EN

外国人に聞いてみた!日本に来る理由はなんですか?

目次

外国人に聞いてみた!日本に来る理由はなんですか?

2023年4月から、新型コロナ蔓延以降対応が取られていた入国制限を含む水際対策が解除されました。それにより、インバウンドも次第に増え、徐々にコロナ禍以前のような賑わいに戻りつつあります。では、そもそも外国人が来日する目的はなんなのでしょうか?今回は、外国人が日本に来る理由について解説いたします。

▼171名に聞いた!「日本で働く外国人材へのアンケート結果」

回復しつつある外国人の来日

前述した通り、水際対策が解除され外国人の来日が以前のように増加してきました。日本政府観光局(JNTO)が7月に公表した訪日外客数(2023年6月推計値)によると、6月の訪日外客数は2,073,300人とコロナ禍以降で初めての200万人を超え、かつ上半期で1千万人超えたと報告されました。この増加は、台湾をはじめとした東アジア地域や、米国や豪州等が2019年同月比を超える回復を見せたことが要因となったそうです。

外国人が来日する主な理由とは?

では、外国人が来日する主な理由はなんでしょうか?大きく分けると、日本を観光することが目的の外国人観光客、いわゆる「インバウンド」と、日本国内で働くことが目的の「外国人労働者」の2つがあげられます。もちろん、日本人と結婚したため拠点を日本に移した方や、子供の教育が目的のために来日した方などもいると思いますが、今回はこの大枠2つについてご紹介いたします。

インバウンドとは

近年、メディアを中心によく使われるインバウンドという言葉ですが、日本で一般的に使われ始めたのは2010年頭ごろとここ最近広まったワードです。本来の意味は、「入ってくる、内向きの」という動作を表しますが、ビジネス面では「訪日外国人観光」を指す日本独自のカタカナ英語として利用されています。前述した通りインバウンド客は、2023年の上半期で1千万人を超えました。その経済効果はとても大きく、国土交通省観光庁が公表する「訪日外国人消費動向調査」によると、2023年4〜6月期のインバウンド消費額は、1兆2,052億円(2019年同期比95.1%)と推計されています。

外国人が思う日本の魅力とは?

日本は、世界有数の島国で、陸で隣接する国がありません。そのため、長年かけて発展してきた日本の文化は、他国ではあまり見られないほどの独自性に溢れている。日本に来る外国人の多くが、日本特有の環境に魅力を感じているでしょう。では、どういった面が魅力的なのかをより具体的にご紹介します。

食文化

まず外すことができないのが「食」です。寿司、ラーメン、蕎麦、天ぷら、焼肉など、日本食は種類が豊富です。中でも「和食」は世界的にも有名で、「Washoku」としてカテゴリーが確立しています。2013年には、ユネスコ無形文化遺産に登録され、海外の方々にも広く浸透しました。
日本は、観光する地域によってメインとなるグルメが異なります。いわゆる「ご当地グルメ」と呼ばれるものです。また、ラーメンや味噌汁など種類は同じでも、こちらも味付けや盛り付けが地域によって異なります。そして、都市部であれば洋食や中華、イタリアンや多国籍料理など、ジャンルを問わず求めるグルメを堪能できるのです。
そして、近年では日本産アルコール飲料にも注目が集まっています。伝統的なもので言えば、日本酒や焼酎、そして最近はウィスキーやビールなども人気を博しています。このように、インバウンド客にとって日本の食文化を体験することは、観光の目的として切っては切り離せない存在となっています。

アニメなどのサブカルチャー

海外では、「Anime」「Manga」と日本語が単語になるほど、日本のアニメ・漫画文化は昔から注目を集めています。
有名な話ですがスペインやフランスでは、有名な某少年漫画のアニメが放送された際の視聴率が65%を超えるほどの人気を集めていました。今では、多くの漫画が各国の言葉に翻訳され出版されるなど、海外の方々に魅力を与えています。
そして、漫画好きやアニメ好きの方々は、インバウンド客として日本に訪れ、自分が好きなアニメの舞台やモデルとなる地域へ聖地巡りを目的に観光をしたり、グッズの爆買いをしたりと楽しまれます。

自然や寺社仏閣などの観光名所

日本の観光名所として古都の京都や日本一の高さを誇る富士山などが有名です。文化庁が公表している日本の世界遺産の数は、全部で25箇所に及びます。いまいちピンと来ないかもしれませんが、この世界遺産の数は世界で11番目に多い数字になります。日本も世界に誇る歴史ある情緒ある街並みや、都会に行けばスカイツリーや渋谷のスクランブル交差点など、過去から現在までの歴史を楽しむことができます。
そして、それらの地域へ向かうための交通網も発達しているため、インバウンド客の遠距離移動の一助となっています。

円安による購買意欲

ここ数年は、円安の影響もあり、海外の方々にとって日本は「モノを安く購入ができる」と、渡航先として人気が高まっています。家庭内の支出を考えた時、「昔は高くて行けなかった日本だけど、安いうちに旅行しよう!」と考える人も少なくないのです。

日本での就職

来日理由のもう一つの理由が「日本での就職」です。日本では、徐々に「ダイバーシティ化へ」意識を傾ける企業が増えてきました。この外国人材として来日する外国人について、次の項目で詳しく触れてみたいと思います。

年々増加する外国人労働者

厚生労働省が2023年1月に報告した「外国人雇用状況」の届出状況まとめでは、前年の2022年10月の段階で外国人労働者数が1,822,725 人、前年比95,504人増加したと公表しました。10年前の同時期の報告では、外国人労働者数が約72万人とのことなので、たった10年で約110万人も増加していることがわかりました。この要因として、2019年に始まった特定技能という在留資格制度や、政府が労働者不足を補うために外国人材の受け入れを積極的に行っていることがあげられます。

しかし、誰でも簡単に働き手として日本に来ることができるのかというと、そうではありません。では、一体どの国の外国人材が日本で働いているのでしょうか。

最も多い出身国は?

※厚生労働省「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和4年10月末現在)を参考にASIA to JAPANが作成

厚生労働省の公表によると、1,822,725人の外国人材が日本で働いています。そして、出身国で最も多い国がベトナムの46万人超で、次に中国の38万人でした。

ベトナム人材が多い理由とは?

ベトナム人材が最も多い理由は、諸説ありますがベトナム国内で働いた場合、平均年収が約46万円ととても安く、海外で働くことを希望する人が多いということ。そして、日本を選ぶ理由としてベトナムは親日国であり、先進国の日本で最先端の技術を学びたいという思いと、日本企業がベトナム人材を積極的に受け入ている対応が合致したためです。

また、2016年よりベトナム政府の主導で第二言語として英語以外に日本語を取り入れられました。その影響もあり、在ベトナム日本国大使館の報告によると、国際交流基金が把握している学校のみにはなりますが、2021年時点で63省市のうち10省市において、小学校2校、中学校81校、高校36校が日本語の教育を行っているとのことでした。日本語を学ぶ主な目的は、前述した通り日本で働くことためであったり、留学が目的であったりが多いです。

ベトナム人材の採用が狙い目な理由

引き続きベトナムにフォーカスしていきます。では、多くのベトナム人材が日本での就職を希望し、実際に働き手として活躍していますが、日本の企業にとって採用するメリットはあるのでしょうか?結論、メリットはあります。詳しくは、過去のこちらの記事にあるので、簡単にメリットの点をあげると

●比較的獲得しやすい若手人材
親日国のため日本に対する壁が少ない
●目的に向かって直向き、かつ緻密に動く
●責任感が強い
●ITスキルが高い人材が多い

これらが、日本企業との親和性が高いところになります。

もちろん、メリットがあれば「コミュニケーション面」「就労ビザ」「ベトナム人材が仕事で大事にすることの理解」など、雇用主として理解しておかなければいけないことや、対応が必要とされることがあるため、採用を検討する際にはこの点も念頭に置かなければいけません。

外国人の雇用が多い都道府県は?

※厚生労働省「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和4年10月末現在)を参考にASIA to JAPANが作成

上記の都道府県別に外国人材が働いている人数を見ると、東京都が圧倒的に多いということがわかりました。
下のグラフが東京都内で働く外国人材の職種とその割合になります。

外国人が日本で働くには就労ビザが必要

以前ASIA to JAPANが掲載した記事でも触れていますが、日本で働きたいといっても誰でも簡単に外国人材として日本に来ることはできません。日本で働くために必要なのが「就労ビザ」です。

※外務省「就労や長期滞在を目的とする場合」を参考にASIA to JAPANが作成

就労ビザがない場合でも日本で働くことができる条件があります。それが、「永住者」「定住者」「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」のビザを取得している場合です。留学生が取得をしている「留学ビザ」の場合、「資格外活動許可」を取得することで、週28時間限定でアルバイト等を行うことができます。

アンケートで見えてきた、外国人労働者の本音

ここまで、日本で働く外国人材の出自についてご紹介いたしました。実感がある人もそうでない人も様々いると思いますが、日本の経済においても外国人材が大きく関わっていることがわかったと思います。

そんな外国人材は、日本の魅力や知識を得たいという思いも含めて来日をして、日本の企業で労務に従事していますが、実際働く前と今で考える理想と現実にギャップがなかったのでしょうか。ここからは、ASIA to JAPANが独自に行ったアンケートの結果(日本企業に就業している外国人の方、計171名に対して実施)を元に、外国人材が感じる日本で働く事についてご紹介いたします。

▼アンケート結果をダウンロードする

来日前後の日本語レベル

「日本で働きたい!」と意気込み日本社会に飛び込もうと思っても一筋縄では行きません。インバウンドの項目でも紹介しましたが、日本は世界有数の島国であり、文化の成長は日本独自に遂げています。そして、外国人材がぶつかる大きな壁の一つが「日本語」です。英語やスペイン語、中国語のように複数国で使われているのとは訳が違います。日本人にとって当たり前に使っていますが、日本語の表記には「ひらがな」「カタカナ」「漢字」「ローマ字」があり、「口語」「敬語」「書き言葉」「スラング」など、意味は同じでも表現の仕方は適材適所で変える必要があります。さらに、ビジネスにおいては、社内で飛び交う「専門用語」や「カタカナのビジネス用語」(英語本来の意味と異なる場合がある)も覚える必要があります。

来日したばかりの日本語レベルと、入社後の日本語レベルについて結果をご紹介します。

来日前のレベル

※JLPT:公益財団法人日本国際教育支援協会と独立行政法人国際交流基金が主催する日本語能力試験

171名の外国人材が日本に来る前の日本語レベル(主に筆記)は、簡単な日本語であれば日常生活を送ることができるN3レベルの割合が多く、半数以上がN2以上を保有していました。そして、全体の94%が入社前に日本語の勉強を大学や日本語学校などの教育機関に通う、もしくは独学で学んでいました。

入社後のレベル

では入社後にはどれだけ割合に変化があったのでしょうか。

なんと日常会話以上のやり取りや、新聞や読み物が理解できるN2レベルの割合が半数近くに増えました。
外国人材は、日本に来た後も企業が実施する日本語研修などを活用し、日本語の勉強を続けることで日本語能力の上昇を行っていたのです。

>ASIAtoJAPANの提供するオンライン日本語研修について詳しく知る

日本で働きたいと思った理由

では、日本語の壁に立ち向かい成長してまで日本で働きたいと思った理由はなんだったのでしょうか。

最も多かった理由が、「チャレンジしたかったから」でした。
実はコロナ禍に入る前に一度同様のアンケートを実施しましたが、この時に一番多かった回答が「日本の文化が好きだから」でした。以前はインバウンド客と同じように、日本の様式に魅力を感じ、日本で働きたいと考える海外人材が多かったのですが、なんとコロナ禍以降でその順位を大きく落とす結果となりました。

日本での生活について

無事日本での就職が決まると、外国人材は日本に移住することになります。慣れない土地で生活を行うのはとても大変ですが、日本での生活についてはどのように感じているのでしょうか。
とても興味深いのが「インターネットには載っていないような小さな文化の違いやルールなどを知っておければよかったと感じる。」という回答でした。日本では、「暗黙の了解」や「上座下座」など独特なルールが多く存在します。日本人は、生活の中で自然と意味を理解したり、立ち振舞ったりすることができますが、外国人材にとってはとても難解でしょう。

一方で、「本音と建前という概念はとても興味深く、独特なコンセプトだと思う。ハイコンテスト文化について事前に理解しておくのは大事だと思う。」という意見も出ていました。

バックグラウンドの違い

「日本で働いてみて不満に思ったこと・ストレスに感じたこと」の中で最も多かった意見が、「上司や取引先とのコミュニケーション」でした。これは、外国人材に限らず日本でも度々話題になります。その理由に、「上司に対して意見を言うことに躊躇する同期が多くて驚いた。文化の違いから来る誤解などもあった。」という回答がありました。
日本では、上下関係を意識する人がとても多いですが、海外によっては対等に接することが大切と考える文化もあります。言語やバックグラウンドの違いがあるからこそ、「このくらいの説明で伝わるだろう」ではなく、どの程度理解しているのかを確認しながら丁寧に話すことが重要になります。そして、外国人材とのコミュニケーションにおいては察してもらうことを期待するのではなく、曖昧さを排しはっきりと伝える努力も求められます。

また、「日本人と外国人ではバックグラウンドが全く違う。上司やマネジメント層にはその前提を理解し、日本人の同期と比べないでほしい。」という回答がありましたが、まさにその通りで、異なるバックグラウンドから来る日本人とは違う視点こそが外国人材の強みであることを忘れてはいけません。

旅行と労働で異なる日本の印象

ここまで、インバウンスと外国人労働者が日本に来る理由を紹介しましたが、やはり観光目的と実際に生活をするとでは、見える日本の景色が異なることがわかります。世界に発信をする魅力的な日本を追い求めて来日し、日本が長年培ってきた魅力的な観光スポットや食文化を堪能することで、また行きたいと思ってくれる人も多いでしょう。

一方で、外国人労働者として日本に来た方々は、日本で成長をしたいと夢を抱き、そして日本文化も堪能できるという思いで来日するものの、実際に働くと会社独特の文化やルール、そして言葉の言い回しなどで苦労するという、理想と現実のギャップを抱える人も少なくないです。

ASIA to JAPANに相談

ASIA to JAPANでは、海外の主要大学と提携しており、現地大学内で年間を通して行う日本語学習などを通じて、海外の学生に日本への就職のきっかけを提供しています。 また、優秀な学生と企業とをオンライン・オフラインを通じて理想的なマッチングを実現いたします。就職決定後に、企業が必要なサポートを次々と充実させていくことで、双方のギャップを解消し、活躍するまで丁寧に支援しています。

外国人採用で不安な事がありましたら、気兼ねなくお問い合わせください。

まとめ

いかがでしたでしょうか。実際は、この他にも「留学」や「日本人の配偶者」など、様々な目的で日本に訪れる方がいますが、今回は「インバウンド」と「外国人労働者」にフォーカスして紹介しました。外国人材は、これからも働き手不足解消の目的などで増えていくことになるでしょう。もし、身近に海外の方がいたら「Youは何し日本へ?」と聞いてみるのもいいかもしれません。

この記事をシェアする!