THE世界大学ランキング2027を解説|清華大学11位、アジア3校が初のトップ15入り

世界の大学の競争力を可視化する「THE世界大学ランキング」。

教育環境や研究の質、国際性などをもとに大学を評価するこのランキングは、海外大学の特徴や位置づけを知るための参考情報として活用されています。

2026年9月30日、最新の2027年版が発表されました。清華大学が11位に浮上し、初めてアジアの大学3校がトップ15入り。昨年「停滞」が指摘されたアジアの上位校が、再び順位を上げる結果となりました。

この記事では、イギリスの高等教育専門誌「Times Higher Education(通称:THE)」が毎年発表する「THE世界大学ランキング」の2027年版をもとに、アジア各国・地域の大学がどのように評価されたのかを考察します。あわせて、日本企業が海外大学を採用の視点で見る際のポイントも紹介します。

もし「そもそも世界大学ランキングとは?」という点から知りたい方は、以下の記事を先に読んでいただくと理解が深まります。

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【世界大学ランキング】そもそも“世界大学ランキング”ってどうやって決めるの?

THE世界大学ランキングとは

「THE世界大学ランキング」は、イギリスの高等教育専門誌「Times Higher Education」が毎年秋ごろに翌年版を公表する、研究活動を重視した大学の国際的な評価指標です。

2004年に初めて発表されて以来、世界中の教育関係者や企業、研究機関などが参考にしており、大学の国際的な競争力を示す重要なデータとして位置づけられています。

2027年版の評価対象は、118の国・地域の2,297大学(前年は2,191大学)。過去最多の規模となりました。

ランキングは、教育環境・研究環境・研究の質・国際性・産業界との連携の5分野、17の指標をもとに総合的に評価されます。2027年版の各分野の配点は以下のとおりです。

評価分野 配点
教育環境 29.5%
研究環境 29%
研究の質 30%
国際性 7.5%
産業界との連携 4%

研究環境と研究の質の配点は、合わせて59%を占めます。大学の研究活動を重視した評価であり、学生一人ひとりの専門能力や実務能力を直接測るものではない点に注意が必要です。

※評価方法の詳細は、THE公式の2027年版の方法論をご覧ください。

THE世界大学ランキングは、QS世界大学ランキングなどとあわせて、海外大学の特徴を把握する際の参考になります。ただし、ランキングによって評価項目や配点が異なるため、順位だけを単純に比較することはできません。

2027年版では、個別の順位が表示される範囲が前年の上位200校から上位300校まで広がりました。301位以下は「301–325位」のような順位帯でまとめて発表されます。同じ順位帯の大学同士は、ランキング上で優劣が付いているわけではないことにも注意してください。

THE世界大学ランキング2027 トップ100

2026年9月30日に公表された最新の「THE世界大学ランキング2027」を紹介します。

優劣が付いている

今回のランキングでは、トップ10は引き続き米英の大学が占める一方、清華大学やシンガポール国立大学など、アジアの上位校が順位を上げました。

ここでは、最新の2027年版にランクインした大学を取り上げ、1年前の2026年版、そして10年前の2017年版の順位と比較しながら、アジア各国の大学がどのように地位を高めてきたのかを見ていきます。

2027年版ランキング

※オレンジの太字はアジアの大学。「=」は同率順位、「–」は当時のランキングに掲載がない大学を示します。

2027 大学名 国・地域 2026 2017
1 オックスフォード大学 英国 1 1
2 マサチューセッツ工科大学(MIT) 米国 2 5
=3 プリンストン大学 米国 =3 7
=3 スタンフォード大学 米国 =5 3
5 ケンブリッジ大学 英国 =3 4
6 ハーバード大学 米国 =5 6
7 カリフォルニア工科大学 米国 7 2
8 インペリアル・カレッジ・ロンドン 英国 8 8
=9 カリフォルニア大学バークレー校 米国 9 =10
=9 イェール大学 米国 10 12
11 清華大学 中国 12 35
12 チューリッヒ工科大学 スイス 11 9
13 北京大学 中国 13 29
14 ペンシルベニア大学 米国 14 13
15 シンガポール国立大学 シンガポール 17 24
16 シカゴ大学 米国 15 =10
=17 ジョンズ・ホプキンス大学 米国 16 17
=17 ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL) 英国 22 15
19 コロンビア大学 米国 20 16
20 カリフォルニア大学ロサンゼルス校 米国 =18 14
21 コーネル大学 米国 =18 19
22 トロント大学 カナダ 21 22
23 ミシガン大学アナーバー校 米国 23 21
24 カーネギーメロン大学 米国 24 23
25 ミュンヘン工科大学 ドイツ 27 46
26 ワシントン大学 米国 25 =25
27 東京大学 日本 26 39
28 南洋理工大学 シンガポール =31 54
=29 ニューヨーク大学 米国 =31 32
=29 ノースウェスタン大学 米国 30 20
=29 エディンバラ大学 英国 29 27
32 デューク大学 米国 28 18
33 香港大学 香港 33 =43
=34 メルボルン大学 豪州 37 =33
=34 浙江大学 中国 39 201–250
36 スイス連邦工科大学ローザンヌ校 スイス 35 =30
37 カリフォルニア大学サンディエゴ校 米国 47 41
38 復旦大学 中国 36 155
39 上海交通大学 中国 40 201–250
40 キングス・カレッジ・ロンドン 英国 38 =36
41 ミュンヘン大学(LMU) ドイツ 34 =30
42 香港中文大学 香港 =41 76
43 マギル大学 カナダ =41 42
44 ブリティッシュコロンビア大学 カナダ 45 =36
=45 ルーヴェン・カトリック大学(KUルーヴェン) ベルギー 46 40
=45 ハイデルベルク大学 ドイツ 49 =43
47 ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE) 英国 52 =25
48 イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校 米国 =41 =36
49 ジョージア工科大学 米国 =41 =33
50 デルフト工科大学 オランダ 57 59
=51 シドニー大学 豪州 =53 =60
=51 中国科学技術大学 中国 51 =153
=53 テキサス大学オースティン校 米国 50 50
=53 ウィスコンシン大学マディソン校 米国 =53 45
55 カロリンスカ研究所 スウェーデン =53 28
56 ソウル大学校 韓国 =58 =72
57 パリ文理研究大学(PSL) フランス 48 –
58 香港科技大学 香港 =58 49
59 南京大学 中国 =62 201–250
60 マンチェスター大学 英国 56 55
61 モナシュ大学 豪州 =58 74
=62 京都大学 日本 61 =91
=62 アムステルダム大学 オランダ =62 63
64 韓国科学技術院(KAIST) 韓国 =70 =89
65 カリフォルニア大学デービス校 米国 64 =51
=66 ワーゲニンゲン大学 オランダ 66 65
=66 セントルイス・ワシントン大学 米国 67 =57
68 成均館大学校 韓国 87 =137
69 ライデン大学 オランダ =70 77
70 香港城市大学 香港 73 119
=71 カリフォルニア大学サンタバーバラ校 米国 72 48
=71 南カリフォルニア大学 米国 =73 =60
=73 ブラウン大学 米国 65 =51
=73 クイーンズランド大学 豪州 =80 =60
=75 パリ工科大学 フランス =68 –
=75 ニューサウスウェールズ大学 豪州 79 =78
77 オーストラリア国立大学 豪州 =73 47
78 パリ・サクレー大学 フランス =68 –
79 香港理工大学 香港 80 =192
80 延世大学校 韓国 86 251–300
81 コペンハーゲン大学 デンマーク 90 120
82 ブリストル大学 英国 =80 71
83 グラスゴー大学 英国 84 88
84 パデュー大学 米国 85 70
85 ノースカロライナ大学チャペルヒル校 米国 78 56
86 ボストン大学 米国 =76 64
87 フローニンゲン大学 オランダ 82 =80
88 ミネソタ大学 米国 88 53
89 ボン大学 ドイツ =92 =113
90 アーヘン工科大学 ドイツ =92 =78
91 ベルリン・フンボルト大学 ドイツ 89 =57
92 ヴァンダービルト大学 米国 =92 108
93 ミシガン州立大学 米国 =105 101
94 シャリテー・ベルリン医科大学 ドイツ 91 –
95 ウィーン大学 オーストリア =95 =161
96 ハルビン工業大学 中国 =131 501–600
=97 オーフス大学 デンマーク 101 =98
=97 オハイオ州立大学 米国 =108 =72
=97 バーミンガム大学 英国 =98 130
=97 カリフォルニア大学アーバイン校 米国 97 =98

※World University Rankings 2027、2026、2017をもとにASIA to JAPANが作成

※2017年版と2027年版では評価方法や掲載大学数が異なります。10年間の順位の変化は、大学の教育・研究の実力の変化だけを示すものではありません。

世界大学ランキングから見える全体傾向

2027年版の「THE世界大学ランキング」でも、トップ10は米国と英国の大学が独占しました。

1位は11年連続でオックスフォード大学(英国)。マサチューセッツ工科大学(MIT)が2位、プリンストン大学とスタンフォード大学が同率3位で続きました。

一方で、米国・英国・フランスなどでは、トップ200に入る大学数が前年から減少しました。米国は前年の55校から53校に減少し、この53校のうち46%が前年から順位を下げました。

THEは今回の結果を「西から東への歴史的な学術力の再編」と表現しています。

トップ100内のアジア勢は2017年版の11校から2027年版は21校へと約2倍に増えており、世界の高等教育の勢力図が大きく変化していることがわかります。

アジアの大学から見える変化の兆し

アジアで最も高い順位となったのは清華大学の11位。3年連続の12位から抜け出し、チューリッヒ工科大学を上回って欧州大陸のトップ校より高い順位に立ちました。

北京大学は3年連続の13位。シンガポール国立大学(NUS)は2つ順位を上げて15位となり、アジアの大学が初めてトップ15に3校並びました。

南洋理工大学(NTU)も同率31位から28位へ上昇。中国では浙江大学(同率34位)、南京大学(59位)が順位を上げ、ハルビン工業大学が96位で新たにトップ100入りしました。

韓国勢も好調です。ソウル大学校(56位)、KAIST(64位)、延世大学校(80位)がそれぞれ順位を上げ、成均館大学校は87位から68位へと大きく躍進しました。

香港では香港大学(33位)を筆頭に5校がトップ100に入り、安定した強さを見せています。

日本では、東京大学が27位、京都大学が同率62位で、いずれも前年から1つ順位を下げました。

国と地域別のランクイン数

続いて、国や地域別にトップ100とトップ200でどれだけランクインしているのか見てみましょう。

トップ200に入った国と地域

※オレンジの太字はアジアの国・地域。2027年版のトップ200に入った大学数の多い順に掲載しています。

国・地域 トップ100(2027) トップ200(2027) トップ100(2026) トップ200(2026)
米国 37 53 35 55
英国 11 25 11 26
ドイツ 7 19 8 18
中国 8 17 7 13
豪州 6 10 6 10
オランダ 5 10 5 11
カナダ 3 9 3 9
スイス 2 6 2 6
韓国 4 6 4 6
日本 2 5 2 5
香港 5 5 5 6
スウェーデン 1 4 3 4
イタリア 0 4 0 3
ベルギー 1 3 1 4
フランス 3 3 4 5
デンマーク 2 3 1 3
シンガポール 2 2 2 2
オーストリア 1 2 1 2
フィンランド 0 2 0 2
スペイン 0 2 0 3
台湾 0 1 0 1
マカオ 0 1 0 1
マレーシア 0 1 0 0
カタール 0 1 0 0
サウジアラビア 0 1 0 1
ノルウェー 0 1 0 1
ニュージーランド 0 1 0 1
アイルランド 0 1 0 1
南アフリカ 0 1 0 1
ブラジル 0 1 0 0
ロシア 0 0 0 1

※World University Rankings 2027、2026をもとにASIA to JAPANが作成

国・地域別で見ても、米国・英国を中心とした欧米諸国が引き続き上位を占めています。ただし米国はトップ200で55校から53校、英国は26校から25校へと減らしました。

対照的なのが中国です。トップ100に8校、トップ200には前年の13校から17校へと一気に4校増やし、トップ200入りした中国の大学の71%が順位を上げました。

また、マラヤ大学(同率194位)がマレーシアの大学として初めてトップ200入りしました。東アジア・東南アジアでは、中国、香港、マカオ、台湾、日本、韓国、シンガポール、マレーシアの8つの国・地域がトップ200に入り、計38校(前年は7つの国・地域、34校)となりました。

中東でも、ハマド・ビン・ハリーファ大学(カタール、同率126位)やキング・ファハド石油鉱物資源大学(サウジアラビア、同率176位)がトップ200に名を連ねています。

アジアの大学はどう評価されたか

再び順位を上げたアジアの上位校

THEは2026年版について、アジアの上位校が順位を伸ばせなかったことを「停滞」として取り上げていました。

しかし2027年版では、その流れが変わりました。清華大学は3年続いた12位から11位へ上昇し、NUSも前年の17位から15位に順位を上げました。

THEの分析によれば、東アジア・東南アジアでは主に「研究」のスコアが伸びて全体の評価が向上し、東南アジアでは「教育」の分野でも大きな改善が見られました。

THEの分析では、中国・シンガポール・香港を合わせた平均総合スコアと、米英を合わせた平均総合スコアとの差が小さくなっています。米英は国際性に関する指標で優位に立つ一方、中国・シンガポール・香港は、特に産業界からの収入の指標で高い評価を得ています。

一方で、課題として残るのが「国際性」です。清華大学の国際性スコアは60.6で、トップ10校の水準を大きく下回ります。特に国際共同論文の指標は100点満点中25.0にとどまりました。

THEの試算では、他の条件が変わらない場合、清華大学の国際共同論文の指標スコアが75前後まで改善すると、8〜9位に相当するとされています。これは将来の順位予測ではありませんが、国際連携が総合評価に与える影響を示しています。

日本の大学はどう動いたか

東京大学は前年の26位から27位へ、京都大学は61位から同率62位へと、いずれも1つ順位を下げました。一方、大阪大学は同率151位から同率147位へと順位を上げており、日本の上位校すべてが下落したわけではありません。

トップ200以内に入った日本の大学は、以下の5校です。トップ100に2校、トップ200に5校という校数は前年と変わりません。

大学名 2027 2026
東京大学 27 26
京都大学 =62 61
東北大学 =106 =103
大阪大学 =147 =151
東京科学大学 =185 166

2024年に東京工業大学と東京医科歯科大学の統合で誕生した東京科学大学は、166位から同率185位へと順位を下げたものの、トップ200を維持しました。

THEの記事では、日本の大学について、政府の大学への重点投資が続く一方で、一部の大学への資金配分だけでは構造的な課題を十分に解決できないという専門家の見方が紹介されています。

少子化は日本の高等教育が直面する課題の一つです。ただし、今回の順位変動だけから、少子化が特定の大学の順位低下を引き起こしたと判断することはできません。

大学の状況を理解するには、順位に加えて、研究資金や国際共同研究、教育環境など、個別の指標も確認する必要があります。

2017年版と比較すると、トップ200に入った中国の大学は4校から17校、日本の大学は2校から5校へと増加しています。ただし、この期間には評価方法の変更もあるため、大学数や順位の変化をそのまま教育・研究の実力の変化と捉えることには注意が必要です。

ランキングは、大学の特徴を理解するための一つの手がかりです。国全体の評価や採用対象の判断に使う際には、総合順位だけで結論を出さず、分野ごとの強みや個々の学生の経験とあわせて読み解くことが大切です。

海外大学を採用の視点で見るには

海外大学の総合順位は、採用候補となる大学を調べる入口として活用できます。理系人材を採用する場合は、次の3点をあわせて確認すると、自社の業務との接点を判断しやすくなります。

採用職種に関連する分野の評価を見る

工学やコンピューターサイエンスなど、採用職種に関連する分野別ランキングも参考にしましょう。総合順位だけでは見えにくい大学の専門分野の強みを把握できます。分野別ランキングは総合ランキングと発表時期が異なるため、参照する年版も確認してください。

学生本人の学びと経験を確認する

大学名や順位に加え、専攻、研究テーマ、プロジェクト、インターン経験などを確認します。例えば、開発職であれば、どのような課題に取り組み、本人が何を担当し、どの技術を使ったのかまで聞くと、業務との関連性を具体的に判断できます。

日本で働く意向と就業条件を確認する

日本語・英語などの語学力、日本で働きたい理由、希望職種、勤務地への希望、卒業時期などは、本人との面談で確認する必要があります。大学のランキングや国際性スコアだけから、学生本人の語学力や日本での就業意向を判断することはできません。

まとめ

2027年版のTHE世界大学ランキングでは、清華大学の11位浮上や、アジアの大学3校の初のトップ15入りなど、アジアの上位校が再び順位を上げました。

中国はトップ200入りを17校に伸ばし、マレーシアではマラヤ大学が初めてトップ200に入りました。日本は東京大学と京都大学がそれぞれ1つ順位を下げた一方、大阪大学は上昇し、トップ200に入った大学数は前年と同じ5校でした。

日本企業にとっては、これまでなじみの薄かった海外大学の特徴を知り、採用候補となる大学を広く検討するきっかけになります。ただし、総合順位の高さが、そのまま学生個人の実務能力や自社への適性を示すわけではありません。

また、ランキングに掲載されていない大学にも、優秀な学生は数多くいます。THEは論文数などを掲載の条件にしているため、研究規模の小さい大学や、工学・ITなど特定の分野に強い大学が対象外になる場合もあります。採用で大切なのは、大学の順位よりも、学生本人が何を学び、どのような力を身につけているかです。

ランキングは、あくまで「大学を知るための一つの指標」です。専攻や分野別の評価に加え、学生本人の研究テーマ、語学力、日本で働く意向などを確認し、自社が求める人材像に沿って採用候補を検討しましょう。

ASIA to JAPANでは、アジア各国の大学の学生と日本企業との接点づくりを支援しています。海外大学からの採用をご検討の際は、お気軽にご相談ください。

過去記事

出典

THE世界大学ランキング2027の評価方法