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外国人労働者を受け入れる企業が増加!受け入れの現状や課題、メリット・デメリットも解説

目次

外国人労働者を受け入れる企業が増加!受け入れの現状や課題、メリット・デメリットも解説

近年、企業発展を目的としたダイバーシティ化(多様な人材を活かす戦略)が広まり、外国人労働者の採用を率先的に行う企業が増えてきました。そして、まだ外国人労働者の採用を行なった実績はないけれど、検討のため情報収集を行なっているという企業も多いのではないでしょうか。

今回は、この外国人労働者受け入れのメリット・デメリットについてご紹介します。 

 

日本における外国人労働者の現状

すでに多くの情報が世の中に公開されていますが、改めて外国人労働者の現状についてご紹介いたします。

国籍で見る外国人労働者

入国在留管理庁によると、2022年6月末地点で在留外国人は296万1,969人います。このうちの25%を中国が占めています。次に多いのがベトナムで16.1%。さらに、韓国が13.9%、フィリピンが9.8%、ブラジルが7.0%と続きます。また、割合的には少ないですが、ネパールやインドネシア、タイ、台湾からの人も在留しています。

在留資格別にみると、一番多いのが永住者で28.6%でした。次に多いのが技能実習で、11.1%となっています。特定技能は、3.0%存在していることがわかりました。

都道府県別でみる外国人労働者

厚生労働省石川労働局によると、外国人労働者数が最も多い都道府県は、東京都の485,382人で全体の28.1%の人々がいます。次に多いのが愛知県で10.3%です。それ以降は大阪府で6.5%、神奈川県が5.8%、埼玉県が5.0%となっていました。

このことから、大都市およびその近郊に外国人労働者が集中していることが分かります。

産業別でみる外国人労働者

厚生労働省が作成した「『外国人雇用状況』の届け出状況まとめ(令和2年10月末現在)」によると、外国人労働者数は年々増加しています。2008年には48.6万人だったのが、2020年には172.4万人にまで増えていることがわかりました。

産業別にみると、外国人労働者数が最も多い産業は製造業で48.2万人でした。次に多いのがサービス業で27.7万人となっており、その後は、卸売業・小売業が23.2万人、宿泊業・飲食サービス業が20.3万人と続いています。

 

外国人労働者の受け入れ体制と政府政策

日本では、少子高齢化による労働人口の減少が進んでいます。この問題を解決するために日本政府が注目したのが、外国人労働者の受け入れでした。では、いったいどのような取り組みが行われたのか。政府が打ち出した施策「特定技能制度」についてご紹介いたします。

2019年に始まった特定技能制度

2018年に可決、成立した改正出入国管理法によって、2019年より新たな在留資格である「特定技能」の受け入れがスタートしました。主に、人材不足が深刻な12分野を対象に、一定の技能と日本語能力を有する外国人の日本での就労を認める資格です。

特定技能には、1号と2号の二段階が存在します。

1号は、「特定産業分野に属する相当程度の知識又は経験を必要とする技能」を要する業務に従事する外国人向けの在留資格です。

1号では、

  • 厚生労働省所管の介護、ビルクリーニング(2分野)
  • 経済産業省所管の素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業分野(2022年5月に1つの分野に統合されました)
  • 国土交通省所管の建設、造船・舶用工業、自動車整備、航空、宿泊(5分野)
  • 農林水産省所管の農業、漁業、飲食料品製造業、外食(4分野)

の計12分野で受け入れが認められています。

この資格を取得するには、最長5年の技能実習を修了して移行するか、技能と日本語能力の試験に合格する必要があります。特定技能の在留期間は、通算5年までで家族の帯同は認められません。

2号は、さらに高度な「特定技能2号評価試験」に合格がした上で、実務経験の要件を満たした人のみに与えられ、より熟練した業務に従事する外国人が対象となります。

参考サイト:外務省「在留資格 特定技能」”制度の概要”

技能実習制度及び特定技能制度の違い

技能実習制度と特定技能制度は目的が大きく異なります。

特定技能制度とは

日本で不足する労働力を確保するための制度です。前述したように、人材不足が深刻な12の分野を対象に、一定の技能と日本語能力を有する外国人の日本での就労を認めています。

技能実習制度とは

日本の技術移転による国際協力・貢献のための制度です。主に、受け入れる外国人に対して技能実習を行い、それを通じて日本の技術を他の国や地域への協力に役立てる目的があります。そのため、特定技能制度とは異なり、受け入れる外国人を労働者としてみなしてはいけないと定められています。これが、技能実習制度と特定技能制度の大きな違いです。

技能実習制度の廃止の動き

出入国在留管理局が公開する「技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議」によると、2023年4月28日に、「外国人労働者の在り方」を議論する政府の有識者会議が開かれ、技能実習制度の廃止を訴える中間報告書を取りまとめたとのことです。
主な内容は、人材の確保・育成も目的とする新制度の創設を検討するというものでした。

技能実習制度をめぐっては、問題がいくつか存在します。
大きな問題の1つとして挙げられるのが、制度の目的と実態が乖離している点です。中間報告書では、技能実習制度で受け入れる外国人を労働者とみなしてはならないものの、実際では労働力としてみなされている点が指摘されていました。また、賃金の未払いや実習生の失踪も問題となっています。

新制度では、従来認められていなかった転職を、一定程度認めることが検討されているほか、滞在年数や申請回数についても協議される予定です。

参考サイト:読売新聞オンライン
『技能実習制度の廃止』を提示、有識者会議『労働者として受け入れ続けるのは望ましくない』
技能実習廃止求める、有識者会議が中間報告書…労働力確保へ新制度促す

外国人労働者受け入れのメリット

「企業にとって利があるのか」という点を無視して、人材採用を行うことはないでしょう。また、同様に「企業にとってリスクがあるのか」という事も考慮するでしょう。外国人労働者の採用未経験の企業にとっては、日本人以外の雇用は未知の世界だと思います。とはいえ、敬遠するのは時期尚早です。まずは、しっかりと外国人労働者受け入れの「メリット」と「デメリット」を理解しましょう。

まずは、受け入れのメリットについて紹介します。

人手不足の緩和

少子高齢化は日本の働き手不足に大きな原因となっています。総務省の「令和4年版 情報通信白書|生産年齢人口の減少」によると、2050年には日本人の生産年齢人口(15〜64歳)が5,275万人で、2021年から29.2%減少すると見込まれています。そして、生産年齢人口減少の影響で労働力不足や、国内需要の減少による日本の経済規模の縮小などの問題が懸念されます。

この問題の新たな解決手段として、外国人労働者を人手不足が顕著な産業や地域が受け入れることで、人手不足解消が期待されます。

国際化・多様化

異なる文化を持ち、異なる言語を用いる外国人労働者を受け入れることによって、企業内の国際化が進み、将来的には国際市場での競争力向上が期待されます。

企業のイノベーション力の向上

日本とは異なるバックグラウンドや経験・スキルをもつ外国人労働者を受け入れることで、新たなアイデアや技術を得るチャンスが増えます。

IT人材の確保

近年アジアでは、デジタル技術やIT産業が著しく成長しています。日本では、テクノロジーへの理解不足や、IT人材が育ちづらい環境などが影響し、IT人材不足が懸念されています。そして、世界に比べてIT化が遅れをとっていると言われています。外国人労働者の中でもITに通じている人材を雇用することで、企業のIT化促進を行うことが期待できます。

グローバルネットワークの構築

外国人労働者の受け入れには、グローバルネットワーク構築も期待されています。例えば、日本にはアジアの国々から来日した外国人労働者が多くいます。近年アジア企業が行う技術革新は、創造性や独自性において、イノベーションの発信地に変わりつつあるという見方が多くされています。

出身国について詳しい外国人労働者を採用することで、採用者の出身国との新たな取引先やビジネスチャンスを見つけるきっかけになる可能性が増えます。

外国人労働者受け入れの課題

外国人労働者受け入れにおいてのメリットについて紹介してきました。ここからは、受け入れる際の課題について紹介します。

言語的・文化的障壁

外国人労働者とのコミュニケーションにおいて言語や文化の相違が障壁となることもあります。日常会話に加え、就労条件などの話し合いにおいても言語的障壁が原因となって、雇用主や日本人社員との間に齟齬が生じてしまうケースもあります。

この課題にたいして厚生労働省は、労働者の母国語や「やさしい日本語」を用いて外国人労働者とのコミュニケーションを深める必要性を発信しています。

ビザ問題

外国人労働者の雇用には、ビザや労働法の制約があります。特に、就労ビザ発行の審査が厳しい場合も多く、また時間やコストもかかってきます。手続きも複雑であるため、日本で働こうとする外国人労働者にとってはとても難しい現状があります。

文化・価値観の相違

私たちが当たり前と思っている日本の法制度や雇用慣行は、外国人労働者にとって馴染みがなく、慣れないこと多いです。そのため、雇用主が日本の働き方を説明しつつ、彼らのバックグラウンドを理解したり寄り添ったりしていくことが必要です。

外国人労働者を積極的に受け入れる産業

ここからは、外国人労働者を受け入れている産業の例を紹介します。

自動車産業

近年自動車産業では、自動車整備士やその他自動車関連の人手不足が深刻になっています。国内向けの対策として、学校訪問、自動車整備士の情報発信、自動車整備工場の経営者に対する人材確保セミナーの開催などが行われていますが、国外向けの対策も講じる必要性も視野に入れています。

トヨタ自動車は、外国人労働者を積極的に受け入れている企業の1つです。トヨタのサプライチェーンでは、多くの外国人労働者が働いています。また、トヨタ自動車では外国人労働者の人権を保護し、適切な労働環境・生活環境を整備するためにも人権デューデリジェンス(人権に対する企業としての適切で継続的な取り組み)に基づいた報告書も発表しています。

IT産業

日本のIT人材不足は、ますます深刻となっています。総務省が発表した情報通信白書によると、デジタル化を推進する上での課題として「IT人材不足」をあげた日本企業は、アメリカ・中国・ドイツと比べてとても多いことがわかりました。また、次に多かったのが「デジタル技術の知識・リテラシー不足」で、人材に関する課題が山積みです。それを受けた政府は、高度外国人人材の受け入れを拡大しています。

また、人口減少や少子高齢化が進む一方で、産業構造の変化を背景に、企業が望む人材のニーズが急変しています。特に、「AI」「DX」を中心とする優秀な理系人材を、国内だけでなく海外からも求める日本企業が増えています。

 

外国人労働者を採用するには?

外国人労働者を受け入れようにも、その手段がわからないという人も多いかと思います。ここからは、採用するための手段を紹介します。

大学のキャリアセンターからの紹介

外国人労働者の採用方法の1つに、大学のキャリアセンターによる学生や卒業生の紹介があります。

まず企業側から、職種やポジションに加えて、どのような経験・スキルを持つ学生を採用したいかを大学側に伝えます。その希望する内容に合う学生を、キャリアセンターが紹介するというのが大まかな流れだ。ここで重要になるのが、企業が需要を明確にすることです。

求人広告などの活用

専門的な求人サイトやプラットフォーム、SNSなどを活用して外国人労働者を募る方法です。多くの人にアクセスしてもらう事ができる手段です。しかしその一方で、いくつか課題も存在します。

そのうちの1つが、特定の国からアクセスが集中してしまうおそれがあることです。英語や他の言語を用いて求人広告を配信しても、様々な地域にヒットさせることは容易ではありません。この課題点を補うために、世界的なネットワークを有する人材紹介会社や、専門家を活用することも有効な手段といえます。

ハローワークの活用

企業が求める職種やポジション、またどのような経験・スキルを持つ学生を採用したいかをハローワークに伝え、ニーズに合致する人材がいれば企業がコンタクトをとる手段です。キャリアセンターによる紹介と同様に、企業が需要を明確にすることが非常に重要となります。

人材紹介会社などの活用

人材紹介会社などを通じて外国人労働者を採用することもできます。求人広告やハローワークよりも専門的なネットワークを世界に広く持っていくことが多く、より広範囲かつ深く外国人材を探すことができます。

また、多くの海外大学と連携している会社では、オンライン採用面接会や受け入れサポートも充実しています。

まとめ

このように、外国人労働者を他国から積極的に受け入れることは、日本の働き手不足の解決策になるほか、日本企業のグローバル化や新たなビジネスチャンス獲得のきっかけにもなります。優秀な人材を確保するために、世界各地にネットワークを構築する必要があるでしょう。

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また、ASIA to JAPANの強みとして、アジア各国で日本語教育を実施していること、日本にいながら海外の学生と採用面接ができること、そして就労ビザ取得から実際に来日するまでを支援する手厚いサポート体制などがあります。
外国人材採用でお困りのことがありましたら、気軽にお問い合わせください。

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