科 岳志 様

株式会社ASIA to JAPAN
代表取締役社長
三瓶 雅人

●モデレーター
株式会社ギブリー
執行役員 兼 HR Tech部門 事業推進部長
山根 淳平 様

 

外国人エンジニア採用の最新動向

セミナーのはじめに、オープニングトークとしてASIAtoJAPANの代表の三瓶より、最新の外国人エンジニア採用を取り巻く状況をお話しさせていただきました。

ASIAtoJAPANのネットワークを通じて新卒で日本企業へ入社いただいた外国人の方に回答いただいたアンケート結果をもとに
・彼らの日本語力について
・日本で働きたいと思った理由
・日本企業で働く上での困りごと
・内定期間中に会社から用意される日本語教育の状況
などを紹介させていただきました。

詳細は下記の記事をご覧ください。

【アンケート結果】171名に聞いた!日本で働く外国人材へのアンケート調査結果

現在の日本企業の海外採用は、海外人材と言えど日本語で面接するスタイルの企業様が9割5分以上という印象です。英語の面接でもOKという企業様であれば、日本語力がまだ面接レベルに達していないけれどポテンシャルの高い外国人の方もパイに加わり、選び放題というのが現在の状況です。

 

マネーフォワードが新卒の外国人エンジニア採用を始めた背景

ギブリー社とASIA to JAPANが外国人エンジニア採用される数多くの企業様の支援をさせていただいている中でも、マネーフォワード社はエンジニアの採用から定着、戦力化するまで、非常に成功されている事例です。

セミナーではマネーフォワード社グローバル採用部長である保科様にリアルな採用から定着・活躍までについて、お話しいただきました。

山根様:マネーフォワード社が日本語不問の新卒外国人の採用を始めた背景と題しまして、なぜ会社全体として日本向けの製品も多い中で、海外エンジニア採用を始め継続されているのか、そういったところの背景からぜひお話いただけますでしょうか。

保科様:はい、目的としてはミッション・ビジョンの達成です。私たちは「すべての人の、『お金のプラットフォーム』になる。」というビジョンを掲げています。より高い価値を国内でも、ゆくゆくは海外でも価値を出していくというところを向いています。日本国内のエンジニア採用の市況感は、すごく厳しい部分もあるので、これは世界中から優秀なエンジニアの力を借りて事業をやっていかないとミッション・ビジョンを目指すスピード感で達成できないということがあり、意思決定をしました。

 

外国人エンジニアが活躍する組織体制を整える3つのフェーズ

山根様:マネーフォワード社がどのように現在のような組織体制を整えていったのか、ぜひご紹介いただけますでしょうか。

保科様:はい、ありがとうございます。だいたい3つのフェーズに分かれると思っていて、最初は「日本語を求めるグローバル採用」を始めました。

 

フェーズ1:日本語を求めるグローバル採用

保科様:当時は大学新卒採用から始めました。卒業要件にN3以上という要件がある大学やASIA to JAPANさんの授業を受けていてN3N2以上を持っている新卒の学生を集めました。日本語で業務をやってもらえるという形で入社していただく、ここから始めました。

その時に人事側では、TERAKOYAと呼ばれる日本人と外国籍の社員をマッチングして、週1で日本語を教える1on1の社内バディ制度のようなものを作って活用しています。人によってはメキメキ日本語力を伸ばしていきますね。

 

フェーズ2:一極集中でのグローバル採用

保科様:その次に来るのが、エンジニア組織で英語を公用語とするアナウンスが出たタイミングを起点にした変化で、一極集中のグローバル採用のフェーズです。
やはり日本語不問でエンジニアを受け入れることには、さまざまな難しさがあるので一部のエンジニアの部署で完全日本語不問のエンジニア採用を開始しました。その部署にはシンガポールでマネジメントをしていたエンジニアマネージャーがいて、そのマネージャーの下に最終的には30名ぐらいになるまで日本語不問のチームを作ってきました。

同時並行で、ほかの部署でも同じようなバイリンガルでマネジメントできる人材の採用強化を始めました。また社内掲示物の日英対応、英語のトレーニングチーム、社内の通翻訳チーム、日本語を勉強する講座の立ち上げ、お祈りするためのプレイヤールームを設置するなど宗教対応なども進めていきました。
日本語を求めるか否か、このあたり必要な対応は一気に変わってくるという印象ですね。

 

フェーズ3:グローバル採用を「当たり前」に

保科様:今年に入ってから向き合っているチャレンジとしては、グローバル採用を「当たり前」にというところです。
前のフェーズで一極集中で採用した日本語不問のエンジニアたちを複数の部署、すべての事業に配置転換させてもらって、そこのチームでグローバル採用を立ち上げていくことを今やっています。

また、英語化がだいぶ進んできたことで、ベトナム拠点のエンジニアトップをやっていたメンバーが、現在、日本のVPoEとなっています。管理職層に非日本語話者が入ると、経営レイヤーの会議を日英で行う必要があったり、彼にレポートするメンバーも全部英語でレポートする必要があったり、そういった変化を作っていっています。

山根様:なるほどですね。過去5年ほどの流れで、まず日本語が話せる海外の方々を採用し、少しずつ組織化されていく中で、エンジニア組織を英語化する意思決定をされたんですね。この2023年以降はマネジメント層に外国籍のエンジニアの方が入ってくるなど、段階的に綺麗にいっているなのかなと感じました。こういう戦略でやっていこう、というものがあったんでしょうか?

保科様:テキストで書くと綺麗に見えるんですが、すごくカオスでしたね。
戦略はもちろんあったと思うのですが、現実的にとれる手法がこれだったという側面も強いと思っています。やはり全社として日本語不問にしていく意思決定をしないと日本が話せないメンバーの採用は始められないですし、始めようとしても、すぐにマネジメントできるメンバーがすべてのポジションにいるわけではないので、採用できる部署から始めようと、なるべくしてこのような流れになったのかなと思ってます。

 

外国人エンジニアとの出会い方と採用時の見るべきポイント

山根様:次に外国人エンジニアとの出会い方、エンジニアの選考プロセスについて、ぜひ伺っていけたらと思います。

 

外国人エンジニアとの出会い方と選考プロセス

保科様:新卒で外国人エンジニアを採用する場合の流れ自体はそんなに珍しいものでもないと思いますが、ポイントを説明いたします。母集団形成はさまざまな手段をとっており、その中で出会ったASIA to JAPANさんと連携させていただいたり、あとは数年、外国籍採用をやってきたことで先輩社員を通じて大学の卒業生を紹介していただくケースもだいぶ増えてきました。

「マネーフォワードはあの先輩が活躍する会社なんだ」と安心感を持って応募してくれる。この点は数年やっていくと見えてくる変化だと思います。採用のパイがすごく広がるので、コーディングテストを一律で受けていただくフェーズが必要になってきて、ここでギブリーさんのTrackを活用させてもらっています。さまざまなパターンがありますが、一部では期間を決めて受験してもらうことで不正や問題流出を防ぐことも連携してやっています。

その後、実際に選考に入る前に人事面談を行います。候補者の方は海外就職やリロケーションのプロセスなどわからない方が多いですし、マネーフォワードのことを細かく知ってる方は残念ながら少数なので、会社の概要なども含めて1対1で丁寧にインプットした上で選考に進んでいただいています。

一次面接は技術面を見るライブコーディングを取り入れていて、今はほとんど外国籍のエンジニアが取り組んでくれています。最後にVPoEが最終面接をするんですけれども、特にミッション・ビジョン・バリューズ・カルチャーのフィットの部分や、今後定着して成長してくれるかどうかのポテンシャル部分を確認しています。

 

外国籍エンジニアを面接官にアサインする理由

山根様:コーディングテストをご活用いただきありがとうございます。一次面接や最終面接で、過去に採用された外国籍のエンジニアの方がもう面接の見極めまで入ってるのはすごいと感じました。

面接官にアサインするとなると、ミッションビジョンバリューでのアトラクトができる方かつスクリーニングもできる方。割と長く勤められている、ある程度会社へのエンゲージメントも高い方々をアサインしがちなので、外国籍のエンジニアの方をアサインするって結構難しいと考える方も多いと思います。

その中で、アトラクトもスクリーニングもできる外国籍エンジニアの方が面接に入られるプロセスが設計できているのは、本当に素晴らしいと思います。どんな方々をアサインしているか、どのようにアサインがスタートしたかのか、ぜひ教えていただけますでしょうか?

保科様:もともとこれはベトナムのマーケットでやっていて、ベトナムの大学から入社してきたメンバーを面接官としてアサインしていました。彼らに卒業生としての目線を持って選考プロセスに入ってもらうことで、「今、3年生でこのレベルの人はちゃんと伸びてきているのか?」「ちゃんと活躍できそうなのか?」ということを、私たちよりももっと近い視点で見られると考えています。
日本語不問の採用に切り替える前から、そういったプロセスは入れていましたね。

 

ミスマッチを減らすポイント

山根様:選考では技術面をしっかり見られているので、スキルミスマッチは少ないプロセスが設計できているのでしょうか?

保科様:そうですね。本格的にこのプロセスにして採用したメンバーは今年の11月入社なので、これからというところで楽しみにしています。

山根様:いろいろ選考プロセスをブラッシュアップされて、ここにたどり着いたのでしょうか?

保科様:そうですね。例えば、日本人が英語で面接をすると、アンコンシャスバイアス的にいろんなバイアスを持ってジャッジしてしまうと言われています。そもそも価値観のもとになる文化が違うので、適切にジャッジできないという懸念は一般的にあると思います。そういう部分に対して、しっかりライブコーディングのような実務に近い形で能力を評価していこうという点は議論に上がります。

山根様:なるほどですね。これは三瓶さんにもぜひ聞いてみたいところなんですが、こういった技術面接系が多いプロセスは、海外の採用だと一般的に多いものなのでしょうか? コーディング試験もやり、ライブコーディングで面接中に技術試験も行う、かなりテクニカルなプロセスが多いような印象を受けましたが…。

三瓶:そうですね。ITの職種を採用する場合については、一般的と言っていいんじゃないかなと思います。一方で、海外の候補者は多様なので、取り組みの当初は事前テストは行わず、できる限り多くの候補者に会うことを優先し、自社に合致した国や大学を見つける機会と捉える方法もあると思います。テストが必要な場合は、事前に行うのではなく、1次面接後に実施するなどし、まずは会う機会を優先することをお薦めしています。ある程度採用の経験を積んだ後には、テストを事前に行い効率を上げる、スキル以外の人物確認を深ぼって行うなど、できるようになるとよいかな、と思います。ITの職種を採用する場合については、一般的と言っていいんじゃないかなと思います。

これから海外エンジニアを採用する企業へメッセージ

山根様:最後に、「これから海外エンジニアを採用する企業様へ」メッセージをいただけますでしょうか。

保科様:今日は、弊社の採用のうまくいった部分を中心にお話しさせて頂いたのですが、実際は大変なこともたくさんありましたし、最初に意思決定するのが非常に大変な部分かと思います。
ただ ”まずはやってみる”ということで世界観が変わるということをお伝えしたいです。実際にエンジニア採用に関わっている社員から「これは完全にゲームチェンジだ」という言葉もよく聞きます。そういったゲームチェンジを体験したいと思う企業さまが1社でも増えると良いなと思います。一緒にグローバル採用をやっていきましょう!

三瓶:グローバル採用を始めるとなると、多くの企業が事前に色々と考えて対策をしようと思われるのですが、実際には始めてみないと分からないことも多いのが実情かと思います。マネーフォワード様のように、まずは始めてみて「やりながら考える」というスタイルが良いのではないでしょうか?
また今後、日本の人口が減少していくという未来は見えていることからも、グローバル採用は必然になってくるかと思います。その前に、早めに始めておくということが大切だと思っています。

山根様:ありがとうございます。どこかでやらないといけないのを「今始めてみよう」ということですね。

ASIA to JAPANは外国人エンジニアとの面接会を日本で開催しています

ASIA to JAPANは海外大学とのコネクションを活かし、世界のトップ学生を日本へ招き就職面接会を開催しています。アジア11ヶ国50大学とのネットワークがあるため、世界トップレベルの学生とマッチングが可能です。
優秀な海外人材の採用に興味がある企業様は、ぜひお気軽にご相談ください!

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